※この作品はR-18です。

ペルソナ5R(レイプ)   作:しあっと

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98話

10/31

佐倉から盗聴成果について報告があった。

チャットに送られてきた音声データをタップし再生する。

 

『計画は順調ですよ。あとは当日パレスに踏み込ませる部隊の調整です。ええ、勿論。そうですねぇ、署内の尋問室で看守のピストルを奪い自殺、なんてどうでしょう。初日は公安の取調べだそうで、あの特別房なら僕の仕事も容易い。ええ、自分から持ちかけてきたんですから、邪魔は入らないかと。はい、分かっています。怪盗団の次はアイツらを黙らせます』

 

成程、明智はパレスに警察なり特殊部隊なりを突入させて怪盗団を確保するつもりらしい。

身柄を押さえて、誰にも邪魔されないところで自殺に見せかけ射殺。

怪盗団の正体は未だ不明のまま、廃人化事件の罪をなすりつけられ永遠に口を塞がれる。

よくできたシナリオだ。

実行されるのはおそらく予告状を

 

『最後の音声は消した状態でメンバーに見せろ』

 

俺には繋がりはしないだろうが、念のため削除させておく。

 

『わかった。明智はどうするんだ』

 

『対処はお前たちに任せる。怪盗団の中で一番頭がキレるのはお前だ。せいぜい上手いこと考えろ』

 

明智への対応策は怪盗団に一任する事にした。

奥村や佐倉を通じて、俺の望む方へ誘導する事もできなくもないが、それで俺の存在がバレては元も子もない。

成功の可能性がほとんどないようなものなら、いくらかテコ入れすることにしよう。

 

 

11/1

佐倉からの報告を受けて明智以外の怪盗団はすぐに集会を開いたようだ。

議題はもちろん、明智をどうするか。

会議は難航していた。

明智から一時的に逃れることは可能だが、その場合は明智の裏にある人物にすぐにでも殺される可能性もある。

明智に気取られず、逃れて反撃する方法。

 

そこで佐倉が考えたのは、気づかれないように明智を新島冴のパレスに誘導。

そのパレスの中で、明智の認知上の雨宮を殺害させる。

そうすれば、明智は殺害に成功したと勘違いし、気付かれるまでの間油断が生じる。

 

有効そうな策に思えるが、不確定なところもある。

前提として、どうやって明智をパレスに誘導するか。

紛糾したようだが、怪盗団は雨宮の携帯を新島冴に押収させ、署内で明智に会うタイミングでイセカイナビを遠隔起動しパレスに誘導する事になった。

新島冴と明智をどうやって会話させるかだが、そこは雨宮が尋問中に交渉することになった。

まずこれが不安要素になる。

 

不確定な箇所が不安になるが、それにさえ目を瞑れば実行可能な作戦の中で明智の裏をかける良い作戦に思えるだろう。

俺にはなかった発想だ。

 

三人寄れば...と言うし、怪盗団の頭脳担当の一人だった人間に相談してみよう。

脱衣所のチェーンを外し、ドアを開ける。

 

「新島、折り入って相談があるんだが」

 

「な、なんですか?」

 

新島は怯えた声を出した。

 

「少し知恵を借りたいんだ。これはお前の姉にも関わることだ。また会いたいんだろう?」

 

俺は新島に怪盗団が置かれた状況と、それに対する怪盗団の作戦を多少の嘘を交えつつ新島に説明した。

全ての情報を開示するとかえって混乱するだろうと思ったためだ。

 

「お前から見て何か問題になりそうな事はあるか?役に立ったなら多少ここでの生活に彩りを加えてやっても良いし、何よりこれが成功して怪盗団が黒幕を倒すことに成功すれば、姉との再会も早まるだろう」

 

新島の瞳が俄かに真剣味を帯びたものに変わる。

 

「それと、これが失敗すれば新島冴の身にも害が及ぶ可能性が高い。その事を忘れるな」

 

数分考える時間をやった。

新島は目を瞑り、顎に手を当てて思いの外、深く考え込んでいるようだった。

 

「どうだ?」

 

新島が目を開いたタイミングで再度尋ねる。

 

「はい。一つだけ確認したいことが」

 

うなづいて続きを促す。

 

「黒い仮面の男は私の姉と顔見知りなんでしょうか?」

 

「そうだが、何か問題があるか?」

 

「姉の認知上の黒い仮面の男がパレスに現れてしまう可能性が高いです。そうなると...」

 

「場合によっては本人と鉢合わせる可能性がある、と」

 

「はい」

 

確かにそれは盲点だった。

あまり期待してはいなかったが、これはかなり重要なポイントだ。

監禁されて、食事を制限されても頭脳のキレは鈍っていないようだ。

腐っても成績トップの生徒会長という事だろう。

 

「参考になった、他にはあるか」

 

「いえ、今はそのくらいです。それで...いつ家には帰れるんですか?」

 

「今年中から年始くらいになるんじゃないか?まあ、怪盗団次第だろうが」

 

「そうですか...」

 

「また思いついたことがあれば教えてくれ」

 

新島はか細い声で答えた後、残念そうな、希望が見えたような複雑な表情で俯いた。

怪盗団騒ぎが終わった後の新島をどうするかはまだ決めていない。

解放しても良いが、新島姉に尋問されて色々吐かれると面倒だ。

永久に口を塞ぐにしても、警察が俺に辿りつかないようにしなければならない。

 

新島を定位置に戻らせ、佐倉にチャットを送る。

 

『新島冴のパレス内にいる認知上の明智に注意しろ。本人と鉢合わせる可能性がある』

 

『確かにそこまでは考えていなかった。対策する』

 

これで完璧になれば良いが。

案外、新島の指摘はファインプレーだったかもしれない。

奥村、佐倉と怪盗団内部のスパイを確保した今、新島の価値はかなり落ちていたが、この分だとまだ使い道がありそうだ。

最終的な処理の仕方も含めて、使い道を色々と考えておくか。

 

 

11/2

怪盗団はそれから、明智の策を崩すための準備に出た。

警察ビル内の異世界に潜入し、尋問室の場所、怪盗服への変化が起きない事、そしてビル内の風景に現実世界との大きな差異が無いことを確認した。

 

作戦の大枠には問題が無さそうだ。

あとは時を待つのみとなった。

 

 

 

 

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