今作はTS百合でニンジャと触手を掛け合わせた全く新しい……かは分かりませんが、自分らしさをこれまた追及した作品となっております♪
楽しく書くことで、書く楽しさと百合と触手のすばらしさを一人でも多くの読者の方々に知ってもらえれば、それだけで作者冥利に尽きます。
ただ、タグに付けた“ギャグ”の要素からして、「TSだからこそ」の良さよりも勢いを重視し過ぎでは? と自分で思う部分も多いので、そういうものとして読んでいただければと思います。
では、どうぞ!
その日、何度目かも分からない溜息が出てしまい、幸せが逃げるという迷信を思い出したボクは必死に堪えようとしました。
でも、うん。やっぱり無理。ボクの夢が完全に断たれたんだから。
「……溜息で不幸になるんじゃなくて、不幸だから溜息が出るんだよね。たはは……」
そんな落ち込み中のボクの名前はタピ・オカ。ごくごく平凡な男子高校生。ただし一時間ほど前までは。
ついさっき3年間通い続けた高校の卒業式を終え、そして希望していた会社の採用面接の結果発表に落胆をしている。
進学ではなく就職希望。それも家が貧しい訳でもない。夢を追うことで目指した就活が全部パァになったのわけ。
「やっぱり、ボクにはニンジャになるだなんて無理なのかなぁ……」
ニンジャ――それは大昔からボクの暮らすニホン国では陰に日向に大活躍をしてきた勇者の職業。
誰もが憧れ、尊敬し、目指す仕事。……だけど、現代ではとても厳しいニンジャ飽和社会。
そんなニンジャの国ニホンに生まれ育ったボクもまたニンジャオタク! 将来の夢は当然ニンジャと決めて努力してきた。
だから大学への進学なんてせずに、ニンジャ会社に高卒での就職を希望し、多くのニンジャ会社への就職面接を受け続け、そして今日、最後に受けた会社からお祈りされてしまったんだ。
「他所で頑張ってね、って言われ続けたから沢山の会社の面接を受けたのにこの結果。
どうしてこうなったんだろ?」
体力? 一応、学校の成績では悪くはないけれど、どうなんだろ? ニンジャとしては不足なのかな?
学業? 学年では上位に入るけれど、まだ足りなかったかな?
ルックス? ……ありえるかも。ボクって男の割に身長は低いし、筋力はあるのに手足は細いし、顔立ちも幼いし。顔なのかな? 女顔だなんて認めたくはないけれど、男らしい顔立ちでないのは確か。よく言えば柔和?
でも本当はそんな理由じゃない。分かっているんだ。ボクよりも勉強や運動が苦手でもニンジャ会社の採用を受けた子たちの共通点――忍術の才能の有無。たぶん、彼らが受かったからボクは落ちたんだよね。
世の中は残酷なもので、ボクには火を吐いたり水に浮いたり、姿を消したり、そんなニンジャの才能がまるで無かった。
それを補うべく運動と勉強が頑張ってきたけれど、それでも学年で上位に入る程度。突出しているわけではありません。オリンピックなら狙えるだろうけれど、ボクはアスリートになりたいんじゃなくてニンジャになりたいんだ。
身体能力だけでニンジャになれるようなら、大昔のブシやサムラーイがニンジャのパシリだった訳ないじゃないか!
そうしてボクは、何度目かも忘れた溜息を再び繰り返して歩いて行く。いや、目的なんてないんですけどね。ささくれ中だからかな。
だってニンジャになるために大学進学をせずにいたのに不採用ばかり。家にだって帰りにくくなるってもんさ。
「あ~あ、何処かにボクでも使える忍術の才能はないかなぁ?
具体的にはボクの身体能力が活かせるような凄くてカッコいい忍術!」
努力して身に付くならいくらでも努力します。どんな苦しみにも耐えます! どんな試練も乗り越えます!
そう思っていたら、ボクは出会ったんだ。伝説の古代ニンジャの残した忍術本に……。露店で怪しい女性店主から100円で購入。古いし本物っぽい。発行年月日が……1582年って書いてあるけれど本当かな。
運命という形で、ボクはニンジャへの道を再び目指すことになるサクセスストーリーの始まりであった……うん、御免。カッコつけたけれど、カッコ付かないのがボクなんだ。顔と体格のせいで何をやっても可愛いとか言われるし。
◆ ◆ ◆
運命の忍術本との出会いから30分経過。無事に家に帰ってきたボク。うん、さっきまでの落ち込んでいたボクとはおさらばします♪
「ふむふむ、この本の白紙のページを破って願い事を書いて、それを枕の下に忍ばせて眠れば願いが叶うのか♪」
学校からの帰り道の途中で購入した忍術本。そこに書かれていた忍術を会得する方法を、家族との就職失敗残念会を楽しんだ後に早速ボクは実践してみた。こんな時でもケーキは美味しい♪
本の前半部分は細かい注意書きみたいな――ゲームのアプデなんかで「同意しますか?」の前にあるような長ったらしい文章だったので読んではいないけれど、たぶん大丈夫。
なんせボクは、忍術が使えないだけで誰よりもニンジャになりたい夢を持っているのだから!
『契約完了しました。新しくも懐かしきご主人様。どうか忍術の目覚めを楽しみにお待ちください』
うん? 何だか本から変な声が聞こえたけれど、まぁ大丈夫なのかな?
とまぁ、ここまでが自分自身の軽率さを呪いたくなるほど何も考えていなかった回想だね。やっちゃいました。
ボクは、ニンジャになることだけを夢に生きてきて、それが叶わなくて自棄になって、色々と失敗しちゃったんですよ。
だってボク、寝る前までは“男の子”だったはずなのに、何故か寝て起きたら“女の子”になっていたんだもの!!
投稿初日は二話同時更新。