魔法少女まどか☆マギカ 未来 作:kuroto xanadu
未来とまばゆが愛を育んでいた頃。
ほむらの自宅に杏子が来てワルプルギスの夜対策の会議を行っていた。
杏子は未来の目がないことをいいことにカップ麺を食べている。
ほむらが地図の一点を指差す。
「ワルプルギスの夜の出現予測はこの範囲」
「根拠はなんだい?」
「統計よ」
「統計?以前にもこの町にワルプルギスが来たなんて話は聞いてないよ。一体何をどう統計したっていうのさ?」
「はぁ…お互い信用しろだなんて言える柄でもないけどさ。もうちょっと手の内を見せてくれたっていいんじゃない?」
「それは是非僕からもお願いしたいね。暁美ほむら」
どこからともなくキュゥべえが現れた。
「どの面下げて出てきやがったてめぇ」
杏子が槍を出してキュゥべえに突きつける。
「やれやれ招かねざる客ってわけかい?今夜は君達にとって重要なはずの情報を知らせに来たんだけどね」
「あん?」
「美樹さやかの消耗が予想以上に早い。魔力を使うだけでなく彼女自身が呪いを生み始めた」
「誰のせいだと思ってんのさ」
「このままだとワルプルギスの夜が来るより先に厄介なことになるかもしれない。注意しておいた方がいいよ」
「何だそりゃ?どういう意味だ?」
「僕じゃなくて彼女に聞いてみたらどうだい?君なら既に知っているじゃないかな?暁美ほむら」
暁美ほむらは無言のまま返さない。
「やっぱりね。どこでその知識を手に入れたのか僕はとても興味深い。君は」
「聞くだけのことは聞いたわ。消えなさい」
そう言われてキュゥべえはその場から去った。
「放っとくのかよあいつ」
「あれを殺したところで何の解決にもならないわ」
「それよりも美樹さやかだ。あいつの言ってた厄介事ってのは何なんだ?」
「彼女のソウルジェムは穢れを溜め込み過ぎたのよ。早く浄化しないと取り返しのつかないことに…」
絶望へのカウントダウンが始まっていた。
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翌日、さやかは学校に来ておらず家にも帰っていない。
今、彼女は魔女の使い魔を狩っていた。
苛立ちをぶつけるように。
使い魔を倒しきったさやかに近づいてくる者がいた。
「どうして分からないの?ただでさえ余裕が無いのだから魔女だけを狙いなさい」
制服姿の暁美ほむらだ。
「うるさい…大きなお世話よ」
「もうソウルジェムも限界のはずよ。今すぐ浄化しないと…使いなさい」
ほむらがグリーフシードをさやかに投げつける。
さやかはそれを足で後ろへ転がした。
「今度は何を企んでるのさ!」
さやかの言葉にほむらは唇を噛み締めた。
「いい加減にして。もう人を疑ってる場合じゃないでしょ。そんなに助けられるのが嫌なの?」
「あんた達とは違う魔法少女になる。あたしはそう決めたんだ。誰か見捨てるのも利用するのもそんなことをする奴らとつるむのも嫌だ。見返りなんていらない。あたしだけは絶対に自分の為に魔法を使ったりしない!」
さやかは明確にほむらを拒絶する。
「あなた…死ぬわよ」
「あたしが死ぬとしたらそれは魔女を殺せなくなった時だけだよ。それってつまり用済みってことじゃん。ならいいんだよ」
さやかは四つん這いに膝をつく。
「魔女に勝てないあたしなんてこの世界にはいらない」
「…ねえどうして?あなたを助けたいだけなのよ。どうして信じてくれないの?」
「どうしてかな…ただ何となく分かっちゃうんだよね…あんたが嘘つきだってこと」
さやかはほむらを睨み付けた。
「あんた、何もかも諦めた目をしてる。いつも空っぽの言葉を喋ってる。今だってそうあたしの為とか言いながら本当は全然別のこと考えてるんでしょ?誤魔化しきれるもんじゃないよそういうの」
「そうやってあなたはますますまどかを苦しめるのよ」
「…まどかは関係ないでしょ」
「いいえ。何もかもあの子の為よ」
ほむらのその言葉にさやかは虚をつかれる。
ほむらは魔法少女に変身する。
「あなたって鋭いわ。ええ、図星よ。私はあなたを助けたい訳じゃない。あなたが破滅していく姿をまどかに見せたくないだけ。ここで私を拒むならどうせあなたは死ぬしかない。これ以上まどかを悲しませるくらいなら…いっそ私がこの手で今すぐ殺してあげるわ。美樹さやか!」
ほむらがさやかをその手にかけようとする。
「やめろ!」
その直前で駆けつけた未来がほむらの腕を掴んで止めた。
「あなた」
「はぁ…はぁ…やっと見つけた…」
散々走り回ったのか未来は息を切らしていた。
後からマミ、杏子、まばゆが到着した。
「町中探して走ったけど…反応が出たり消えたりしたから苦労した」
「離して…」
ほむらが未来に呟く。
「なら手は出さないでくれ。いいね?」
未来の問いにほむらは無言で頷いたので未来は手を離してさやかの前に歩み寄って膝をつく。
「何で…」
さやかは目を見開いて驚いていた。
「何で私なんかの為にそこまで…」
「友達だから」
未来は即答した。
「友達?あたしとあんたが?」
「俺はそう思ってる」
「バカ言わないでよ。あんたに何が分かるって言うのよ!戦えもしないあんたが!」
「美樹さん!ダーリンは…」
マミが口を挟もうとするが未来は手で制した。
「俺が戦えたらどんなにいいか考えたことはある。でも俺には出来ない。君の気持ちは分からない…だけど思いやることくらいは出来るよ」
「あたしはもう死んでるんだ!ゾンビなんだ!痛みなんて感じない!ただの人間のあんたと友達なんて」
「そんなことない!」
未来はそこでさやかの手を両手で包み込んだ。
「だって君の手はこんなにも温かいじゃないか!」
「っ!」
「死人ならこんな温もりは感じない。痛みを感じないって?だったら何でそんな泣きそうな顔をしてるんたよ!」
「っ!そんな顔してない!デタラメ言わないで!」
さやかがムキになって言い返す。
「どれだけ痛覚を無くしてもどれだけ傷を治しても…心は痛いんだよ!」
そう吠える未来の目から涙が溢れる。
「…未来」
「だからまずはソウルジェムを浄化してこれからどうしていくのか皆で話し合おう」
未来は手の抱擁を解いてさやかのソウルジェムに手を伸ばそうとしたその時、パシッとさやかがその手を弾いた。
「さやか!」
「…ごめん…未来」
さやかは魔法少女に変身するとマントで未来の視界を塞ぐ。
未来が闘牛のようにマントを払いのけて突っ込むがさやかもいつの間にかマントも姿を消していた。
「さやか…」
「ダーリン…」
「未来…」
「未来君…」
立ち尽くす未来にマミ、杏子、まばゆが声をかける。
「大丈夫。俺はまだ諦めてないよ。何一つ」
未来の目はまだ死んでいない。
「…どうして?」
一瞬の沈黙の後にほむらが口を開いた。
「どうしてあなたは諦められずにいられるの?」
「幸せな未来の為だ」
「幸せな…未来?」
「俺には戦うことは出来ない。あるのはこの左手の力だけ。でも俺は1人じゃない。一緒に戦ってくれる人達がいる」
未来はマミ達3人に視線を移す。
マミ達はそれぞれ頷く。
「1人じゃないか…私には…」
「暁美さん?」
「ごめんなさい…未来」
「暁美さん!」
未来が手を伸ばすがほむらは次の瞬間、その場から姿を消した。
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さやかは走る電車の車内で席に寄りかかっていた。
「言い訳とかさせちゃダメっしょ。稼いできた分はきっちり全額貢がせないと。女ってバカだからさ…ちょっと金持たせとくとすぐくっだらねぇことに使っちまうからね」
さやかの向かいの席から男の愚痴が聞こえる。
「いや~ほんと女は人間扱いしちゃダメっすね。犬かなんかだと思ってしつけないとね。あいつもそれで喜んでる訳だし。顔殴るぞって脅せば大抵は黙りますもんね。ちょっと油断するとすぐつけあがって籍入れたいとか言い出すからさ。甘やかすの禁物よ。ったくてめぇみたいなキャバ嬢が10年後も同じ額稼げるかっての。身の程弁えろってんだよ」
「な」
もう1人が相槌を打つ。
「さっきのさ。ほんとウザいっすよねそのへんショウさん上手いっすから羨ましいっすよ。俺も見習わないと…」
男の愚痴が止まる。
目の前にいつの間にかさやかが立っていたからだ。
「ねぇ。その人のこと聞かせてよ」
「はい?」
「今あなた達が話してた女の人のこと…もっとよく聞かせてよ」
「…お嬢ちゃん中学生?夜遊びはよくないぞ」
男がさやかを諭そうとする。
「その人あんたのことが大事で喜ばせたくて頑張ってたんでしょ?あんたにもそれが分かってたんでしょ?なのに犬と同じなの?ありがとうって言わないの?役に立たなきゃ捨てちゃうの?」
「何こいつ知り合い?」
「いや…」
男2人がめんどくさいのに捕まっちまったなみたいな反応をする。
「ねぇ…この世界って守る価値あるの?あたし何の為に戦ってたの?教えてよ…今すぐあんたが教えてよ。でないとあたし…」
さやかの姿が変わっていく。
そして、その目はまるで殺人鬼のようだった。
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「さやかちゃんどこ?」
まどかはさやかを探して噴水のある広場にいる。
「君も僕のことを恨んでいるのかな?」
声をかけたのはキュゥべえだった。
「あなたを恨んだらさやかちゃんを元に戻してくれる?」
「無理だ。それは僕の力の及ぶことじゃない」
仕様ですというような答えを返すキュゥべえ。
まどかはベンチに腰かける。
「ねぇ…いつか言ってた私が凄い魔法少女になれるって話…あれは本当なの?」
「凄いなんていうのは控えめな表現だ。君は途方もない魔法少女になるよ。恐らくこの世界で最強の」
「私が引き受けてたら…さやかちゃんは魔法少女にならずに済んだのかな…」
「さやかは彼女の願いを遂げた。その点についてまどかは何の関係もない」
噴水の勢いが弱まっていく。
「どうして私なんかが…」
「僕にも分からない。はっきり言って君が秘めている潜在能力は理論的にはあり得ない規模のものだ。誰かに説明して欲しいのは僕も一緒だ」
「そうなの?」
キュゥべえの言葉にまどかが食いついた。
「君が力を解放すれば奇跡を起こすどころか宇宙の法則をねじ曲げることだって可能だろう。何故君1人だけがそれ程の素質を備えているのか理由は未だに分からない」
「…私は…自分なんて何の取り柄もない人間だと思っていた。ずっとこのまま誰の為になることも何の役に立つことも出来ずに最後までただ何となく生きていくだけなのかなって。それは悔しいし寂しいことだけどでも仕方ないよねって思ってたの」
「…現実は随分と違ったね。まどか、君は望むなら万能の神にだってなれるかもしれないよ」
「あたしなら…キュゥべえに出来ないことでもあたしなら出来るのかな?」
「というと?」
「私があなたと契約したらさやかちゃんの体を元に戻せる?」
「その程度きっと造作も無いだろうね。その願いは君にとって魂を差し出すに足るものかい?」
「さやかちゃんの為なら…いいよ。私、魔法少女に…」
まどかが身を乗り出したその時、世界が止まった。
そして次の瞬間、キュゥべえの体に複数の風穴が開いてドサッと音を立ててベンチの上に倒れた。
「…あっ!」
まどかが一瞬遅れて事態に気づいた。
背後で金属が落ちる音が聞こえたので振り向くとそこに暁美ほむらがいた。
ほむらはゆっくりとまどかに歩み寄ってくる。
「ひ、酷いよ!何も殺さなくても!」
まどかがほむらを非難する。
「あなたは…何でいつだってそうやって自分を犠牲にして」
「…え?」
「役に立たないとか意味が無いとか勝手に自分を粗末にしないで!あなたを大切に想う人のことも考えて!」
今までと明らかに様子の違うほむらはまどかの肩に両手を置いた。
いい加減にしてよ!あなたを失えばそれを悲しむ人がいるってどうしてそれに気づかないの?あなたを守ろうとしてた人はどうなるの?」
声を荒げるほむらの目からは涙が溢れ出し膝から崩れ落ちた。
「ほむらちゃん…」
まどかがベンチから立ち上がりほむらに近づく。
その時、まどかが何か違和感を感じた。
「私達は…どこかで…どこかで会ったことあるの?私と…」
まどかの問いにほむらは泣いたまま答えない。
「ごめん…私、さやかちゃんを探さないと…」
「待って…美樹さやかはもう…」
「ごめんね…」
まどかはほむらを置いて走り出した。
「待って…まどかぁ!」
ほむらがまどかの背中に声をかけるがまどかが振り返ることはなかった。
ほむらはその場から動けず涙を流し続けた。
「無駄なことだって知ってるくせに。懲りないんだな君も」
その時、声が響いた。
それはこの場にいないはずの声だった。
「代わりはいくらでもあるけど無意味に潰されるのは困るんだよね。もったいないじゃないか」
まどかが振り向くとそこにいたのは先程、風穴を開けられたキュゥべえとは別のキュゥべえだった。
そのキュゥべえはベンチに降り立つと何と風穴を開けられたキュゥべえを食べ始めた。
「ケップ」
キュゥべえがゲップのような声を出す。
ほむらは立ち上がる。
もうその目に涙はない。
「君に殺されたのはこれで二度目だけどおかけで攻撃の特性も見えてきた。時間操作の魔術だろ?さっきのは」
そのキュゥべえの言葉に対してのほむらの反応を見たキュゥべえは、
「やっぱりね。何となく察しはついてたけれど君はこの時間軸の人間じゃないね」
ほむらの核心を突いた。
「お前の正体も企みも私は全て知ってる」
「なるほどね。だからしつこく僕の邪魔をする訳だ。そうまでして鹿目まどかの運命を変えたいのかい?」
「ええ。絶対にお前の思い通りにはさせない。キュゥべえ…いいえ…インキュベーター!」
ほむらに真の名を告げられたキュゥべえのその顔は一切変わることのない無表情だった。
「その話、本当なのか?」
そこに割り込む者がいた。
それはさやかを探していたのか息を切らしている未来、そしてまばゆだった。
マミと杏子は別行動のようだ。
「あなた…」
「今のお前の話は本当なのか?」
未来が重ねて問う。
「それは…」
ほむらは迷う。
自分の話をしていいのかそして信じてもらえるのか。
「暁美さん、未来君は信じていいと思います」
まばゆが助け船を出す。
ほむらは何かを変えられるのではないという僅かな期待を抱いて話すことにした。
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「つまり君はまどかを魔法少女にしない為に同じ時間を何度も繰り返してきたということか?」
現在、3人はほむら、未来、まばゆの順にベンチに座っている。
キュゥべえは気がついたらいなかった。
ほむらの話を聞き終えた未来が簡潔にまとめる。
「信じてくれるの?こんな話…」
「信じるよ」
未来は即答した。
「そんな簡単に…」
「魔法少女の魔法っていうのはそれぞれの願いに関係するんだろう?ならもし君が過去に戻ってやり直したいと願ったのなら時間系の魔法が使えてもおかしくはない」
未来が自分の推測を口にしていく。
「まばゆさんが協力者なのもそのフィルムのような格好を見る限りおそらく記憶関係の魔法を使えると思う。だからループしても引き継がれたんじゃないかな?」
「…驚いたわ。そこまで気づくなんて」
「それにずっと引っ掛かっていたんだ。キュゥべえはまどかに助けてとテレパシーを送った…おかしいだろ。感情のないあいつは生命的な恐怖を感じることはないから助けを求める必要はないはずだ」
「確かに…」
まばゆが共感を抱く。
「あとマミが助けに来たタイミングから考えて十分テレパシーがマミに届く距離だった。なのにまどかを選んだ」
「あいつはまどかの魔力を狙っていた」
ほむらが補足する。
「もう1つはさやかと杏子が歩道橋で決闘しかけた時にあいつはマミでも暁美さんでもなくまどかに声をかけた。魔法少女でないまどかに。あいつは強制的に契約しないと言ったけどまどかを追い詰め誘導して契約しようとしていた」
「…あなた、結構頭が回るのね」
ほむらが未来の推測に改めて驚嘆する。
「時間はたっぷりあったから。やっとパズルのピースがはまり始めたってところかな。暁美さん」
「何かしら?」
「今の俺は君の敵かな?」
その問いにほむらは思い出す。
以前、未来に銃を向けた時のことを。
「…いいえ。今は違うと信じてるわ」
「そうか…良かった。暁美さん」
また名前を呼ぶ未来。
「今度は何?」
そう問うほむらの肩に未来は両手を置いた。
「…よく頑張った。諦めなかった…暁美さんは凄いよ」
その言葉を聞いたほむらの目からツーっと涙が流れた。
「え、あっいや…そんな泣かせるつもりは無かったんだけど…」
「あれ…私なんで…こんな…」
ほむらは自覚していないが彼女は嬉しかったのだ。
何度もループして真実を話してもまばゆ以外信じてくれる人がいなくて、もう1人認めてくれる人がいることを。
「とりあえずこれで拭いて」
未来はハンカチを取り出してほむらに渡す。
「…ありがとう。これ…」
「持ってていいよ」
「そう…洗ったら返すわ」
「…お2人さん、何を見つめ合っているんですか?」
まばゆがジト目を向けてくる。
「べ、別に見つめ合ってるわけじゃ…」
「そうですか~ほほ~?」
「…あなた達、何か距離が近くなってない?」
「「へ?」」
「そ、そんなことないですよ」
「そ、そうですよ…何を言っちゃってるんですか暁美さん…///」
そう誤魔化す未来とまばゆだったが、まばゆの顔が嬉しさのあまり少し緩んでいた。
「ジ~」
ジト目を未来に向けるほむら。
「…」
冷や汗をかく未来。
「変態」
「いきなりの罵倒!」
ほむらの罵倒に未来は間髪入れず突っ込んだのだった。
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駅のホーム。
そこのベンチにさやかは座っていた。
「やっと見つけた」
階段から上がってきた杏子が声をかける。
隣のベンチに腰かけた杏子はチ○プスターの箱を開けて口に流し込む。
「あんたさ。いつまで強情張ってるわけ?」
「…悪いね。手間かけさせちゃって」
「何だよ。らしくないじゃんかよ」
「うん…別にもうどうでもよくなっちゃったからね。結局あたしは一体何が大切で何を守ろうとしてたのかもう何もかも訳分かんなくなっちゃった」
「おい…」
杏子が声を出すとさやかがソウルジェムを見せてきた。
その色は限りなく黒に近かった。
「あっ!」
「あたしは何人か救いもしたけどさ。その分、心には恨みや妬みが溜まって一番大切な友達さえ傷つけて…」
「さやか!あんたまさか…」
「誰かの幸せを祈った分、他の誰かを呪わずにはいられない。あたし達、魔法少女ってそういう仕組みだったんだね」
そう語って杏子の方に振り向いたさやかの目からは涙の雫が落ちていた。
「あたしって、ほんとバカ」
その雫がソウルジェムに落ちたその瞬間、強烈な衝撃波が杏子を吹き飛ばした。
ソウルジェムは割れてグリーフシードに変化した。
さやかの体はホームの床に倒れる。
その体はグリーフシードから再度発せられた衝撃波で吹き飛ばされる。まるでいらなくなったゴミのように。
そして、現れたのは…魔女だった。
「さやかぁぁぁぁぁ!!!!!」
手すりにしがみつく杏子はその名を叫んだ。
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「この国では成長途中の女性のことを少女って呼ぶんだろ。やがて魔女になる君達のことは…『魔法少女』と呼ぶべきだよね」
魔女の結界が展開される光景を遠くから観察していたキュゥべえはそう口にしたのだった。
アニメだと電車内のホストの2人、ムカつくけどいい声してるんだよな。