※この作品はR-18です。

魔法少女まどか☆マギカ 未来   作:kuroto xanadu

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ワルプルギスの夜

 まどかやその家族は総合体育館のように広い避難所にいた。

 

「きょうはおとまり?キャンプなの?」

 

まどかの弟、3歳児の鹿目タツヤが無邪気に訊いてくる。。

 

「ああ、そうだよ。今日は皆で一緒にキャンプだ!」

 

まどかの父の鹿目知久がタツヤを抱き上げる。

タツヤはテンションが上がってくる。

まどかは体育座りで俯きながら何かを考えていた。

 

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 5人の魔法少女が立っていると象や人形などのサーカス団のような使い魔がパレードのように歩いていた。

そして、雲の向こうから現れたのは全長数百メートルに達していて、ドレスのような三角のスカートを履いていて、全身は逆さまに浮いている逆正三角形の巨大な魔女。

周囲には炎に包まれたビルの残骸が浮遊している。

 

『舞台装置の魔女(通称ワルプルギスの夜)』

 

「あれが…ワルプルギスの夜…」

 

初めて見たその存在にさやかは目を見開く。

 

「今度こそ」

 

開戦の狼煙を上げたのはほむらだった。

大量のロケットランチャーを取り出して花火の筒のように地面にセットする。

 

「決着をつけてやる!」

 

時間を停止させて、全てのロケットランチャーを一発ずつ放ち、時間を再起動する。

空中に停止していたロケットランチャーの弾は見事にワルプルギスの夜に直撃し、その体をぶっ飛ばす。

 

「アハハハハ!」

 

ワルプルギスの夜は笑い声を上げながら移動する。

 

「続くわよ!」

 

マミが号令をかける。

 

「はい!」「おう!」

 

さやかと杏子が応える。

まばゆは戦闘が得意ではないので一歩下がっている。

彼女には未来視があるので参謀や軍師といったところだろう。

マミが大量のマスケット銃で一斉放射する。

さやかと杏子が近接攻撃で斬撃を加えていく。

ほむらが魔法で操作した車で特攻して爆発させる。

さらに水中に仕込んでいたのか大型のミサイルランチャーからミサイルを発射し、そのミサイルに押されて吹っ飛ばされたワルプルギスの夜の周囲に仕掛けてあった大量の爆弾を起爆し爆炎を上げさせる。

 

「はっ!暁美さん、触手の攻撃が来ます!」

 

まばゆが未来視で視たことを大声で伝える。

しかし、その攻撃速度は予想以上に速かった。

時間停止も回避も間に合わないほむらの前に杏子が槍で黒い触手の攻撃をガードするがほむらごと吹っ飛ばされてしまう。

 

「きゃあっ!」

 

「ぐっ!」

 

攻撃が向かってきた方を見ると爆炎の中から無傷のワルプルギスの夜が現れた。

 

「無傷かよ…」

 

「こんなのにどうやって勝つってのよ!」

 

杏子とさやかがワルプルギスの夜の硬さに驚愕する。

 

「まだよ!諦めない限り負けることはない!」

 

「攻撃のタイミングは私が指示します!」

 

マミとまばゆが頼もしい言葉を放つ。

 

「絶対に…倒す!」

 

ほむらも立ち上がって目の前の魔女を睨み付けた。

 

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 避難所。

 

「ん?どうしたまどか?」

 

まどかが突然立ち上がるとまどかの母の鹿目詢子が呼び止める。

 

「ちょっとトイレ」

 

そう答えてまどかはその場を去る。

通路の窓の中から嵐を眺める。

横にはキュゥべえがいた。

 

「ほむらちゃん達だけで勝てるというのは本当?」

 

「それを否定したとして君は僕の言葉を信じるかい?今さら言葉にして説くまでもない。その目で見届けてあげるといい。ワルプルギスを前にして暁美ほむら達がどこまでやれるか」

 

「どうしてそうまでして戦うの?」

 

「彼女がまだ希望を求めているからさ。いざとなればこの時間軸もまた無為にしてほむらは戦い続けるだろう。何度でも性懲りもなくこの無意味な連鎖を繰り返すんだろうね。もはや今の彼女にとって立ち止まることと諦めることは同義だ」

 

 キュゥべえはあえて未来のことは言わなかった。

聞かれなかったし、何より消えてくれた方が好都合だからだ。

 まどかは思い出す。

ほむらの涙を。

 

「何もかもが無駄だったと…決してまどかの運命を変えられないと確信したその瞬間に暁美ほむらは絶望に負けてグリーフシードへと変わるだろう。彼女自身も分かってるんだ。だから選択肢なんてない。勝ち目のあるなしに関わらずほむらは戦うしかないんだよ」

 

「希望を持つ限り救われないっていうの?」

 

まどかのその返答には少し苛立ちが含まれていた。

 

「そうさ」

 

キュゥべえの答えにまどかは決意を固めたように階段を下り始めた。

その手首を握って止める者がいた。

 

「どこ行こうってんだ?」

 

「ママ…。私、友達を助けに行かないと「消防署に任せろ。素人が動くな」」

 

まどかの言葉を詢子が途中で遮る。

 

「私でなきゃダメなの!」

 

パンッ。

 

頬を叩く音が響く。

 

「てめぇ1人の為の命じゃねぇんだ!あのな…そういう勝手やらかして周りがどれだけ「分かってる。私にもよく分かる」」

 

今度はまどかが詢子の言葉を遮った。

 

「私だってママのこと、パパのこと大好きだからどんなに大切にしてもらっているか知ってるから自分を粗末にしちゃいけないか分かる」

 

まどかはそこで顔を上げる。

 

「だから違うの。みんな大事で絶対守らなきゃいけないからその為にも私いますぐ行かなきゃいけないところがあるの!」

 

まどかはそう言い放つ。

 

「理由は説明できねぇてか?」

 

詢子の問いにまどかは無言で頷く。

 

「ならあたしも連れていけ」

 

詢子の言葉にまどかは首を横に振る。

 

「ダメ。ママはパパやタツヤの傍にいて。2人を安心させてあげて」

 

まどかのお願いに詢子は言葉を返さない。

 

「ママはさ、私が良い子に育ったって言ってくれたよね。嘘もつかない、悪いこともしないって。今でもそう信じてくれる?私を正しいと思ってくれる?」

 

まどかの問いに詢子は手を伸ばしかけてやめる。

 

「絶対に下手打ったりしないな?誰かの嘘に踊らされてねぇな?」

 

「うん」

 

まどかの返答に詢子はその背中を押した。

まどかは階段でちょっとよろける。

 

「ありがとう。ママ」

 

まどかはそう応えて走り出した。

 

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 ほむら達はワルプルギスの夜に苦戦していた。

ワルプルギスの夜は空中を浮遊しながら移動し続けている。

 

「(これ以上先に進ませたら…)」

 

ほむらは焦る。

この先にはまどかがいる避難所がある。

 

「(どうにかしてここで食い止めないと)」

 

焦るほむら達に対しワルプルギスの夜はビルの残骸を飛ばしてきた。

 

「させない!」

 

マミが大型の銃の砲撃でそれを破壊する。

だが、ビルの残骸は1つだけではなかった。

 

「佐倉さん!美樹さん!」

 

「分かってる!」

 

「あたしは本丸を叩く!」

 

まばゆが指示を出し、杏子は槍を巨大化させてビルの残骸を粉砕し、スピードはあるが火力に欠けるさやかはビルの残骸を足場にしてワルプルギスの夜に斬りかかる。

ワルプルギスの夜が黒い触手を伸ばしてくるが、さやかは自身でも魔力の足場を作って躱し切り裂きながら進んでいく。

 

「やあっ!」

 

もう少しで届くと思ったその時、ワルプルギスが炎の槍をさやかに向けて飛ばしてきた。

 

「なっ!くっ…」

 

迎撃が間に合わずさやかは剣で受けて吹っ飛ばされる。

地面に激突する。

 

「さやか!てめぇ!」

 

杏子は槍を複数作り出して放つ。

 

「ティロ…フィナーレ!」

 

マミも切り札の必殺技を放つ。

それらの攻撃はワルプルギスの夜に直撃した。

しかし、

 

「アハハハハ!アハハ!」

 

ワルプルギスの夜は未だ無傷で笑っていた。

さらに強力な突風を放ってほむら達全員を吹っ飛ばした。

 

「「「「「きゃあぁぁぁぁぁ!!!!!」」」」」

 

吹っ飛ばされた5人は地面に倒れダメージで動けない。

 

「くっ…っ!」

 

ほむらが足を動かそうとしたその時、己の足が瓦礫に挟まっていることに気づいた。

 

「(どうして…どうしてなの?何度やってもあいつに勝てない)」

 

ほむらは左手の盾に触れて時間を巻き戻そうとしたところで思い出す。

 

「(繰り返せばそれだけまどかの因果が増える。それに明日川未来も…私のやってきたことは結局…)」

 

ほむらは腕を下ろし諦め始める。

それによってソウルジェムに穢れが溜まり始める。

己が魔女に近づいていくという絶望にほむらの目から涙が流れる。

 

「暁美さん…ダメです。まだ諦めちゃ…」

 

倒れているまばゆが痛みに顔を歪めながら声をかけるがほむらには届かない。

これでゲームオーバー。

かと思ったその時。

ほむらの手を握る者が現れた。

ソウルジェムの穢れが…止まった。

手を握ったのはまどかだった。

 

「もういい。もういいんだよ…ほむらちゃん」

 

「まどか…」

 

立ち上がりワルプルギスの夜を見据えるまどかの横にはキュゥべえがいた。

 

「まどか…まさか!」

 

ほむらはまどかがしようとしていることに気づく。

 

「ほむらちゃん…ごめんね」

 

まどかは笑顔でそう応えた。

 

「私…魔法少女になる」

 

「まどか…そんな…」

 

「私、やっと分かったの。叶えたい願い事を見つけたの。だからその為にこの命使うね」

 

「やめて…それじゃ…それじゃ私は何のために…」

 

ほむらは涙を堪えきれなかった。

まどかはほむらに歩み寄ってその体を抱きしめる。

 

「ごめん…本当にごめん。これまでずっと…ずっとずっとほむらちゃんに守られて望まれてきたから今の私があるんだと思う。本当にごめん」

 

まどかはほむらから離れて立ち上がる。

 

「そんな私がやっと見つけ出した答えなの。信じて…絶対に今日までのほむらちゃんを無駄にしたりしないから」

 

「まどか…」

 

ほむらは置いていかないでとばかりに手を伸ばす。

 

「「まどか…」」

 

「「鹿目さん…」」

 

さやか、杏子、マミ、まばゆ達の視線がまどかに集中する。

 

「数多の世界の運命を束ね因果の特異点となった君ならどんな途方もない望みだろうと叶えられるだろう」

 

キュゥべえが待ちわびたように話す。

 

「本当だね?」

 

「さあ、鹿目まどか。その魂を代価にして君は何を願う?」

 

この瞬間を待っていたキュゥべえはそう訊ねる。

 

「私…」

 

まどかが一歩踏み出す。

 

「ほむらちゃん、さやかちゃん、杏子ちゃん、マミさん、まばゆさん…みんなと一緒に未来に歩んでいきたい!絶望なんてしない!そんな世界に出来る力が欲しい!」

 

まどかの胸からピンク色の輝きを放たれる。

 

「これが私の祈り、私の願い!さあ、叶えてよ!インキュベーター!」

 

まどかの胸から放たれた光が周囲を包み込んでいく。

その光が晴れて現れたのは全体的に桃色の衣装で、白いフリルのスカート、胸元にはソウルジェム、左手には弓が握られている。

 

「アハハハハ!アハハ!」

 

ワルプルギスの夜が笑い声を上げながらこちらに向かってくる。

まどかが弓を構えるとその上部に花びらが咲き、弓を引くと桃色の光の矢が出現する。

まどかの背後に幾何学模様の魔方陣がいくつも展開された。

 

「これで…終わらせる!」

 

まどかは光の矢を放った。

同時に幾何学模様の魔方陣からも光の矢が複数放たれる。

光の矢は全てワルプルギスの夜に直撃し巨大な爆煙を起こす。

これでワルプルギスの夜を倒した…

はずだった。

 

「アハハハハ!アハハ!」

 

爆煙から現れたワルプルギスの夜は確かに少なくないダメージを受けていたが倒されてはいなかった。

 

「そんな…」

 

まどかは予想外の展開に呟く。

 

「なるほどね」

 

キュゥべえが口を開いた。

 

「どうやら因果の影響を受けていたのは鹿目まどかだけでなくあちらも同じようだ。暁美ほむら、君は鹿目まどかを中心として時間遡行してきた。しかし、そこにはもう1つワルプルギスの夜を倒さなければいけないという目的があった。つまりワルプルギスの夜も君が時間遡行する度に強力な魔女になっていったんじゃないかな」

 

「そんな…でもまどかは前回、ワルプルギスの夜を一撃で倒していた。それなのに…」

 

キュゥべえの仮説にほむらが否定する。

 

「まどかの因果をワルプルギスの夜の力が上回ったってことじゃないかな」

 

キュゥべえはそう結論付けた。

 

絶望はまだ終わらない。




まどかの願いはかなり抽象的なものになってしまいましたが原作通りの願いには出来ないのでこのようにさせていただきました。
ワルプルギスの夜の因果関係の話は多分オリジナル設定です。

あと何気に鹿目タツヤが可愛い。
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