※この作品はR-18です。

魔法少女まどか☆マギカ 未来   作:kuroto xanadu

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今回も長くてすみません。
あの3話です。
そして、あのキャラも登場します。


恐怖と未来の力

 ある日の夕方、未来はとある店に向かっていた。

その店の前で1匹の猫を見つけた。

猫の名は『エイミー』。この辺りでは有名な猫だ。

その猫は未来に気づくと駆け寄って近づいてくる。

 

「お~よしよし」

 

未来は屈んでエイミーの顎の下を撫でる。

エイミーは気持ちよさそうに目を細める。

 

「またな」

 

そう言って立ち上がると未来は目の前のケーキの店『レコンパンス』の中に入りに行く。

エイミーは一度、未来の足に擦り寄って甘えたが彼の気持ちを察したのかすぐに離れて行った。

未来は困ったように笑った後、店内に入った。

 

「いらっしゃいませ~…って明日川君ですか…」

 

「一応常連なんですけどね…まばゆさん」

 

気だるげな口調で接客をした彼女の名は愛生まばゆ、『レコンパンス』で店の手伝いをしている片目が隠れた緑の髪の少女だ。

未来はよくこの店に通っている為、まばゆとは顔見知りなのだ。

 

「ご注文はいつものでいいですか?」

 

「お願いします」

 

「カフェラテとチーズケーキですね。かしこまりました」

 

そう応えて、まばゆが厨房の方へ行って数分してからまばゆの注文の品を持ってきた。

 

「お待たせしました。カフェラテとチーズケーキです」

 

まばゆがテーブルに置いたカフェラテには猫のラテアートが描かれていた。

 

「相変わらず上手いですね。さすがです」

 

「数多の失敗を繰り返してきましたからね。さすがにこれくらいは出来ますよ」

 

そう言うまばゆは得意げに胸を張る。

 

「ではごゆっくり~」

 

まばゆがテーブルを離れて行くと、

 

「まばゆちゃん、ちょうどいいから休憩に入っていいわよ」

 

「咲笑さん⁉」

 

まばゆに声をかけてきたのはこの店の店長の愛生咲笑。ちなみにまばゆの叔母である。

未来がまばゆを下の名前で呼ぶのも名字だとややこしいからでもある。

 

「今はお客さんも来てないしそれに…彼とお喋りするチャンスよ」

 

最後の一言をまばゆの耳元で囁いた。

 

「なななな、何言ってるんですか!私は別に」

 

「はい。というわけでこれ持って未来君と食べてね」

 

そう言ってトレーに乗った紅茶とケーキをまばゆに渡す咲笑。

 

「はあ~咲笑さんのお節介…」

 

文句を言いながらもまばゆは未来のテーブルに近づく。

 

「まばゆさん?」

 

「すみません。休憩をもらったので相席いいですか?」

 

「もちろんいいですよ」

 

「では遠慮なく」

 

未来の承諾を得たまばゆは未来の対面に座る。

未来はカフェラテを一口飲むと、

 

「そういえばまばゆさんに勧められた映画観ましたよ。ボディガ〇ドとアルマ〇ドン、あとダーティー〇リー5作。凄く面白かったです」

 

「そうでしょうそうでしょう。それからミ〇トとかスパイダー〇ニックもおすすめですよ」

 

「今度観てみます。あとアベ〇ジャーズシリーズなんですけど…」

 

「あ~あれは苦労しますね。1つ観るのに他の作品も観ないといけませんから」

 

映画の話で盛り上がる2人。実はこの2人、この店で出会ってお互いに映画好きと分かってからこうしてオタク話で盛り上がっているのだ。

 

「あ、もうこんな時間だ。そろそろ行かないと」

 

未来が携帯の時計を見て席を立つ。

 

「すみません、まばゆさん。話はまた今度」

 

「あ、はい。こちらこそありがとうございました」

 

「おすすめの映画は近いうちに観ます」

 

未来はそう言って微笑んでからレジに歩く。

 

「咲笑さん、お会計お願いします」

 

「未来君、いつもありがとうね。お代は1300円になります」

 

「いえ。俺もまばゆさんと話すのは楽しいので」

 

咲笑の感謝の言葉に未来はそう応えて代金を支払う。

 

「1300円ちょうどですね。ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております♪」

 

咲笑はそう言って未来にウインクする。

未来は苦笑した後、まばゆに向かって手を振ってから店を出た。

まばゆも手を振り返していた。

 

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 その日の夜。

未来はまどかとさやかと共にマミの魔女退治に付き合っていた。

今、マミのティロフィナーレで倒したところだ。

 

「いや~やっぱマミさんってカッコいいね!」

 

「もう…見せ物じゃないのよ。危ないことしてる意識は忘れないでいて欲しいわ」

 

「イエス!」

 

さやかが茶化すと、マミは注意するが、さやかは反省してるのかしてないのか軽い返事をする。

 

「あ、グリーフシード落とさなかったね」

 

まどかがふと気づく。

 

「今のは魔女から分裂した使い魔でしかないからね。グリーフシードは持ってないよ」

 

「魔女じゃなかったんだ…」

 

「何かここんところずっと外れだよね」

 

「使い魔だって放っておけないわよ。成長すれば分裂元と同じ魔女になるから。さ、行きましょ」

 

「そうですね。鹿目さん、美樹さん」

 

「「う~ん」」

 

未来が名前を呼ぶと2人がジト目で顔を覗き込んでくる。

 

「な、何ですか?」

 

「前から言いたかったんだけどさ…いい加減名字で呼ぶのやめない?」

 

さやかの言葉にネガティブ思考の未来はまさか名前を呼ぶことすら拒絶されたのか思い込んだ。

 

「そろそろ名前で呼んでよね!それからその敬語もやめて!背中がかゆくなる!時々、タメ口になってるし」

 

「わ、分かりました」

 

「ん?」

 

「…分かった。まどかさん、さやかさん」

 

「「ん?」」

 

「まどか…さやか」

 

未来は2人の顔をそれぞれ見ながら名前を呼ぶ。

 

「よろしい!」

 

「うん!」

 

2人は名前を呼ばれて機嫌を取り戻す。

 

「あら私は仲間外れかしら?」

 

「マ、マミさん…」

 

「マミでいいわよ」

 

「さすがに先輩に呼び捨てはちょっと…」

 

「…まあいいわ。勘弁してあげる」

 

マミはそう言って未来に微笑んだ。

 

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 その帰り道。

 

「2人とも何か願い事は見つかった?」

 

「う~ん。まどかは?」

 

「う~ん」

 

「まあ、そういうものよね。いざ考えろって言われたら」

 

「マミさんはどんな願い事をしたんですか?」

 

まどかに訊かれてマミは思わず立ち止まる。

 

「いや…あの…どうしても聞きたいって訳じゃなくて」

 

「私の場合は…」

 

マミは思い出す。魔法少女になった経緯を。

 

「考えてる余裕さえなかったってわけ。後悔してるわけじゃないのよ。今の生き方もあそこで死んじゃうよりは余程よかったと思ってる。でもね、ちゃんと選択の余地がある子にはきちんと考えた上で決めて欲しいの。私に出来なかったことだからこそ…ね」

 

「ねえ、マミさん。願い事って自分の為の事柄じゃなきゃダメなのかな?」

 

「えっ?」

 

「例えば…例えばの話なんだけどさ…あたしなんかよりよほど困っている人がいてその人の為に願い事をするのは…」

 

「それって上条君のこと?」

 

「例え話だって言ってるじゃんか!」

 

まどかの指摘にさやかが頬を少し赤くして否定する。

 

「別に契約者自身が願い事の対象になる必然性はないんだけどね。前例もないわけじゃないし」

 

「でもあまり感心できた話じゃないわ。他人の願いを叶えるのならなおのこと自分の望みをはっきりさせておかないと。美樹さん、あなたは彼に夢を叶えて欲しいの?それとも彼の夢を叶えた恩人になりたいの?」

 

「マミさん…」

 

「同じようでも全然違うことよ、これ」

 

「その言い方はちょっと酷いと思う…」

 

さやかがカバンを強く握り締める。

 

「ごめんね。でも今のうちに言っておかないと…そこを履き違えたまま先に進んだらあなたきっと後悔するから」

 

「…そうだね。あたしの考えが甘かった…ごめん」

 

さやかは少し吹っ切れたように笑う。

 

「やっぱり…難しい事柄よね…焦って決めるべきではないわ」

 

「僕としては早ければ早いほどいいんだけど」

 

「ダメよ。女の子を急かす男子は嫌われるぞ」

 

マミのジョークにまどかとさやかはクスッと笑う。

未来は女子を急かして嫌われないようにしようと誓った。

 

「ねえ、未来君。未来君なら何を願う?」

 

「まどか…俺が女の子に見えるか?」

 

「そういうことじゃなくて!その…参考!参考意見として…ね」

 

「…願い事を無限に叶えられるようにする」

 

「うわ、セコッ!」

 

さやかが思わず割って非難する。

 

「ぐっ…それじゃ、魔女が存在しなくてソウルジェムに穢れが溜まらない世界…かな」

 

「えっ…」

 

予想外の願い事にマミが小さく声を上げる。

 

「魔法少女が戦う理由は魔女がいてグリーフシードが必要だからでしょ。なら戦う必要が無くなれば魔法少女達に残るのは願い事を叶えた結果だけになる。もう命を懸けることなんて無くていい」

 

「未来君…あなた…」

 

自分を含めた魔法少女のことを考えてくれていた未来にマミは嬉しく思った。

 

「さっきのマミさんの話も考えました。けど俺自身の願いって多分どれも努力次第で叶えられることだと思う」

 

未来の願い。

友達が欲しい、会話が上手くなりたい、そして…恋がしたい。

そのありふれた願いはきっとほんの少しの勇気で叶えられるだろう。

 

「だから俺はそう願いますし、そう祈ってます」

 

未来はまどか達を真っ直ぐ見据えてそう口にした。

 

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 さらに深い夜。

マミたちは噴水広場でソウルジェムを指輪に変えると周囲を警戒する。

 

「分かってるの。あなたは無関係な一般人を危険に巻き込んでる」

 

突然、マミの背後に現れたのは暁美ほむら。

まさに神出鬼没である。

 

「彼女達はキュゥべえに選ばれたのよ。もう無関係じゃないわ」

 

「あなたは2人を魔法少女に誘導している」

 

「それが面白くないわけ」

 

「ええ、迷惑よ。…特に鹿目まどか」

 

「ふ~ん。そう…あなたも気づいたのね…あの子の素質に」

 

「彼女だけは契約させるわけにはいかない」

 

「自分より強い相手は邪魔者ってわけ。いじめられっ子の発想ね」

 

マミの言葉にほむらの顔に険しさが増す。

 

「あなたとは戦いたくないのだけど」

 

ほむらは髪をファサッとかきあげる。

 

「なら二度と会うことの無いよう努力して。話し合いだけで事が済むのはきっと今夜が最後だろうから」

 

マミは宣戦布告とも取れる発言をした後、踵を返して去って行く。

ほむらは天を仰ぐと悔しそうに唇を噛み締めるのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 翌日の放課後。

未来は今日もレコンパンスでゆっくりお茶していた。

注文したのはいつものカフェラテとチーズケーキ。

それを見ていたまばゆは今が忙しくない状況なので未来に近づいて声をかける。

 

「あの…明日川君…昨日の映画n」

 

ブーブーとまばゆの言葉を遮るように未来の携帯からマナーモードのバイブ音が鳴る。

 

「すみません。まばゆさん、ちょっと待ってて下さい」

 

未来は携帯を取り出してメールを見る。

そこにはこう書かれていた。

 

 

未来君病院に魔女の結界が出たのマミさんも呼んでるからお願いすぐに来て

早くしないとさやかちゃんが危ない

 

 

慌てて打ったのだろう。句読点や文字の区切りはない。

未来は携帯をしまって席を立つと、

 

「すみません。まばゆさん、急用が出来たので失礼します!」

 

未来はカフェラテを一気に飲み干して、チーズケーキをまるごと口に入れると急いで会計を済ませて店を出た。

 

「え、ええ⁉」

 

まばゆは急な展開に頭がついていかなかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 病院。

マミを連れてきたまどかは一緒に魔女の結界に入った。

 

「間に合って良かった…」

 

「無茶し過ぎ…って怒りたいところだけど。今回に限っては冴えた手だったわ。これなら魔女を取り逃がす心配も…」

 

2人が手を繋いで歩いていると背後に近づいてくる者がいた。

案の定、暁美ほむらである。

 

「あっ」

 

「言ったはずよね。二度と会いたくないって」

 

「今回の獲物は私が狩る。あなた達は手を引いて」

 

「そうもいかないわ。美樹さんとキュゥべえを迎えに行かないと」

 

「その2人の安全は保障するわ」

 

「信用すると思って?」

 

マミは指輪のはまった手をほむらにかざす。

すると、どこからか現れたリボンによってほむらは拘束された。

 

「ばか…こんなことやってる場合じゃ…」

 

「もちろん怪我させるつもりはないけど…あんまり暴れたら保障しかねるわ」

 

「今回の魔女はこれまでの奴らとは訳が違う」

 

「おとなしくしていれば帰りにちゃんと解放してあげる。行きましょ、鹿目さん」

 

マミはまどかに先へ促す。

 

「は、はい…」

 

「ま、待て…くっ…」

 

ほむらが必死に声をかけようとするが拘束が強まったことで苦悶の声を上げる。

まどかは申し訳なさそうな顔をしたが結局マミについていった。

 

 道中で使い魔をやり過ごしながら結界の中へ進んで行く2人。

 

「あの…マミさん」

 

「何?」

 

「願い事、私なりに色々と考えてみたんですけど…」

 

「決まりそうなの?」

 

「はい…でもあの…もしかしたらマミさんには考え方が甘いって怒られそうで…」

 

「どんな夢を叶えるつもり?」

 

マミはまどかの答えを待つ。

 

「私って昔から得意な学科とか人に自慢できる才能とか何も無くて…きっとこれからさっきずっと誰の役にも立てないまま迷惑をかけていくのかなって…それが嫌でしょうがなかったんです」

 

そこまで言って結界の中のドアの中にマミと共に入っていく。

まどかは続ける。

 

「でもマミさんと会って誰かを助ける為に戦ってるの見せてもらって…同じことが私にも出来るかもしてないって言われて…何よりも嬉しかったのはそのことで…だから私、魔法少女になれたらそれで願い事は叶っちゃうんです!こんな自分でも誰かの役に立てるんだって胸を張って生きていけたらそれが一番の夢だから」

 

まどかの決意を聞いたマミが繋いでいた手を離す。

 

「大変だよ。怪我もするし恋したり遊んだりしてる暇も無くなっちゃうよ」

 

「でも…それでも頑張ってるマミさんに私憧れてるんです」

 

その言葉にマミが立ち止まる。

 

「憧れる程のものじゃないわよ私…無理してるカッコつけてるだけで怖くても辛くても誰にも相談できないしひとりぼっちで泣いてばかり…いいものじゃないわよ魔法少女なんて」

 

「…マミさんはもうひとりぼっちじゃなんかないです」

 

「そうね…そうなんだよね」

 

マミは振り返るとまどかの手を両手で握る。

 

「本当にこれから私と一緒に戦ってくれるの?傍にいてくれるの?」

 

マミの眼からは涙が溢れていた。

 

「はい。私なんかで良かったら」

 

まどかは笑顔で返す。

 

「参ったな…まだまだちゃんと先輩ぶってなきゃいけないのにな…やっぱり私ダメな子だ…」

 

マミは笑いながら涙を手で拭う。

 

「(マミさん…)」

 

「でもさ…せっかくなんだし願い事は何か考えておきなさい」

 

「せっかく…ですかねやっぱり」

 

「契約は契約なんだからものはついでと思っておこうよ。億万長者とか素敵な彼氏とか何だっていいじゃない!」

 

『素敵な彼氏』というワードにまどかは一瞬、頬を赤く染める。

 

 

「いや…その///」

 

「じゃあこうしましょう。この魔女をやっつけるまでに願い事が決まらなかったらその時はキュゥべえにご馳走とケーキを頼みましょう!」

 

マミが人差し指を立ててそう提案する。

 

「け、ケーキ⁉」

 

「そう。最高に大きくて贅沢なお祝いのケーキ。それで皆でパーティーするの。私と鹿目さんの魔法少女コンビ結成記念よ!」

 

「私…ケーキで魔法少女に?」

 

まどかの戸惑いにマミは先へ歩く。

 

「嫌ならちゃんと自分で考える!」

 

「うぇ…」

 

まどかは背中を丸めてマミの後をついていく。

 

「(マミ!)」

 

その時、さやかと共に先行していたキュゥべえの声がテレパシーでマミに伝わる。

 

「(グリーフシードが動き始めた!孵化が始まる…急いで!)」

 

「オッケー!分かったわ。今日という今日は速攻で片づけるわよ!」

 

「え、そんな…」

 

マミの宣言にまどかはこのままでは自分の願い事はケーキになってしまうことに焦る。

マミは魔法少女に変身すると一瞬で七丁のマスケット銃を取り出して片手でクルクルと回し目の前の使い魔を撃って叩いて倒していく。

さらに全身からマスケット銃を取り出して次々と使い魔を撃ち倒していく。

その様子はまるで美しいダンスでも踊っているようだった。

 

「(体が軽い…こんな幸せな気持ちで戦うなんて初めて…も(・)う(・)何(・)も(・)怖(・)く(・)な(・)い(・)!(・)」

 

使い魔を倒し切ったマミはまどかの手を繋いで先へ進む。

 

「(私、ひとりぼっちじゃないもの!)」

 

最後のドアを開けて中に入るとさやかとキュゥべえに辿り着いた。

 

「お待たせ!」

 

「はあ…間に合った…」

 

マミの登場にさやかがホッと息をつく。

 

「気をつけて!出てくるよ!」

 

キュゥべえの警告と共に奥から魔女が現れた。

その大きさは今までの魔女とは違ってぬいぐるみくらいのサイズだった。

 

『お菓子の魔女』

 

高い椅子に座る魔女をマミは足を蹴って落とすとマスケット銃で殴り飛ばす。

 

「せっかくのところ悪いけど一気に決めさせて!」

 

壁に叩きつけられた魔女にマミは追い打ちの射撃を加えていく。

 

「もらうわよ!」

 

床に落ちた魔女の頭をマミは撃つ。

さらに床から伸ばした髪で拘束し天井へ上げていく。

 

「やった!」

 

さやかが勝利を確信し喜ぶ。

マミもフフッと微笑んでマスケット銃を大型の銃に変える。

 

「ティロ…フィナーレ!」

 

放たれた砲弾は魔女の胴体を貫通する。

さらにリボンで拘束する。

勝った。

その油断がいけなかったのだろう。

魔女が口を開けるとその中から白い顔が高速でマミに向かって飛び出してきた。

魔女は大きく口を開けて動きを止めたマミは今まさに喰らおうとする。

もうダメだと思ったその時、マミの真横から何かが飛んできて彼女を抱きかかえた。

それは人だった。

そして、その人物は、

 

「み、未来君⁉」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 数分前。

未来は病院の指定された場所に辿り着いた。

 

「来たはいいけどどうやって中に入るんだ?」

 

魔女の結界は閉じられていて入ることが出来ない。

恐らく入ることが出来るのは魔法少女だけ。

そう思っていた未来だったが彼の左手が何かを感じ取った。

 

「…もしかしたら」

 

未来が左手をかざすと魔女の結界が開いた。

 

「よし」

 

未来は結界の中に入り、急いでまどか達を追った。

先に進んでいくと見えてきたのはまどか達ではなく黄色いリボンに拘束されているほむらだった。

だが、そこにいたのはほむらだけではなかった。

 

「…まばゆさん?」

 

「うひゃあああ!!!」

 

未来の声に飛び上がって驚いたのはレコンパンスで手伝いをしている愛生まばゆ。

しかし、その姿はいつものウェイトレス姿ではなかった。

白と薄い紫色で首元には大きな濃い紫のリボン、頭には王冠のようなハットがちょこんと乗っていて、胸元から太ももにかけて白黒で2本のまるで映画のフィルムのようなラインが入っている。

彼女は魔法少女だった。

 

「み、未来君⁉」

 

「まばゆさんがどうしてここに…それにその姿は…」

 

「う、うううう…一番見られたくない人に見られてしまいました…」

 

まばゆは正体を知られたことでショックを受ける。

 

「まばゆ、早くこれを解いて」

 

「人の心がないんですか!ショックを受ける間もなしですか!」

 

「時間が無いの」

 

「あ~はいはい…分かりました…分かりましたよ~」

 

まばゆは文句を言いながらも取り出した金色のハサミでリボンを切っていく。

すると、未来もリボンに手を伸ばしほむらの解放を手伝い始めた。

 

「どうして…」

 

「理由なんてあるもんか…俺は助けたいから助けるだけだ」

 

そう言って未来はまばゆと共にほむらの拘束を解いた。

 

「一応…礼を言っておくわ…ありがとう」

 

「…ツンデレ」

 

まばゆの一言にほむらがキッと睨みつける。

 

「ひっ」

 

まばゆはほむらの剣幕に体を震わせる。

 

「はあ…急ぎましょう」

 

ほむらは息を吐いた後、先へ進む。

未来とまばゆも後をついていく。

 

「ついてこないで欲しいのだけど」

 

走りながらほむらは戦えない未来を帰そうとする。

 

「悪いけどそうはいかない。これは俺自身の為でもあるから」

 

「…そう。命の保証は出来ないわよ」

 

ほむらの忠告に未来は頷く。

 

「あの~」

 

そこでまばゆが声をかける。

 

「何ですかまばゆさん?」

 

「その…お願いがありまして…私が魔法少女だということはどうか秘密にしていただけないでしょうか?」

 

「え、ああ…はい…分かりました」

 

未来は戸惑いながらもまばゆの願いを了承する。

 

「ほっ…良かった…危うく一生家にひきこもるところでした…」

 

「あなた達、知り合いだったの?」

 

「あ、はい。未来君はうちの店の常連なんです。あと映画オタク仲間なんです」

 

まばゆはふふんと得意気な顔をする。

 

「あ、そう」

 

「興味なし⁉」

 

「そんなことより急がないと」

 

「そうですね…嫌な予感がする」

 

未来は左手の感覚が強くなってることに不安感を抱いていた。

結界の最後のドアを開けて中に入るとそこにはまどか、さやか、キュゥべえ、魔女、そして今まさにその魔女に食べられそうになっているマミがいた。

未来は瞬間的に思考を加速した。

 

「(まずい。走る…いや間に合わない…俺の身体能力では…そうか…魔法少女なら!)」

 

「暁美さん、俺を投げて!」

 

「何を…分かったわ…手加減はできないわよ!」

 

未来はほむらに指示を出し、ほむらも一瞬戸惑ったが迷ってる暇はないことを察して未来の手を取り思いっ切り投げ飛ばした。

身体能力を強化された魔法少女ならでは出来る芸当だ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 そして、時は現在に戻る。

マミをダイビングキャッチした未来の体は床をズザザッと引きずっていく。

 

「ぐっ…暁美さん!」

 

未来は痛みに耐えながらほむらに声をかける。

 

「ええ、任されたわ」

 

そのほむらを魔女が大口を開けて噛みつく。

食べられたかと思ったほむらの姿は全く別の場所にいた。

それを繰り返していくと急に魔女の体からドーンと爆発が発生した。

さらに連続で爆発は発生してやがて『お菓子の魔女』は破裂して倒された。

魔女が倒されたことによって結界が解かれていく。

 

「マミさん…」

 

未来は腕の中のマミに声をかける。

 

「はっ…私…私今…死…」

 

マミはショックで震えていた。

無理もない。もし、未来の助けが一瞬でも遅れていれば今頃、彼女はこの世にいなかったのだから。

 

「「マミさん!」」

 

まどかとさやかが慌てて駆け寄る。

その時、2人は気づいた。

 

「未来君…それ…」

 

まどかが指を差した先。

いつの間にか変身が解けていたマミのソウルジェム。

そのソウルジェムは濁っていた。

その濁りはなんと未来の左手に吸い寄せられていったのだ。

まるでグリーフシードのように。

 

「これは…もしかしてこれが…俺の力」

 

カチャッ。

 

空気を変えるように金属音が鳴り響いた。

視線を向けるとほむらが銃口をこちらに向けていた。

 

「あなたは一体何者なの?その力は何?もしかして魔女なの?答えて」

 

「あんた何を!」

 

「ほむらちゃん!」

 

さやかとまどかがほむらを止めようと声を上げる。

 

「そいつから離れて。ソウルジェムから穢れを吸収するのはグリーフシードの特性。そいつは魔女が化けてるかもしれない」

 

「そんなわけないでしょ!」

 

「そうだよ!未来君は私達の友達だよ!」

 

「なら証明して。そいつが魔女でないことを」

 

「…悪魔の証明か。それは難しいな」

 

3人の言い合いに割って入ったのは未来だった。

 

「まずは君の質問に答えるよ。俺の名は明日川未来。さっきの力は今知ったから何とも言えないけど俺は自分を人間だと思っている」

 

「口ではなんとでも」

 

「それでも信じられないなら…もし俺がまどか達に危害を加えると思うなら…撃てよ」

 

そう言い返す未来の眼は普段の彼とは別人のような目つきだった。

 

「未来君!」

 

「何バカなこと言ってんのアンタ!」

 

まどかとさやかが未来の発言に異を唱える。

 

「化け物になって誰かを傷つけるくらいなら死んだ方がマシだ」

 

「!」

 

その言葉を聞いたほむらは目を見開き動きを止めた。

彼女の脳裏に記憶がよぎる。

この手で愛する人に手をかけた時のことを。

 

「どうして…あなたまでそんなことを言うの?」

 

ほむらはそう言って唇を噛み締める。

そして、彼女は銃を下げて踵を返した。

 

「今はその言葉を信じてあげる。だけど忘れないで。もし、あなたが魔女であったことが分かったらその時は私が撃つ」

 

ほむらの言葉に未来は頷いた。

それを目にしたほむらは無言でその場を去って行った。

 

「さて…あとは」

 

未来はいまだ腕の中にいるマミに視線を移す。

マミはショックで何も喋らず体を震わせていた。

 

「とりあえずマミさんを家に帰さないと…2人共、マミさんを家に連れて行って」

 

未来がマミをまどか達に預けようとしたその時、未来の腕をマミが掴んだ。

 

「マミさん?」

 

「お願い…離れないで…傍にいて…私、怖い…死にたくない…」

 

「マミさん、でも…」

 

未来はさすがに女性の家に行くのは躊躇する。

 

「未来君、ついててあげて」

 

「うん。その方がいいよ」

 

まどかとさやかがマミのお願いを聞いてあげるよう未来に言う。

 

「まどか…さやか…」

 

「お願い。今は傍にいてあげて」

 

「…分かった」

 

未来は彼女達の思いに応えてマミを彼女の自宅に連れて帰るのだった。

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