夏の暑さと微妙な状況が重なり書くことが遅くなりましたが、今回から執筆再開するつもりで書いていきます(予防線張りすぎ)
「オメェボロボロじゃんよ?」
誰かが言った。
「困るんだよな?コッチは折角"帰ってきた"と思ってさぁ迎えに行こうって思ったら
ひしひしと伝わる自分への苦言を申しながら、誰かは僕の目の前にやって来ては呟く。
「もうちょい"男"磨いてアレしとくか…」
アレとは何なんだろう?
「ふっふっふ…」
ちょっと待って。
なんでにじり寄って来るのか?
「心配しないでよ?大脳皮質にちょいと上書きするから」
なんで?
いやいやいや!?
何だか聞き慣れない言葉とかあるけど大脳皮質にそういうのしちゃアカンでは!?
「大丈夫大丈夫。千人位やって百人は成功したから♪」
つまり900人は失敗してるわけですね畜生!!
「いやいや、君なら生きれるって大丈夫!!」
ヤダーーー!!離して!!死にたくないーー!!!
「ヤダァァァァァァ!!!!??」
「うわっ!?ビックリした…」
「肋骨は4箇所、左腕の関節及び上腕部骨…後頭部にもヒビ入ってて脳震盪を起こしてたみたいだね?後食道に亀裂が入っていたから下手したら肺に逆流してたよ?」
「………」
「まっ、それしか方法は無かったから仕方がないとしか言いようがないけど、一応医者のお節介として聞いときなさい」
「分かりました…」
左腕のギプスとくしゃみしただけで泣くほど痛いアバラに悩まされながら、僕は自分の家のベッドで寝ている。
「リハビリは2週間後。其れまでは絶対安静でね?」
「……耳にタコが出来そう」
「では。痛み止めは本当にアレになるまでは控えるように」
一度飲んだら半日は待てという薬を貰ったけど、今まさにその痛いのが来ているのだけど飲んだらアカン?
「12時間経たないと飲んじゃ駄目ですよ?」
流石に強く言われると色々と我慢しなければならない。
とはいえ、涙がちょちょぎれる痛みには流石に耐えられない訳だが。
「………痛い」
全身が痛い。
一部肉離れもしているとかで物凄く痛い。
下手に寝返りでもしたならば悶絶しながら疲れ果ててまた寝るを何度も繰り返していた。
さて、動けないので暇なのと痛みの気を逸らす為に僕が寝ていた数日の事と起きてから少しあった事を話していこうと思う。
…………
〔鋼刄アラマサ〕
そう呼ばれた剣士によって僕らは救出されたとか。
ピリピリしていた防衛隊に見つかればどうなるかと考えた人物から依頼されたとかで僕らは助かった。
『暇を見つけたときで構わん。少し話をしよう』
そう述べて帰ったという。
全身を白の甲冑で覆い、野太刀型の遺構産武器【
『明らかに桁外れの実力者だ。最強の一角は伊達ではない』
とシグルーンもこめかみに冷や汗を流して言った。
一体何故?と思っていたけれどまた直ぐに分かった。
「初めまして。現場責任者を務めている〔堂ヶ島〕という。よしなに頼むよ」
「はっ…はぁ……」
次に現れたのは目線を悟られない程に濃褐色のレンズが入ったサングラスをする中高年男性。
握手をした際、その手に刻まれたであろう幾つかのタコや袖口から見える傷は1つ僕の中で物語っている物があった。
「…自衛官ですか?」
「何故そう見える?」
「ペンダコと拳銃を握るタコの両方があるので…」
「そうか。君は詳しいな」
叔父が陸自の空挺に居るとか何とかで、教わった。
ペンダコが出来るほど筆記試験も難しいらしく、下手な有識者よりも強いとかなんとか。
「前職についてはノーコメントで。話すには長くそして
そうぼやかされる。
やはりこの世界に来るだけあって癖の強さも一級品だと思う。
「では先ず…簡潔に話そう。何があったかをね?」
と、置いてある座椅子に座り、事の詳細を伝えられる。
遺構が起動状態になった事を知り、丁度定時連絡会が行われていた最中であったこともあり、防衛隊及び各関係各所に封鎖が行われた。
通常、機能していない場所である遺構が動いているとなればセキュリティが発動し、遺構産の物品は勿論、一斉にバラされていない自動人形等も起き上がって攻撃開始も考えられていた。
所謂、ラピュタのロボット兵がプロトンビームで要塞を吹き飛ばした感じだな。
防衛隊もストライダーオフィスもこればかりは協力体制を取らざる得ず、先制攻撃も辞さない状況となってしまった。
しかし堂ヶ島さんは1つ懸念材料があったという。
「先に入っていたストライダー…つまり必然的に君達が多く情報を持っていた事があった為、救出を最優先にしたかった…。だがどの様にこの遺構が起動したのか分からない以上、レスキューチームを編成する訳にも行かず…」
最初に話したアラマサ氏が名に挙がった。
どうにも起動してしまった遺構等にも詳しく、並大抵のエネミーにも対応出来る。
そんな実力者であれば一人でも対応できると踏んだとのこと。
「君がセーフガードを倒した事を聞いている。故障があったとはいえ、遺構の守り人は易々と破壊出来る存在ではない」
とは言うものの、正直分の悪過ぎる賭けに等しい行為だった。
もしも回避運動を取っていたら空振りで終わっていただろう。
今回は悪運が重なって勝てたと思う。
「兎も角、今は身体を休めておきなさい。ここで無理をすれば一生をふいにしてしまうぞ?」
「……しっかり噛み締めておきます」
年長者からの口酸っぱく放たれた進言をしっかりと聞こう。
って言っても本当に痛いので動くのもままならないけれど…。
「では、失礼する」
「はい。わざわざ伝えに来てくれて本当にありがとう御座います」
「なに、これも仕事だよ」
そう言ってくれるならば幸いだ。
その後、堂ヶ島さんは次の仕事に戻っていって。
僕はまた、痛み止めの処方を飲む。
???
かつて栄華を極めていたであろう街並みは湿地と長年の雨風によって崩壊した高層建造物群が並び、隣の建造物により掛かるよう倒れている。
ウエストランズ最北端の白骨遺構であり、再開発予定と銘打たれてから十数年間、訪れる者は極端に少ない場所である。
その中で、ただ一人男が立っている。
顔をゴーグルとバラクラバで覆い、外気や砂埃避けの外套を羽織る姿は、スペースオペラの別星系人を思わせる格好であった。
「………来たか」
男はジッと遠くに見える光の列を睨みつけ、1つ呟く。
待ち人来たると言いたげに小さな声は夜の風に搔き消えて無くなっていった。
光の列は道を辿るように複数回右往左往と曲がりくねりながら高い丘を安全確保で進む。
台数は全部で6台。
全てが悪路を走破するために用意された四輪駆動車であり、そのパワフルさは並みの車両と差別化をさせられるであろう。
「……遅かったじゃないか?」
「検問が多くなっていた。【西部駐屯軍】に何かあったのか?」
先頭車両の後部座席から降りた男に向かい、約束の時間を過ぎたことに物申すと、理由を伝えられ、眉をひそめた。
「やっぱり噂は本当だったか」
「何?」
「……
「……それは動くだろうな」
外套の男が出した言葉に顔の半分を黒く蓄えられた髭に覆われた男が納得する。
男の格好は中東地域に由来するシャルワールカミース(ペラハントゥンバン)というゆったりとしたカシミヤ製の衣服に身を包み、頭にはターバンが巻かれた姿をしている。
「…〔ハミディ〕時間がない。こちらは用意をした。ソチラも兵を出してくれ」
「…本気か?幾ら一個前とはいえ正規軍だぞ?」
「何とかする」
「…まったく」
ハミディと名を呼ばれ、蓄えた髭をいじる中で歯を噛み締めて口を閉ざす。
「…〔ロック〕。やる気か?」
「ああ。"やる気"だよ」
外套を脱ぎ、バラクラバを取る。
ロックと呼ばれた男は20代半ばの青年に近い若者。
その目は何かに囚われ、何かを為す為に強い意志を持っている。
「怪我の様子はどうだい?」
次に見舞いに来たのはヴォルフガング氏。
もしかするとと思いながら見舞いの品を貰い、そのまま彼は近くの椅子に座る。
「もう少しで治るとの事です。此処の先生が驚いてました」
「時たま治癒力に優れた人はよくいるけど早くないかい?」
「流石にウルヴァリン程じゃないですが…」
あれくらい速かったら良いなとは思うけど、それ言ったら多分2人から泣かれそうだ。
「ぶっ刺されても頭切り落とされても死なないのは結構キツイと思うがね?」
「ハッハッハ…確かに」
この仕事でない限りはブスブス刺されることは早々無いだろうな…。
「さて。雑談はこの辺で切り上げるとして…」
彼がここに来る理由は多分一つ。
「……どうする?この様子だと護衛任務は難しそうに見えるけど?」
仕事の話だ。
大分前になっているから此処で話すと、僕等は中央都市郡の調査隊の護衛任務を請け負った。
その為、車両やら何やらを準備していたのである。
「…受けた以上やります」
「……男の覚悟に水を差すのも野暮と言うことだね」
怪我をしたのは自分の責任だ。
たとえ不慮の事故とはいえ尚更気を付けるべきであった。
「では。調査隊出発の前日に会おう」
「ハイ…それじゃ」
「うん」
彼にも色々と言うことがあったかも知れないが、其れを飲み込んでくれた事に感謝し、彼が病室から出ていくのを見送る。