※前編さくまり 中編パチュまり 後編レミフラまり
※本編とは関係のない世界
前編(咲マリ)
ある冬の幻想郷。
すっかり日課になってしまった紅魔館通いの途中、ふと箒の下に広がる森の中で、光るキノコを見つけた。
キノコの蒐集は日ごろからしているが、こいつは見たことがない。
「おお、これはレアものだぜ」
私はなにも考えずにそれに近づいて、ぼふんっ!と急に弾けたその胞子を、思いっきり吸ってしまったのだった。
*
「今日も魔理沙が来るのだったな」
最近覚えた珈琲の苦みを嚙みつぶしながら、なるべく格好のいい顔をして、それを飲み下す。
目の前の親友は慣れたもので、澄ました顔で手元の本から顔を目を離さない。
「ここのところ毎日じゃない。と、いうのは野暮なのかしら?」
「いいじゃない。あなたも楽しそうにしているし、フランだって喜んでいて三方よし、よ」
「意味を間違えていると思うのだけれど……」
ようや半眼を本から上げて、こちらを見ながらパチュリーが言う。
そこで「あなたも楽しそう」という言葉を否定しないくらいには、この子も私の魔理沙を気に入っているのだなと笑みが浮かぶ。
「魔法のお勉強はどうなのよ、先生?」
「そうね、お嫁さん向きの魔法使いだと思うわ」
「お嫁さん!?」
どういう意味なのかしら! 詳しく聞きたいのだけれど!
「ちがうわ! 私が魔理沙のお嫁さんになるのよ!」
ばたーんと騒々しく扉を開けて、ずかずかと近づいてくるのは妹のフランドール。
深く根付いていたはずの狂気が弱まり、様子見の為に屋敷内を自由にしている。
「フフフフランが嫁に!?」
それはそれとして、妹の嫁入り宣言は私にとっては衝撃が大きい事なのだが。
思わずカップをテーブルに叩きつけながら立ち上がるが、しかし相手が魔理沙か、と思い振り上げた拳の行き場をなくす。
「……フランが嫁で私が旦那、3人でというのはどうだろう?」
「いーやー! 浮気なんて嫌! わたしだけ見てもらうのー!」
「まったく。すっかり仲良しの姉妹になったのね」
呆れたようにパチェは言うが、うっすらと笑顔を浮かべている様子。言葉ほど嫌がっているようには見えない。
私とフランの間にあった確執は、あの異変の日にすっかり溶けてなくなってしまった。
すべてを破壊する狂気の能力が、自身さえも傷つけてしまう哀れな妹は、恋色の魔法使いにすっかりと姿を変えられてしまった。
異変の前に存在していたいくつもの運命の岐路は、あの魔法使いによって想像もしていない方向へ向かった。結果すべて私が予想していたものを大きく飛び越えて、最良の結果を選び取って行った。
私も一緒に落ちてしまうほど、強烈な魅力を放って。
「い、いくらフランでもお姉ちゃんにも譲れないものがあるんだからね!」
「譲ってなんて言ってないわ! わたしは堂々と手に入れて見せるから!」
意思の疎通も曖昧だった頃は見る影もなく。
すっかり能力によって変わり果てる前の、普通のフランドールがそこにいる。
「お嫁さん向きの魔法使いっていうのはそういう意味じゃないわ。すこし落ち着いて色ボケ吸血鬼たち」
珍しく辛辣な言い方をしながら光の球を作って浮かべるパチュリーを前に、私たちは大人しく椅子に座った。
七曜の魔女であるパチュリーの魔法は的確に弱点を突くことができる。いくら偉大な吸血鬼である私たちでも痛くて嫌なのだ。
「あの子が種族としての魔法使いになるには、相当の時間と根気が必要ね。研究者としての魔法使いの才能は残念ながら。だけどもし」
ひとつ区切って、すこし恥ずかしそうに本で顔を隠す。
「もしあの子が本気で魔法使いになりたいというのなら、私はそれにできる限り協力するつもりよ」
本来は研究者としての側面が強く、同族を作ることに積極的ではない魔法使いがその手間を掛けるという。
恥ずかしそうに顔を隠して告げるその姿が新鮮で、私とフランは思わず顔を見合わせた。
「珍しいものが見れたわ、パチュリーにも感情があるのね」
「フランは私を何だと思っているのよ……」
「まあ、なんだ。人間は短命だからなぁ」
その短い生涯で、線香花火のように懸命に生きる人間たちを思う。
想像したくもないが、もし、魔理沙が寿命を迎えた時。
もしそうなったら。
「まあいざとなったらがぶっとやっちゃって」
「そうね、眷属にして一生添い遂げましょう」
うん。と頷きを姉妹で交わす。
「それはだめ。あの子は魔法使いなのよ」
「私だって吸血鬼だけど魔法使いよ!」
フランとパチュリーが言い合いを始めるが、私はいたって平静に、再び苦い汁をゆっくりと口に含む。
ふむ。やっぱり咲夜に淹れてもらった紅茶が一番ね。これはもう下げさせよう。
「今はまだあの子の意思で選ばせましょう。だけど、もしもの時には手段を選ぶ気はないわよ」
パチェを伺い見る。
ぐっと言葉を飲み込みながら、しかし大きな反対はなく渋々引き下がってまた本に目を落とした。
「好きにしたら良い。あの子の周りがそれを許すならね」
そう、あの子の周りも問題が多すぎる。
まずなにより霊夢だ。
普段は安穏としているが、魔理沙のことでは沸点が低過ぎるし怒ると怖い。
それに魔理沙本人も問題がある。
先日の宴会で、何気ない風を装って猫被りの宵闇の妖怪が死後の身体を求めた。魔理沙が軽々しく了承し、それを聞いた時の宵闇の、あのうっとりと蕩けたような顔。
羨ましく妬ましい。契約を介さないことで、ただの口約束で満足している様子はかなりイカれてるが。
自分がどんな目で見られているのか、気がついていないというか気にしていない様子だ。
「話してたら、早く会いたくなっちゃった。魔理沙はやく来ないかなー」
フランはもう先程の話より、はやく本人に会いたいと興味の方向が変わっている。
「ああ、今咲夜が迎えに行っている」
*
まずい事になった。
吸い込んだ胞子に知らない毒が含まれていたのか、知っている解毒の魔法の利きが悪くて不調が治らない。
息が上がる。体が熱い、頭がぼんやりとして、思考がまとまらない。
熱のせいか、気分がふわふわと落ち着かない。
「うう、あ、アリスのところに……」
こんな体調では空を飛ぶことなんてできない。
ずるずると箒を引きずりながら、背中を丸めて森の中をさまよい歩いていく。
体は熱いのに背筋はぞくぞくと寒く、肌が粟立って汗で張り付く服が気持ち悪い。
はあはあと荒々しく熱を吐き、必死に考える思考を止めないようにする。
こんな失敗は、魔法の森に来てから何度でもあったんだ。
大丈夫だ、私は大丈夫。
くじけそうになる心を奮い立たせながら、木に手を突きながら顔を下げないように前を向く。
幸いなのは主な症状がこの熱っぽさだけなことだ。汗で水分が抜けていくのは辛いが、命に迫るような危機はまだ感じない。
手当たり次第に試した解毒の魔法のどれかが少しでも効果を発揮しているのか。
「こんなところにいた。……魔理沙、どうしたの!?」
上空から咲夜の声が聞こえてきて、見上げようとして体勢を崩して倒れそうになる。
瞬間、咲夜に抱きかかえられていることを自覚する。
「さ、咲夜……。んっ!」
顔を見て、ほっと安心する。
よかった、とりあえず窮地は脱したみたいだ。
触れられた箇所、ぞくぞくとした痒いような心地良いような、痺れに意識が持っていかれそうになる。
熱でふわふわとした頭で、とにかく現状伝えようとするが変な声が出てしまった。
顔を赤くして咲夜がこちらを覗き込みながら、心配そうに眉を寄せている。
「ど、どうしたのかしら?」
「ご、ごめん……。さっきその、見たことないキノコの胞子を浴びて体調が……」
「どうしましょうか、パチュリー様ならなんとかなるかしら」
「こ、紅魔館まで行かなくても、アリスか私の家に行けば薬があるから……」
「アリス? ……ごめんね、魔理沙の家の場所はわかるのだけど」
「それなら私の家に連れて行ってほしいんだぜ。ごめんな、迷惑かける……」
「そんなこと気にしないで。とにかく家に行けばなんとかなるのね?」
こくりと頷くと、咲夜が私を抱き直す。
その際にもすこし変な声が漏れたが、極力気にしないようにしてぎゅっと身を固める。
「なんどか時間を飛ばしながら動くわ。もし辛かったらすぐに言ってね」
私が頷くのを見て、咲夜が前を向くと瞬間で何度か景色が変わる。
瞬きをしている間にどんどん景色が変わるので、体感ではあっという間に家に着いた。
「ドア、開けるわね」
「んぅ……。おねがいするぜぇ」
時間が経つごとに、触れている肌からの痺れがより濃く、強く感じる。
声を出すのがつらいというか、変な声が出そうになるのを意識して止めているので間延びした間抜けな声が口から出ていた。
「どうすればいい?」
「このキノコを、その醸造台に放り込んで、魔力で抽出したら……」
息を切らせながら、ポケットから胞子が出た後の件のキノコを渡し、咲夜に指示をして対処薬を精製する。
単純な方法だが、もし薬が効かなくても抽出した成分があれば、アリスやパチュリーなら薬を作れるはずだ。
今のうちに成分を出し、私なりに基本の対処薬を作ってもしこれで良くなれば迷惑を掛けなくて済む。
「抽出した試薬を、そのキノコの抽出分に混ぜて透明になれば、薬効があるはず……」
「わかったわ。あなたはそこで休んでいて」
「ごめんなぁ……」
最初の頃よりは安心からか、すこしだけ気分が楽になってきた。
1階の実験室部分にある椅子へ座らせられ、実験台に向かう咲夜を見送る。
後ろから咲夜に指示を細かく飛ばしながら、思考はすこしだけ変な方向に向かっていった。
(なんか……咲夜の格好ってえっちだな)
「魔理沙? 次はどうするの?」
「あっ。えっと、次は……」
慌てて意識を元に戻す。
こんなときになにを考えているんだろう。
視線が咲夜のふとももに吸い寄せられているのを、意識してそっちを見ないように首を上に向ける。
どうしたんだ、私! もしかしてさっきの胞子は、そういうえっちなものだったのか!
思い返せば、触られている箇所がやけに重く甘い痺れだったり、今も意識すると体中の神経が尖っている気がする。
「できたわ。これを最初の液体に混ぜるのね」
「う、うん。それで濁りが消えたら成功だ」
とにかく今は薬だ。
魔法の薬だから、きっとすぐに効果が出るだろう。
咲夜が薬とキノコの抽出液を少しずつ丸フラスコに取り、くるくると振る。
どんどん色が変わっていき、2,30秒ですっかり透明になった。
「よかった、これであとはこの薬を……」
咲夜が、ほっと息を吐いてこちらを見て、顔を赤くして目を逸らす。
「その、どうかしたの……?」
「え……?」
自分の体勢を意識する。
息も荒く、熱で顔も赤いだろう状態で、手を胸の前に組みながら、足もやけに内またですりすりと動かしていた。
う、これはなんだか間抜けな格好で恥ずかしい。
慌てて腕と足を普通の位置に戻してついでに帽子もかぶり直す。
「あ、ありがとうな……!」
何事もなかったように誤魔化すが、相変わらず顔を赤くして目線を逸らしている咲夜にはあまり意味がなさそうだった。
*
思えば、森で見かけた時から様子がおかしいと思っていた。
最初は純粋に心配が勝っていたが、今になって思い返せば。
触るたびに苦しみではない喘ぎのような声をあげ、恥ずかし気に足を内またにしている。
顔は上気して視線はぼんやりとしており、荒く息を吐いている姿はまるで発情しているようだ。
まさか魔理沙に限って、という思いがあり正しく認識できなかったが、どうもキノコの毒は、そういう種類のものらしい。
そういう、というのは。媚毒というか。所謂えっちな種類のものだ。
他に有毒性はないか確認したいが、私にはその知識がないので結局、落ち着いてからパチュリー様に診ていただくしかないか。
こくこくと少しずつ飲み下し、しかし薬が効くまですこし時間が掛かるらしいから、まだまだ顔を赤くしている魔理沙を見ながら今後を考える。
まずは汗を拭った方が良いだろう。
ぐっしょりと濡れた衣服は肌にぴったりと張り付いて煽情的、いや違う、体を冷やしてしまいそうだ。
体も拭った方が良い。着替えもしないと。そうなると、今の手足が覚束ない状態だと不安だ。私が手伝ってあげないといけない。
薬以外にも水分を取った方が良い、なにか栄養もつけないと。
紅魔館に運ぶ時も、いつもの服装じゃない方が良いだろう。ついでに魔理沙の部屋もすこし掃除してあげよう。
お嬢様方には悪いが、すこしだけ時間が掛かってしまうな。
「いやぁ、たすかったよ咲夜」
へにゃりと力のない笑顔を浮かべながら、上気した顔と濡れた瞳で魔理沙から感謝を伝えられる。
背筋に、ぞくっと甘い痺れが走る。
ああいけないわ。色っぽさと可愛らしさが同居し、こちらにまでその毒の影響を及ぼそうとしている。
「気にしないで。いつでも頼って良いんだから」
にっこりと、意識していつも通りの顔を作ってそれに応える。
妹のように思っていたこの子にこんな一面があるなんて。
あんまり外に出しては危険ね。
「薬も飲んだし、着替えましょうか。汗、拭いてあげるわ」
「え!? いや、大丈夫だよ自分で……」
「さっきまで倒れそうになっていた人が遠慮するもんじゃないわ。こんな時くらい頼りなさい」
いつもの調子を意識して、けっして上ずらないように、こちらの焦りが伝わらないように。
あくまでもさりげない風を装って、そっと肩に触れる。
「んんっ……!」
それだけで苦悶の表情を浮かべ、はあっと熱い息を吐く魔理沙にこちらの口角が吊り上がるのを抑えられない。
悪い笑みだ。しかしそれをやめるつもりはない。
「ほら、立って。魔理沙の部屋は二階?」
「ぅう……! わ、わるいな咲夜。うん、二階だぜ……」
こちらの思惑を知りもしないで、健気にもこちらを気遣いながら魔理沙。
腕を取って立ち上がってもらい、体を抱え直す。その際に帽子も取って、そのままテーブルにそれを置く。
意識して声を漏らさないようにしているいじらしいその子に、ますますいたずら心が湧いてくる。
あくまで病人なのだから、あまり煽らないでほしい。
「ここでいいのね」
「あ、ありがとうな、さくや」
とろんと溶けた目で、声で私を呼ばないでほしい。
「桶に水を汲んでくるわ、着替えはこっちのタンス?」
「うん……。あ、あんまり見ないでくれ……」
そんなに感謝を込めた顔で、それなのに荒い息とこちらに悟られないように精一杯の強がりを見せないでほしい。
「ありがとうな、咲夜。たすかったぜ、あとは自分でやるから……」
恥ずかしそうにはにかみながら、こちらに気遣って遠慮なんてしないでほしい。
「なにいってんの。ほら、服脱いで」
「いや、それは大丈夫だから!」
「大丈夫そうに見えないわ。ほら大人しくしなさい」
腕を前に出して否定する魔理沙を抑え、少し強引に服を脱がせにかかる。
腕を片手で抑え、反対の手で腰の後ろのリボンを解いてまずは白いエプロンを取る。
するりと解いた後に、黒いベストの後ろのボタンを外していく。
あわあわとしている魔理沙をそのままに、すっぽりとかぶっているワンピースを脱がすためにスカート部分に手を掛け、悟られないように生唾を飲み込みながらえいっと一気に脱がしにかかる。
碌に抵抗もできず、あっという間に下に着ていたネグリジェだけになってから、ようやく抗議の声を上げ始める。
「ま、まって! じぶんでぬぐ、自分で脱ぐから!」
「もうほとんど脱げたんだから、そのまま大人しくしていてね」
ネグリジェに手を掛けるとそれに両手で待ったを掛けられ、仕方なく抑えながらひとつ息を吐く。
あぶないあぶない。
なんだか流れでそのまま全裸にしてしまいそうだ。
「うぅ……。なんか、慣れてないか……?」
「そうかしら?」
私に背を向けて首だけこちらに向ける魔理沙に、肩をすくめながら少し温めた水の入っている桶に手ぬぐいを浸してぎゅっと絞っておく。
慣れているなんて、とんでもない。心臓はバクバクと早鐘を打っており、平静を装っている外面を気にしながらも自身もじっとりと背中からの汗が止められない。
「脱いだら、教えてね」
そんな状態なのに、あくまで余裕を装って目線を外にずらす。
しゅるりと布の音に耳が敏感になり、どきどきと相変わらず心臓がうるさく跳ねる。
「ぬ、脱いだぜ……」
ゆっくりと視線を戻す。
こちらに背を向け、ネグリジェを前に抱きながら、耳まで真っ赤にして細かく震えていた。
金糸がはらりと体に這って、汗ですこしその背中にも貼り付いている。
ベッドの上で、無防備に。白いパンツ一枚で、こちらを見ないように顔を伏せている魔理沙がいた。
……えっちだな。
外面を意識しながら、そんな内面が漏れないように気を付けて手に持った手ぬぐいでそっと触れていく。
「んぅ! つ、冷たいぜ」
「ごめんね、すぐに拭くから」
あくまでもこれは看病なのだ。
首から下にかかる髪を片手で纏め、無防備に背中を晒す魔理沙を見ながら。
汗なのか、甘い匂いを鼻腔に感じ、それすらも興奮の材料にしながら。
そっと触れた手ぬぐいで、傷つけないようにゆっくりと背中を拭う。
「あぅぅ……」
耳まで真っ赤にして、くぐもった声を漏らしている。
そんなに可愛らしい反応を返さないでほしい。
「っ! さ、さくや! 前はいいっって……」
「なにいってんの、汗かいてるでしょ」
背中からお腹と胸の中腹にそのまま腕を回し、手ぬぐいで体の全体を拭う様にする。
本当に悪い子だ。あくまで看病なのにこちらにそんな意識をさせて。
私をどうしたいのだろうか。
「ま、まって……!」
「待たないわ」
お腹、胸を拭う。
途中、後ろから胸に回った手がピンと立った突起を通過する。
びくっと体を跳ねさせて背中を反った魔理沙にいよいよ隠しきれない劣情を感じ、知らず荒くなっていた息を意識する。
「あぅ……! さ、さくやぁ……!」
甘い声に、脳がしびれそうになる。
思わず、手ぬぐい越しにそっと胸へと手を這わす。
「あぁ! ま、まってぇ!」
体が跳ね、びくびくと震える体を後ろから抱きしめるように押さえつける。
耳元に後ろから顔を寄せ、はあっと荒く息を吐き出すとそれすらも甘美である様に魔理沙が震える。
「待たない」
「……ふぅ、ん♡」
耳まで真っ赤にして、可愛らしい嬌声を上げながら。
耳元で囁いた声に、びくびくと震えながら手でネグリジェを握りながら口元を抑えている。
なんて、可愛いらしい。
「どうしたの、魔理沙?」
いじわるが抑えきれなく、手ぬぐい越しに胸を鷲掴みにしながら。
あくまで暴れ始めた魔理沙を気遣っているように、白々しくも声を掛ける。
「暴れないで。お薬の効果なのかしら?」
「いやあぁ……ま、まって、自分でふくからぁ……!」
あられもない姿を晒しながら、それでもまだ平静を装って、気が付かれないように。
いじらしく、また愚かでかわいいその姿に、ブチブチと自分の理性が切れていく音を聞いていた。
このままお嬢様の前に連れて行くのは危険ね。
そう思いながら、手ぬぐい越しに突起を探り、その先端をそっと撫でる。
途端に声を押し殺しながら、背をのけ反らせ腰が震える。
自分の手でそれを為しているという満足感と、体が弱っているその時、付け込むようにしている少しの罪悪感。
「ふぐぅ……♡」
それ以上に口元を抑え、布を噛みながら押し殺すその姿には狙っているのかと思うほどにこちらの劣情を煽られていく。
手ぬぐいを持つ手と反対の手で、腰から下に手を這わせていく。
それに敏感に体を震わせるが、抵抗は弱弱しく手が添えられるだけだ。
そうっと内ももに手を触れさせる。
いけない、これ以上は。
これ以上は、お嬢様が先に。
辛うじて理性を働かせて、相当の苦労を要しながら進行を止める。
腰に這っていた手を止めながら、布の感触をその手に感じながら。
じっとりと汗ばんだ肌を、撫でるように楽しみながら。
ようやくすこし汗を拭って、体を離したのだった。
*
「念のため、パチュリー様にも見ていただきましょう」
すっかり汗を拭われて、いつもの衣装ではなく着替えさせられた寝間着でベッドに掛けながら。
まだ頭が熱でぼんやりとしている状態で、ベッドの端に腰かけた咲夜から提案された。
正直、こんな恥ずかしい状態を、もう見られてしまった咲夜以外に見られたくもないのだが。
でもどういう毒なのか、想像通りの効果しかないのかまだ解っていないので、不安をなくしたい気持ちもある。
「うう……。恥ずかしいけど、お願いするしかないな……」
命には代えられない、私の恥くらいは仕方ないのだ。
この先にもある色々な異変を、こんなところで終わらせるわけにはいかない。
岩に嚙り付いてでも生きていかないといけないのだ。
「それじゃあ、すこし落ち着いたら紅魔館へ運ぶわね」
「人を荷物みたいに……」
「ふふ、連れていくわね」
「お願いするぜ……」
楽し気に笑う咲夜を見て顔に熱が集まるのを感じる。
体を拭きながら、あんなにやさしい声で囁いてきたくせに。いやらしい手つきに感じたんだけど、思い返せば普通に拭われただけだったのか。
こちらを気にした様子もなく、くすくす笑う咲夜を恨めし気に見てしまう。
「少ししたら行きましょう。念のためお泊りの準備もした方が良いと思うのだけど、大きめの鞄とかはないかしら」
「ああ、それならそっちの棚に……」
体の熱はまだ頭を鈍らせていて、咲夜に触られながら不鎮火の熱が下腹部に残っている。
体を捩らせながら誤魔化しつつ、それを悟られないように、しかしパチュリーには全部ばれてしまうんだろうなという予感も感じながら準備を進めるのだった。
そうして、私が紅魔館に囚われる長い一日が始まった。
いつも誤字脱字のご報告、感想投稿本当にありがとうございます!
だんだんえっちになっていく予定です、健康に気を使い過ぎて途中冗長になり過ぎました。
途中補完、跳んだ部分は反響があれば書きますが自分では満足しています!