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・耳かき(指)
・耳舐め(軽)
・ちゅー
・隙間
じっとりとした湿気を肌から感じる、体から立ち上る熱と不快な汗を外からの涼風が冷ましていく。縁側から見える外は真っ暗。ざわざわと風が木々を泳ぐ音と虫の声が耳に心地よい秋の夜長。
先ほどまで枕にしていた魔理沙が、今度は私の膝を枕にして横になっている。その呼吸で胸が上下し、ぴったりと肌に張り付く浴衣が肢体を象っている様を目にしていると、日本に生まれて良かったと心から感じるから不思議だ。
微かに香る石鹸と、お風呂と花の入浴剤の香り。それに混じった人の匂いが安心感を感じる。いつもの、甘い匂いだ。
「じ、自分がやられるのは恥ずかしいな……」
恥ずかしそうにしながらしかし嬉しそうに笑顔を浮かべて、魔理沙がこちらを見上げる。
しっとりと濡れた髪が首から垂れ、金色が白い肌に張り付いていて感じる色気。
ちらりと見える浴衣の隙間、どうにも目を吸い寄せられるその魅惑を振り払って、コホンと咳払いして手に持った耳かきを見えるように目の前にかざした。
「さて、それじゃあ次は私の番だけど」
そうっと頭に手をやってひと撫でしてから首を外向きにさせ、もうひとつ撫でる。
ドキドキと胸が高鳴る、無防備な横顔を見ながら小声で話しかけていく。
*
じゃあ、まずは右からね。
うん、大丈夫よ。いつもやってもらってばっかりじゃ、悪いから……。
……い、いや。……綺麗ね。本当に。
なんだか、懐かしいわ。小さいときに交互にやっていたわよね。
ふふ、なによ。あんたも恥ずかしいんじゃない。
それじゃあ耳かき棒で、外の耳から……。うん、本当にきれい……。
い、いや変な意味じゃなくてね。耳ね、耳……。
す、すこし痛いほうが良いんだっけ……?
ふふ、別に。傷つけないから大丈夫よ。絶対に傷なんて、つけないから……。
ちょっとだけ、強めに……こうかしら? ごりごり、ごりごり……。
うん。……掻き掻きされるの、気持ちがいいの?
良いわね……。もうちょっと、もうちょっとだけ……。気持ちよさそう、ね。
……。うん、良い感じ。
それじゃ、耳の穴の方も……ふ、ふぅ~。
びっくりした? あんたいっつも震えるから、ほんと可愛い……。
うん? いや、別に変なこと言ってないでしょ……。なによ、そんなに顔赤くして。
耳の穴に耳かき入れるから、あんまり動かないでね……。よしよし。
いつもされる側だけど、こうして耳かきをするのも良いわね……。た、たのしいっていうか、嬉しいわ。
……うん、嬉しい。かも。
魔理沙も、ここ弱いの? うん、なんか、わかるわ……。
ここも、気持ちいいでしょ? そうよね。……ふふふ、ふにゃふにゃしてきたわね。
ほーら、あんまり強くすると傷つけちゃうから、ちょっとだけね。
……あ、そうか。じゃあ、耳かき棒じゃなくて、指で……ぐ、ぐーっと。
大丈夫、爪も伸びてないし。うん、ぐりぐり~。ぐりぐり~。あは、なに変な声だして……!
……。え? ああいや。大丈夫、大丈夫。……気持ちいい? そう。
もっと、こっちとか……。やっぱり。耳、弱いのね。
あら、震えないで。抑えるのも大変なんだから。ふふ、聞こえずらい?
耳塞いでいるからね。ほら、穴の中、ずぼずぼされながら……ぐりぐり~ってされて。……気持ちいい?
うん……。え? ああ、そうね。は、反対側もやろうかしら。
大丈夫よ、元々汚れてないし。あ、仕上げに……ふぅーっ。
ふふふ、可愛い……! うん、じゃあ、こっち向いて。
……う、なんか……恥ずかしいわね。
お腹の方を向かれるのって……変な匂いしない? よかった……。
え? 魔理沙はいつも良い匂いよ……。あ! いや、変な意味じゃないわ!
……う、うん。じゃあこっちも、最初は耳かき棒で……。
やっぱり、きれいにしているわね。魔法とか? ちがうの?
そう。偶々昨日、白玉楼で……へぇ。
……うん? いや、別に。……怒ってないわよ、なによどうしたの?
いいのよ、別に。……最近仲良いわよね。……なぁに、怒ってないってば。
……声が低くなった? あ、あー。うんん。どう?
ほらね。別に平気でしょ。……まあ、あんまり掃除してもね。
じゃあ、マッサージするくらい位の気持ちで……。
ふぅーっ。うふふ、どう? ほら、こっち。ここ、ぐりぐりーってされるの気持ちいいでしょ?
あ、暴れたらダメだってば。……痛くない? よしよし。
じゃあ、こっちも指で……。耳たぶ、気持ち良いわね。魔理沙って福耳よね。
こっちの穴も……塞いで、奥の方から。ぐーり、ぐーりー……。
ずっぽずっぽ。ぐりぐり~。……あはは、指の方が気持ちよさそうね。
……うん? ああ、大丈夫よ別に。あんたが、どこで、何をしていても。
今ここで、こういうことが出来るのは、私だけなんだからね。
……ふん。けど癪だから、なにかしてやりたいところだわ。
ふふ、冗談よ。半分ね。
ぐりぐり、ぐりーっ。
こっち? ここがいい?
なんでかしらね。なんとなく、わかるわ……。
ふぅーっ。ふふふ、ふぅ! ふぅーっ!
あはは、びくびく震えてるっ。……お耳、真っ赤ね。
*
「うぅ、勘弁してくれぇ……」
魔理沙が弱々しく抗議の声をあげるのを聞きながら、むくむくと悪戯心が湧いてくる。
小さく震えるこいつに、どうにかして白玉楼の庭師以上の衝撃を与えてやりたくなっていた。
別にそれは対抗意識とかではないけれど。交互に耳かきをしてあげるという、幼馴染の特権を奪われた気持ちになって、それ以上を求めた心の動きがそうさせた。
「あーむ」
「んぅ!」
そのまま上体を倒し、魔理沙の耳を口に入れる。
びくびくっと震えたその体を軽く抑え込みながら、耳の外側を唇でもぐもぐと噛むふりをして舌を這わせる。
そこに厭らしい感情はなく、魔理沙の体に汚いところなんてないから、なんの感情もなくただ口に含んだだけだった。
よだれが垂れないように、吸い付きながら少しだけ大袈裟に舌で舐める。
「んっあぁっ!」
そんな、嬌声のような声をあげる魔理沙に驚いてしまい思わず口を離して顔を見下ろす。
「……っ」
「……!」
お互いに顔を真っ赤にしているだろう。魔理沙は恥ずかしそうに、しかし衝撃が強かったのか呆然として。
私はその顔を見下ろしながら。
再び、次は意図して舌をその耳に這わせていく。
「ふぅっ! んぅっ」
魔理沙が再び、口から悲鳴にも似た嬌声を漏らす。
逃げ出そうとする体を、その力を逃すように支点をずらして逃がさないようにする。
私が口を付けた耳から小さく、ちゅっと水の音が、やけにいやらしく響いた。
「れ、霊夢……! 汚いって、やめてぇ……」
「……魔理沙に汚いところなんて、ないわよ」
れぇー。ん、ちゅっ。
口と耳の間でキスをするように、丹念のその溝をなぞりながら舌で魔理沙を舐る。
「ふぅっ。あは、耳弱いから、ちょっと悪戯のつもりだったのに……」
そんなに反応されると、私も……困るんだけど。
「ふぅんっ! う、うぅ。んぁ、あうぅ」
ちゅっと水の音を立てて、口を離しその顔を伺う。
目をぎゅっと閉じ、顔を赤くして耐えようとする姿。
逃げ出そうともぞもぞと動く肢体と、気が付けば私が抑えている手は抵抗を続けているけれど。
悪戯心と同時に、しばらく感じていたもどかしい気持ちが、むくむくと大きくなる。
「ふふふ、外側を舐められるだけでこんなになるなんて……。ねえ、じゃあ耳の穴は、ろうなるの、かしら?」
べろーっと舌を出しながら、少しづつその穴に差し込む。ぐちゅっとやけに大きく音を立て、息が荒くなるのを自覚しながらもそれを止められなかった。
「れいむぅ……やめてぇ……」
「うん、ふふ。やめない」
舌を差し込み、思うままに舐る。くちゅくちゅ……という可愛らしい水音が、どんどんと大胆にぐっちゅぐっちゅと変わっていく。
嬌声をあげる魔理沙の口から、とろりと雫が垂れ私の膝を濡らしていく。
味なんてしない筈のそれが、蜂蜜なんて比較にならないくらいの甘露を私にもたらす。
美味しい、美味しい。やめられない。嬌声をあげる魔理沙が、可愛く乱れる幼馴染の姿が。どうしようもなく私を狂わせていった。
「ひぅ、やぁ……あぁ……」
つぅっと流れた涙を見て、はっと意識を取り戻してそれを拭う。
しまった、と気を持ち直した時にはもう遅い。暴走していた頭が急激に冷えていく。
「ご、っごごごめん魔理沙!」
慌てて口を離し、頭をぎゅうっと抱きしめながら調子に乗り過ぎた私が自責の念に苦しくなる。
ぎゅーっと抱きしめながら、嫌われてしまったのではないかと手足が冷えるほどの恐怖を感じる。
「ごめん、ごめんなさい……。調子に乗った、悪かったわ……!」
「れ、霊夢……!」
抱いた頭から、弱々しく魔理沙がくぐもった声をあげる。
「だ、大丈夫……。びっくりしただけだから……!」
腕を少し緩めると、涙目のキラキラとした目がこちらを見上げている。
声を震わせながら、体を震わせてもじもじと内ももを擦り合わせている魔理沙。
急に、いままでの自分の行いを思い起こしてかぁーっと顔に血が集まってきた。
同時に、この腕の中の幼馴染が私の稚拙な悪戯にその身を焦がしたと知る。
どくんどくんと心臓が跳ねまわり、腕の中の魔理沙に音が聞こえてしまうんじゃないだろうか。
……いやらしい雰囲気になっていた。と思う。
そして行為を拒絶されなかった。
どきどきと胸を高鳴らせながら、腕の中に魔理沙の頭を抱きながら。
もしかして、もっと求めてもいいのかしらと再び心には火が付いていた。
解いた腕の中の魔理沙を、仰向けにしてその顔を、瞳をじっと見る。
息を荒く吐きながら、目をウルウルとさせながら。口からつーっと雫を垂らし、間抜けにも見えるそれすらもどうしようもなく情欲をかき立てる。
はぁはぁと荒く吐いた息が、半開きの口から漏れている様。
「魔理沙。……好き」
思わず告げた本心は、思いのほかするりと言葉になった。
のぼせた頭がそれに近づいて、自身の口が魔理沙のそれを塞いでいく。
そっと手を握り、行為のままに指の間に指を差し込んで強く結ぶ。
驚いたように目を見開く魔理沙。じっと見つめていると、とろんととけた目がゆっくりと閉じられていく。
半開きにした口が、そっと私を受け入れる。そう、受け入れられている。確かにそう感じる。
そうっと挿し込んだ舌が、震える魔理沙に受け入れられていく。
心に沸き上がる歓喜が、うるさいくらいに心臓を跳ねさせた。
今まで世界中が泥で満ちていたと錯覚するほど、晴れやかに世界が広がっていくのを感じる。
「んぁ……! うんんっ」
何かを告げようとしたその口を吸い上げて、言葉をそのまま封じてしまった。
「んっ……ぁ」
一息ついて、すぐかぶりつくように口をまた塞ぐ。
甘い、蜜のように甘い咥内にじゅるじゅると舌をねじ込み、丹念に歯に舌を這わせてひとつひとつ確かめるように舐っていく。
奥の方にふるふると震える肉の根に、偶に触れながら丁寧に、丁寧に確かめる。
さっきから心臓がうるさく跳ねている。どくんどくんと暴れながら、酸素の足りない頭に精一杯血を巡らせていく。
ぎゅーっと握っていた手が握り返され、魔理沙が息苦しそうに空気を求めても。それすらも許したくなくて執拗に追いかけて塞いだ。
「まっ……れ、む……!」
「はぁ……! 魔理沙、好き。好きなの……!」
ようやく口を離したときには、お互いに酸素が足りていない顔が真っ赤に染まっていた。ぜぇぜぇと息を吐き出しながら、潤んだ瞳が見上げてくる。
力なく落ちた魔理沙の手に重ねた私の手がしっかりと結ばれ、お互いに確かめ合う様に、指を立てるように触れている。
「れ、れいむ……」
「魔理沙……!」
もう後戻りができない場所まで進んでしまった。
そういう後悔がすこしだけ苦く広がっていく。
だけど、それでも今。こうして私の腕の中で顔を赤くした幼馴染が、ぽーっと熱っぽい視線でこちらを見上げて名前を呼んでいる。
「わ、わたしも……」
*
「なんてことにならないようにね。私の目が黒いうちはまだ許さないわよ、若いんだから焦らないことね」
「うるさい、この覗き魔! 変態!」
霊夢が割と本気で投げた針に脳天を貫かれて、すごすごと隙間の奥に逃げ帰る。
いや、別に霊夢と魔理沙がそういう関係になっても何も困らないのだけど。
幼少期から修行をして歴代最強の霊夢と、愛嬌と人望だけで幻想郷を生き抜いている魔理沙。
「うん。別に困らないんだけど」
なんとなくちょっかいを掛けたくなるふたりに、ついつい世話を焼きながら口出ししてお泊りだというその場を追い払われてしまった。
霊夢は本当にひどい。少しくらい私の事を尊敬とか、労ったりとかしてくれてもいいのに。
それに比べて魔理沙は素直でいい子だ。ああいうのが霊夢の伴侶になるのなら、きっとこの先も安心だ。
「あ、紫様おかえりなさい。どうしたんですか?」
「ただいま藍。どうしたってなぁに?」
「なんだか不機嫌そうな顔をなさっていますけど、お困りごとでしょうか」
不機嫌な顔をしていただろうか。
扇を持つ手と反対の手で、自身の頬をむにっと触ってみる。
「不機嫌そう? そうかしら?」
「ええ。なんだか子供っぽい表情で、頬を膨らませていましたよ」
お気に入りのおもちゃを取られたような顔、とでも言いたいのかしら。
不思議そうにこちらを見る藍に、私もいい加減自覚しつつ平然とした顔を作って返す。
「うぅん。どっちに対してなのかしらね、この感情。あるいは両方なのかしら」
「はあ。またあのふたりのところですか。すっかりお気に入りですねぇ」
ぱたりと扇子を閉じて、藍の出した座布団に腰かけて独り言ちる。
「まったく、困ったものだわぁ」
それはあの人間たちになのか、自分自身に向けたものなのか。
曖昧な境界を曖昧なままに、自分の中で整理を付けずにそのままを楽しむのが私らしい。
その昔、インターネット掲示板にあった悪しき文明。
「省略されました。全てを読むにはわっふるわっふると書き込んでください。」
そういうノスタルジーに浸れたらな……。いいな……。
「この話の続きは隙間妖怪が消し去ってしまいました。すべてを読むにはゆかりん最高と書き込んでください。」
ごめんなさい私にはここまでが限界のようです。
―追記―
感想を求めてのあとがきじゃないです、上記書いても書きません。
皆様に注意は必要ないと思いますが念のため!