最初にR15くらいで書いたからです!!
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※ちゅーしてる!
「おはよう、魔理沙」
魔法の森でキノコを採っている最中、上から聞き覚えのある声を掛けられはっと見上げると紫と目が合った。
慌てて手に持っていたキノコを落としてしまい、立ち上がり距離をとろうとして足がもつれた。
「おっと慌てんぼうねぇ」
一瞬の浮遊感。
目を開けると倒れることなく私は地面に立っていて、落としたはずのキノコは籠に収まって紫が持っていた。
「……っ!」
以前、博麗神社での飲み会であった一件から少し経っている。紫とは久しぶりに顔を合わせた。
何もなかったかのように当たり前に声を掛けられたのだけど、普段通りにしようとした私の体はすっかり竦み上がり、顔が熱くなるし心臓は煩く跳ねだしている。
「よ、よぉ……」
「……」
それでもひねり出した声は若干震えていて、やっぱり情けないものだった。
声には答えず紫がスキマから地面に降り立ち、手に持った籠一杯のキノコを差し出してくる。
「ほら、落とし物」
「あ、ありがとう……」
顔を直視できず、靴の先を見ながら受け取り、不自然にならないだろうか気を付けながら、じりじりと後退。
「ねえ、すこし話できないかしら?」
「え、っと。こ、これからアリスのところに行く予定があるんだ。だから、また別の日に……」
一歩下がると、靴が一歩分近づいてきた。
「そう言って、何日も袖にされているのだけれど?」
「えーっと……」
また一歩下がる。一歩、近づいて来る。
「……断るなら、はっきりと言ってくれない?」
なんだか少し声の調子が落ち込んでいるように思えて、視線をあげて紫の顔を見る。
いつもの扇子で口元を隠し、普段通りの温度を感じない視線。
それが、なんだか落ち込んでいるように見えてしまった。
「あ……」
せっかく声を掛けてくれたのに、気まずいからって遠ざけて。
紫は話をしたいだけなのに、私はそれを避けている。
なんだか私のことをこの賢者が気に掛けてくれているように見えて、申し訳なさが込み上げた。
「えーっと。ほ、本当はアリスと約束なんてしてないんだ」
「ええ、知っているわ」
「知ってる?」
「ええもちろん。だけどあの子は貴方の事を歓迎するだろうし、話も合わせてくれるでしょうね」
平然と言うけど、私の稚拙な嘘なんて最初から通じていなかったんだ。
知りながら、私の好きにさせてくれていた。
「だからこの後……時間、あるけど」
そもそも、紫はその気になれば無理にでも私を攫うことが出来るのだ。
嘘がバレていたこともそうだし、理詰めで私を連れて行くことだって出来る。
なのにそうしなかった。それは私のことを考えてくれていると、私の意思を尊重してくれているんだと、そう思ったのだ。
そんなに配慮してくれる紫の事を、これ以上避けるなんて私にはできない。
「そう。ようやく時間を貰えるのね」
「う、うん」
「良かったわ。それじゃあちょっと場所を変えましょうか」
「あ、キノコ持って帰ってからでもいい?」
「……ええ、もちろん」
◆◇◆◇
瓶にキノコを入れて、保存の魔法を上からかける。
何種類かあるキノコをそれぞれで分けて、大きな瓶を日が当たらない地下の土蔵にある棚へ。
「へえ。ちゃんと魔法使いっぽいこともしているのね」
「失礼な。どこからどう見ても魔法使いだろ」
さっきから黙って私の作業を見て、ずっと後ろから付いてくる紫が土蔵の棚を珍しそうに眺めながらぽつりと漏らす。
なんとなく気まずい思いはまだ抱えているけど、なんだか距離をあけて歩いていたり、荷物を持とうとしてくれたり。所々で配慮を感じて、少しずつ私の中の蟠りも薄まってきた。
「話って、私の家でもいいの?」
「ええ、構わないわ」
土蔵の床下扉を閉め、紫を見上げると相変わらず何を考えているのかわからない顔。
一応お客さんだからキッチンでお湯を沸かしていると、紫は何も言わずダイニングの椅子に腰掛けた。
じーっと見られている気がして落ち着かない。振り返って目が合っても、綺麗な微笑みを返されるだけで言葉がない。
若干気まずい思いを抱えながらマグカップで紅茶、食器を出して実験で作った金平糖をテーブルに。私もそのまま紫の対面に座る。
「それで……話って」
「そうね。なんて話し出したらいいのかしら」
珍しく紫が言い淀み、私は紅茶に口を付けながら言葉を待つ。
「そう。あの宴会の夜の事なんだけど」
「う゛」
「結構酔っ払っていたじゃない? だからあの日の事、魔理沙は覚えている?」
あの日もそうだけど、今日もなんだか珍しい調子だ。こちらを伺う様に見る姿は、なんだか弱気というか。
その見た目通りの少女然とした反応で、私も少し混乱していた頭が冷静になる。
「……覚えてるよ」
宴会の日。
紫がどこかのベッドで、揶揄う様に人の唇を……。
そ、それだけじゃない!
体中舐められたり吸われたり、本当に食べられるかと思ったんだからな!
「ああ良かった! どこまで覚えているか不安だったのだけど、それなら約束も覚えているわよね!」
「や、約束……?」
約束なんてしたっけ。
あの日はなんだか色々なことで一杯だった。
何か言われた気もするけど、それどころじゃない状況の私に期待するのは難しい。
「その様子じゃ、覚えていないの?」
「えー……と?」
「もう! やっぱりそうなのね」
ぷぅっと頬を膨らませ、可愛らしく抗議する紫。
いったいどんな約束をしてしまったんだろう、私。
「じゃあ、もう1回思い出してみる?」
紫の視線が私を捉え、なんだかそこに威圧感を感じてしまい若干身を引くと、その間を詰めるように紫はテーブルに身を乗り出してきた。
「う、わぁ!」
ベストの首元を掴まれて、後ろに下がる体がその場に留められる。
「次は逃がさないわよ」
至近距離で視線が絡まり、心臓は早鐘を打って手足が凍り付いたように動かない。
「もう1回言うけど」
いつもは温度を感じないその瞳が、じっとりとした熱を込めて私の視界を一杯に染めていく。
「……断るなら、はっきりと言ってくれない?」
「あ……」
体が熱を持って、頬へ添えられた手に期待をしてしまう。
「こ、断るって……な、なにを……?」
「……」
答えはなく、すっと寄せられた顔に思わず目を閉じると、唇に柔らかな感触と、数舜後にちゅっと音を立てて離れていく気配。
「だから、私のものになれって言っているんだけど」
目を開いたその先。本当に珍しく紫が頬を染めて、蕩けるように優しい目でこちらを見下ろしているのだ。
◆◇◆◇
魔理沙の自室は二階部分にあり、室内はワードローブと簡素な机にいくつもの本棚。窓側に一人用のベッドが置いてあり、ふわふわの布団は白黒に星模様がついた可愛らしいもの。
それ以外は簡素な造りで、ある意味魔理沙らしいとも思えるものだ。
「……本当に良いの?」
「もう、何度目だよ! わ、私だってそもそも……その、好きでもない人とちゅーしたりしないっての!」
ベッドに腰かけた魔理沙が、顔を赤くしながら何度目かの確認に半ば自棄になりながら大声で返す。
それを受け、未だに信じられないと頬を赤くしたままどこか酩酊している様子の紫は、また小さく「本当に?」と呟いた。
単純な話。
片方が愛の告白をし、片方がそれを了承した。
ただそれだけの話を、紫は未だ信じられないと夢見心地で何度も確かめていた。
「そりゃあ、最初は食べられるんだと思ったけど。なんか……その、紫も必死な様子だったし」
魔理沙が目線を逸らしながら、件の夜に関して思いを馳せる。
そう。魔理沙自身初めての感覚に身を震わせ翻弄されるばかりだったが、それでも記憶の中の紫は優しかった。
少しだけ苦しい思いをさせられたけれど。その目はじっとこちらを見ながらどこか余裕がなく、余すところなく全身を舐めるように舌を這わせながら、決して直接的にそれ以上は触れなかった。
「その、思い返したらあれは……ええと。き、気持ちよかっただけだし……」
顔から火が出るんじゃないかと思うくらい、魔理沙は顔を赤くしながら自身の恋人に現実感を取り戻したくて必死だった。
「あれから、その……。私は紫の事が頭から離れなかったよ。けど、私だけ好きなのかなって思ってた。だって、全然平気な顔して普通に話しかけてくるから。私は……顔を見るだけで、恥ずかしかったのに……!」
ベッドに腰かけながら、訥々と言葉を漏らして足をぶらぶらと揺らす魔理沙。
ちらちらと紫を伺う姿は相変わらず真っ赤な顔。少し涙を浮かべた瞳がきらきらと陽光に煌めいて、紫は現実感のないまま夢を見ている気分だった。
だって、きっとこの娘は霊夢の事が好きなのだと思っていた。
霊夢もそう。お互いに思い合う人間たちだと。
「……私の事、怖がっているだけだと思ってたわ」
こういった場面で他の人の名前を出すことは憚られた。なのでそれは伏せたまま、どうして紫が思いを果たせたのかを確認していく。
「そりゃあ怖いけど」
ぽつりとつぶやいた言葉に少なからずショックを受けながら、紫は黙って続きを促した。
「それ以上に、紫の事は好きだし。優しいことも、知っているし。本当は色々なことしていて忙しいのに、気を遣わせないようにしたり陰で助けてくれたり」
心に花が開いていくような感覚を紫は覚えていた。
少しずつ魔理沙が伝えていくのは、心の籠った、愛情の籠った告白だ。
「本当はとても偉いのに、たくさん構ってくれるし。ふ、普段は視線とか、何考えているのかわかんなくて怖いときもあるけど! でも、全部幻想郷の為に頑張っているんだって、知ってるし」
紫は、たまらない気持ちが胸を満たしていくのを感じていた。
「むしろ、私なんかのことをそんなに気に掛けていた……っていうか、こ、恋人になれって言われるなんて思っていなかったっていうか。……そういう風に思っているのって、私だけかと思ってて」
「魔理沙!!」
「うぁっぷ! な、なに」
床を見ながら話していた魔理沙の視界一杯に紫が広がり、背中をベッドに押し付けられる。驚き見上げると、先ほどのような優しい視線が見下ろしていることに気が付き、その頬がもう見慣れてしまう程赤く染まっている。
「どうしましょう。順番が前後してしまうのだけど」
「え、え」
「……キスしたいわ。今、すごく」
「……ど、どうぞ」
ん。と目を瞑って紫の方を見上げ、魔理沙はすこしだけ口を突き出した。
表情は平然としながら、顔は赤くなり雄弁にその羞恥心を伝えている。
慣れている訳がないのだ。ふたりはまだ、恋人になったばかりなのだから。
「……」
神社での一件でも、何度も唇を重ねたふたりなのに。
告白をする前にも、半ば無理やり口づけを交わしているのに。
「……は、はやくしてよ……!」
「ちょ、ちょっと待って……!」
何度か荒い呼吸を吐いて気を落ち着かせる紫にとって、なんだかとても勇気のいることに思えて仕方がなかった。
「……もう!」
魔理沙が目を開け、赤い顔のまま小さく文句を口にすると、それを見下ろしていた紫はごめんっと言いかけてまた固まった。
首の後ろに手が回され、がばっと近づく視界一杯の魔理沙。
ぎゅっと瞑った目の端からは少し涙がにじんでいて、睫まで金色でやっぱりとても綺麗だなんてどこか色ボケた頭が考えている。
唇に、勢いをつけた魔理沙からのキス。
その感触は本当に一瞬だったけれど、思いもよらぬ行動に賢者は珍しく本気で狼狽えていた。
「……したかったんだろ」
すぐに離れてしまった魔理沙が、口元を手で抑えながら目線を遠くにやって、小さな声でつぶやいた。
「……ねえ、もう1回して」
「も、もうダメ!」
「そんな……」
狼狽える紫のそんな姿が珍しく、そして自分の行動に一喜一憂してくれるそんな姿に魔理沙もまた、たまらない気持ちを抱えていた。
「別に。……したかったら、すればいいじゃん」
口元を覆っていた手を離し、覆いかぶさる紫の腕に触れる。
「こ、恋人なんだし」
交差する視線には微熱が灯り、見た目にそぐわない艶が宿っていた。
ごくりと喉が鳴ったのはどちらだったのか。
「その……キスだけじゃ、止まらないかも」
「え、その……外が明るいから。……まだダメ」
「暗くなったらいいの?」
「う……うん」
「……地球の反対側は夜なのよ」
「だ、だめだぜ!」
改めて自分の恋人が
どSゆかりん…?
こんな誰もが思いつくような安っぽいいちゃ甘はどSとは言えません……
読んでいただく皆様のお時間を頂く対価に合わない……
最もフィジカルで…、最もプリミティブで…。
そして最もフェティッシュなどSゆかりんでいかせていただきます…
(今日か明日の21時頃にハード編投稿します。)