モンスターパーク2アフター 異種姦を望む乙女 作:二木ユキト
リクエストありがとうございました!
スカーレットやマリィとは異なり、
リアンには伴侶と呼べるモンスターがいません。
彼女はしばしの休暇をもらい、
聖都地下の森へ婿探しに赴きます……。
元老院評議長スカーレット・ルンベルク。そして、修聖教会法皇マリアーヌ・ローエン・グリン。
その両者は今日、私室にて会談を行っていた。
政治と宗教のトップが顔を突きあわせるのだ。秘密を暴こうとする不埒者が現れてもおかしくはない。
しかしそんな懸念は杞憂に終わった。法皇のメイドにして密偵……リアンが周囲を探ってみたが、怪しい影のひとつもなかった。
(世の中は平和ということね)
銀髪の美女はひと知れず、満足げに頷く。これもスカーレットとマリィの治世が良いことの証だろう。
リアンもこの会談、いや。女子会に同席している。彼女たちの話題はもちろん、モンスター姦のことだった。
「まったく……アンソニーのやつは、加減を知らんからいかん!」
金のツインテールを揺らしながら、マリィはふんふんと鼻息を吐く。
彼女が語るのは、番いのツノブタとの交尾のことだ。マリィの言葉は手厳しいが表情は緩みきっている。
「困りものですよね。あのひとも私が四つん這いになると、のしかかってきて……」
対するスカーレットも負けてはいない。夫竜との性活をつまびらかにする。前回のバカンスでも彼女はまた、伴侶との間に仔竜を設けてきたらしい。
ふたりが口にするのは愚痴のようだが……。その実は、番いに対する惚気に他ならない。
「リアンは最近、どんなモンスターがお気に入りかしら?」
スカーレットから水を向けられた。リアンはしばし黙考する。
「そうですね……。最近はあまり、ピンとくるものがいなくて」
「あら、そうなの?」
「それじゃあ次は、わらわたちと森に行ってみるか!」
次の休暇に向けて、マリィとスカーレットは賑やかに予定を立てはじめた。
「…………」
評議長と法皇の提案はとても嬉しく、ありがたい。しかしリアンはこっそり思索を続ける。
(うん……。やっぱり、そうしよう)
そしてとある決断をするのだった。
◇
スカーレットとの女子会の後。リアンはさっそく、主人であるマリィに話を切りだした。
「マリィ様。長めの休暇をいただきたいのですが……。よろしいでしょうか」
「えっ」
一番の従者が休みを求めている。それを知ったマリィは、みるみる顔色を曇らせていった。
「ど、どうしたのじゃ、リアン? どこか具合でも悪いのか?」
「いえ。そういうわけではなくて……」
幼き法皇は大きな青瞳をすでに滲ませている。リアンの体調を本気で心配しているようだった。そのことについ、胸が暖かくなる。
しかし訓練されたメイドは表情に出すことはない。話を続ける。
「実は……。マリィ様やスカーレット様のお話を聞いて、私も伴侶が欲しくなったのです」
従者の言葉を聞き、主人も合点がいったようだ。
マリィにはアンソニーが、スカーレットにはドラゴンが。それぞれ伴侶となっている。しかしリアンはその美貌に関わらず、まだパートナーがいない。
「ここ最近、世情も安定していますので。どうかお許しいただければ」
「うむ! もちろん大丈夫じゃ! リアンに相応しい相手を、ゆっくり探してこい!」
事情を理解した主人は寛大な便宜を図ってくれた。従者は深く深く頭を下げて感謝を示す。
リアンの婿探しはこうして始まった。
◇
明くる日。リアンはさっそく、聖都地下の森に足を踏みいれた。
ここには多種多様のモンスターが存在している。パートナーを見つけるのにうってつけの場所といえるだろう。
休暇ではあるが彼女の装いは変わらなかった。黒衣のメイド服に純白のエプロン。装飾といえるのはカチューシャくらいだ。
シンプル極まる衣服だった。だからこそリアンの美貌と肢体を強調している。
森を行く彼女は、己の計画を改めて振りかえる。
(スカーレット様のような体験をすれば、きっと見つかるはず)
陰謀に嵌められた紅の騎士がどのような苦難に遭ったか。それはリアンも聞きおよんでいた。
聖地へ続く森に置き去りにされたスカーレットは、様々なモンスターに襲われた。夫である竜種とも、この際に出会ったという。
自分もその体験に倣おうとリアンは考えていた。
(まずは、どんなモンスターと出会えるかしら……)
蟲や獣を大型化したもの。人間のように二足で歩くもの。触手や脚部を多く備えた異形のもの。モンスターは実に様々な種類がいる。
その内のどれかと、番いになると考えると……。
「っ……!」
リアンの足が止まった。体奥からの震えが原因だった。
繁殖欲を剥きだしにしたモンスターどもに犯される。そんな想像だけで膣肉はわななき、子宮は期待に甘く震える。軽く達してしまった。
「ふぅ……」
何度か深呼吸をすると、火照りは無事に治まった。しかし下腹はいまだに湧いている。手を当てると、熱を帯びていることがわかった。
(こんな風になるなんて……)
ちょっと想像を働かせただけで、身体がここまで昂ってしまう。それはリアンにとっても想定外だった。
しかし実はそれは、当然の出来事だった。
リアンは以前、オルタナに卵巣を改造された。そればかりでない。モンスターの頂点に君臨するドラゴンからも種付けを受け、仔竜を出産した。
リアンの異種姦体験もまた、濃密かつ異常である。
番いを探したいというのも知らぬ内に、繁殖欲求が強まっていたからだった。
異種姦に魅入られた美女はついに、モンスターと遭遇する。
「ヂ、ヂヂィッ!?」
尖ったマズルに、一対の円い耳。矮小な体躯は薄汚い茶毛に覆われている。二足歩行するネズミのモンスター……ラットマンである。
彼奴の小さな目と細い指先はぎくりと強張っていた。緊張が見てとれる。
「…………」
リアンは冷静に鼠人を観察する。
毛並みにはツヤがあり、爪や手指の荒れも少ない。健康で頑丈なことが窺える。
群れから離れて自分の巣を持ったばかり。そんな若い個体だとリアンは推測した。
「ヂヂ……ヂ、ヂィ!」
察しの正しさを証明するように、ラットマンはギラギラした視線を向けてきた。彼奴は人間を初めて見たはずだ。それでもなお、警戒より性欲が勝っている。
繁殖に意気軒高なところが、リアンにとって好印象だった。
(まずは、このモンスターを試してみようか)
弱小の異種である。だが、それだけで判断するのは良くない。美女はこのラットマンをとりあえずの婿候補と定めた。
気づけば小さな舌が、桃唇をちろりと舐めていた。
リアンは従者として完璧な訓練を受けている。そんなメイドとは思えぬ、欲望に溢れた所作だった。
しかしここでは咎める者など誰ひとりとしていない。ゆえにリアンは己の望みを、さらにはっきりと表す。
しゅる……。
「!?」
ラットマンは再び驚愕した。美女はそれに構わず、己の着衣を解いていく。
首元と背中の紐をほどく。純白のエプロンが地面に落ちた。リアンは黒衣をまとうだけとなる。
「ヂィ……」
上半身にぴったりと張りつくワンピースは、リアンの胸乳と腰つきを強調していた。艶めかしい曲線は極美の彫刻のようだ。
美女は惜し気もなく、その内も露わにしだす。
長い黒衣を脱ぎすてると、純白の下着が現れた。双房を支えるブラジャーと、飾り気のないショーツ。ガーターベルトが長い美脚に映える。
リアンはまず三角布を下ろした。舟底には蜜濡れがしっかりと残されている。ちょっと頬を赤らめてから、続けてブラジャーも落とした。
「…………」
脆弱ながらも、ラットマンはれっきとしたモンスターである。白肌と桃粘膜を晒せば、一も二もなく襲いかかってきても不思議はない。
しかし彼奴は呆と突っ立ったままだ。鳴き声を出すこともなく、美女のストリップに目を奪われつづけている。
(ふふふ。すこし、かわいいかも)
若い個体の初心な反応にリアンは気を良くする。少しサービスしてやることにした。
カチューシャを外す際に腋窩と胸乳を強調してみたり、内腿を見せつけながらガーターベルトを降ろしてみたり……。
ラットマンの視線は面白いほど、リアンの思いどおりとなった。
「さて……」
ついに一糸まとわぬ姿となった。しかしこれでは求婚に足りない。
白銀のメイドは脚をガニ股に開いた。それから腰を突きだす。不安定な体勢だが鍛えられた体幹は揺れることがない。
「お願いします。私と、番いになってくださいますか?」
「……!」
そして最後に、二指でくぱぁと秘所を割った。ラットマンは火が点くような視線を送ってくる。
リアンは平静を装っているが……。子宮はすでにモンスターの種を求めている。膣奥から染みだした蜜は、淫口から溢れだすほどだ。
(もう、こんなに濡れてる……)
心臓もドキドキと高鳴っていた。己の発情にリアンは戸惑う。この鼠人を生涯の伴侶にしてもいい。試用のつもりなのに、そんな心持ちさえ抱きはじめる。
「ヂィ! ヂ、ヂィ!」
美貌のメイドの求婚は呆気ないほどあっさりと叶った。ラットマンは何度も何度も頷く。毛と革を割って、股ぐらから肉色のものが伸びた。鼠人の生殖器だ。
彼奴は強豪モンスターとは言いがたい。番いを得たとはいえ、ここでは横取りされる危険があった。ゆえにこの場で女体を貪ろうとはしない。
「ヂ! ヂヂィ!」
若いラットマンはリアンをどこかへ先導しだす。彼奴の歩調は跳ねるようだった。現在の内心をそのまま表している。
全裸の新妻は三歩さがって、その後ろをしずしずとついていく。控えめな態度である。しかしリアンの胸もまた、新婚生活への期待に湧いていた。
◇
ラットマンの巣は土洞の中だった。別のモンスターが掘り、その後に放棄した穴倉を、彼奴がそのまま住処に流用したと窺えた。
中はひとり身らしい乱雑さだった。しかし女ひとりが転がりこむスペースは充分にある。
「さて」
一人と一体は巣の中央で向かい合う。リアンは膝を折った。長い脚を畳むとようやく、ラットマンと真っ直ぐ視線が合う。
モンスターはどこかもじもじとしだす。深い深いザクロ色の瞳にじっと見つめられたせいだ。美女はそのまま、顔を近づけていく。
「んん……」
「!?」
そしてリアンは鼠人に……いや。良人に接吻を捧げた。柔らかな場所を押しつけるだけでない。妻の舌は夫の前歯を押しあけた。濡れた粘膜同士を擦りつけあう。
「むちゅっ、ちゅう……」
男女の営みの始まりに相応しい、情熱的なキスだ。しかしリアンの眉間には縦ジワが寄っていく。
(もう……。なんてにおいなの)
モンスターにエチケットは期待できない。歯に挟まった食べカスに、胃の腑から昇ってくる消化物に……。鼠人の口臭は強烈だった。目を閉じればより生々しく、それを感じてしまう。
しかし。
「んんっ、んちゅっ、むぅ……ちゅうっ」
リアンはなおも積極的に舌を絡ませていく。歯の数や唾の味を確かめるように、キスを深くしていく。
「ヂィ……イィ!」
ラットマンはしばし、されるがままだった。オスの矜持をようやく思いだしのか。メイドの口技に対抗しだした。
「むぅ……はぁ、んん!」
鼠人のキスは強引だった。リアンの顎と後頭部をがっしりと掴むと、ぐいぐい口を押しつけてくる。
技などあるはずもない。ただただ力尽くで女を味わおうとする。まさにモンスターのやり方だ。
「ちゅうっ、ぢゅぅ……っ、むぁっ、はぁっ、ぢゅぅう……!」
しかしそんな野蛮さがなによりリアンを昂らせていく。息継ぎをする間も惜しく、何度も接吻に挑みかかった。
「はぁ、はぁ……」
どれほどの間、ディープキスに溺れていたのか。やがてどちらからともなく口を離した。
両者の唾液を混ぜ合わせたものはリアンの唇端から溢れ、顎を伝い。胸元にまで垂れおちていた。
(お腹の奥……もう、熱い……)
薄桃色の性粘膜にはまだ一指も触れられていない。それなのに美女の体奥は湧きだしていた。
夫と定めたものとのキス。それがここまで己を昂らせるとは、リアンも予想外だった。
そして激しい興奮に灼かれるのは、彼女の伴侶も変わりなかった。
「ヂ……イ、イィ……!」
ラットマンは苦し気な声をあげる。見れば股間から伸びるペニスは、先ほど以上に膨張している。
海綿体に血を吸いとられすぎ、彼はもはや一点しか見ることができない。
「ふふ……」
それを察したリアンは妻として、微笑をもって応える。均整の取れた白い裸体が艶めかしく動いた。
リアンはそのまま両膝を地面につく。手のひらも同様にした。さらに頭の向きをぐるりと入れかえる。
「……!」
ラットマンの眼前には今、四つん這いで尻を向ける美女がいる。彼奴は淫庭を余すところなく見ているはずだ。
露が降りはじめた蜜洞と、その上に開いた菊花。それらはともにひくひくと蠢いている。肉樹を打ちこまれる準備は万全だった。
「さぁ……どうぞ。旦那さま」
「……! ヂィィイ!」
その言葉が合図となった。高い鳴き声とともに、リアンの尻が強く叩かれる。
ずぶんっ!
膣肉を掻きわけ、内腔を一気に満たされる。興奮と期待で子宮の位置は下がっていた。ポルチオから胎中までずんと揺さぶられ、快楽の衝撃で気が遠くなる。
ずちゅっ! ずぶっ! ずちゅっ! ずぢゅんっ!
「は、はっ……、あぁぁ……」
激しい抽送が間もなく始まった。リアンの細腰にラットマンの五指が食いこむ。しっかりと固定すると、容赦のないピストン運動を見舞う。
ずぢゅっ、ずちゅっ! ずぢゅんっ!
「お、落ち着いて……あ、あぁっ!」
リアンはこれまで、ラットマンとは比較にならぬ強雄とも交尾してきた。しかし初夜の勢いにどこか圧倒されてしまう。
それも仕方のないことだった。彼奴は今日まで独身として暮らしてきた。そんな折になんの前触れもなく、極上のメスが現れたのだ。生殖に逸るのは当然といえる。
どくっ、どくん……! どくっ!
「んんっ……、ふぅっ……」
その結果は明らかだ。ラットマンは早々に欲望を吐きだしてしまう。
射精しながら、鼠人は己のペニスを前に前に突きだす。子宮口をぐいぐいと押された。少しでも女体の奥に種を植えつけようとする動作に、リアンの眉がハの字を描く。
「はぁっ、はぁ……、はぁっ」
胎に熱胤が溜まっていくのがわかる。彼奴は弱小だ。ゆえに繁殖に対して妥協も余念もない。なおも体重を掛け、精液を流しこんでくる。
リアンの脳裏にとある光景が閃いた。
(私も……スカーレット様のように……)
以前、ラットマンの巣穴で休暇を過ごす彼女を迎えに行ったことがあった。
卑賎な鼠人にまといつかれ、腹にはその仔を宿し……。長い金髪と豊かな肢体のスカーレットは、まさに苗床といった有様になっていた。
自分も遠からず、そのような扱いになるのだ。
「は……はぁ……」
それを思うと唇と胎が緩みだす。リアンは性動をじっと受けとめつづけた。
地面に接した手と膝が痺れはじめる頃。ようやく種付けは終わった。新妻のナカから牡性器が引きぬかれる。
ずるるる……。
「んん……あっ」
いまだ開いた肉傘が膣ヒダを軽く弾いていった。初夜の余韻に相応しい甘さをリアンは堪能する。
「ハァ、ハッ……」
温かく滴る蜜洞で陰茎を擦り、仔を宿せる胎中に遺伝子を注ぎこんだ。これが彼奴の生涯最高の瞬間だったことは疑いない。ラットマンは口を開けて涎を垂らし、どこかぼんやりとした表情をしていた。
ゆえにリアンの方が素早く動く。
「んむぅ……」
「!!」
鼠人の夫は鳴き声をあげることができなかった。代わりに腰を跳ねあげさせる。
縮みはじめた棒肉がリアンの口内に招かれた。舌肉と唾液で優しく包みこむ。お掃除フェラがすぐさま開始された。
(やっぱり……すごいにおい……)
彼奴は水浴びもろくにしないようだった。蜜をまぶったことにより、白滓と悪臭がペニスの表面に浮きあがりだしていた。
それでもリアンは決して、妻の責務を放棄しようとしない。
ぢゅ……ぢゅつ……ちゅうっ。
「ヂィッ! ヂッ! ァァァ……ッ!」
射精したばかりの肉竿は敏感だ。そこに丁寧な慰撫が加えられる。温かな唾液に浸され、柔らかな舌体に撫でられ。ラットマンの逸物はすぐに膨張しだした。
どくっ! どく……どくんっ! どくっ!
「んむ……むふぅ……」
そして早々に二度目の射精へ追いこまれる。
彼はまだ若い。迸りにもまだまだ勢いがあった。粘る胤汁は喉を通りがたく、リアンの口腔には白濁液が溜まっていく。
「んふぅ……」
青臭さが鼻腔にも昇ってきた。濃い牡のにおいに頭がくらくらとしてくる。リアンは唾液を混ぜて半固形の種汁を溶かし、なんとか胃の腑に落としていく。
「んん……ふうぅ……っ」
鼻孔を大きく膨らまし、何度も息継ぎをした後。多量の灼液を全て飲みほせた。美女妻はようやく、夫のペニスから口を離そうとする。
しかしそれはあっさりと終わらない。
ず、ずず……ずずず……。
唇裏を竿にぴったりと押しつけたまま、頭を引いていく。視界の上方では鼠人の身悶えがちらりと見えた。
彼奴は今、柔く瑞々しい粘膜にねっとりと撫でられている。その反応は当然といえた。
「ヂァ……ァァア……、ア゛!? ア゛ァ!」
カリ首に到達した時、ラットマンの腰が強く跳ねた。ペニスの中でも特に鋭敏な裏スジを舐擦され、強い悦楽に襲われたのだ。
尿道の内に残っていた精液が、またリアンの口に放たれる。
「ん……んむっ……」
吐きだすことなど当然しない。粘りが特に強いそれも、咽喉を上下させて飲みくだす。
亀頭の段差も、幹竿の表面も、尿道の内腔すら。リアンの手管により、牡性器からは全ての汚濁が拭われた。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ」
ラットマンは腰をぬかして床にへたりこむ。赤い舌を出しながら、荒い息を吐きだすばかりだ。
「困りますわ、旦那さま」
対するリアンの言葉は冷静だった。つい先ほど、胎にも胃にも精を受けいれたと思えぬ落ち着きようだ。
美女は次に、仰向けに寝転がった。床に背を預けて大きく開脚する。生殖器が露わとなった。
リアンの花弁は普段は控えめで、蜜洞からひっそりと姿を覗かせるにすぎない。しかし淫血が巡り育てられた今、その内孔を曝けだしていた。
注がれたばかりの白濁汁が逆流しだす。そこには愛液の、甘い匂いもはっきりと混じっていた。
「精液は全部……私のオマンコに出していただかないと」
「……!」
妻の言葉を聞いたラットマンは、弾かれたように動く。
ずぶんっ!
そして二度目の種付けを挑んだ。
短時間で二回の射精に至ったというのに。ラットマンの勢いはそれを感じさせない。妻の柔乳をぎゅっと掴むと、締まった腹の上にのしかかる。
ばちゅんっ! どちゅっ、どちゅんっ!
「はっ、はぁっ……あぁぁっ!」
そして腰の入ったピストンを見舞いだした。情欲まかせの交尾にリアンものめりこみだす。
若い夫婦は狭い巣穴の中でなおも睦みつづける。初めての交わりは、陽が沈みまた陽が昇るまで終わらなかった。
◇
リアンが若いラットマンと婚姻し、十日が経った。
「はっ、はぁ……! はぁ……」
食事と睡眠。若い鼠人はそれら以外の時間は全て、新妻に種汁を注ぐことに費やしていた。
リアンの身体にはその成果がすでに表れている。すなわち……妊娠である。
(おなかが、こんなに大きくなるなんて……)
鍛錬により引きしまっていたメイドの腹は今、はち切れそうなほど膨らんでいた。そこに宿る仔鼠は一匹だけではないからだ。
ラットマンの精液には成長ホルモンが多量に含まれている。それが性急な臨月と無法な多孕を引きおこしていた。
「も、もう出てきそう……」
モンスターの仔を孕み、産みおとす。そんな経験すらリアンは初めてではない。分娩の時が迫っているとわかった。
尻と足裏を地面にぴったりと着け、内腿と秘部を露わにする。そんな煽情的な体勢で出産に臨む。
「ヂィ……」
大きく膨らんだリアンの腹は、呼吸の度に苦し気に上下する。夫のラットマンはただただじっと見守っていた。
己の遺伝子を継ぐ仔を産もうとしているのだ。さすがの鼠人も、今の妻にのしかかる様子はない。
「ふ……! う、うぅっ!」
大きな震えが腹奥から立ちのぼった。同時に淫口から羊水が噴きだした。陣痛が訪れた。白い肌には朱が差し、整った美貌に汗が浮きはじめる。
「は、はぁ……、はぁっ!」
リアンは努めて息を整えようとする。しかし徐々に強まる痛みと……なにより快感が、美女から理性を削っていく。
ずず……!
「はっ、あっ! ああ゛!」
子宮口が開いた。体内の性感帯を中から拡張される感覚に、リアンは為すすべなく絶頂に達する。
ずり、ずり……ずるっ。
「ふ、ぅぅう……っ! あぁっ、あ! は、あぁぁあ……!」
それでも胎の動きが止まることはなかった。膣道を拡張され、擦擦される感覚が後に続く。
オルガスムスを迎えた性粘膜は鋭敏だ。しかし当然、胎児はそんなことを気にしない。出口に向かってひたすら邁進する。
「い、イク……! はぁっ、あぁぁ!」
鼠人の夫が見守る中、リアンは再度の絶頂に押しあげられる。間隔は余りに短い。そんな体験が美女の脳に改めて、とある情報を刻みこでいく。
モンスターの仔を産むのはとても気持ちがいい、と。
ぶぢゅっ!
「ふぅッ! はぁぁあ……!」
M字に開いた脚の狭間。そこにラットマンの嬰児がついにまろび出た。
「は、はぁ、はぁっ……」
羊水の生々しいにおいを嗅ぎながら、リアンは我が仔に目を落とす。
産まれたばかりのそれはまだ毛が生えそろっていない。赤みの濃い皮フが窺えた。そしてヘソからは肉管が伸びていた。それは己の膣口に、しっかりと続いている。
「っ……!」
鼠人の嬰児は銀髪の美女とは似ても似つかない。しかしこの仔と己には確かな血の縁がある。その事実はこの上なく断定的に示されていた。
怖気を感じてもおかしくない現実だが……。家族と呼べるものが増えたことに、リアンの心が少し暖かくなる。
ずぐん……!
「うぅぅっ……! あ、はあ゛ぁッ!」
しかし彼女の胎はそれよりもずっと熱かった。
リアンの子宮には誕生を待つ鼠人がまだ存在する。
ずずずっ……!
「はぁっ、はぁっ!」
長兄が通りぬけたことにより、子宮口も膣腔も広げられている。続く弟はスムーズに産道を進みだす。
性粘膜は淫血でぷっくりと膨れている。痺れるような悦楽がリアンの瞳を眩ませた。
ずちゅぅっ!
「はぁっ……、あ、あ、あぁっ!」
再び派手な水音を響かせ、第二仔が誕生した。まだ目が開いていない彼奴は、兄と折り重なるようにして床に寝転ぶ。
しかし美女は早くも、次の分娩に心奪われていた。
(もっと……もっと……)
さらなる快楽を味わうため、リアンは腹圧をかけた。我が仔は素早く反応する。またも胎孔がこじ開けられた。
「はぁっ、あぁ……! は、あぁぁぁあ!」
期待を裏切られることはなかった。子宮が空になるまでリアンは産悦を味わい、異常な絶頂を堪能した。
この日、リアンは四匹のラットマンを出産した。家族が一気に増え、狭い巣はますます賑やかになっていく。
◇
リアンが若いラットマンと婚姻し、十五日が経った。
「ヂヂィッ!」
「いってらっしゃいませ、旦那さま」
朝、ラットマンは狩りに赴く。リアンはそんな彼を恭しく見送る。それが日課となっていた。
妻が深々と頭を下げると、双房も重たげに垂れさがる。形よかった美巨乳は今、サイズをひと回り以上もあげていた。
鼠人の精液に含まれる成長ホルモンは人間にも作用する。リアンの肢体も繁殖に適したように変えられていた。
乳房の膨張はそのひとつだ。発達した乳腺にはミルクをたっぷりと蓄えることができる。先端も変化していた。肥厚し、桃色が濃くなった乳首は仔鼠の目にも簡単に見つけられる。
(ふぅ……。ここまで胸が大きくなると、さすがに大変ね)
豊かに発育した身体は、熟練のメイドといえど持てあました。しかしそれは仕事を放棄する理由にはならない。
「さて……」
狩りから帰った夫を十全に労わるため。妻は生活の維持を始める。
貯蔵した食糧を煮炊きし、地面に敷いた床材を清掃し、寝具の藁を干す。メイド服はないが、そのスキルは十二分に発揮された。
陽はまだまだ高いというのに。リアンはあっという間に家事を終えてしまった。
「ヂィィ……」
しかし暇にはならない。何故なら彼女は母でもあるからだ。
我が仔の一匹がじっと見上げている。その視線の先になにがあるか。母は疾く察した。
「おっぱいね。ふふ……甘えんぼなんだから」
リアンは微笑んだ。それから膝を折ると床に横座りする。豊かすぎる胸乳がゆさりと揺れた。我が仔はそこに向かって飛びつくと、ぷっくりとした桃突起に勢いよく吸いついた。
ぢゅっ、ぢゅぅっ、ぢゅるっ、ぢゅぅう……!
そして音も高くミルクを啜りはじめる。
自身の胎で育てた存在に、自身の乳を飲ませてやる。そこには性交とはまた違う……授与の快感があった。
しかしリアンを聖母というには、いささか煩悩が表れすぎていた。
「は、はぁ、はぁ……」
雪白の美貌に艶朱が浮きあがる。肥厚した乳首を食まれ、細い乳管にミルクが殺到する。それは間違いなく、肉悦に通じている。
「ん……」
ラットマンは器用な手指を持っている。それは仔どもであっても変わらない。もう片方の胸乳がぎゅっと掴まれた。
搾られた片房からもミルクが溢れだす。床材に飛びちった母乳は白い染みと甘い匂いを巣穴に撒きちらした。
「ヂ……」
「ヂヂィッ!」
もちろん他の兄弟たちも反応する。兄弟の授乳を眺める彼らは、股間からペニスを伸ばしだした。
ラットマンは性成熟も非常に早い。リアンの仔たちは皆、すでに精通していた。
「まぁ……こんなにして……」
我が仔たちから肉欲を向けられる。母としてではなく、女として求められている。
背徳の実感は実に甘美だった。美女を素直に身を任せる。
「ふふ……順番、だからね」
授乳したままリアンは仰向けになった。内腿の筋を伸ばすと、膝を立てて腰を上げる。ひくひくと蠢く淫裂が露わとなった。
(もう、濡れてる……)
成長ホルモンにより育てられたのは、柔肉の豊かさだけでない。感度や神経にも作用していた。母仔相姦の期待だけで、リアンの内肉は準備を整えている。
待ちきれないとばかりに、一匹の仔鼠がペニスを突きたてた。
ずぶぶぶぶ……!
「は、あぁぁっ……!」
精通を迎えたといえど、我が仔の性器は太さも長さもまだまだ未熟だ。膣口は肉棒をあっさりと咥えこめた。
ずぶっ! ずぶっ! ……ずちゅっ、ずぶっ!
「ん……、んふ……。じょうず、じょうずよ」
仔鼠は腰振りもまだまだぎこちない。なにより限界が早かった。何往復もしない内に、ペニスから射精の前兆が伝わってくる。
「いいわよ……遠慮しないで、ぜんぶ出して……」
腹腔に力を込める。震える亀頭の動きをさらに強く感じることができた。ガーネット色の瞳には、快楽にわななく我が仔の顔が映る。
肉よりも心の快感が、リアンを絶頂に押しあげた。
どくっ、どくっ、どく……!
「ふぅっ、ふっ……はぁぁ……っ」
同時に精液が子宮に流れこむ。まだ幼いがれっきとした牡獣だ。迸りの勢いは侮れない。白濁に流されぬよう、母を意識をしっかり保つ。
「もうメスに種付けできるのね。すごいわ」
射精が終わると、リアンは我が仔の頭を撫でてやる。その賞賛は心からのものだ。我が仔はわかりやすく尖貌を緩ませた。
繁殖欲と承認欲。遠く離れたそれらを、母の愛情はともに満たしてくれる。喜んで当然だった。
「ヂィィ! ヂィッ!」
「ヂヂッ!」
「ふふ。もちろん、あなたたちにもしてあげるわ」
一匹が満足しても、母の務めはまだまだ終わらない。
狭い巣穴の中で、母は仔どもと乱交に耽る。いつの間にか陽は落ちかけていた。
「ヂィ!? ィィイッ!」
突然、外から大きな鳴き声が転がりこんだ。狩りから帰って来た夫がこの現場を目撃したのだ。
相手は血を引いた存在である。しかし自分の妻を貪食するのは許しがたかったようだ。彼は怒りも露わに、我が仔に対し歯を剥きだしにする。
「旦那さま。そんなことはなさらないで」
「ヂィィ……」
しかしリアンが嗜めると、彼はすぐに大人しくなった。
「あなたにももちろん、気持ちよくしてもらうから……」
そして自ら脚を大きく開く。大型種をも産みおとした股関節は柔らかい。会陰部の全てを晒すことができた。
仔鼠たちの欲望を受けいれたリアンの牝孔は、白濁液とともにむんむんとした熱気を放っている。牡が抗えるはずもなかった。
ずぶぅっ!
「あぁぁあ……っ!」
ラットマンはひと息で最奥まで突きこむ。
夫のペニスはもちろん仔よりも大きい。膣肉を掻きわけられる感触でリアンは呆気なく達してしまう。
「ヂヂヂ!」
妻の悩乱に狩りの疲れも吹きとんだのか。ラットマンは力強いピストンを繰りだす。腰と腰とがぶつかる鼓音に、仔鼠どもも再び湧きたった。
夜が更けて皆が寝静まるまで、リアンは母と妻の役目を務めることとなる。
◇
リアンが若いラットマンと婚姻し、二十一日が経った。
昼は我が仔から、夜は旦那さまから。それぞれ白濁を注がれつづけたリアンの子宮には、また新たな生命が宿っていた。
(今夜にはもう産まれるわね)
ベテラン経産婦の彼女には確信があった。夜半の間に自分は再び、鼠人の母になってしまうだろう。
動けなくなる前にリアンは準備を整えた。住処の真ん中に藁材を集める。柔らかさを出来るだけ確保してから、背と尻をしっかりと預けた。
「う、うぅっ!」
両脚でM字を描き、出口をつまびらかにしたところで、ちょうど陣痛が始まった。
夫と四匹の仔どもは、その様子を静かに見守っている。
「はぁっ……はぁっ」
一度目の妊娠よりも腹が重い。さらに多くの仔鼠が宿っていることがわかった。その理由はリアンの身体が、ラットマンの繁殖にさらに適したからに他ならない。
鼠人を孕むことに慣らされている。その事実に銀髪の美女は、昂揚を感じずにはいられなかった。
「は……っ、はぁっ!」
しかし今は出産に集中しなければならない。リアンは努めて呼吸を整え、腹腔から力を抜こうとする。
「うぅっ! あ、あぁぁぁ……!」
妊婦の邪魔をするものは快楽だ。わずかな胎動だけで達してしまう。鼠の妻の身体は、すでにそのように開発されていた。
「ヂィ……」
伴侶が苦し気な息を吐いているのだ。見守る分別が夫にはあった。しかし四匹の仔どもたちは違った。
「ヂヂ!」
「ヂヂィッ!」
大きな乳房を放りだし、蜜穴からは甘い匂いを発する。彼奴らは母のそんな様に欲望を煽られていた。豊満な女体にまといつきだす。
「んんっ! んむぅ……」
大きく膨らんだ腹と乳に手をかけ、一匹がリアンの顔にまで昇ってきた。悩ましく開く朱唇に硬くなった肉棒を咥えこませる。
「ヂ! ヂュウッ、ヂュゥ……!」
双房にはそれぞれ尖口が吸いつきだす。
まだ見ぬ赤仔に与えるため、ミルクはすでに増産されていた。乳離れはとうにしているのに。溢れんばかりの白滋養に、仔どもたちは舌鼓を打つ。
ぢゅちゅっ! ぢゅじっ! じゅぼっ!
「はぁっ、あぁ、あぁっ!」
胎児を待ちわび、ひくつく陰唇にも鼠根が押しこまれる。外からの刺激に膣肉は驚く。リアンは喘ぎとともに、我が仔の性器をきゅぅっと締めつけた。
「ヂィィイ! ヂッ! イィッ!」
妻への無体に対し、ラットマンは大声を響かせた。父の一喝に仔どもたちは動きを止めるが……。
「いいの……私も、気持ちいいから……っ」
母は寛大さを見せる。我が仔たちの背を撫でると、性動を促してやった。豊満な女体にまとわりつく毛玉どもはますます盛りだす。さらに音高く乳を啜り、暖かい穴に牡性器を突きこむ。
どくっ! どくっ! どくんっ! どくっ!
間もなく、皆が絶頂に至った。口にも膣にも白濁液がぶち撒けられる。
「むぅぅっ……、む、お、おぉぉ……っ!」
青臭い精液のにおいと味がたっぷりと絡みつく。リアンはしばし多幸感に包まれた。しかしうっとりとした表情は、にわかに強張りだす。
「ふぅっ!? は、あぁぁあっ!」
格段の痛みと震えが内側から生じた。陣痛がいよいよやって来たのだ。完全に余裕をなくした母に、仔どもたちも慌てて退散する。
ラットマンの出産は二度目だというのに。その道行は順調でなかった。
(な……なかなか、出てこない……?)
腹がさらに大きく膨れたのは、より多くの胎児を宿したから。それだけではない。鼠人の仔もより大きくなっていた。
ポルチオを内側から押される、異種出産独特の悦。肛門にまで快痺が走るそれを、リアンはたっぷりと味わうことになる。
ずず……。
「は、あぁ! はぁっ、はっ……!」
白銀の美貌が脂汗まみれになる頃。胎内の一匹がようやく子宮口を潜った。異種姦と異種出産で育てあげられた性感帯が、脳を蕩かすような快楽を伝えてくる。
リアンは次に、産道を進ませることに意識を集中させるが……。
ぐいっ! ぐりりっ!
「はぁッ……!? あ゛、あがぁぁあッ!」
ずんと重い性感が胎を押しこんだ。目から火花が散り、口からは艶叫が迸る。ただならぬ母の様子に仔たちも怯えだす。しかし今のリアンにはそれを察する余裕もなかった。
「だ、ダメ! そんな、いちどには……あ、ああ゛!」
頑健に育ったラットマンは意気軒高だった。胎児は我先にと子宮口に殺到する。
一匹を通すだけでも苦労したのに。胎門には今、何個もの鼠頭が押しつけられている。その全てが力尽くで押しとおろうとするのだ。
ずず、ずずず!
「はぁッ、はぁッ! あッ、はぁッ……」
重量感と快楽が体奥に食いこむ。それは完全に許容量を超えていた。
しかしラットマンのホルモンを浴びつづけた美女は、その要請を受けいれてしまう。子宮口がゆっくり、ゆっくりと開いていく。
「ふぅっ、はぁっ!? あ、あ、がぁぁッ!」
我が仔に注がれたばかりの精液が潤滑剤となった。ラットマンの嬰児たちは転がるような勢いで、膣口までも突破する。
ぶぢゅっ、ぢゅぢゅうぅッ!
「い……いぎぃぃッ! が、あぁぁあ゛……!」
裂けんばかりの引きのばされた性粘膜から、けたたましい水音が鳴る。そこに母の絶叫も加わった。三匹もの仔鼠が、一緒に外界へ転がりでた。
無理を通した膣口は開きっぱなしとなってしまう。後に続く三匹はそこを悠々と潜った。
「ヂィィイ!」
「ヂィッ、ィイ!」
弟の誕生に仔鼠たちは湧きたつ。父ももちろん喜びを表現する。高い鳴き声をもって、己の血を引く息仔たちを歓迎するのだった。
◇
リアンが若いラットマンと婚姻し、今ちょうど、二十二日目を迎えた。
メイドの体内時計は実に正確だ。ゆえに全裸でも現在の時刻がわかった。
「…………」
ヘソの緒は複雑に絡まっていたが、その処理も終わった。リアンは改めて巣穴の中を見回す。
ラットマンの夫と、十匹の仔どもたち。巣穴は完全に手狭だ。土を掘って拡張するか、新たな住処を探さねばならないだろう。
しかしリアンはそんなことをするつもりはなかった。
(悪くはなかったのだけれど……)
己の心と欲を冷静に分析する。鼠人の夫も多産の悦も悪くはなかった。だがそれだけだ。
改めてそれを悟ったリアンは、すぐさま行動に移る。
「ヂ?」
リアンはすっくと立ちあがった。そして出産と授乳を終えたばかりだというのに、出口に向かって歩きだした。
仔は母の行動をよくわかっていないようだった。しかし夫は妻の意図を疾く察する。
「ヂィィィイ! ヂュィィイ!」
甲高い鳴き声を響かせると、リアンの前に立ちふさがった。出て行かせまいと必死の形相だ。
多頭出産と乱交交尾で体力はがくんと落ちている。それでもラットマンなどリアンの脅威にならない。
しかし美女は実力行使を望まなかった。静かに膝を折ると、鼠人の尖口を自身の柔唇で塞ぐ。
「んん……んちゅっ……」
「!!」
夫婦生活で初めて行ったのが、このディープキスだった。そこから短くも濃密な時を過ごした。リアンも感傷がないわけではない。
(家族になれるかと思ったけれど……)
しかし心底からは満足できなかった。それが厳然たる事実だ。だからここを去らねばならない。
やがて最後の口付けが終わった。美女と鼠人の間には銀色の輝橋が架かる。それは呆気なく崩れおちてしまう。
「仔どもたちをよろしくお願いしますね」
込められた意が伝わったのか。ラットマンはぺたんと座りこんだ。妻を追う気配はもうない。
短く言いのこしたリアンは、後ろも見ずに巣穴を後にした。
地下の森は外部の光を取りこんでいる。ゆえに陽が沈むと、ここも同時に夜を迎える。
日付は変わったばかりで、森中には闇の帳が降りている。しかし全裸のリアンは臆することなく、さらなる奥地へ歩みを進める。
「ん……」
愛蜜と羊水が内腿に跡を引いていた。膨張した乳房の先からはミルクが零れだす。
いずれの液体にも牝のフェロモンがたっぷりと含まれている。孕ませ甲斐のある女体があると、周囲に報せてくれることだろう。
(今度はどんな殿方と出会えるのかしら……)
新たな婿候補はどのようなモンスターなのだろうか。銀髪の美女は早くも、次なる出会いに胸を高鳴らせていた。