※この作品はR-18です。

東方銀翼伝 side story ~轟アズマ争奪戦!~   作:命人

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 自分の汗が媚薬となってしまった、そしてその原因が永遠亭の風邪薬であることを突き止めたアズマであったが、その瞬間に足元にポッカリと穴が開き、暗闇の中に光る無数の目玉に見つめられながら何処かへと落ちていく……。


Chapter8 ~異変の真相~

 どうやら俺はスキマに飲み込まれてしまったようだ。

 

 こんなことするのは紫だろう。彼女の場合は特に何のために行動しているのか読めないのでそういう意味では厄介である。

 

 俺の汗が異変の原因ということは汗を流してしまえばいいのだが、こんな調子ではいつまでも異変の犠牲者が……。

 

 汗の他にも色々な体液に同じような異変を起こしており、より濃厚であったであろう媚薬成分を直接口で受けてしまった衣玖は……。

 

 そう頭を悩ませていると目玉だらけの空間を抜けた。目の前に広がるのは……。

 

 目の前に広がるのは一面の薄水色と桜色。スキマの外では幽々子が待ち構えていたかのように両手を広げていた。俺は重力の赴くままに彼女にぶつかるとぽふっと優しく抱き留められたのだ。ほんのり漂う桜の香りが鼻孔をくすぐる。

 

 そして顔に凄まじいばかりの「凶器」が押し寄せてきているが、今回ばかりは状況が状況なだけにクッションとして機能したと思えばやぶさかではない。恐らく後ろにはスキマを発生させた大妖怪が控えているのだろう。

 

「ゆかりー、アズマ君が来たわよー」

 

 ほどなくして亡霊少女の隣に座らされた俺は反対側に幽々子と同じようなドアノブカバーのような形をした帽子を被った少女が近づいてきた。奴こそスキマ妖怪、つまり俺をこの場所に誘った張本人……。

 

「来たわね、最高の酒の肴が。なんだか今日のアズマは妙に人気者だから嫉妬しちゃったわ」

 

 二人とも寄りすぎだって。そんなに密着されたら暑いし、暑いということはまた汗が……。このままではまた異変の犠牲者が……。

 

「あの……」

「駄目よー? 美女二人のお誘いを断るというのかしら?」

 

 自分で美女とか言うなよ……。そう心の中にツッコミの言葉をとどめていると勝手にグラスに飲物を注がれる。で、これを飲むようにと促された。どうにかこの状況を脱却したいが、抵抗するのはあまりにヤバ過ぎる相手だ。しかも二人。

 

 幸いにもあまりアルコールのきつい飲物ではなかったが、俺は今すぐに自らの体に起きた異変を何とかしないといけない。お互いにグラスの中身を飲み終えて一瞬の間が出来た。意を決して……。

 

「俺には行かないといけない場所が……」

 

 そそくさと立ち上がろうとしたが、しだれかかるように幽々子に押し倒されてしまった。横たわる俺の左右に少女二人。このパターンはまさか……!

 

「そうよね。行かせてあげるわ、私達が。アズマ君を天にも昇るような気分になるようにイかせてア・ゲ・ル♪」

 

 亡霊が「天にも昇る」とか言い出すのはシャレにならないぞ。それに死んでしまうわけにはいかない。俺が行こうとしているのは桃源郷ではなくて、薬の副作用を中和する手段を知っているであろう月の頭脳……。

 

「分かっているわ。今のアズマは異変の中心……むしろ異変そのものと言っても過言ではないわね」

 

 甘ったるい幽々子に対して、可愛げな高い声に似つかわしくない恐ろしいまでに冷静な口調で続ける紫に俺は驚いて目を見開いてしまった。なんだよ、異変に巻き込まれるフリをしてちゃんと事情が分かっているんじゃないか。

 

「ならば俺を解放してくれ。俺は永遠亭で処方された薬の副作用で苦しんでいる。再び診察を受けてしかるべき治療を受けなければならない!」

「その申し出を受けるわけにはいかないわ。むしろその申し出は無意味とでも言いましょうか。というのも、永遠亭の技術では貴方の病気を治療できないのだから……」

 

 えっ、それってどういうことだ……!?

 

 鈴仙や永琳では今の俺を救うことが出来ない。真顔を保ちながら、スキマ妖怪はそう断言してしまったのだ。

 

「デタラメなことを言わないでくれ! オカルトじみたことを言われて好き放題に体を弄られるのはもう勘弁だからな!」

 

 俺は同じように雛や衣玖にイタズラされたことを思い出して抗議した。

 

「そういえばそんなこともあったようね。厄神様だっけ? いい線行っていたんだけれど、あと一歩及ばず真相にはたどり着けず……。でもぉ、わらしは全部わひゃっちゃてふもんめー(私は全部わかっちゃってるもんねー)♪」

 

 俺の耳たぶを舐り始める亡霊少女。そのこそばゆさに身を小さく震わせる。

 

「あらまあ、幽々子に先を越されてしまいましたか。私も早く混ざりたいところですが、しばらくは幽々子に譲りましょう。それよりも貴方はひどく混乱しているのではなくて?」

「あ、当たり前だ。ちゃんと説明を……ひゃん!」

 

 耳の中に舌を入れられて思わず変な声が漏れ出てしまったが、意味は通じただろう。というより元から説明する気満々だったようだ。

 

「それじゃ、タネ明かし。貴方は自分の体液が少女達を狂わせる媚薬になってしまうという異変に見舞われているわね? 私もアズマと関わる少女達の挙動がおかしかったので少し監視させてもらったわ。確かに、貴方と触れ合った少女は例外なく貴方に好意的になっていた」

 

 うむ、その通りだ。というか全部見ていたのだろうか? 美鈴に背中から抱き付かれて赤面しているところも、厄神様やリュウグウノツカイに「食べられ」たところも、邪仙が本気で泣き出してしまったところも……。

 

「俺もおかしいと思い、最近の出来事で気になったのが永遠亭での治療だった。薬の力で俺の免疫を強化してもらったんだ」

 

 さて、真剣な話をしているさなか、この「いささか大きすぎる子猫」はスリスリと頬ずりしたりこちらに抱き付いたりしてくる。そして俺の顔を抱き留めるようにして頭をナデナデ……ちょっ、息が詰まるから! その「凶器」が押し付けられてるって!

 

「……幽々子、好き過ぎるからってアズマを死に誘うのはやめなさいな。それと一応彼とお話しているのです。邪魔にならないように」

 

 しょぼくれた声で「はーい」と返事が返ってくると再び耳責めを始めてきた。空いた片手でこちらの上半身をまさぐりながら。正直集中できない……。

 

 永遠亭で処方された「免疫強化剤」。服用するとたちどころに眠気に襲われるが、その間に体内に備わった免疫が外敵を、つまりウイルスを撃退する能力が強化され、目覚めるころには風邪が治っているというシロモノ。副作用は眠気に襲われる以外にもあったと考えるのが妥当だろう。

 

「そう。アズマの受けた治療というのは免疫を強化させることだったのね。なるほどなるほど……。推測だったのだけど確信に変わったわ。貴方が強化されたのは免疫だけではないのよ」

 

 実際にそこに居合わせたわけではないというのに、このスキマ妖怪は核心に迫る言動を続けていた。さすがだ、何でもアリなんだな……。

 

「アズマが強化されたのは免疫の他にフェロモン分泌能力。平たく言うのであればメスを惹きつけるオスの香り……よ」

 

 ふぇ、フェロモン!? フェロモンといえば人類の場合は腋の下から分泌されるものではあるが、人類に果たして有効なのかというのは疑問視されている。

 

 つまり俺が薬を服用することで免疫を強化した際にフェロモンも一緒に強化されてしまい、少女達は汗の匂いを嗅ぐ、直接舐めるなどして俺にメロメロになってしまったということらしい。そんなバカげたことが……いや実際に起きている。幻想郷ではつくづく役に立たない常識的思考。

 

 異変の核心に迫る俺と紫。そして一方の「いささか大きすぎる子猫」はというと……。俺の服をはだけさせて胸のあたりをペロペロ舐めていた。く、くすぐったい……。

 

「~~~♪」

 

 もうやりたい放題である。引き剥がそうとしてもビクともしないので大人しくしているほかない。こちらが抵抗しないからか、さらに積極的にペロペロと……。お、おまっ、どこ吸ってるんだっ! 俺は母猫じゃねぇっ!

 

「おいしぃ、おいしぃの♪」

 

 散々体中を弄り回されて敏感になっていた胸が舐めたり吸われたりすることで、体中に電気が走ったかのような快感が走る。その甘い痺れに思わず体をのけぞらせてしまう。その様子を冷静に見ている紫はやはり何かを思いついたかのようにポンと手を打った。

 

「やっぱり……。ここに誘って正解だったようね。フェロモンといえば一般的には腋の下というけれど、もしかしたら貴方の体液という体液がみんなフェロモンになっているのかもしれないわ」

 

 体液という体液……。嫌な予感しかしない。こいつらが俺から搾り出そうとしている体液ってのはまさか……!

 

「ふふっ、お顔真っ赤よ? そういえばさっきも同じようなことになってたんだっけ? くすくす……」

 

 唾液でヌルヌルになった乳首を指で弄りながら「いささか大きすぎる子猫」がからかってくる。

 

「分かりやす過ぎるわね、その反応。そうよ、まさに期待通り。つまりアズマの立派なソレから真っ白いものを……」

 

 すぐさま反対側から亡霊少女が聞こえるか聞こえないかくらいのささやき声で勝手に付け加えてくる。

 

「ぴゅっぴゅっぴゅー……って、何度も何度も。ふふっ♪」

 

 こいつらマジだ! 目がマジだった。酔った勢いでも、その場の空気に従ったに過ぎないわけでも、でかでかと無駄に大きな「大義名分」という名の看板を掲げるでもなし。純粋に俺を「食べる」つもりのようだ。

 

「貴方の香りが性的な衝動を巻き起こすものなら、より性的な体液を排出した方が効率が良いと判断したのよ」

「そういうこと。アズマくぅん、貴方のミルクちょーだいな♪」

 

 うーむ、確かに衣玖の一件を考えると否定できないし、恐らくはその通りなのだろう。それでもこの状況を甘んじて受けるわけにはいかない。こんな痴態を晒しては命蓮寺の恥だし、白蓮にこんなところを見られたらと思うと……。

 

「お前ら……。俺を、俺を襲うつもりなのか? 普通の発汗じゃダメなのか?」

「あら心外。これでもちゃんとアズマのことを考えてるつもりなのよ?」

 

 考えてる? その胡散臭い口が言うか! こうやって二人がかりで拘束して、こちらの意思など関係なしにこんな辱めを……。

 

「そうよー。私も紫もアズマ君のことが大好きだから、だからこそ出来るだけ傷つかない方法を選んでいるのよ?」

 

 くそっ、何を言っても無駄か。このような行為が最も効率がいいのは分かったが、だとしたらその相手はこの二人ではなくて……。

 

「『幽々子や私じゃなくて住職サマにヌいて貰いたかった』……かしら? 貴方って本当に顔に出ちゃうのね」

「ぬっ!? 他に表現方法はなかったのかよ!」

 

 いよいよ紫も本格的に参戦してきた。左右に幻想郷屈指の実力者二人が耳元をコショコショくすぐったり俺の両脚を片方ずつ自らの脚に絡めて動けなくしたり。蜘蛛の巣にかかり、あとは捕食されるのを待つだけの哀れな子虫。それが今の俺であった。

 

「白蓮さんじゃないとこういう行為は嫌? でも彼女、頼んだってこんなことしてくれないわよ?」

「だからー、今回は紫と一緒に貴方を助けてあげるの♪」

 

 たとえまな板の上の鯉だとしても、俺は自らの意思をハッキリさせなくてはならない。こんな状況で口にしても正直説得力はないだろうが……それでも言わなくてはならないんだ。

 

「俺は……聖様を裏切ることはできない。お前達に屈服するわけにはいかないんだ!」

「そう。こんな状況でもその意見を貫くだなんて、このアズマは本当に一途なのね。でも別の貴方はそうでもないらしいわよ?」

 

 別の俺だって?

 

「何を訳の分からないことを! 俺は『轟アズマ』紛れもなく一人だ。別の俺なんて存在しない!」

 

 本当に意味が分からない。まるで俺があちこちにいるみたいな物言いだったぞ?

 

「分からないかしら? 平行世界ってやつよ。同じ時の流れを無数の世界が同じように進んでいるの。もちろん世界の数だけ轟アズマもいるわ。それで平行世界をスキマを介して覗いてみたんだけど……」

「やっぱり白蓮さんがいいってアズマ君が多かったけれど、その他にも私や紫が一番好きって言ってくれる君もいっぱいいたのよねー♪」

 

 パラレルワールドを覗いたのか!? あまりにスケールが違過ぎて俺は眩暈がしてきた。

 

「貴方にはちょっと難しい話だったかしら? 私達ほどではなかったけれど邪仙さんや紅魔館の門番も随分と懐かれていた世界もあったわね」

「それでもどこに行っても貴方は甘えん坊さんだったわ。貴方とパートナーが並んでいるとカップルというよりも姉弟って印象を持ってるのが多かったんだもの」

 

 め、滅茶苦茶だ……。スキマって平行世界にも行けるのか? 実は俺はからかわれているだけで、お得意の虚言癖ってオチはないだろうか? ダメだ、酔っぱらいに難しい思考は無理だ。頭を使い過ぎてぐったりとしてきた。

 

「平行世界を覗いたのが嘘か本当かですって? ふふ、どっちでしょうね?」

「でもね、一つだけ確かなことがあるわ。ここでアズマ君が私達を拒んだら余計に犠牲者が出るわよ?」

 

「……!」

 

 そ、そういえば……。体液を抜かれることで俺の異変が収まると仮定した場合、ここでその「行為」を行わずに逃げた場合、俺の匂いに狂わされる少女が増えることに……。

 

「正義感の強い貴方が自分のワガママで被害を大きくしちゃうだなんて耐えられないんじゃない?」

 

 そ、それは……。しかし、よりにもよってこんなやり方は……!

 

「そうよー。大きくするのは『ここ』だけでいいの。素直になっていればすぐに気持ちよくしてあげるわよ♪」

 

 左右から柔らかな体に包み込まれ、大きな「枕」まで用意されている俺に起き上がる術はないのだ。この際平行世界云々の話はどうでもいい。ここで俺が逃げてしまっては匂いをあちこちにばら撒くことになり、余計に被害が広がってしまう。その事実が俺をこの場所に縛りつけるのだ。

 

 仕方がない、二人の施しは甘んじて受けよう。だが俺の心が屈服したわけではない。あくまで体だけ、体だけだ。ここに来て白蓮の顔がちらつくが、フェロモンに狂わされる罪なき少女を守るためだ……。

 

「分かった。もう抵抗しないから、体液とやらを吸い出して俺を元に戻してくれ」

 

 ぱぁっと二人の表情が明るくなるのが分かった。

 

 こちらが了承の言葉を口にするや否や、密着していた二人はそのたわわな「凶器」を俺の顔に押し付けんばかりにさらにくっついてきた。

 

「あーあ、ついに言っちゃったわね。お互い同意の上、トコトン楽しみましょう?」

「やっぱりくっつかれるだけでオアズケなんて我慢できないよね。いいのよ、我慢なんてしなくて。さあ、お姉ちゃん達に任せなさいな♪」

 

 これも異変を解決するため……。俺は心の中で何度もそう唱え続けた。対するお姉さま方は脇腹をくすぐってきたり太ももの内側を指でツーっとなぞったりしてくる。くすぐったさに身をよじりたいところだが、両脚が動かせないので腰のあたりを空しくクネらせるだけに至った。

 

「これだけ反応してくれると責めがいがあるなー♪」

 

 更に太ももを撫でる二人の手は脚の付け根へと近づいてくる。

 

「この辺りは老廃物が溜まるそうよ。リンパの流れを意識してスッキリさせましょう」

「君は反抗的だったから、ちょっと焦らしちゃうわよー♪」

 

 マッサージを受けながらもサワサワと触れるか触れないかの瀬戸際である愛撫も続く。こ、こんなの生殺しだ!

 

「も、もういいだろ。早く本来の目的を……」

 

「腰浮いちゃって……。それじゃあちゃんとオネダリしなさいな」

「可愛くよ?」

 

 くっ、俺を助けるからと調子に乗りやがって。仕方ない、ゴネても俺が辛いだけなのでさっさとそのオネダリとやらを済ませてしまおう。

 

「ちっ、わかったよ。早いところ俺の体を元に戻してくれ」

 

 これでようやく……

 

「全然可愛げがなーい! やり直しよー!」

「『誰』に『何』を『どうして』欲しいのかしら? ちゃんと言えるまでオ・ア・ズ・ケ♪ くすくす……」

 

 こいつら……。この間にも「その部分」を的確に避けてナデナデしてくる二人。息も荒くなってきてこれ以上はおかしくなってしまう。背に腹は代えられない……言うしかない! 俺は覚悟を決めた。

 

「紫とゆゆ……」

「紫おねえちゃんと幽々子おねえちゃん」

 

 二人揃って何てこと要求するんだクソッタレ……。あーわかったよ、こうなったら開き直ってやる!

 

「紫おねえちゃんと幽々子おねえちゃんにおかしくなった僕の体を治してほしいです……」




 平衡世界のくだりについての裏話ですが、この作品の原作を連載していた場所でキャラクターの人気投票を行っており、投票結果で上位にいたキャラクターを登場させるという企画を行っていました。

 これはその時の名残だったりするのです。

 また、原作段階ではギリギリ全年齢対象として連載しており、今回のリメイクにあたりR-18化させました。

 もっとも該当シーンは隔離しており飛ばしてもある程度話が通るように作ってあります。
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