敬語でしゃべる禪院真依のキャラ崩壊感があまりにもすさまじくて……。
8月。
呪術高専への進学に伴い福岡から京都へ居を移した徹にとって、初めての夏がやってきた。
福岡県南部の郊外に位置する空閑家の本邸は、全国でも屈指レベルの蒸し暑さになる環境である。風邪をひいた時の体温のごとき猛暑を連発する暑さに慣れた徹にとっては、京都の盆地の暑さは地元のそれを思い出す程度のもの。
寮をむしばむ埒外の暑さと湿度、そして全く効かない旧型のエアコンによって寒い地域出身の同級生たちが体重を減らしていくのをよそに、徹は涼しい顔で任務に励んでいた。
呪術高専には夏休みという概念が存在しない。正確には、夏休みに該当する期間は座学と実習からなる「学生としての業務」は停止するが、「呪術師として」招集があった際には即応しなければならないので待機だ。
むしろ「授業中などの遠慮なく高専生をこき使える時期」として任務でてんてこ舞いとなり、嫌でも「卒業後の呪術師としての生活」を疑似体験することになる。任務を選ぶ権利があるフリーの術師と名門の術師が休みを取っている間に来る仕事は、すべて選ぶ権利を持たない学生に押し付けられる寸法であった。
呪術界の繁忙期は一般に五月病や新環境への鬱屈などが噴き出し始める5-6月だと言われているが、それに次ぐ呪霊発生シーズンには地域差がある。
南北に長い日本列島の気候特性が影響し、東京以北では「冬」が死の象徴として恐れられ、南方の温暖地域では「夏」から「秋」にかけてが台風や洪水、そして盆の集まりによる負の感情が集まる時期として警戒される。
名門「空閑家」に所属していた当時は万全のバックアップの元での任務が多かった徹だが、高専生として前線に身を投じている今は、御三家やフリーランスが門前払いするカスのような任務もこなすようになっている。
「跋除完了しました。報告こちらにまとめといたんで、後処理はお願いします」
「は、はい!」
必然的に任務をこなす頻度と密度が増え、今やほとんど寮にも戻らず任務地から任務地へ移動し続けている有様。徹に回ってくるのは五条悟案件かそれに近いレベルの最高難度のものがほとんどだったが、それでも徹からすれば難しいものではない。いつぞやの経験を生かして器用に移動時間で休息をとりながら、徹は淡々と任務を処理していた。
「ええと、空閑一級はこの後どちらに?」
移動頻度が多すぎるので補助監督すら安定せず現地集合・現地解散が主となっているので、その移動先があらかじめ通達されている予定通りであるか確認する意味も込め、この場を取り仕切っている若い補助監督が問うと、徹はその表情を少し険しくする。
「……ええ、まあ。ここからだと禪院家が近いので、少しご挨拶を」
その返答は、補助監督の聞いていた通りのものだった。
もともと、何かと政治的しがらみの多い呪術界とはいえ任務中の人間に協力するのは常識だ。多忙中の通りがかりに名門の拠点があれば、そこで休ませてもらうのは"アリ"とされる。下手に宿を取ろうとして怪しまれたり迫害のリスクを負うより、呪術界の一員たる「身内」の力を借りるべきという伝統に基づくものだ。
特に実力主義の禪院家はこのあたりかなりしっかりしていて、高専生だろうがフリーランスだろうが任務中と確認が取れればバックアップは惜しまない。禪院真希の言うところの「家を知らないオッサンが歩いてる」の正体の一つである。
手続き不要の顔パスでこの手の手助けを受けられるのが、旧来のコネ社会の強みであった。まあ、空閑徹ほどの重要人物ともなれば、そのような慣習がなくとも勝手に押しかけて問題ないだろうが。
(……?)
ただ、この補助監督は禪院家の傍流出身であったため事情通で、徹の愛人の一人が禪院本家にいることを知っていた。徹の言うところの「挨拶」は要するに、任務の合間に愛人と逢瀬するつもりだと理解した彼女だが、すると一つ余計な疑問が浮かんでくる。
あれぐらいの年の男子で、これから彼女に会いに行こうという時ならもうちょっとソワソワしてもいいのではないだろうか。あれだけ忙しそうな任務の貴重な息抜きなことだし。
(なんで任務よりイヤそうだったんやろな……?)
恐らくそれは、徹自身も自覚していない表情であった。
◆ ◆ ◆
禪院家は御三家で最も実力主義を重んじる一族だけあり、呪術界にその戦闘力で長年貢献してきた。
内部は旧態依然とし、術式のない者、あっても弱い者は負け組として生涯虐げられる定めにある。
――逆に言えば、実力のある者は相応の権力を得られるという意味でもあり。
本邸を訪れた徹は下へもおかぬ歓待を受け、呪術界の重鎮たる禪院家当主と並ぶ扱いを受ける。
「…………」
宛がわれた客間は、高級旅館もかくやという豪奢な和室。これはもはやいつものことで、さすがに何年もこんな扱いを受けていれば慣れもするというもの。
「んっ……じゅぷ、ちゅっ……」
問題なのは、今も徹の足元で健気に奉仕を続ける禪院真依の存在であった。
彼女が徹の事実上の妾になって数年。徹がこの家を訪れるたび、食事時のお酌(ジュースだが)から風呂、そして夜の奉仕に至るまで、基本的にすべて真依に世話される形となる。
ここ数年はほぼ花嫁修業に専念している真依のそれは、大変に細やかな気遣いが行き渡ったものであり。本人生来の素質もあって、この時ばかりは徹が何もしなくても、勝手に「丁寧な生活」が成立するほどだ。
名門出身とは言え武門で「自分のことは自分でやれ」という気風のある空閑家で育った身である。
その前世が完全な一般人であったことも合わせ、「田舎の亭主関白な父親」のようにどっしり構えているだけでいいのは逆に居心地が悪いが……上流階級のはしくれとして、役目に逆らうことの愚かしさくらいは解している。
「んぶっ……
「ああ、気持ちいいよ」
そして、あれよあれよと寝所に通された今。
一言「今日も頼む」と告げれば、真依は即座に三つ指ついて感謝を告げ、そして徹の浴衣をまさぐると、きわめて丁重に愛撫を始める。
頼まない、という選択肢はある。一貫して、立場が高いのは徹だ。およそ大半の要求は素通しと考えてよい。
だがその場合、「世話役」をやりたがって……要するに、徹のお手付きの座を狙おうとする女性は禪院家の中だけでも山ほどおり、その中で序列の高い者が次のチャンスを勝ち取ることになるだろう。
あとは徹が首を縦に振るまで、リボルバー式に年頃の女が押しかけてくる寸法だ。
その全員が徹を……というか、徹の持つ地位と強さ、何より術式の刻まれた胤を欲しがっている。悪意的に略すなら、孕まされたがっているわけだ。
禪院家は強力な術師を尊ぶ。翻って、それを産んだ母親も。現代呪術界で二番目に強い男という錦の御旗を掲げる徹には(流石に人妻など例外はあるが)いつでも、何人でも、好きなだけ中出しをする権利と義務がある。
人によっては天国かもしれないが、徹からすればうんざりする話だった。真依一人にすべての世話を任せているのは、そのあたりの面倒ごとから逃げる意味も多分に含まれている。
「ぐぽ、じゅるるっ……」
とは言え、偉そうな理屈を捏ね回したところで徹は年頃の男だ。ただでさえ術師として死線をくぐり生存本能が刺激される身の上、本能はいつだって子孫を残そうと徹を突き動かす。
真依は徹と同じ年頃、まだ青いが女としての魅力がピークに達しようとしている絶妙な時期。かなりの美貌の持ち主でもあるし、肉付きもよく、胸も大きい。
しかも徹が情けをかけるようになって以来、その美貌にはさらに磨きがかかっている。
徹が「原作」で知る彼女とほぼ同じ外見に近づいていながらも、ホルモンバランスの賜物なのか1カップ以上胸が大きくなっているほか、徹底してこちらを持ち上げにかかる仕草と健気なまでの奉仕から、男の視点で見た彼女の魅力は一回りも二回りも上であると言えるだろう。
この場合、原作で性格がキツかったことは、そんな人間が一言命じるだけで文字通り「何でも」するというシチュエーションのスパイスにしかならない。
そのような状況に置かれて何も感じないほど、徹は枯れてはいなかった。
そのことは何より、真依のぽっこりと膨らんだ胎が証明している。
「んぐ、ごぉえ……ぐぶっ」
少なくとも今、徹の股間に愛おしそうに食らいついている真依のとろけた表情はどうしようもなく徹の興奮を刺激していた。
呪霊狩りに忙殺されて抜く暇もなく溜まっていたペニスは、この女に注ぎ込ませろと言わんばかりに怒張して徹の思考を支配していく。
命じたわけでもなく喉奥まで使って愛撫を続ける真依を見て、すでに限界近くまで射精感が高まっているのを感じていた。
「あぁ、そろそろ」
「んぶ……ふぁい」
徹の号令に合わせ、真依はいったん愛撫を止めると、布団に横になり自ら脚を開いた。
浴衣一枚で下着をつけていない真依は、少し開脚しただけで膨らんだ腹に引っ張られて裾から秘所があらわになる。
「どうぞ」
本当に入れてしまって大丈夫なのかという心配は、安定期に入っているので問題ないという真依の説明と、何より生殺し状態で限界まで反り返っているペニスのもたらす衝動で押し流される。
「入れるぞ」
あまり徹からは愛撫はしない。そのように求められるためだ。
"普通"の相手にはできないような、乱暴で気遣いのない、ただ欲望を発散するためだけの行為を。
それが、政略結婚で正式な結婚初夜まで子作りのできない日和や、はじめはどうあれ恋愛関係を築けているレアとの差別化のために生み出された理屈とわかっていて。
あるいは、何もない自分がせめて徹に渡せるものを、ないに等しい自分の裁量の中から必死に絞り出したものだと理解して。
徹はそれを飲み込み、受け入れた。
妊娠が発覚して数か月。安定期に入ってぽっこりと出た真依の胎は、しかしそれでも徹のペニスを容易く受け入れ、持ち前の肉厚なヒダでこすり上げる。
「~っ! 入った……!」
真依は生来、かなりの名器である。ぬめりのある肉をかき分ける感覚に思わず身ぶるいし、暴発しかけたペニスの先からぴゅ、と何かが漏れ出た感覚を覚えつつ、快感が閾値を超えようとするのを必死にこらえる。
こうなる前に「準備」をしていたのか、あるいは口と喉奥を使った愛撫で興奮するように自らを仕上げているのか。
どちらにせよ愛液でぬるぬるになったそこは、動かしていないのにぐりゅぐりゅとうねり、擦れあう感覚が二人の思考を溶かしていく。
「ぁ、あ、あ……~♡」
入れられただけで脳裏を駆け上る感覚に思考を焼かれ、感覚のままに膣内を締め上げる。
「っ、動くぞ」
結果、絶妙に射精寸前の気持ちよさともどかしさが同居した状態が維持され、やがて辛抱たまらなくなった徹は腰を動かしはじめる。
馴らすようにゆっくりとカリ首あたりまで引き抜き、体重をかけていちばん奥へ。
ゆっくりとした動きは真依を気遣ってというより、肉をかき分けていく感覚を最大限味わうためのもの。
そのころには真依もすっかり出来上がっており、汁気の多い秘所はだらだらと粘り気の強い液体を吐き出し続けている。
そのまま膣内を味わいつつ、わずかに残った理性で腹が潰れないよう気を使いながら体重のかけ方を強くしていくと、ただでさえ締りのいい膣がさらに脈動、きゅんきゅんと締め付けを強めていくのが感じられる。
「ぁっ♡ あ、と、とおるさま、もっとっ」
このところの成長期で、徹の肉体は以前までの幼さを残したものから、身長180㎝を超す戦士のそれへと変貌している。それに体重をかけられては、女性にしては肉付きがいい程度の真依にはなすすべがない。
しつけの結果か生来の気質か、徹が上から体重をかけて覆いかぶさる格好や、腹ばいにして後ろから押しつぶすように抱くやり方が、真依はたまらなく好きであった。
「あっ、あ、い、イく、イき゛ま、んい゛っ♡」
押す力を強めていくと、締め付けがそれに比例して強くなり、あるタイミングでビクビクと全身を震わせ、真依はガクガクと腰を浮かせようとし始める。
それを確認すると、押し返すようにかける力を強め、完全に動けなくなるくらいまで固定したうえで、いよいよ本格的に腰を動かし始める。
「あ、ぅあ、だめ、戻ってこれなっ♡ ん゛ぃっ♡ ~っ♡♡」
それまでのじっくり味わうような動きから一転、射精を目指すためだけの激しい動きに晒され、真依の脳内では余韻が収まる前に次の絶頂がやってくる状態に陥り、快楽がパチパチと弾けて視野が塗りつぶされる。
ぐちゃぐちゃにとろけた膣内はぞりぞりとした感触と締め付けを続け、これまでずっと我慢していた徹もすぐに限界を迎える。
ばちゅ、とひときわ力強く腰を打ち付けて、一番奥で溜まったものをぶちまけた。
――びゅちっ、びゅぐっ、びゅじゅ、びゅっ、どくっ、びゅる……
「~~っ♡」
長い、長い射精の間、真依はぴったりと密着したまま、時折絶頂の余韻で体を震わせながら精を受け止めた。
余韻から覚めた徹がペニスを引き抜くと、でろでろになった秘所が糸を引きながら離れていくと同時に、栓をされていた精液がごぼりと零れ落ちる。
「ぁ、や……せっかく、下さった、わたしの……」
絶頂後のぼんやりした頭の真依が、出されたものが布団にこぼれていくのを嫌がって手で戻そうとする仕草は、徹にとって見慣れたものだ。
今までは避妊具の使用どころか膣内以外で射精すると露骨に悲しむ有様だったわけで、妊娠して余裕ができた今も、そのあたりの機微は変わっていないようだ。
「こんなにたくさん……本日もお情けをかけていただいて、ありがとうございます」
そうして人心地つくと、決まって真依はかしこまり、深々と頭を下げて礼を言う。
「男のほうが頼む立場」が常識としてしみついてしまっている徹からすると、あれだけ好き放題しておいて礼を言われるのは、悪い気はしないけれど「前提となる常識を持っていなかったら何かが歪んでいたろうな」という薄ら寒さを感じるものだ。
「それに、こうして、子供まで授けてくだ、くださ、うぅ……」
言葉が途中で詰まり、涙声になっていく真依を見て、徹はぎょっとした表情を見せるが、何か言うよりも真依が言葉を継ぐほうが早かった。
「夕ご飯。何がいいか聞かれたんです。残り物以外を食べたのは、たぶん産まれて初めて」
「ずっと、雑巾がけとかまどの番とお風呂掃除がわたしの担当だったのに、お腹の子に障るから安静にしておけと言われました」
「朝、日の出前に起きなくても何も言われないんです。部屋で休んでいても引っぱたかれないんです」
「廊下を歩いてても、酷いこと言われないんです。誰かとすれ違う時、端によけるのが遅れても池に投げ込まれないんです」
「どころか、すれ違う人が皆褒めてくれるんです! よくやったって! お前もついにお家に貢献したなって! 立派な娘を持って鼻が高いって!!」
真依の表情は、泣いているようにも笑っているようにも見える。多分言っている本人もどういう感情をしていいのかわからないのだろう。
とにかく、真依らしくもない高いテンションで、まくしたてるように続ける。
「わたし、生まれて初めて"人間"になりました! 徹さまが、人間にしてくださった……!!」
勢いのまま縋り付いてきた真依を、徹はしっかりと受け止め、抱きしめるような姿勢になる。
「こんな言葉では足りないけれど……愛しています。ううん、もっと違う、うまく言えないけれど、答えてもらわなくてもいいの」
ただ、わたしは今も、今までも、これから先もずっと、あなたに救われています。
なお、自主規制解除版については時系列が前後する場合があります。
どの辺がIFなのかはいずれ本編でわかるかと思います。