アディちゃん、うっかり捕まって排泄禁止させられる(ついでに性癖が目覚める) 作:オデュッセア
「う……ぐぅ」
薄暗く、ぼんやりと蝋燭の火が灯る部屋の中で、アディは目を覚ました。
頬からひんやりとした感触が伝わる。
「(そうか……私、油断して捕まっちゃったんだ…)」
アディは自らが敵の手に落ちた事を実感する。
とりあえず身体を起こそうとしてみるも、両手両足には金属の手錠がかけられており、おまけに猿轡までかまされている為満足に動けない。
何とか出来ないものかととりあえず周囲を見回してみた所見張りが一人、そしてその奥に自分が着ていた幻晶甲冑(シルエットギア)が立てかけられていた。
その時思いがけず多数の足音が聴こえた。
「ほう、丁度目が覚めたか」
「早速、尋問なさいますか?」
声がした方を見ると、そこには黒い服に身を包み鉄仮面を着けたジャロウデクの兵士達と紫色のヘンテコな髪型をしているが白を基調とした服に身を包んでおり中々地位は高そうな男が居た。
「(誰だろうこの人……尋問官にしてはオシャレだし……髪はへんちくりんだけど……)」
ぼんやりとした頭で様子を探るが、その前に兵士の一人が口を開く。
「おい貴様、どうやってここまで来た?ここの警備は厳重だったはずだぞ!それなのに何故……」
「まあ待て、俺直々にやろう。口枷を嵌められていては喋る事も出来んだろうからな、直々に外してやる。鍵を渡せ」
紫髪の男は兵士を諌めながらも兵士から鍵を取り出すと手際よく猿轡を外す。
アディは自由になった口から大きく息を吸い込み、吐き出す。
「はぁー……苦しかったぁ……」
「ご機嫌は如何かな?」
紫髪の男はアディに問う。
「えーと……状況がよく分かんなくって……」
アディは自分に近付いて問いかけてきた紫髪の男の髪型が思ったよりヘンテコだった事に気を取られて上手い言い分が思い付かずにいた。
「ふぅん、目覚めたばかり故に多少の混乱は致し方ないか……単刀直入に言おう。貴様は一体何者だ?」
彼の質問に対して、アディは思い切って自分の身分を名乗る。
「銀鳳商会のアデレードと言います!」
大嘘である。
いくらフレメヴィーラとクシェペルカが友好国とはいえ大手を振って軍事介入しては色々と不味い、それ故にアディが所属する銀鳳騎士団は表向き『銀鳳商会』という商家となっているのだ。
「銀鳳商会……初めて聞く名だが……」
ヘンテコヘアーは眉間に皺を寄せながら首を傾げる。
「知らないのも仕方ありませんよ!最近興したばかりなんですし!」
アディの言い訳に彼は被せるように問いかける。
「ほう、しかしそなたのような少女が一人でこんな場所に忍び込むとは思えんのだが?」
「ああそれは……あの奥に立てかけてある鎧あるじゃないですか?」
「あん?あぁ……俺の後ろにある風変わりな鎧か。あれと関係が?」
「実はウチの一族の秘伝ので……このまま隠し続けてくのもなんだかな〜って思ってエイヤッと持ち出しちゃいました」
これもまた大嘘である。
がっつりフレメヴィーラ生まれである。
なんなら銀鳳騎士団長エルネスティ・エチェバルリアが直々に開発している。
「最近は秘術を持ち出すのが流行りなのか……?まあいい、要は街中でも使えるかという事を確かめていた訳だな?」
「ま、まあ……そんなとこです」
「……」
「……」
「その様な見え透いた嘘が通じると思ったか愚か者が!」
バレてた。
「貴様が着ていたあの鎧、我々が以前に交戦したものとも特徴が一致している。それにただの商人なら尖塔の窓を突き破って『銀鳳なんちゃらただ今登場』などとは言わん!」
カッコつけた台詞も兵士にバッチリ覚えられてたっぽい。
「……改めて問おう、貴様は何者だ?」
アディは回答に窮し、沈黙してしまう。
「だんまりか。素直に答えてくれれば、この私クリストバルの名において貴様の待遇を多少はマシにする事も出来るのだが……」
(クリストバル……まさか!)
名前だけは聞いたことがある。
クリストバル、つまり目の前のヘンテコヘアーの男はまさにジャロウデク王国の第二王子その人であった。
予想外の大物にアディの脳内はてんやわんやである。
(って事はこいつが例のバカ王子……!?わわわどうしよう……下手に言ったらエルくん達にすっごい迷惑がかかるし……)
その時であった。
「失礼致します殿下!」
「ひゃあっ!?」
突然の大声に思わず変な悲鳴を上げてしまう。
声の主は今しがた現れたばかりの伝令兵だった。
「伝令か……今は侵入者の尋問の最中なのだが……」
「ご無礼を殿下!しかし急報にございます!」
「ならばさっさと言え!」
「はっ!ドロテオ・マルドネス閣下率いるクシェペルカ王族追撃部隊が任務に失敗、ただ今帰投した模様です!」
「な、なにィーッ!?」
「
「なんたる失態だッ!!マルドネスともあろうものが……!」
クシェペルカ王族の追撃に失敗、それ即ちアディにとっては任務の成功を意味する。
「(エルくん達、無事で良かった……!)」
アディは内心安堵していた。
しかし彼女にとっての悲劇はここからであった。
「私は今からマルドネスに話をしに行ってくる。どんな手段を使っても構わん!貴様らはこの女から何としても有益な情報を吐き出させろ!拷問も許す!」
「はッ!」
「えっ……ごーもん!?」
図らずも叫んでしまった。
「嫌ならばさっさと吐くんだな」
そう吐き捨てるとクリストバルはその場を兵士に任せ去っていった。
「うぇえ……」