元いじめられっ子TS美少女ぼく、ぼくをいじめていた一軍イケメン男子が雑魚ちんぽだと知り、(性的に)いじめ返すことを決意する 作:虫野律
人は失うことを何よりも恐れる。
失うものなんて何もなかったころのぼくには、その言葉はスクリーンの向こう側のフィクションのようなものだった。現実感がなかった。
けれど、今は違う。痛感させられていた。
腰を上げて上月のものを抜くと、とてつもない喪失感がぼくに襲いかかってきたのだ。心に大きな穴が空いたかのようで、とても寒くて凍えてしまいそうだった。
寒い、寂しい、怖い、苦しい、死ぬ、不安で不安で死んでしまう!
「うぅぅ……」視界がぼやけ、まなじりに涙が溜まっていく。「やだぁぁ……」
「お、おい、大丈夫か?」上月がぎょっとしたように聞いてきた。
「上月君のおちんちんいなくなるのやだぁっ!」
耐えられずにぼくは、腰を下ろして精液を垂れ流すおまんこに上月のおちんちんでしっかりと栓をした──激痛と共に彼の温かさが膣内に広がり、穴を埋められた心が穏やかになっていく。「えへ、えへへ♡」安心の笑みが浮かんだ。「上月君のおちんちん大好きー♡」
上月は、これでもかというほど怪訝そうな表情をしていた。
ぼくは訳を説明した。おちんちんを抜いてしまうと死ぬのだと語って聞かせた。上月は困惑を極めていた。
「一応理解はしたけど、つーことは俺が上になるには抜かないようにしつつ体勢を変えないといけねぇってことだよな?」
「うん、死んじゃうからね」
どうしてか上月は、つらそうな、惨めそうな表情になった。
「?」
ぼくがその意味を尋ねようかと考えた時、上月が上半身を起こした。
思わずぼくは、目の前来た、たくましくも美しい体に抱きついて四肢を絡めた。
すると、上月もそれに応えるように腕を回してぼくを抱きしめ返してくれた。足を緩く伸ばしてベッドの上に座る彼の上にぼくが乗っている、対面座位の格好だ。
密着する肌からもたらされる温かな安心感に、ぼくはほっと息をついた。さらに上月の大きな手のひらがぼくの頭を優しく撫でてくれて、幸福感に包まれる──ぼくはすっかりこの状態を気に入ってしまっていた。
「ねぇえ♡ このままシようよ♡ ぼくこれ大好き♡」
「……」しかし、上月は黙してゆるりと頭を撫でるばかり。
鼓動が跳ねた。
怒ってる? 嫌われた?
無視の理由を尋ねようと口を開き、しかし上月に先を越された。
「不安か」
雫が落ちるようなぽつりとした静かで優しい言い方だった。
不安? 何が? ぼくとっても幸せだよ。
そう言ってほほえもうとしたけれど、できなかった。
上月の瞳が悲しそうだったから。
その瞳に映るぼくが、ぼくを責めていたから。
平気なふりをするぼくを、上月の理想を演じるぼくを、セックスの快感で彼を縛りつけようとしているぼくを、愛してると嘘をつくぼくを、侮蔑の目をしたぼくが見ていた。
全部自分のためだった。独りが怖いから、ぼくを想ってくれる上月を騙して彼の愛を独占しようとしている。
上手くやれていると思っていた。けれど、それは思い上がりだったみたいだ。
上月は、ぼくの〈愛してる〉が偽物だと気づいている。だから、泣きそうな顔をしている──そうに違いなかった。
押し殺していた自己嫌悪が暴れ出す。
──こんなどうしようもないぼくを愛してくれる上月を悲しませて、悪いとは思わないの?
──他人のことなんて自分が安心するための道具だと思ってるでしょ?
──人の気持ちなんて、上月の気持ちなんてどうでもよくて、自分だけがかわいいんだもんね。
──ぼくが愛しているのは、愛せるのは自分だけ。
──そんなクズには孤独がお似合いだよ。
──ぼくには誰かに愛される資格なんてない。
──救いなんてあってはならない。
──苦しみつづけるべきだ。
──独りで勝手に死ね。
眉根を寄せて至近距離でぼくを見つめる上月の顔が、にじんだ。ぼくは涙が込み上げてきていた──これも自分がかわいそうだからだ。自分を慰めるために泣いているだけ。本当に最低だ。
「ご──」めんね、と自分が赦されたいだけの薄っぺらい言葉を吐こうとしたら、
「ごめんな」
上月の唇が優しい響きを奏でた。
どうして君が謝るの、悪いのはぼくなのに──そう思って瞳を見返すと、上月は答えた。
「俺は本当に柚を愛してるんだ。けど、どうすればちゃんとお前に伝わるのかわからなくて。そのせいでお前を不安にさせて、無理させて──」
「……」ぼくは唖然とした。
上月は自分の愛が伝わっていないからぼくが不安になっていると考えているようだった。それでぼくは苦痛に耐えて彼を満足させようとしている、と。
上月はぼくをぎゅっと抱きしめた。
「んっ……」温かさに包まれて、ぼくの口から柔らかくて甘い声が洩れた。
固く、優しくぼくを抱きしめたまま上月は、静かに、穏やかに語りかけるように言う。「俺はずっとお前と一緒にいたいと思ってる。今夜だけじゃない。明日も明後日もその後もずっと。たとえエロいことができなくても。『死んで生まれ変わっても世界が変わっても世界が滅んでもずっとずっと』俺は柚を、柚だけを愛しつづける。約束する」
「あ……」
それは以前ぼくがまくし立てた言葉だった。あんな台詞をちゃんと覚えていてくれたことが、ぼくだけを愛しつづけると言ってくれたことがうれしくて、ぼくの中に甘い熱が溜まっていく。
「だから、そんなに自分を苦しめないでくれ」上月は哀切のにじんだ声で言う。「愛してる」
心臓がどきどきとうるさく鳴り、心の痛みが和らいでいく。
膣のひどい痛みは消えていない。けれど、挿入されて触れ合っている粘膜から、ぞくぞくとする官能的な甘い熱が生まれ、腰の奥深くに染み込んでいく。膣肉から蜜液が湧き出ているのがわかる。
ぼくはゆっくりと口を開いた。「本当に大丈夫なんだけど、わかったよ、これで最後にする」
上月は安堵するようにほっと息をつき、「よかった」とつぶやくように言った。
ぼくの心に、ぽっと火が灯った。
上月に喜んでほしい。
無邪気に、ただ一心にそう思う。
「このままスる? それとも上月君が上になる?」ぼくは自然な口調で尋ねた。
「このままがいいな」上月は即答した。
嘘だな、とぼくは直感した。上月はぼくのためにそう言っているのだ。間違いない。
ぼくは上月に喜んでほしいのだ。ぼくのために妥協するなんて許さない。
そう思って本音を詰問しようとしたのだけれど、やめた。上月の優しい愛を素直に受け入れたくなったから。
「えへへ♡」四肢すべてで上月をぎゅっと抱きしめる。「ありがと♡」
いっぱい気持ちよくなってね、大好きだよ。
上月にしがみつくようにしながらぼくは、膝を立て、おもむろに腰を前後に動かしはじめた。
──ずきっ。
鋭く強い痛みが走った。硬く燃える男根に膣壁を抉られるたびに切りつけられたように痛む。
その一方で、快感もある。じゅくんじゅくんとした優しく甘い戦慄が、繋がっている所から温かく広がり、子宮の辺りが心地よい熱を帯びていく。
何とか快感に意識を集中しようと努め、
「んっ♡ はふぅっ♡ んんっ♡ ぁんっ♡……」
控えめな嬌声を上げつつ、時折、力を入れて膣肉で男根を抱きすくめる。
それを繰り返す。全身で上月を感じながら丁寧に、大切に男根をかわいがる。
不意に、
「あぁぁっ……」
上月が苦しげな吐息を洩らした。「めっちゃ気持ちいい」
射精の時が近いのだろう、剛直がより硬く、より大きくなった。
腰をゆるゆると動かしながら、「ぼくもっ、んっ♡ 気持ちいいよっ♡」
「柚っ……俺っ、もうっ……!」
いよいよ剛直が鋼のようになった。
「ぁんっ♡ ぼくもっ♡ ぼくもイくっ♡ 一緒にっ、一緒にイこっ♡──」
ぼくはまた嘘をつく。でも、今度は自分のためじゃない。上月のためだ。
「──イっくっ……!」上月が悶えるように言った。
その直後、一物から灼熱がほとばしった。それに合わせて、
「あっ♡ くりゅ♡ ぁんっ♡ ああっあああイくぅんんん~~っっ♡♡♡」
ぼくも上擦らせた声を上げ、同時に背を反らして全力で膣を締め、下半身をびくびくと震わせる。
「ああぁっ……」快感に陶酔する上月の声。
びゅるるっ、びゅるるっと力強く放たれる熱い精液が膣内を満たしていき、やがて入りきらなくなったものが、淫穴から溢れ出る。しかし、それでも射精は止まらず、更に数拍の時を交わしてからようやく終わった。
上月が脱力するように肩を落とした。ふぅ、と満足げにつかれた吐息がぼくの耳朶をくすぐった。
ペニスも抜かずに瞳を閉じて上月を抱きしめる。「はぁ♡ 初めてなのに、ぼく、またイかされちゃった♡ 上月君のおちんちんすごすぎだよ♡ 大好き♡」ぼくは吐息まじりにささやいた。
上月はぼくの頭を撫で、それから男性的な筋肉の浮く腕でぼくの華奢な体を抱きしめた。
「愛してる」と耳打ちされ、心がきゅんとして喉の奥が甘く疼いた。
「ぼくも愛してる♡ いっぱいいっぱい愛してる♡」
あそこは痛いけれど、心は満ち足りて穏やかだった。
少しの間、言葉も交わさず、静かに抱き合っていた。
繋がりを解いてしまうと、また死にそうになるかもしれないと不安だったけれど、体を離しても喪失感はそれほどではなかった。
おまんこから解放されたばかりのおちんちんは、愛液や精液で濡れ輝いていた。
「お掃除するね♡」
上月の返事も待たずにぼくは、愛おしい彼の一物に舌を這わせた。汚れを丁寧に舐めすすっていき、尿道の奥に残った精液もしっかりと吸い上げる。
すると、男根はぼくの口内で再び膨らみ出し、あっという間に力強くそそり立った。
じゅぽんっと口を放すと、肉棒が跳ねるように揺れた。先端で、ぷくっと透明な液が盛り上がり、垂れていく。まだまだ吐精できそうだった。
その男らしい姿にぼくはうっとりと溜め息をついた。
「はぁっ♡ また勃起してくれたぁ♡ うれしいっ♡」
上月は照れたように視線を逸らした。「柚がかわいすぎんだよ──」俺のせいじゃねぇし。ぼそっと付け足した。
……か、かわいいっ♡
上月のあまりの愛おしさにぼくは戦慄し、感動すら覚えていた。今までもかわいいと思うことはあったけれど、今この瞬間に感じた情動はその比ではない。無条件にぼくのすべてを捧げたくなるほどだった。
「ふふ♡」微笑が浮かんだ。「ねぇえ♡ ほんとにもうシなくて大丈夫?♡」
上月は優しく苦笑した。「大丈夫だって」
ぼくは唇を尖らせた。「えー、でも、おちんちんは『もっとぼくに中出ししたい!!』って言ってるよ?♡」
上月は唇を大きく横に広げて白い歯を覗かせた。「言ってねぇって」
「こんなに腫らしてるのにぃ?♡」
ぼくが目を細めて上月を見ると、
「今夜はもう終わりにするって約束だろ?」
と彼は言い、「それより」と続ける。「腕枕させてくれよ。そんで、話そうぜ。柚のことをもっと知りたいし、俺のことももっと知ってほしんだ」
駄目駄目で雑魚雑魚なご主人様のぼくに、上月の優しいおねだりを拒否できるはずはなかった。
「うん!♡」
破顔してぼくは、上月のたくましい胸に飛び込んだ。
あったかい。すごく。
鼻の奥が熱くなる。