タイトル通り、甘々な内容なので気楽に読んでいただけたら。
「おかえりなさい、竜さん♪」
「……慣れてきた自分が恐ろしくなってきたな」
仕事終わり。もう夜の十時なのだが、律儀に高城が玄関まで出迎えに来た。
まあ、狭いアパートだから出迎えなんざ目と鼻の先なわけなのだが……。
「ごはん出来ているからね。今日も遅かったね♪」
「ね、じゃないんだが。19の女の子がマダムを気取るな」
「えー。竜さんがそうさせたのに♡」
「お前が勝手に住み着いたんだろうが」
「えへへー」
ニコニコ笑みを浮かべる高城に、重いため息をつく。
結婚した? 同棲? どちらでもない。俺と高城は、そんな甘い関係ではない。
高城が一方的に、俺の部屋へ押し掛けて来たのである。
★
どこで住所を知ったのか。
いつも通り仕事から帰ったら、高城が部屋にいた。
最初は驚きのあまり、心臓が止まるかと思った。というか、泥棒かなにかと出くわしたかと思って、パニックに陥りかけた。
だが、高城と知って安心――は一旦したものの、様々な疑問が湧いた。ここを知った経緯もそうだし、なによりも荷物が一通り置かれているのも気になった。炊飯器とか、電子レンジとか、自炊しない俺が使わないであろう家電や道具が置かれている。
そして余らせていた一部屋は、高城に占領された。
「これからよろしくね、竜さん」
「よろしくね、じゃないんだが。お前、普通に不法侵入だぞ。というか鍵はどうした」
「秘密♪」
全身に鳥肌が立った。普通の男なら恐怖のあまり狂ってしまうだろう。
だが、まあこいつのことを知っている俺としては、ある程度納得は出来た。
忘れかけていたが、こいつはややメンヘラ気質にして、なにを考えているかよくわからない、危険な女なのだ。
……まあ、復讐に走らないかどうか見張れるという意味では、側に置いとくのは良いことではあるが。
何故、俺がこいつを飼わなければならない。わからん。あいつでいいんじゃないか。三島、こいつを気に入っているようだし。
「竜さん、セレブだよね。毎日外食とかコンビニ弁当」
「自炊はしない。時間がおしい。人生は短いからな」
「ふーん。貯金とかあるのー?」
「お前に教える必要はない」
「じゃあ、わたしが料理作ってあげないとねー。お金もったないから!」
「おい。話を勝手に進めるな」
「わたし、こう見えても料理得意だから。というか、自炊しなくちゃやっていけない生活だったからね!」
「急にヘビーな話をするな。なまじ境遇を知っているからコメントに困る」
そう。こいつは自暴自棄にもなっていたから、定職についていない。
一緒に暮らしてわかったのだが、バイトなんてあまり入れていないレベルだ。多分、社会保険に入れないくらいのシフト。あの漫画喫茶で生活を誤魔化していたのが伺える。
「というかお前、金に困っているから住み着いてきたんじゃないだろうな」
「まあ、ぶっちゃけそれもあるよ? というかそれだよ?」
「開き直るな。あのな、頼ってもらったところ悪いが、金には期待するな。たしかに俺はサラリーマンではある。が、そんなに収入が多いわけじゃない。いわゆる中小企業だしな。仕事だってまだそんなに出来るわけじゃあない。というか、生活レベルはこのアパートでわかるだろう」
「えー。言っておくけど竜さん、二部屋もあって、トイレとお風呂別で、しかもベランダあるって、わたしからすればすごい破格なんだけど……しかもここ、駅までほどよく近いし……徒歩十分くらいでしょ」
「やかましい。お前を養う余裕なんてないからな」
「もちろん、ちゃんと貢献するよ? 料理頑張るし。バイトだってするし」
「まるで聞く耳をもたんな」
「そのわりには竜さん、さっきからあんまり本気で追い出そうとしていないけど……」
「なにか言ったか」
「なんにもー。えへへ、エッチな本とかないかなー」
「ないから帰ったらどうだ」
「もう退去しちゃったよ?」
「退路を塞ぐな」
「だって、だってー! もう、払えないんだもん! 電気もガスも水道も家賃も!」
「ちっ、あいつを追っていた期間か。どれだけその日暮らしだったんだ、お前は。危なっかしいぞ。まともな飯は食っているのか」
「……なんだかんだ心配してくれるんだよね、竜さん」
「なんだ?」
「なんでもなーい」
「全く。さっきから子供か、お前は」
そんな感じで、高城との同居生活が始まった。
★
セレブと言われたのはまあ、わからんでもない。食費は月に9万以上はいっていたのだが、高城が来てからは5万程度だ。二人分なのに随分とよくやっている。洗濯とか風呂を沸かしたりしてくれるし、そういうのを加味すると住まわせてもやってもいいような気がしないでもないが、すっかり流されているような気がした。
朝早く起きて、ごみ捨てにも行ってくれている。ただ、諸々の行為には小さな代償があったりするから油断ならない。
「ゴミ捨てて来たよー、竜さん」
「……先を越されたか」
「大家さんに会ったよ。ちょうど捨てるタイミングドンピシャでね」
大家はこの近くに住んでいる。
「竜さんの部屋から出たところから、見かけていたみたいでね。どちらさま? って聞かれたから、竜さんの奥さんですって答えておいた」
「外堀を埋めにかかるな」
「「あら、そうだったの! 驚いたわー、あの人こんな可愛らしい人を貰ったのねー」って言われた。大家さん美人だねー。竜さん、手出しちゃダメだよ? 人妻だからね?」
「するか。というかお前、近所にその話バラまいているだろ。勘弁してくれ。ただでさえお前、そのでかい胸のせいで目立つんだ。この間いきなりおめでとうとか言われたから、度肝を抜いたぞ」
「いいじゃん、いいじゃん。事実婚! いまどき!」
「その事実が偽りに染まりきっているのだが」
「ええー。竜さん、ここまでしているのに、中々デレてくれないー。ベッドの上でしか♡」
「お前のやり方は献身じゃなくてストーカー行為だぞ。セックスに関しては、ただのセフレとして扱われていることに気づけ」
「……むうう。竜さんって、遊び以外じゃめっちゃ奥手なのかな」
「なにか言ったか」
「なんでもなーい。わたし、攻めあるのみって決めたから! 三島お姉さまに負けないために!」
「お前は色々勘違いしているな……」
高城が来てから、毎日が騒がしかった。
★
休日。今週は激務だったから漫画喫茶にも出かける気になれず、部屋でダラダラとしていた。
……が、今は高城がいる。
しかも自室にいればいいものを、わざわざこっちに来てテレビを見ている。俺のソファに座るな。
「おい」
「なーに」
「自分の部屋があるだろ」
「だってテレビないし。お金ないっていったじゃん」
「買ってやるから自室へ戻れ」
「ええー。いいよ、お金がもったいない。わたし達の将来のために貯金しよう、貯金」
「お前が言うな。というか、なにがわたし達の未来のためだ。俺の貯蓄にお前の未来は一切関係ない。そしてソファから降りろ」
「じゃあ竜さんの上に乗るー」
高城が甘えた声を出して、俺に寄りかかって来る。思わず、持っていた本を取り落とした。
「竜さん、なに読んでいるの」
「レールモントフ「現代の英雄」だ」
「……へー」
「わかったフリをするな」
「むううう。読書なんて、インテリぶっちゃって。竜さんの見栄っ張り」
「お前も読んでみたらどうだ。ちょうどこんなにくっついてきたんだからな。ほれ」
「むごごご。ちょっと、ページをおしつけないで! わたしはテレビを見ていたんだから!」
そんな具合で、ゆっくりしたい休日だってまともに過ごせない。
★
唯一の利点とすれば、いつでもセックスが出来ることか。昼間から高城を堪能することだって出来た。
「ん、あ♡ あ♡ ん♡ 声、抑えるの、大変……♡」
ベッドの上で正常位で一つになりながら、高城が甘えた喘ぎ声を出す。抑えるって、あんまり抑えれていない気もするが。
爆乳を両手で揉みながら、腰を振る。この胸で何度もパイズリしてもらって、何度も射精した。そのおかげで高城はすっかり俺のツボを押さえていて、俺達はどんどんセックスに没入していった。俺も高城の気持ち良いところを理解してくるから、すればするほどハマっていくのだ。
……そう。まるで快楽の泥沼。俺と高城はそれに落ちて行っていた。
「竜、さん♡ ぎゅって、するね♡」
「っ」
マンコを締めつけてきて、俺は危うく射精しそうになった。仕返しに高城が感じるところを突き上げると、「ぁ、ああ♡ もう♡」と喘いだ。
グチョグチョな中を激しく突き上げる。甘く前進が痺れる。体が、どんどんこいつとの快楽を覚えて、求めていく。
「あ、あ♡ はげ、し♡ すご、すごい♡」
「ダメだ、もう出そうだ」
「ん、ん♡ わた、しも♡ もう、ダメ……♡」
「いいか、中で」
「好きに、して♡ 竜さんのなら、中でも外でも……♡」
アパートだから音には気を付けないといけない。だけど、ラストスパートはどうしても我慢出来ない。パンパンパン! と思いっきり激しく、高城のマンコをペニスで強く早く突きつけた。
「出すぞ、出すぞ……! 中に出すぞ!」
「ん、ん♡ あ、ああ、あ、あ、あ、すご、く、来る! あ、ああああああああ♡ き、来た♡ 出ている、竜さんのが、出ている……♡ あ、ん、ああ♡」
ビクビクビク! と高城の中でペニスが躍動し、射精する。果てた。果ててしまった。こいつは遊び相手。そのはずだ。それなのに、ここ最近はこいつとばかりセックスしている。自然を求めるようになっている。
……これは、いかんな。大体、勝手に女が住み着いていたなんて、普通にホラーだぞ。
悪い気がしなくなっているのも――本当に、よくない。
★
セックスを終えた後、裸でベッドの上で二人横になりながら、告げた。
「……今度の休日は出かけてくる」
「あの漫画喫茶?」
「どうだかな」
「一緒に行こうよ」
「なに?」
「三島お姉さまと。また一緒にしたいなーって。なんなら、竜さんがこれまで抱いてきた女の子を混ぜてもいいんだよ? 三人でも四人でも!」
「複数プレイか」
「三島お姉さまみたいに綺麗な人とか、可愛い人でもいいなー。あ、言ったっけ。わたし、女の子も好きなんだよ?」
そういえば、三島との時に少し言っていたか。あの時はそういうものかと流したが……。
「言葉通りの意味なのか」
「うん。性的に好きになれる」
「その見た目でか。不思議な奴だな、お前は……」
「三島お姉さまとの3P、素敵だったー! 女の子って、柔らかくて気持ち良いでしょ。ねえねえ、竜さん、女の子といっぱいしてきたでしょ? たくさん女の子集めて、めっちゃエッチしようよ!」
妻ぶっていたのはどこへやら、急にあの漫画喫茶の元常連らしいことを言い始めやがった。
まあ、いい。俺と高城は、きっとこんな感じだ。どういう関係と表現すればいいんだろうな、これは。
「わかった。だが、レズプレイは嫌いな女もいる。あまり集まらなくても、ガッカリするなよ」
「オーケー! えへへ、楽しみー!」
高城は無邪気に喜び、幸せそうな笑みを浮かべたのであった。