「ねえ。ちょっとアンタ」
夜の十時。会社で休憩中であった。残業ということもあって誰もいない、休憩室で一人休んでいると、珍しく三島が声をかけてきた。
漫画喫茶であんなことあったが、俺達は会社で距離を置いている。というか、以前と変わりないように接している。そして元々、俺と三島は大して絡みがない。なので、会話はあまりしないのだが、この時は違った。
「なんだ」
「いつまでいんのよ」
「今日中にやっておきたいタスクがあるだけだ」
「アンタが今やっているの、別に今日じゃなくていいでしょ。なんでそんな張り切っているわけ?」
「わざわざスケジュールを見たのか」
「嫌でも見えるでしょ。そういうシステムなんだから」
そんな風に言われて。俺は肩をすくめた。
「なんでもいいだろう」
「……アンタさ、最近元気ないわよね」
「そう見えるか」
「腑抜けているのよ。もっとハキハキしなさいよね。そんなことじゃ足引っ張るわよ、この間抜けさん」
そう言いながら、三島は缶コーヒーを突き出してきた。ブラックコーヒーだ。
「はい、これ」
「なんだ?」
「奢り。私からの」
「そうか。それは、ありがとう」
よくわからないが、ありがたいので受け取る。
「いつも飲んでいるでしょ、これ」
「よく見ているな」
「アンタのことなんか見てないっての」
「よく周りを見ているな、という意味だ」
「っ。私のこと、バカにして……!」
「お前が勝手に勘違いしたんだろう」
「ま、まあ、いいのよ。そんなことは。その、用があって」
「なんだ?」
「この間の子……知り合いなの?」
胸がちくりと痛む。高城のことを言っているのだろう。
「ああ。そうだ」
「彼女?」
「そんな関係じゃない」
「そう」
「なにをモジモジしている?」
「う、うっさい。その……また会えないかなって。えっと、その」
「3Pがそんなに気持ち良かったか」
「わあああああ!? ちょ、誰かに聞かれたらどうするのよ!」
「誰もいないだろう」
「たく、もう……そうよ。そういう、ことよ。あの子、紹介してよ。ダメ?」
俺はふん、と鼻を鳴らした。
「……いや。ただ、少し時間をくれないか」
「いいわよ。良い連絡を待っているわ」
「ああ」
そうして会話が終わり、三島は休憩室を出た。
★
漫画喫茶へ行くたびに、個室の番号をメッセージで送った。返信もなければ、既読もつかない。あれほどうるさかった高城が、嘘みたいだった。
……姉の仇とどうなったのか。
復讐は、成せたのか。
高城は……無事なのか。
なにもかもがわからない。だが、あいつは約束した。だから俺は漫画喫茶へ行くたびにこうして個室の番号を教える。
わかっている。あいつにとって、ここは姉が死んだ場所であり、事件を隠蔽した連中がいる場所だ。
だけど……あいつと俺を繋いだのも、この場所。
だから、メッセージを送り続ける。
待ち続ける。
いつかまたあのうるさいメッセージが見られると。そう信じている。
★
夜の十時だった。別に宿泊する必要もないのだが、俺は明日の朝まで個室をとっていた。心のどこかで、高城を待っているのだろうか。バカバカしい。自分で望んで復讐へ向かわせたようなものなのに。
漫画に用があるわけでもないが、なんとなく漫画コーナーへと行く。その一角に、小柄な女の子が一人気になった。肩の辺りまで伸びた、金髪に染めたショートヘア。端正でメイクがほどこされてはいるが、幼さのある童顔。小柄な体躯もあって、一瞬中学生かと思った。
「未成年はこの時間アウトなんじゃないのか?」
「あたしは成人しているっての」
ガシ、とあろうことか、その女の子は俺の脛を蹴り飛ばしてきた。安全靴かと思うくらいやたら硬い靴だったから余計に痛い。俺はその場でうずくまった。
「~~っ! お前、いきなり蹴ることはないだろう」
「そっちが鼻の下伸ばして、声かけてくるのが悪いし」
「ここはそういう場所だろう……」
「あたしに興味あるの?」
そんなことを言われ、女の子をもう一度観察する。おへその出ている黒いトップスに、黒いミニスカート。どこか冷めた雰囲気もあって、可愛らしさというよりも、クールなギャルな印象がある。
「そうだな」
「ふーん。でも、残念。ビッチじゃないの。あたし、そーいう目的じゃないし」
「そうなのか?」
「あくまでも暇つぶし。ここ、女子は基本無料なの」
「らしいな。まあ、こういう店にはありがちなシステムだ。女を集めるためにな」
「男って不憫ね。お金払わないと女も漁れないの?」
煽りやがるな。男というよりは、人類全体がそういう構造なんだから仕方ないだろう。相席居酒屋にしろ、出会いカフェにしろ、マッチングアプリにしろ、同じようなシステムが導入されている。ここもそれを真似ているだけだ。
「そういうことになるな」
「認めちゃうんだ」
「そういうお前は、興味ないのか」
「目的じゃないって言ったでしょ」
「だが、ここに来ればそういう行為を聞くだろう。独特な雰囲気もある。少しは興味沸かないか」
「やっぱ、あたしを誘っている?」
「そうだな」
「うーん……」
女の子は俺をじーっと観察する。あどけない相貌に射抜かれて、なんだか居心地が悪い。下から見上げられる時に、トップスの胸元が目に入る。控えめな、膨らみかけの胸は実ったおっぱいにはない、魅惑的な魅力があった。
「おにいさんとなら、いいかも」
「気に入ってもらえたか」
「というかあたし、おにいさんのこと知っている」
「なに?」
「この間、吹き抜けでしていたでしょ。見てはなかったけど、声でわかった。女の子、すごく気持ちよさそうにしていたから。気になる」
「なんだかんだ、興味津々なんじゃないか」
女の子は顔をかっと赤くした。
「……おにいさん、そういうこと言うんだ」
「冷めたか?」
「別に」
顔を赤くしたまま、髪をいじって下を向く。俺はその子の手を握って、引っ張った。
「行くぞ。君の好きな吹き抜けでしてやる」
「そ、そんなこと言ってないんだけど」
「じゃあ個室にするか?」
「……どっちでも」
ボソボソと返事をしてくる。こういう反応は年相応というところだろう。可愛らしいものだ。
「名前は?」
「水木羽 優。おにいさんは?」
「島部 竜」
「ん。よろしく」
★
吹き抜けでバースで扉を開け、中へ入るなり俺は水木羽の体を抱きしめ、唇を奪った。
「ん……♡ くちゅ、んちゅ♡」
音を立てながら、舌と舌を絡め合うディープキスをする。最初はソフトに、徐々に激しく絡ませ合う。その度に唾液と唾液がいやらしい音をたてた。狭い個室の中で、俺達は立ったまま夢中でキスを交わす。
「あ、あ♡」
スカートの中に手を突っ込む、パンツの上から性器を撫でると水木羽が甘い声を漏らした。
「パンツ、濡れちゃう、から……♡ 脱がせて」
水木羽はそう言って、白いパンツを脱ぎ、トップスも脱いで椅子に座り股を開いた。しっとりと濡れたマンコ。華奢で細い体。少しだけ膨らんだ、控えめな二つのおっぱい。
「おにいさん、触って……♡ あ、あ♡」
俺はマンコの中に右手の中指を入れ、おっぱいを左手で揉んだ。控えめではあるが、揉むと柔らかく、掌に収まってしまう可愛らしいサイズは、そそるエロさがある。乳首を舐めてやると、水木羽が椅子の上で悶え暴れた。ギシギシと音が鳴り、我慢していた喘ぎ声を大きく上げた。
近くには人の気配がある。廊下を歩く音。クリック音。吹き抜けだから丸聞こえだ。喘ぎ声とセックスの音なんて、なおさら聞こえるだろう。
「――っ、ああ♡ ん、あ、あ♡ すご、い♡ おにいさん、良い♡」
スカートの中に顔を突っ込み、クリトリスを舐めてやる。すると水木羽は俺の顔をぎゅっと寄せ、もっと求めるように力を入れた。
「ん、ん♡ あ、舌、良い♡」
水木羽はその間にスカートのホックを外し、脱ぐ。裸になった彼女の体はあどけなく、まだ成熟していない。それを犯そうとする背徳感にペニスは反応し、パンツの中で苦しげに勃起した。俺はズボンとパンツを降ろした。
「おにいさんの、すご……入る、かな」
「やめるか?」
「……入れて♡」
小首を傾げてねだられ、俺はペニスをあてがった。
そうして入口をなじませてから、ずぶり、と一つになる。水木羽の小さなマンコは俺のペニスを飲み込み、強く締め付けた。
「ん……♡ おっ、きい♡」
「お前、中、狭いな」
「そう、なの? それって、気持ちいい?」
「ああ。締め付けのよさでは、お前が一番強いな」
「締め付ける……こう?♡」
ぎゅううう、と水木羽はマンコを締めつけてきた。ペニスが反応してびくつく。しかしそれすらも鎮めるように、マンコは強く絡みつく。俺はそんな狭い中をこじ開けるかのように、強くピストンを始める。ぬるり、ぬるりと動かすたびにマンコが躍動し、中で動いているのがはっきりとわかる。突き上げるたびに中がこじ開けられ、引き抜かれると閉じる。膣の動きがとても激しかった。
「ん、ああ♡ す、ご♡ い、いい♡ あ、あ、そこ、そこ♡ 今の、ところ♡」
「こうか?」
「ん、ん♡ そこ、あたし、好き……♡ おにいさんの先っぽ、すごいとこ、届く♡ こんなとこ、あ、あ♡ はじ、めて♡ ひっ、あ♡ すご、すぎ♡」
突き上げるたびにどんどん喘ぎ声が大きくなり、セックスは激しくなった。椅子は大きく揺れ、吹き抜けの個室は辺りにその音をそのまま漏らしていく。人の気配を感じながら、水木羽を立バックで挿入した。モニターの置かれている机で手をつきながら、水木羽は可愛らしいお尻を無防備に突き出してくる。それをパンパンパン! と容赦なくピストンしながら、おっぱいをすくいあげるように揉む。控えめな膨らみ。硬くなった乳首。次は可愛らしいお尻を揉んだ。とろけるような柔らかさ。それを掴みながら、水木羽が好きなところを突き上げてやる。
「あ、あ♡ おにいさんに、あたしの好きな、とこ♡ もう、把握され、てる♡」
「すごい締め付けだ。気持ち良いぞ」
「あたし、も♡ このチンチン、やみつきに、なる♡ ずっと、こうしていたい……♡」
クールそうな雰囲気もどこへやら。すっかり乱れた水木羽が女として喘ぎ、甘えてくる。俺はひときわ激しく、パンパンパン!と突き上げた。水木羽はその場で反り上がり、叫ぶような喘ぎ声を上げた。
「んんんん、ああああああああああ♡ すご、すごいぃ♡ 激しい、激しい♡ あたし、壊れちゃうぅ♡」
「水木羽、もう、出すぞ」
「中で、この、まま♡」
「お、おい。平気なのか」
「いい、から♡」
「だけどな」
「ビビらないで、よ♡ 中出しで、いいから♡ おにいさんの、あたしに、くだ、さい♡」
「っ、わかった」
そこまで言われたら、止められない。フィニッシュへ向けて腰を振る。膣の中を突き上げる。ペニスが震え、射精感が高まる。
「ひっ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ♡ す、すご、すごい、このまま、このまま♡ 出して、出して♡ あ、あ、あ、あ、あ、あ、ん、ああああああ♡」
そうしてそのまま――出した。絶頂を迎えた俺は、水木羽と一つになったまま射精する。膣の中に精液が流れ、ドクン、ドクンと飛び出していく。引き抜くと、水木羽のマンコから白い精液がとろりと溢れ出た。
「す、ご……♡ おにいさん、これ、癖になる……♡」
「満足してもらえたか」
「ま、だ♡ ねえ……また、あたしとしてよ。中出し、させてあげるから……」
水木羽がとろんとした目で、抱きついて来る。俺は返事の代わりに、キスをした。水木羽は甘えた声を漏らしながら、それに応じた。