【R-18】TSホビアニ転生 作:Whatsoon
あれから、夢を見なくなった。
ヒイロと夢の中でエッチな事をする夜は終わり、私も彼もいつも通りに戻った。
そう、戻ったのだ。
『そういうこと』をしない、男女の関係ではない2人に……。
「んっ……♡」
くち♡くち♡
私は自身の淫部をなぞる。
「っ……ふっ……♡ふぅ♡」
1人、自室にベッドでうつ伏せになって……自慰行為をしていた。
パジャマをはだけさせて、枕に顔を埋めて……ただ、自分の性欲を慰めていた。
くちゅ♡くちゅ♡
「ん……♡ぅ、く……♡」
同じ屋根の下、ヒイロが眠っている。
深夜、夜遅く……きっと眠っている。
多少は声を漏らしても聞こえはしないだろう。
ぬち♡ぬち♡
「ヒイロ……」
名前を小さく呼べば、お腹の下が少し……。
すっかり性感帯になってしまった乳首を弄りつつ、枕に顔を埋める。
目を閉じて、頭の中に浮かべる景色は……夢の中でヒイロと本番(セックス)した時の夢。
あの時の熱、体温……必死に腰を振っているヒイロの身体。
奥の方にまで来ていた、ヒイロの──
くちゅ♡くちゅくちゅ♡
「んっ……♡」
指を入れても、届かない。
自分でしても、届かない。
物理的にも、快楽も。
「ん、ぉ……♡」
切ない。
気持ちいいけど、あの時ほどではない。
本気の、本番の……性行為(セックス)。
気持ち良くさせようと、気持ち良くなろうと必死に身体を擦り合わせる感触。
それが忘れられない。
ぐちぐち♡ぐちゅぐちゅ♡
「んっ……くっ♡」
苛立ちから自分の淫部を乱暴に弄る。
そうして気持ちを無理やり高めて──
「いっ……ぅっ……♡」
快感が身体を突き抜けた。
「はぁ……♡はぅ……♡」
息を切らしながら、私は股間をティッシュで拭った。
……ため息を吐いて、また横になる。
したい。
したい、したい。
ヒイロと、セックスしたい。
煩悩に支配されたまま、私は布団を頭までかぶった。
……私はヒイロとセックスがしたい。
それは好意から……というか、なんというか。
私の性欲を満たす上で、性行為をするとしたら……ヒイロ以外とはしたくないだけ、という身も蓋もない理由。
確かに?
私はヒイロのことを、まぁ、好ましく思っている。
夢の中で何度か身体を重ねる内に、特別な相手だと思うようになった。
しかし、それとこれとは別。
今、この同棲生活は恋人じゃないから成り立っているようなものだ。
やたら滅多に性行為をしたら、間違いなく爛れた生活になってしまうだろう。
でも、性行為がしたい。
ヒイロとエッチしたい。
しかし、少なくとも『ニーナって性欲が強いんだね……』なんて思われたくない。
免罪符が欲しい。
「……思春期の男の子なら、すぐに襲ってもおかしくない筈なのに。いくじなし」
他責思考をしながら、枕を抱きしめる。
「…………そうだ」
逆転の発想だ。
ヒイロと性行為がしたい、という意思をそれとなく教える……ではなく、ヒイロが襲いたくなるように仕向ける。
「……ふふ、私って頭いい」
そうと決まればやる事は一つ。
そう。
色仕掛けだ。
◇◆◇
ニーナと夢の中でエッチな事をする夜は終わった。
それからは、いつも通りの僕達に戻った。
それを少し残念に思いつつも、仕方のない事だと受け止めて、残念がる自分に自己嫌悪する。
ニーナは……その、確かに凄く魅力的だけど。
彼女は僕のことを信頼してくれている。
同じ屋根の下で、安心して暮らして欲しい。
だから、この恋慕も……感情も、心の下に眠らせる。
そう決意して、居たのに。
朝、起きて。
休日……夢を見なくなってからは、1つイベントが減った日。
「ふぁ……おはよう、ニーナ」
いつも通り、ニーナは少し早起きで。
僕の分の朝食まで用意をしてくれていた。
本当にありがたい話だ。
「ん、おはよ。ヒイロ」
そう、ありがたい話なんだけど。
「……ん?」
いつも通りのエプロン。
その下は……。
「あっ、え?」
下着しか付けていなかった。
綺麗な背中が、露わになっていたのだ。
「ちょっ、ニーナ……!?」
「うん?どうかした?」
「どうかした、って……どうかしてるのはニーナの方だよ!何でその、何で着てないの……!?」
「朝から牛乳溢しちゃって。パジャマは洗濯中」
「でも、その……それなら、普通の服に着替えたらいいのに……」
ニーナが振り返った。
エプロンに隠れて、下着は見えないけれど。
華奢な肩、ウエスト……太もも。
全部が全部、見えていた。
「裸、見たことあるのに。今更だと思うけど」
「そ、それは……そう、かな……?いや、そうじゃないと思うけど……」
ダメだ、混乱している。
頭に血が上っているのが分かる。
だけど、それは怒りじゃなくて……あぁ、もう。
「……ふーん、気になっちゃうんだ?ヒイロのえっち」
「う、ぅぐっ……!」
揶揄われているのか?
目を逸らさないと……いけないのに、目が、す、吸われ……う、うぅ!
「ちょ、ちょっとトイレに行ってくるよ」
「え?」
「そ、それじゃ……」
そして、僕は最終手段を行使した。
◇◆◇
昼。
ニーナと僕は一緒に出掛けていた。
街の大きなデパートに来ている。
観たい映画があるからと、ニーナに連れて来られたのだ。
「ラブロマンス……R-15?」
「うん。ちょっとだけ、過激な描写があるらしいけど」
「……そうなんだ」
なんて、上映前は言っていたのだが──
『あっ♡あん♡』
「…………」
どこが『ちょっとだけ』なのか。
確かに性器は映ってないけど、胸は露出してるし……性行為の描写が濃いし、長いし。
『きもちいぃっ♡』
女優の体当たり演技、って……あ、そういう……いや、いやいや、そうじゃなくて。
艶やかな場面から目を逸らし、隣の席のニーナに目を向ける。
……ニーナもちょっと気まずそうな顔をしてた。
彼女にとってもこれは想定外だったのかな。
僕は気持ちを落ち着けつつ、スクリーンに目を戻した。
『イく♡イく、イく♡』
男優との絡みの中、女優の髪が乱れている。
凄く綺麗で淫美……だけど。
……ニーナの方が可愛いし、エッチだな。
なんて事が頭に浮かんで、僕はポップコーンを口に含んだ。
性欲を食欲で上書きしたかったからだ。
しかし、そう、意味はなく。
映画の濡れ場を見て、ニーナとの性行為を思い出し……僕はズボンの下で固くしてしまっていた。
拙い。
拙いな。
ニーナにバレたら、気持ち悪がられる。
僕は濡れ場の多い映画を見ながら、性欲を押さえつけようと、無心に徹していた。
『あん♡そこっ♡すっごい♡』
無心になろうとする僕。
スクリーンに映る濡れ場。
耳に聞こえる嬌声。
固くなってしまった陰茎。
また、無心になろうとする僕。
……なんだコレ?
何の修行をしてるんだ、僕は。
誰か僕を助けてくれ。
映画が終わり、僕らは映画館を後にした。
「……思ったより凄かったね、ヒイロ」
「……ウン。ソウダネ」
「何で片言なの?」
「エ?いや、ソンナこと、ないと思うケド?」
僕を不審がるニーナに、僕はぎこちない笑みを浮かべていた。
「んー……ちょっと濡れ場があるって聞いてたけど、映画の5割……ううん、7割はエッチしてた。し過ぎ」
「……そうだね」
何がラブロマンス映画だ。
あ、いや、ラブロマンスではあるのか?
性行為も恋愛描写の一種ではあるし……。
というか、何であの映画R-18じゃないんだ。
性器さえ映さなければOKだと思ってるのかな?
「内容は無いし。女優の演技下手だし。ハズレ映画だった」
「まぁ、確かに。内容は……なかったね」
というか覚えてない。
心頭滅却し過ぎて、映画の内容が頭に入って来なかったから。
「でもまぁ、元々そういう女優だったらしいし……身体の方は凄かったよね」
「ぶッ──
何てコトを言うんだ。
会話がキャッチボールだとしたら、今のは時速160kmの豪速球だ。
僕にはとてもじゃないが受け止められないよ。
「そ、そうかなー?」
ほら見ろ。
変に誤魔化した返答しか出来てない。
「……ヒイロは、ああいう、こう、胸の大きな女の人の方がタイプ?」
続けて、今度は時速180kmの超豪速球だ。
受け止めきれない……!
速……避……!
無理なんだけど、死……。
「……いや、胸の大きさだけでタイプとか、そういうのは決まらないと思うけど……」
うっわ。
めちゃくちゃ気持ち悪いコトを言っちゃった。
「……ふーん、そうなんだ」
怖くてニーナの顔が見れない。
な、なんでこんな気まずい思いをしなければならないんだ。
誰か、助けてくれ。
お願いだから。
◇◆◇
夜、夕食後。
リビングで僕が机にカードを並べていると……ニーナが風呂から上がってきた。
「今日も、新しいデッキ構築試してるの?」
ニーナの言いたい事は分かる。
どうせメインで使うデッキは固定なのだから、新しくデッキを作る必要はないのだと。
理解はできるが──
「うん。だって、楽しいし……」
そう、楽しいのだ。
コンセプトを考えてデッキを組んで、回してみる。
そうして、新しい観点が見つかれば、普段使っているデッキにも活かせるかも知れない。
だからこうして、普段は使わないようなカードでデッキを組んで、回してみたりしているのだけれど──
「ん、そうだね。それは同感……デッキ構築もカードゲームの楽しみ」
ニーナが頷いて、僕の側に座った。
僕の真横で、ストレージを漁りカードを……。
う、良い匂いする。
同じシャンプー、ボディソープ、その他色々を使っているのに……どうしてこうも、僕と違う匂いがするのだろう。
なんというか、こう、ドキドキする匂いだ。
そんなニーナに視線を向けると──
あ、うわ。
普段と着ている
ほんのりの上気した、胸元が──
目線を逸らした。
一度、裸を見た相手だ。
だというのに、いや、だからこそ惹かれてしまうのか。
「うん、このカードとか結構面白いと思う」
何かカードを批評しているけど、それどころではない。
早鐘のように鳴る心臓。
それが、悟られないよう息を呑む
「……ヒイロ?聞いてる?」
「え、あ、うん。聞いてるよ?」
急な抜き打ちテストに驚きつつ、僕は笑顔を向けた。
普段通り、そう、普段通りに。
ほんのりと湿った唇。
綺麗な首筋。
そして──
「む」
彼女の手が、それを隠した。
「……あ」
視線を上げると、ニーナが僕を見ていた。
見てるのが、バレた。
邪な目で、見ているのが。
血の気が一気に引く。
身体が急激に冷める。
「あの、ニーナ……?」
「……ヒイロのえっち」
「ご、ごめんよ……ごめんなさい」
終わった。
僕は同居人の信頼してくれている女性を、えっちな目で見る最低な男だ。
嫌われてしまっ──
「うん?別に謝らなくていい」
「え」
それはつまり、謝っても許さないってコトなのか?
「怒ってないし」
「……でも」
そこでニーナが笑った。
「確かにそういうの、ちょっと好きじゃないけど……ヒイロなら、別に気にならないかな」
……う、うわっ。
うわぁっ。
や、やめてよ。
僕は確かに、夢の中では脱童貞に成功したけど……所詮は夢の中。
童貞だ。
そんな童貞に、そんな言葉を掛けちゃったら……勘違いを、いや、そうじゃなくて。
ああ、えっと。
えっと。
そんな、そんな無防備なこと言っちゃったら勘違いする人もいるよって、注意を──
「ふふ」
ニーナが微笑みながら、自身の膝に手を回した。
胸が押しつぶされて、目のやり場に困る。
な、なんでこんな、挑発してくるんだろう。
揶揄って遊んでいるのか、ニーナは。
……うん。
ニーナ、って……僕に、脈、あるのかな……?
でも、でもだって……あの時、僕に『好き』って言ってたし。
キスをしながら、セックスをしてた時。
『すき♡すき♡好き♡』
って。
息を呑む。
でも、僕は踏み込めずにいた。
だって、もし、この関係が……僕の不用意な一言で、破綻してしまったら。
そう考えると告白なんて、できはしない。
告白に失敗しても、結局は同じ家で……同棲生活が続くのだから。
……だって、それで十分。
幸せなのだから……これ以上は。
僕はまた、手元のカードに目線を落とした。
◇◆◇
ぬちぬちぬちぬち♡
夜、ベッドの上で音が響く。
「っ……まったく……♡ヒイロの……いくじなし……♡」
自分でも『理不尽だ』と理解している怒りのまま、私はベッドの上で自慰行為に耽っていた。
「こんなに……♡アピール、してるのにっ……♡」
枕に顔を埋めて、見当違いの文句を呟きながら……自身の性器を弄る。
くち♡くちゅ♡ぬぢぃっ♡
指も入れて、気持ちいい所を弄る。
「……っ♡ふぅっ♡ふーっ……♡」
色仕掛け計画は失敗に終わった。
ヒイロは私を意識していただろうが、すんでの所で止まっていた。
そんな所で忍耐力を発揮しなくていいのに。
寧ろ、色仕掛けをしてるシチュエーションにちょっと興奮しちゃって、私の方が大変だったぐらいだ。
全年齢向けの『ちょっとエッチな映画で、エッチなムードになろう』計画に至っては、思ったよりエッチだったし、もう、なんというか……こう、映画の中の女優がちょっと羨ましいぐらいだった。
ぬぢぬぢぬぢぬぢぬぢ♡
「ゔ、ぅうっ……♡」
結局、こうして情けなく、1人自分を慰めている。
イライラするし、ムラムラする。
目を閉じて、枕に顔を埋めて自慰に耽る。
ヒイロに手でして貰った夢を思い出して、自分の気持ちいい所を弄る。
「ヒイロ……♡ひぃろ……♡」
片手で陰核を弄りながら、もう片方の手で膣壁をなぞる。
すると快楽が押し寄せて──
「……ん、イっ♡く……♡」
自分の意思とは関係なく、軽く痙攣する。
「はぁ……♡はぁ……♡うぅ♡」
足りない。
想像じゃなくて、自慰じゃなくて……本番が、ヒイロとしたい。
「……………」
私は息を深く吐いて、ベッドから降りた。
……明日、もうちょっとだけ直接的にアピールしようかな。
うん、そうしよう。
ヒイロの牙城を崩すには、それ相応のプレイングが必要だ。
適切なリソースを吐いて、ヒイロの理性をビートダウンしなければ。
私は脳内で、自分の中にある幾つかの作戦をデッキのように組み立て始めた。
これは勝負なのだ。
私とヒイロの、真剣勝負。
「絶対、ヒイロの方から誘わせてやる……」
強い意志を胸に抱き、私は自室を出た。
え、あ、うん。
ちょっとお手洗いに行かないとね。
流石にこのままでは眠れないから……。