【R-18】TSホビアニ転生 作:Whatsoon
別世界線の話です
肌寒い季節。
マフラーを巻いた私は、ヒイロと共に買い出しに出ていた。
日々の食料品の購入、あと歯ブラシの新調が目的だ。
商店街で野菜を購入をして──
「なにこれ?」
領収書と一緒に、チラシのような紙を貰った。
「それ、福引だよ。毎年この時期にやってる商店街のキャンペーンだね」
「へぇ」
「まぁ、ポケットティッシュとか……良くて、タオルとかぐらいだけどね。行く?」
ヒイロの言葉に私は頷いた。
「
「アド……ま、まぁ、そうだよね……うん」
期待はあまりしていないが、貰ったのに引き換えないのは損した気分になる。
細かなアド損に敏感なのが良いカードゲーマーなのだ。
私とヒイロは福引会場となっている広場まで足を進めた。
そして──
「おめでとうございます!特賞の温泉旅行ペアチケットです!」
「「え?」」
カラカラと鳴るベルの前で、私とヒイロは顔を合わせた。
◇◆◇
という訳でやって来た。
竜山温泉、一泊二日の旅。
私とヒイロは着替えの入った鞄を持ち、電車で一時間程の宿に来ていた。
結構、こう、観光地だけど……ちょっと人里離れた感じがある。
まぁ、秘境っぽくて、それはそれでいいけど。
というか旅館デカくない?
古い構造だけど、こう、デカい。
受付を終えた私とヒイロは、そこそこ広い部屋に通された。
「おぉ」
「良い景色だね」
窓の外から見れば、段々畑のように石畳が見えた。
自然と文明の調和というか、ハーモニーというか、そういうのを感じる。
部屋は和室で、畳張りだ。
そして、襖を隔てて、あの、旅館によくある小さいスペース……カードゲームをするのに捗る小部屋──
「広縁って言うんだよ、そこ」
「え?そうなの?」
そうらしい。
知らなかった。
まぁ、とにかくそういう場所もある。
ちゃんとした部屋だった。
ついでに、机に名物の竜山まんじゅうもあった。
もう食べたから無いけど。
美味しかった。
お茶も飲んだ。
普通にお茶だった。
小学生みたいな感想を捻り出しつつ、寛いでいるとヒイロが何か折り畳まれた服を持って来た。
「ニーナ、ご飯まで時間あるし、温泉入りに行かない?浴衣にも着替えたいし」
「うん、あり。いいね。いく」
転生してから温泉に入るのは初めてだな。
結構広めの培養液プールにじゃぶじゃぶ漬けられることは結構あったけど。
という訳で部屋を出て、旅館の廊下を歩き……備え付けの温泉に入ろうと、風呂の間まで来た。
「ヒイロ。内風呂と外風呂……というか露天風呂あるみたいだけど、どっちに行く?」
「どうせなら露天風呂がいいよね。折角、来たんだし」
「うん、私もそう思う」
左に青い暖簾で「男」、右に赤い暖簾で「女」と書いてある。
私はヒイロが持ってくれていた女性用の浴衣を受け取り、赤い暖簾の方へ向かう。
「じゃあ、ここでお別れだけど……あがったら、そこの広間で待ってるね?」
「うん、それじゃ……」
二人で旅行に来ているが、性別が違うので入る温泉は別々だ。
まぁ、私は女……う、うーん?
いや、女だ、女。
ちょっと遠慮する気持ちを持ちながら、脱衣所に入る。
……誰もいないみたいだ。
私は安堵の息を吐いて、服を脱ぐ。
籠に脱いだ服を入れて、その上に畳まれたままの浴衣を置く。
貴重品は部屋に置いて来たし、大丈夫。
ふと、振り返ると鏡が私を映していた。
……少し羞恥を感じて、タオルを手に取る。
小さい、体を隠せないような奴だ。
それを手に持ち、胸元と秘部を隠して……扉を開いて、足を踏み出した。
「おぉ……」
思わず声が漏れた。
石畳で吹き抜けの開放的な露天風呂だ。
風呂はかなり広く、湯気がもくもくと霧のようになっており神秘的な雰囲気を醸し出している。
なんだかワクワクしてきた。
掛け湯を身体に流し、温泉タオルを頭に乗せて、私は温泉に足先を入れた。
ちょっと熱いが、まぁ、こんな物だろう。
足先から浸かり、腰まで浸かり、胸元まで浸かる。
湯の色が深い緑色で透明性もないから、底まで見えなかったが……中々、水底まで深い感じだ。
しかし、まぁ──
「はぁ……あったまる」
良い湯だ。
体に染み込んでいくような気がする。
内側からじんじんとあったまる。
日頃の疲れとか色々溶けて、身体が湯と一体化しそうな感覚。
……む。
今、風呂の手前側にいるが、後から女性が入って来た気まずいな。
この身は女で、心も……まぁ少なくとも男ではないが、それでも気まずいのは気まずい。
奥の方まで行くか。
湯の中で立ち上がった私は、そのまま温泉の奥まで移動する。
温泉の中に山みたいな岩場もあるし、隠れる事ができそうだ。
そう考えつつ、奥まで足を進めて、一息吐く。
中々良い感じだ。
縁の方は結構浅めになっていて、座れそうだし……ここなら人も来なさそうだし、ゆっくりできそうだ。
そう思い、私は腰を下ろそうと──
「え?ニーナ……?」
この場で聞こえる筈のない言葉に、私は振り返った。
「……ヒイロ?」
そこには腰まで湯に使ったヒイロが……男が立っていた。
叫び声は出なかった、凄まじい量の困惑が頭の中を通り抜け、私はフリーズした。
ほんの少しの間、私とヒイロは裸のまま向かい合って。
「ご、ごめんっ!?」
ヒイロが目を逸らして、湯船に座り込んだ。
それと同時に、私も湯船に座り込んだ。
「な、なんでヒイロがここに……?」
「ニーナの方こそ……ここ、男湯だと思ってたんだけど……」
私はヒイロをちらちらと見ているが、ヒイロは顔を真っ赤にして私から目を逸らしていた。
羞恥と罪悪感を感じている顔だ。
私はこの状況に困惑しつつ、首を捻る。
自分が入ってきた方向と、ヒイロが来た方向は別だった。
入り口がもし、二方向にあるのだとしたら──
「まさか……混浴?」
「え゛」
ヒイロがかなり素っ頓狂な声を上げた。
◇◆◇
僕は確かに見てしまった。
ニーナの裸体を。
綺麗な鎖骨、膨らみのある胸、薄紅色の乳首、くびれ、へそ……秘部は幸いにも水面で隠れていたけれど。
僕は確かに見てしまったのだ。
慌てて顔を逸らしたが、目に景色が焼き付いてしまった。
彼女の裸体が。
ドキドキと心臓が鳴り響く。
顔が熱いのは温泉の所為なのか、分からないけど。
「こ、混浴……?」
僕はニーナを視界に入れないようにしつつ、周りを見渡す。
「あ、ニーナ……あそこ」
すると、あった……白い掲示板のような板が。
そこには月水土は『男湯』、火木日は『女』……金曜日は『混浴』と書かれていた。
ちなみに今日は金曜日だ。
「……ご、ごめん、ニーナ、すぐあがるから」
そう言って離れようとして──
「待って、ヒイロ」
ニーナに腕を掴まれた。
腕を掴まれるような事は前にもあったけれど、互いに全裸であるならば……触っている箇所は一緒の筈なのに、異様に恥ずかしい。
「ニ、ニーナ?」
「……誰か来る。隠して」
「か、隠すって──
ニーナに腕を引っ張られ、彼女に背を向けるように立たされた。
そして、ニーナが僕の後ろに隠れた。
すると直後、僕にも声が聞こえて来た。
「混浴風呂があるなんて、マジでおもしれーよな。あーあ、かわいい女の子とかいねーかな」
「いる訳ねーだろ、女側に得がねーんだから。もし居たら痴女だろ、痴女」
なんて勝手な事を言っているのは二人組の男だった。
ガラの悪い、僕より少し年上の男が二人。
そんな奴らにニーナの裸が見られれば……。
僕はニーナに背を向けながら、彼等から見えない位置に移動した。
そんな僕にニーナが密着した。
……密着、した。
密着したんだ。
一糸纏わぬニーナが、僕に。
「ヒイロ……あの人達が出るまで、壁になって……お願い」
小声でお願いされた。
「う、うん……」
が、僕はかろうじて頷く事しかできなかった。
背中に感じる柔らかな肌の感触。
肩に触れる手の感触。
押しつぶされた胸の感触。
視線をガラの悪い二人組に戻す。
「いやぁ、しかし惜しいよな。混浴だっつーのに、誰もいねーし」
「……ん?いや、奥の方に居るくないか?」
白いモヤ越しであまりよく見えていないらしい。
彼等が僕達に近付いてくる。
ニーナは僕の背中に隠れようと、さらに身体を押し付けた。
……僕もニーナを隠そうと体を彼等に向ける。
「女か?」
僕が守らないと。
ニーナは、僕が──
「いーや、男だな。ハズレだ、ハズレ」
そうがっかりした顔で、二人の男は離れていった。
僕は安堵の息を吐いて──
緊張していて感じなくなっていた、ニーナの身体の感触を感じ取った。
脳内に先ほど見てしまったニーナの裸体を思い出し──
僕は慌てて湯船に浸かった。
「ヒイロ……?」
「と、取り敢えずは来ないみたいだから……彼等が出ていくまで、こうして、ま、待ってようかなぁ……?」
「うん?……ありがとう」
感謝なんてしないで欲しい。
僕は今、勃起していた。
ニーナの身体の柔らかさを感じ取り、陰茎を硬くしてしまっていた。
もうこの場から立つ事は出来ない。
勃っているから。
そのまま、彼等の下品な笑い声を聞きながら、息を潜めていた。
湯船のせいで身体が熱い……内側から熱い。
なんだか変な気分だ。
僕はそんな、見境のないスケベじゃない筈なのに……そう思いつつ、大きな岩に貼られた白い看板を見た。
──────────
竜山温泉
効能:腰痛、冷え性、火傷、切り傷、不妊、不感症
──────────
あれ……変なのが混じってないか?
もう一度、読む。
……不妊と、不感症?
なんで温泉にそんな効能があるんだ?
白い看板をよく見ると、効能の下に由来が書いてある。
──────────
竜山温泉では、子供に恵まれなかった夫婦が入った後、たちまちに子宝に恵まれた逸話があります。
現代でも入浴後に夜の営みを盛んに行う観光客も多いと言います。
──────────
「ごふっ」
僕は咽せた。
「……ヒイロ?どうかした?」
「な、なんにもないよ……」
小声で否定しながら、ニーナにはあの看板を見せないようにしようと思った。
効能が……あの書き方じゃまるで……まるで、媚薬……っ、何を考えてるんだ、僕は。
温泉の所為か、頭がモヤモヤする。
これ、本当に合法の温泉なのかな!?
男性器が勃起し過ぎて、痛いし!
ふと、男達が湯船から上がったのが見えた。
「おう、そろそろ上がって風俗行こうぜ。宿出てすぐの所にあるしよぉ」
「だなー。くそー、混浴から始まるラブロマンスとか体験したかったぜ」
「バーカ、AVの見過ぎだろ」
あまりにも下品な会話をしながら、男達は更衣室の方へ向かっていった。
念には念をと、彼等の声が聞こえなくなるまで待って……僕とニーナは安堵の息を吐いた。
「ヒイロ、ありがと。今のうちに私はあがるから」
「う、うん……ぼ、僕は、少ししたらあがるよ」
「……すぐにあがらないの?」
今めちゃくちゃ勃起してて、立てないんだって。
なんて言えない。
絶対に言えない。
「……まぁ、いいけど……あっ──
するり、とニーナが足を滑らせた。
背中から滑るように、僕の脇を抜けて倒れそうになっている。
「ニーナっ」
慌てて僕は手を伸ばし……ニーナを支えた。
そう、支えた。
支えたのは良い。
「あ」
「ヒイロ、ありがと……う?」
支えた場所が問題だ。
僕が触れていたのは……ニーナの胸だった。
その手で、ニーナの胸を鷲掴みにしていた。
しかも、ニーナを支えようと立ち上がった所為で……勃起した僕の男性器が、顕になっていた。
今。
僕はニーナの胸を鷲掴みにして、ガチガチに勃起した陰茎を晒している。
血の気が引いていく。
本当に、死にたい気分だった。
◇◆◇
「ニーナ……ごめん……本当に、ごめん」
机越しに、ヒイロはしょぼくれた顔をしながら謝罪した。
先程の混浴トラブルから脱出した私とヒイロは、当初の予定通りに浴衣に着替えて自室に戻って来ていた。
のだが。
「大丈夫、ヒイロ。気にしてないから……本当に」
ヒイロは大層なショックを受けていた。
まぁ、女の胸を揉んで勃起していた姿を当人に見られるのは、この年頃の男としては致命傷か。
罪悪感で死にかけているヒイロを見ると、同情心が沸く。
実際、ヒイロは何も悪くない。
混浴だとか私も気付かなかったし、私を助けようとして胸に触れただけだし、勃起は生理現象だし。
寧ろ、私の裸を見ないように気を遣ってくれたし、他の人に見られないよう頑張ってくれた。
だから、私としてはヒイロを叱責するつもりはない。
どちらかというと感謝してるぐらいだ。
「でも……」
「本当に大丈夫だから。ほら、夕食が来るから……その時には楽しく食べれないと、美味しさが半減すると思う」
「……それも、そうかな」
「うん。そんな事で私、ヒイロを嫌いになんてならないし」
そう言うと、ヒイロは顔を赤くした。
青くなったり赤くなったり、忙しい奴だな。
うず……。
ん?
あれ?
なんだか、身体に違和感がある気がする。
そう、身体が熱い感じ……温泉の効能だろうか?
効能といえば、温泉内に貼ってあった看板とかちゃんと見れなかったんだよね。
多分、冷え性に効くとか書いてあったんだろうな。
少し、むずむずとしながら、夕食を待つ。
少しすると部屋に仲居さんが来て、食事の用意をしてくれた。
私はこれを楽しみにしていたのだ。
来たのは──
生牡蠣、鰻丼、キノコと青魚のアヒージョ、アスパラガスと温玉のサラダ……亀?スッポンのスープ……何だこれ。
和洋折衷すぎる。
意味が分からないメニューだ。
まぁ、美味しいから良いけど。
私がバクバクと食べていると、ヒイロは苦笑していた。
要らないなら私が食べるけど?
いや、がっつくつもりではないけど。
最後に飲み物のデザートが来た。
スイカのジュースと、ビターチョコプリン。
もう訳わかんない。
和風の旅館だよね?
ここ?
美味しいからいいけどね。
仲居さんが言うには、スイカジュースは竜山温泉の湧き水を使っているそうで、温泉と同等の効能が得られるらしい。
肌よりも口で摂取した方が効くそうで、持ち帰りように買う客も多いのだとか。
それを聞いてヒイロはジュースを吹き出しかけていた。
なんとか堪えていたけど……口に合わなかったのだろうか?
スイカのジュースについてはおかわりOKだったので、私は五杯飲んだ。
五杯飲んだ時点で流石に自重したけど……ヒイロが顔を青ざめていた。
む、流石に意地汚かったかな?
そうして美味しい夕食を食べ終えたのだが。
……なんだろう、さっきより身体が熱くなってる気がする。
ヘソの下がむずむずとする。
頭にモヤがかかったような気がする。
熱っぽい感じだけど、嫌な感じはしない。
なんだか少し良い気分。
「ニーナ、少し売店行かない?」
「ん……うん、いく」
身体が火照っている。
ヒイロを見てると身体が熱くなってくる。
……脳裏に温泉で見たヒイロの裸体が思い浮かぶ。
頭から振り払い、私はヒイロと売店まで来た。
竜山温泉名物のまんじゅうやら、煎餅やら……どこにでも売ってるドラゴン・ソード・キーホルダーやら。
「ヒイロ、これ欲しい」
「じゃあ買って帰ろうか」
まんじゅうの箱を手に取り、私とヒイロはレジに向かった。
レジはセルフだった。
こんな所にまで近代化の波が来ているのか……と思いつつ、ふとレジ横に何か売っているのを確認した。
飴、ガム……ここまでは普通だったが──
「あっ……」
思わず、目を瞬く。
ヒイロに視線を向けると、顔を逸らされた。
こんな所で売っているという事は、この旅館でそういう事をする人が多いという事だ。
私とヒイロは気まずくなりながらもお土産の購入を終えて、売店を後にした。
その頃にはもっと、私の身体は熱くなっていた。
部屋に帰れば仲居さんが寝具、布団を敷いてくれていた。
いたのだが──
「な、なんで布団が一つだけなんだ」
「……恋人って思われてる?」
大きな一つの布団に、枕が二つあった。
これで寝ようと思えば、密着するような形になる。
同衾ってやつだ。
「……ぼ、僕、部屋の端っこで寝るね……」
ともすれば、ヒイロが同衾を拒否するのも必然であり、こんな事を言い出しても変ではない。
彼は女慣れしていないのもあるが、基本的には紳士だ。
こういう場面では自身を犠牲にしても、遠慮してしまう。
……うーん。
「それは可哀想だし、ヒイロも布団で寝ない?」
「えっ、だ、ダメだよ」
助け舟を出したのに、拒否された。
だが、その意思は固くなさそうだ目線は泳いでるし顔も赤いし。
「折角、旅館で疲れを取れるのに……硬い畳の上で寝てもいいの?」
「……だって、仕方ないし。こんな遅くだと仲居さんも呼べないし。気にしなくて良いよ、ニーナは」
ヒイロは目線を下げた。
なんとか言い訳をして、自制心を保とうとしている。
だが、まぁ──
「私が気にするから……ね?だから……一緒に寝よ?」
私の為だと言えば、ヒイロも言い訳つくだろう。
ヒイロは目線を泳がし、顔を赤らめて……拳を握り……頷いた。
「ごめん、ニーナ……ありがとう」
という訳で、ヒイロと同じ布団で寝る事になった。
確かに少し恥ずかしいが、ヒイロが何も悪くないのに負担を強いられるのは可哀想だし。
これで良かったのだと思いつつ、部屋の隅に寄せられた机の上を見た。
饅頭を食べた後、空になった籠に……別の物が入っていた。
仲居さんが補充してくれたのだろうか。
食い意地を張らせながら、それを覗き込むと──
未開封の、いつでも使える奴が──
目を逸らした。
「ニーナ、どうかした……?もしかして、その籠の中に何か……って」
ヒイロも覗き込み、気付いたようだ。
顔をまた赤くした。
「「…………」」
身体が熱い。
心臓が鳴っている。
まるで自分の身体じゃないみたいだ。
「……ヒイロ、もう寝よっか」
「……そうだね」
この身体の熱を発散する方法は既に思い付いている。
しかし、そんな事ができないと気付いている。
「「…………」」
私とヒイロは同じ布団の中、背を向けるように並んだ。
下腹部が疼く。
下着の下で秘部が濡れている。
思わず、手が伸びて……浅い部分に触れる。
くち……♡と、粘液が指に付いた。
目を瞑る。
煩悩を振り払おうと、睡眠で誤魔化そうとした。
でも、身体の奥が、疼く。
指では届かないような深い所が、じんじんとする。
脳裏に過ったのは、露天風呂で見てしまったヒイロの勃起した陰茎だ。
……大きく、唆りたっていた男性器。
少しグロテスクだけど……あれで膣内を擦れば、気持ちいいだろうな……って。
「…………」
私は何を考えているのだろうか。
まるで痴女じゃないか。
そんな事すれば、ヒイロに幻滅されてしまう。
……そう、私とヒイロは別に恋人同士でもないのだから。
背中がヒイロの背中にぶつかる。
手がヒイロの手に触れた。
「あ、ニーナ……ごめん……」
「私の方こそ、ごめんね……」
私の細い指が、ヒイロの硬い指に触れて……離れた。
あの指で女性器をがしがしされたら、絶対に気持ちいい。
脳裏に妄想が浮かぶ。
ヒイロに押し倒されて、犯されてしまう……そんな、失礼な妄想。
……本当に失礼だ。
ヒイロはそんな事しない。
私は変になってしまったのだろうか。
身体が熱い。
疼いている。
心臓は早鐘のように鳴っている。
理性を情動が上回る……そんな予感がする。
私は、ヒイロの手を握った。
「え……ニ、ニーナ?」
「…………」
驚いた声をあげたヒイロを無視して、手を握る。
やっぱり……私とは違う、硬い……男の手だ。
きゅぅ、と何が締め付けられるような感触。
心と、身体と。
そして……私は口を開く。
「ヒイロ……」
「な、なにかな……?」
これ以上、先に進めば後戻り出来なくなる。
そう分かっていながらも、私は言葉を紡ぐ。
「露天風呂で私のこと、守ってくれたよね」
「……うん。変な奴らに見られたくなかったし──
「その時、私の裸見て
ヒイロが背後で固まった。
私はヒイロの手を握ったまま、ヒイロの方へ顔を向けた。
顔を真っ赤にして、冷や汗をかいている。
「それは、その……生理現象で」
「女の子の裸を見ちゃったから?」
「……ええと、その……そう、です」
ヒイロが観念したように頷いた。
……かわいいかも。
改めてヒイロの顔を見る。
容姿は……うん、かなりいい。
性格も、優しくて……良い人だ。
だから……うん、いいかも。
「私の裸見て、エッチだな……って思った?」
「えっ……それは……な、なんで、そんな事聞くの?」
ヒイロが目を瞬いて、私の顔を見た。
目が合って……そして、またヒイロが目を逸らした。
「ヒイロ……教えて欲しい。どう思った?」
「それはその……」
「うん」
「えっと……エッチだな、と思ったよ……ごめん」
「……いいよ、嬉しいから」
ヒイロの返答に私は笑みを浮かべた。
やっぱり、ヒイロは私の裸を……私のことを性的に魅力があると思ってる。
なら、もう少し、後押ししてやればいい。
「私も……ヒイロの
囁くように、媚びるように呟く。
そうすればヒイロは顔を真っ赤にして、目を見開いた。
「え、あ……う、うん……ありが、とう……?」
混乱して、感謝まで言葉にした。
……本当に、可愛い。
私は握っている方の手で、ヒイロの手の感触を確かめる。
私は空いている方の手で、浴衣をはだけさせる。
「ニ、ニーナ……?」
ヒイロが顔を赤くして、私の……浴衣から溢れた乳房に目を釘付けにしている。
「……ヒイロ、私とエッチしたい?」
「え……あ……」
ヒイロの目を見て、私は笑みを浮かべる。
返答は分かっている。
だけど、敢えて聞いた。
敢えて待っている。
ヒイロの口から、同意の言葉が得られるのを。
「だ、ダメだよ……そ、そんなの……」
「……本当は?」
ヒイロは目を泳がして、口を何度か開いて、閉じて……そして、私に視線を戻した。
「僕は……その、ニーナと……エッチ……したい……」
小声だったけれど、私はそれで満足だった。
恋人同士ではないけれど。
互いの身体が魅力的に感じて、身体が疼くのであれば……やる事は、一つしかない。
「……エッチ、する?」
「……いいの?」
「うん、ヒイロなら……いいよ」
握った手の感触を確かめながら、私は笑みを浮かべた。
布団の上、全裸で仰向けになった私の前で……
緊張した顔とは裏腹に、陰茎は痛そうなほど勃起している。
「ヒイロ……いいよ、きて」
私の膣は既に濡れている。
ヒイロとのエッチに期待しすぎてぐちょぐちょに濡れている。
ヒイロも私とエッチしたいって勃起している。
だから、前戯もなく……ヒイロは私の秘部に陰茎を押し合てた。
「っ、あれ?……っと」
ぬるり、ぬるりと滑らせる。
どこに挿れたら良いのか、分からないのだろう。
「ヒイロ」
「ご、ごめん……ちょ、ちょっと待って……」
困った顔を浮かべるヒイロの前で、私は両手の指で陰唇を開く。
くぱぁ♡と開けば……私の中身、膣口があらわになる。
「ヒイロ……ここにいれて」
膣口は、ヒイロの
その様子にヒイロが息を呑んだ。
「ニーナ……い、挿れるね?」
「うん……」
膣口にぴったりと、ヒイロの亀頭が吸い付く。
避妊具越しでもわかる、硬い感触。
みり♡みり♡
それが、私を引き裂いて膣内へと入っていく。
「っ……」
「あ、ニーナ……ごめん、大丈夫?痛い……かな?」
「大丈夫、痛くない……」
痛くはない。
初めては痛いって聞いていたのに、痛くない。
寧ろ、そう。
「気持ちいい、だけ……♡」
その言葉にヒイロが息を呑んで……ゆっくりと、腰を押し付け始めた。
硬い陰茎が私の膣壁を掻き分けて、奥へと入って行く。
ぬぢゅぅ……♡
「ん……っ♡」
「あ、ぅ……あ……」
ヒイロがか細く、気持ちよさそうな声を上げた。
私の脇の間に手を置いて、目を閉じて震えている。
そのまま堪えるような状態のまま、男性器を私の奥へと挿れる。
ぬぢ……♡
「ん……♡」
「あっ……う……すご……」
ヒイロの顔が近い。
気持ち良さを堪えているようで、少し半泣きになってる。
可愛くって、意地悪したくなる。
「ヒイロ……♡気持ちいい?」
「う、ん……これ、きもちいい、よ……」
「私も気持ちいいよ……♡」
そうして、奥へ奥へと陰茎が入って行く。
私の、膣の、奥まで。
どちゅん♡
「あっ♡♡」
来た、奥まで。
ヒイロの
すごい、膣の中ですごく硬く、脈打って──
びゅっ♡びゅーっ♡♡
「あ、うっ……ぁ……」
ヒイロが私の膣内に射精した。
目を瞑って、気持ち良さそうな顔をしながら。
「……え?」
びゅっ♡びゅぅ……♡
「う……あぁ……」
しっかり最後まで射精して……そしてようやく目を開いた。
ヒイロと目が合う。
「あ……ニ、ニーナ……」
「……
「ご、ごめん……」
まだ私、イッてないのに。
勝手に射精してしまったんだ。
情けない顔で、申し訳なさそうにして、私の膣内にいっぱい射精しようとしたんだ。
……それって──
「本当にごめん……ニーナ……」
すっごく可愛い。
膣から抜いたヒイロの
こんなに私の
ヒイロが
申し訳なさそうに正座しているけれど……まだ、陰茎は硬い。
……若いって凄いな。
まだエッチしたりないんだ。
「ヒイロ」
「う、うん……」
叱られると思ったのか子犬のような顔を浮かべるヒイロにニヤニヤしつつ、私は籠の中に入っている新品の
「もういっかいする?」
「え……い、いいの?」
「いいよ。私まだイッてないし」
「し、したい……」
ヒイロが何度も頷いた。
凄い必死だ。
「でも……次はちゃんと堪えてね」
「うん……が、頑張るよ」
そうしてまた、ヒイロが陰茎に
再び、私は仰向けとなり……挿入した。
ずぷぅ♡♡
「んっ♡いきなり奥まで……♡」
一度、奥まで挿入してほぐれていたからか、ヒイロは一気に膣奥まで挿入した。
一度射精したから、何とか堪えているようだ。
「ヒイロ……♡動いて♡」
「うん……動くよ?」
そうして、ヒイロが抽送を初めて──
どちゅっ♡
「あぇっ……?♡♡♡」
膣の、中、気持ちいい所、全部……擦れた?
どちゅっ♡とちゅっ♡♡
「ん゛っ♡あ……っ♡♡」
さっきと全然違う。
触った事もない場所なのに、突かれて気持ちよくなってる。
大粒の汗が流れる。
真冬なのに、私とヒイロの身体から。
とちゅっ♡ぬちゅっ♡♡♡
「あ゛っ♡あ……ぉ♡♡」
体液が混じり合って、淫靡な音が響く。
ぱんっ♡ぱん♡ぱん♡♡
「ヒイロ……♡それ、だめ……♡♡」
足をかくかくと痙攣させながら、ヒイロに犯される。
「ニーナ……ニーナっ」
名前を呼びながら、腰をヘコヘコとしてる。
それが堪らなく気持ち良くて、堪らなく可愛くて、堪らなく愛おしい。
「ヒイロ……♡」
名前を呼び返して……示し合わせた訳でもないのに、顔を近づける。
そして、私とヒイロは唇を重ねた。
ちゅっ♡
「んっ……♡」
最初は優しいキスだった。
ぢゅっ♡ちゅぅ♡♡
「ん゛っ……♡んぅ♡」
だけど、少しずつ激しくなっていく。
れろぉ♡れろれろ♡♡
「んっ♡ん゛、ぁ♡はへ……♡」
気付けば、舌を絡め合ってキスをしていた。
唇を重ねて口を犯しあいながら、下の口でも
身も心も溶けてしまいそうなほどの快楽と多幸感。
ばちん♡♡ばちゅん♡♡♡
「ん゛っ♡ん゛ぅ♡♡♡」
腰の動きが少しずつ早くなる。
慣れてきたのと、我慢出来なくなっているのと、その両方だ。
その所為で気持ちいいところガンガン突かれて、快楽のダムが決壊しそうになっている。
どっちゅどっちゅ♡どちゅん♡♡
「ん゛っ♡ん゛ッ♡♡ん゛ぅ〜ッ♡♡♡♡」
堪らず唇を離した。
「ヒイロっ♡私、もうすぐ、イク♡イッちゃう……っ♡♡」
「僕も……もう一回、
浅い所から奥まで、ごりごりとされる。
どっちゅどっちゅ♡♡♡
「ん゛っ♡はげしい……っ♡♡」
激しいピストン運動に、吐息と涙が漏れる。
気持ち良すぎて、息が詰まりそうだ。
「ニーナっ……!ニーナっ!」
名前を呼びながらの本気ピストンだ。
私のことが好きで好きで堪らないって感じの声。
「ヒイロ……♡ヒイロっ♡♡」
だから、私も名前を呼ぶ。
名前を呼んで、抱きしめる。
「ニーナ……っ」
「ヒイロ……ぉ♡」
抱きしめ合って、密着して。
奥までガンガン突かれて、私の身体が震える。
気持ち良くて痙攣している。
「ニーナ、ごめん!
「んっ♡私も……イク……♡♡」
ヒイロが私の子宮口に、
そして──
びゅるるるるるっ♡♡♡
「ん゛ッ♡あ゛……ッ♡♡♡♡」
また、
ヒイロが私の膣内、奥でたっぷりと射精したのだ。
ぷしっ……♡
「っ、はぁっ♡はぁ……っ♡♡」
それと同時に私も絶頂してしまった。
布団にびっしょりと染みが出来ている。
私とヒイロの汗と、よだれと、愛液と……。
「はぁ……はぁ……」
ヒイロが陰茎を抜いた。
一度射精した筈なのに、
それでも……ヒイロの陰茎は大きくそそり立っていた。
やっぱり、あの温泉……それか食事か……滋養強壮の効果があったのだろう。
……もっとエッチしたいんだろうな。
「……いいよ、ヒイロ」
それは私も、そうだけど。
「……いいの?」
「うん……ヒイロが満足するまで、好きにして」
◇◆◇
やってしまった。
朝起きたら、横にニーナが裸で寝ていた。
机には空になってしまった
昨晩、ニーナとエッチをした。
何度も、何度も、何度も。
温泉の効能にあてられて発情したニーナを、抱いてしまった。
あの時のニーナは正常な判断ではなかったと思う。
薬を飲ませて強姦したようなものだ。
僕は顔を青ざめていた。
好きな女の子に乱暴を振るってしまった、その事実に自己嫌悪していた。
「んん……」
そんな中、ニーナが目を覚ました。
寝ぼけ目を擦って、上半身を起こした。
一糸纏わぬ姿だ。
今更だけど、目のやり場に困る。
「その、ニーナ?」
意を決して口を開けば、ニーナが僕を見た。
「ヒイロのけだもの……あんなにいっぱいして」
ニーナが指をさした先には、白濁液が先端に溜まった使用済みの
理性をなくし、僕がニーナを犯した証拠だ。
「ご、ごめん……」
頭を下げると……ニーナが少し笑った。
「……冗談。またしようね」
またしよう……また?
次の機会もあるという事?
……僕は顔を真っ赤にして頷いた。