黒川あかねさんが昔うっかり濡れ場でイカされてしまったウワサ 作:ふりーじ屋/家庭内禁書
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例によって丸め込まれ強制絶頂です。
映像業界の人間は、門外漢がみんな驚くほど成果物の管理が雑だ。就活の頃から業界を調べていた俺でも入ってすぐびっくりさせられた。
例えばテレビ局は、自局でかつて流した映像すらほとんどを保管していない。昔は業務用ビデオテープそのものがすごく高価・貴重で使い終わったら上書きして使い回す必要があったとか、テープがかさばりすぎる上にデリケートで賃料の高い倉庫の場所を食いがちだったとか。そこで生まれた風潮が技術の進歩した今も残っていた。あと、報道ならまだしも芸能関係だと権利がややこしくて再利用が難しく儲けになりにくいし管理が面倒くさいしで処分、なんて感じでもあるとか。
一度でも公になったものさえそんな扱いであれば、お蔵入りになったものなど本当はお蔵に残っちゃいない。残しておいても表に出ていなければお金になっておらず関係者も税務署もうるさく言わないので、あっさり捨てられる。内容を知っている人間が忘れるか異動や転職・退職でいなくなった時点で、物理的に残っていても実際には無いも同然の扱いだ。
だから局内の片付けを命じられた新人がちょっと興味をそそられるものをくすねるなんて珍しくないかも知れない。
そのUSBメモリはA.Kというイニシャルらしき文字と日付らしき8桁の数字だけを書いた付箋が張られていた。俺は雑に扱われている荷物の片付けを命じられた新人らしく雑な指示を受けて苛立っていたので……これがCD-RやDVD-R、LDみたいなわざわざ再生機器を買わなきゃならんメディアなら素直に捨てていたが……わずかな出来心にすら負けてそれを持ち帰った。
そして自分のパソコンに突っこんでみると動画ファイルがいくつも入っていた。すべてを合わせると何時間になるだろうか、とにかくメモリ容量のほとんどを食っていた。サムネイルでもわかるほどかわいらしい黒髪ボブカットの子がメインらしいが、ファイル名は年月日と時刻らしき数列だけだった。
ひとまず一番若い番号の動画ファイルを再生すると、俺は疲れていたのにあっと声をあげてしまった。
〝黒髪ボブカットのかわいい子〟は映像の冒頭で〝黒川あかね〟と名乗っていた。顔と名前に多少引っかかるものがあっていったん一時停止してネットで調べてみると、劇団ララライの有望株として演劇畑ではかなり有名な女優らしい、とわかった。映像作品への出演歴も多少あった。テレビ局勤めらしからぬ自分の無知に苦笑いしてしまった。
映像の続きに戻る。あかねさんとやらは、楚々としつつもなかなか華のありそうな子である。どうやらイメージビデオとして制作された映像のようで――といっても昔に児ポで規制食らった辺りほど過激ではなく、そのあとにアイドルが雑誌から転身して来た辺りを思わせる雰囲気の――買い物や散歩など、オフの一日を追うドキュメント風のシーンがいくつも。
その所作が本当に〝楚々と〟しているのが、演技なのかどうか。立ち歩きがすんなり美しい。ハンカチを落としてしまった時、スカートを片手で抑えながら膝を畳んで、残りの手で影絵のキツネみたいな形をして拾っていた。持ち手付きのカップをわざわざ両手で持っていた。どうやら未編集版らしく、スタッフとのやり取りでスタッフから『すごくお嬢様っぽい』と言われてはにかんでいたようすも映っていた。実際に育ちがよろしいのかも知れない。
珍しいもんである。テレビでもネットでも動画媒体で売れようとする人に育ちのいい人はいない、という偏見が世の中にある。業界人の端くれとして、それはおおむね事実であると言ってしまおう。育ちがよくて目立ちたがりの人は、楽器やスポーツなどほかに選べる道が多いのだ。
ともあれ、映像では健全な目の保養が続くのか、と思ってファイルを閉じた。しかし少し下った番号のサムネイルまで見ると、あかねさんが白くやけにぴったりした衣装をまとっている画が目に入った。
ファイルを開いてみる。どこか天井の高い体育館らしきところが背景で、白いレオタード姿のあかねさんが銀色の細い棒を握っている。棒の長さは彼女の片腕よりやや短く両端に白く小さく丸いプラスチックがついていて、どうやらバトントワリングをするらしい。育ちのよろしいあかねさんの趣味……なのかと思いきや、どうやら未経験とのこと――『かわいらしく、それでいてあまり他の人がやっていない画が撮れると』――バトンを持つ手がカップやハンカチを触るときと比べてぎこちない。女性スタッフから手足を念入りにテーピングされて恐縮している。確かにバトンをぶつけて青アザでも作ったらたいへんである……もっと楽に華やかに見せられる画があったのではなかろうか。がんばっている演出としてこだわりたいのかも知れないが。
それにしても、このイメージビデオの全体進行がごちゃごちゃしている割にテーピングとか細部できちんと配慮するのかとツッコミたくもなった。最初にオフショットの場面で女優・黒川あかねのプライベートっぽい雰囲気でアピールするのかと思いきや、このバトントワリングのシーンは、もし黒川あかねがあなたの彼女で、彼女が『がんばってるところ見せたい』とか言い出したシチュエーションとして見せる意図らしい。実在のあかねさんのレアな一面を切り取る趣向と、あかねさんに仮想を演じさせる趣向とが混じっていて、どうまとめるつもりだったのか。
バトントワリングの前にあかねさんが柔軟体操をしていてそこも撮影されていたようだが、カメラマンが変わったのか指示が変わったのか、不健全な意図がフレームから匂ってきた。
例えばバトンの両端を手で持ったまま、頭上、背中まで順にぐるりとめぐらせる仕草のときだ。肩甲骨周りや大胸筋の可動域を広げるため、とあかねさんは説明されて素直に指導役のマネをしていた。一方でカメラマンは彼女がバトンを背中に回したとき胸がぐっと突き出されているシルエットとか、きゅっと力の入ったデコルテ辺りのフェティッシュなところをメインに収めていた。そこからバトンを持って足を伸ばしたままかがんで、縄跳びで後ろ回しをするみたいにバトンをまたぐときもだ。すらりとした両脚の間がきれいな8の字形を描くし、レオタードにお尻が食い込む。それらをカメラがしっかり収めていた。ちょっと、健全と言えるかどうか怪しくなってきた。
このシーンでは撮る側が明らかにあかねさんのスタイルの良さを強調している。バストもヒップも先のオフショット風の楽な服装では目立たないが、レオタードでは丸わかりだ。しっかりメリハリがあって大人の女性と言えよう。それでいて手足が長くほっそりしているところなんかは成長途上っぽくも見える。
いや本当に、いきなりカメラワークにフェティシズムが滲んできてびっくりする。
あかねさんがまたバトンを背中に持っていく。左右の肩甲骨が真ん中の背骨に向けて寄る。するとレオタードのフロント生地が左右に引っ張られ、あかねさんの胸元を押し潰そうとするわけだけど、バストの弾力が相当あるのか内側からぱつぱつに形を主張している。バストのすぐそばで腋の窪みが深くなっているところも、ぐうっと伸ばされて少し息をつくときの首筋の浮き沈みもしっかり捉えている。
もっとすごいのがヒップで、こっちはレオタードのハイレグがお尻の膨らみを横切っていて、タイトな布地にぱつぱつ抑えられている部分とストッキングが覆っているだけでこんもりしている部分のコントラストがすごい。もちろんお尻の割れ目のラインがしっかり露わになっている。カメラマンが彼女の真後ろに回り込み、長い脚の付け根から、生地の食い込みに耐えるお尻の肉の質感をなぞるようにじっくりと映し出している。
あとは肩幅に足を開いて立ちながら、バトンを握ったままの両手を前に突き出して、ウエストを徐々にひねっていく柔軟。バトンを除けば運動部の準備体操でもよくやる動作だが、タイトなレオタード姿のあかねさんがやると引き締まったウエストのシルエットが引き立つ。胴体と一緒にひねられるレオタードに深いシワが刻まれてひねりのテンションが目によく伝わってくる。それでいてバストやヒップがこんもりしたままだ。ボリュームがいっそう大きく映る。
そんなカメラワークを知って知らでか、あかねさんは真剣な面持ちで指導役のマネをして柔軟体操を続ける。よくできてますね! と指導役やスタッフから褒められるとふにゃっとした笑顔になる。体とのギャップがすごい。
俺がはっきり興奮を自覚した頃、映像がバトントワリングに挑むシーンに移った。するとフェティシズムがいきなり鳴りを潜め、あかねさんの練習を汗と熱気がモニター越しに迫ってきそうな勢いで捉えていく。あかねさんがまず手首をひねってバトンを回し、次はまっすぐバトンを投げ上げ、さらに腕にバトンをまとわせるように回す。トス、トワール、アームロール、フローリッシュ。指導役が言う単語の意味が俺にはわからないが動きを見る限りだんだんトワリングらしくなってくる。指導役もスタッフも、『初めてでここまでやれる人は珍しいですよ』『今のかわいいです!』などとおだてる合いの手を挟みつつ真剣なようす。うっかりバトンがカメラのほうに飛んできて慌てて『ごめんなさい! 大丈夫でしたか!?』と駆け寄ってくるあかねさんのようすも本気に見える。
そういう真剣な練習風景のうちにあかねさんも体が熱くなってきてか、頬は赤くなり、汗も肌に伝うようになっていた。ふぅはぁと乱れた息を落ち着かせている様が意味深に感じられてしまう。スポーツなどで健全に一生懸命に肉体を使っている女に性欲をくすぐられるときの、罪悪感とも優越感とも取れるあの奇妙な感じが意識にちらつく。
あかねさんが真面目にやっているおかげか、映像では当初の初心者らしかったシーンが嘘か演技だったかのように堂に入った動きに変わっていく。ここだけならドキュメンタリーみたいだ。指先や手首や腕でバトンを投げたり回したりしつつ、自分の手足や体もダンスのようにくるくる回す。イメージビデオに必要なそれっぽさのレベルをもう超えている。あかねさんが高度な技にも挑むと、ミスってバトンを落とす回数も増えてきて、汗だくになりつつ息をつく。ある意味で新人女優らしい健気で泥臭い画でつい固唾をのんで見守ってしまう。バトンを自分にぶつけてしまってもすぐに平気そうな顔をして、手当しようとするスタッフに『大丈夫です』と言い添える。
汗が白いレオタードの生地をすっかり湿らせている。肌にぴたっと張り付いた純白の化繊が、さすがにブラやショーツ周りこそ透けないものの、喘ぐ彼女のウエストの肉感を生々しく見せる。彼女が男に抱かれるときも、そう反応するのだろうか。片足立ちする技では、さすがに疲れてきたのか太ももやふくらはぎがぴくぴく波打つのもなまめかしい。そうかと思えば苦戦していた技に成功して子供みたいに飛び跳ねて喜ぶ。レオタードに包まれた豊かなバストが、その重みを主張するようにゆさゆさ上下に揺れる。
最後はスタッフが『ここの撮れ高はもう十分ですし』と言いつつ場所のレンタル時間を理由にあかねさんへストップをかけていた。シャワーを浴びて私服に戻ったあかねさんが、休憩室らしき背景でティーカップを手に取ろうとして取り落としかけた。『手が……がんばりすぎちゃいましたか』と指先をピクピクさせ、スタッフに心配されていた。それから自分で腕を揉んで『いたっ……あ、なんか変な感じかな』と眉をひそめたところで、そのファイルが終わった。
そうして動画ファイルがずらりと並ぶ画面に戻ると、いくつか妙なサムネイルがあることに気づく。あかねさんらしき人影が、どこかの部屋で白いハンカチぐらいの大きさの布を両手の指でつまんで両側に広げてしげしげと眺め……違う、三角形に近い白く薄い何か、であるようだ……。
今さら見るのを自重したところで、と俺はその動画ファイルも開く。プレイヤーが開かれた瞬間、最初のファイルのときよりも変な声をあげてしまう。
『……はぁあ』
あかねさんが、冒頭やバトントワリングのときと打って変わって気の抜けた隙だらけのため息を吐きつつ、木製の長い扉のクローゼットを開けて、上着をハンガーにかけている。部屋はカメラフレームの範囲だけ見ても小ぢんまりしていて、いかにも一人用の個室といった印象だ。あかねさんのすぐそばのテーブルに籐編みのカゴが一つと、ポプリの詰まったガラス瓶、男の俺に縁遠すぎて用途がさっぱりな何かの容器や器具が売り物じみてきっちり並んでいた。
あかねさんがきっちり並んだうちの一つを手に取った。
『うわぁ、これ……』
あかねさんが、ビニールでパッケージされた白い女性用下着をまじまじと眺めている。見ていたのはショーツのほうで、もう一つブラジャーのほうも同様に観察している。他人の視線がまったくないと信じ切っているらしく、独り言さえ聞き取れる。梱包の注意書きを小声で読み上げている。どうやら女性用エステ向けのディスポーザブル下着らしい。
あかねさんが今からこれに着替えるのか。それがこの映像に……まさか隠し撮りか。
あかねさんが、疲労か緊張の緩みか、たまに独り言をこぼしながら着替えようとする。ディスポーザブルのビニールを手で開封しようとするが、指先まで疲れているのか手こずる。部屋の中でハサミなどを探したが見つからないようで、爪で切れ目を入れて開封していた。
それからあかねさんはディスポーザブルを入念に、興味深そうに引っ張ったり揉んだりこすったり匂いを嗅いだりしていた。自分の体に触れるなら使い捨てでもきちんと気にするのだろう。もっとも、しばらくするとうんうん頷いた。肌触りやフィット感に納得したらしい。
それからついに、あかねさんが自分の着衣を脱ぐ。きれいに畳んで籐編みのカゴに入れている。あかねさんの体があらわになる。体のラインはバトントワリングのレオタードで既に堪能していたが、ここで見えるのは緊張を解いた素肌の姿だ。
『んんっ……!?』
あっさりとショーツを脱いで、立ったままディスポーザブルに履き替えようとして、よろけて壁に手をつく。柔軟やバトンの演技のとき俺やスタッフを感心させたすらりとした細長い脚が、ここでは頼りなく震えている。カメラの前では『大丈夫です』と凛としたプロの声や仕草を崩さなかったのに。ここでは限界までクタクタになった素を見せている。
それを俺が盗み見てしまえている。
『……やりすぎちゃったかなぁ』
あかねさんはさっき、タイトなレオタード越しにバストやヒップのメリハリを嫌というほど見せつけていた。それが今や引き締めを最低限にした、汗を吸って恥ずかしいところを隠すだけのディスポーザブルだけをまとっている姿に。隠し撮りのアングルの都合で、乳首やあそこが腕や太ももに隠れて見えないが、これだけでも、流出してしまったらあかねさんはただでは済まないだろう。
ただ俺はあかねさんの立場を慮るどころではない。何度かシークバーを戻し再生や一時停止を繰り返した。どうしても見たいという気持ちと、これより先を見るのが恐ろしい気持ちが半々だった。
諦めてその先を見ると、あかねさんは下着姿の上に備え付けのフカフカした白いガウンを羽織ろうとする。肩や腕に違和感が走ったらしく何度か羽織り直す。
『黒川さん、こちらの準備はできました』
『はいっ、今行きますのでっ』
あかねさんがガウンの紐を結んだあと、歩いてカメラのフレームから見切れ、そのファイルも終わって再生が止まった。それから俺は何度かためらったが、結局そのあとのナンバリングの動画ファイルも再生を始めた。
『黒川さん、すごくがんばってお疲れでしょう?』
『え、ええと、まぁ、少しは……』
『ここでも汗はかくかもしれませんが、楽にしていてくださってけっこうです~。ああ、でも水分は先に摂っておいてください』
『よろしければこちらを』
施術用らしくやや狭いベッドにベージュの厚手なタオルが敷かれ、そこに白いガウンのあかねさんが腰掛けている。そばにはクリーム色のチュニックを着て丸い帽子で髪を覆った、高く見積もっても20代後半だろうという女性が2人立っていて、あかねさんに飲み物を勧めたり、アロマディフューザーやオイルを確認している。
『バトントワリングとか、あと新体操やダンスやバレエにも言えますが、体幹から指先まで筋肉も神経も使います』
『演劇では使わないところまで使って疲れているでしょうから、明日のためにしっかり癒されてくださいね~』
『ど、どうも……んんぁっ……!?』
『指先はもともと人体の中で比較的敏感ですが、たくさん使ったあとはほかも敏感になりますよ』
『もうちょっと緩めに触ったほうがいいでしょうか~?』
若い女性マッサージ師相手とは言え、いきなり手を握られてどきりとしたのか、あかねさんがぴくりと肩を跳ねさせる。あるいは、真面目に取り組んでいたあかねさんのことだから、指先まで緊張の余韻が残っているのか。
それを少しずつ溶かすつもりなのか、マッサージ師の片方だけがあかねさんの指や手のひらや手の甲を揉んだり、オイルかローションを塗り込んでいる。マッサージと呼ぶには控えめな接触だったが、あかねさんの肩や首の反応は徐々に穏やかになっていった。
『そろそろ首とか……まだ座ったままでけっこうです……おお、これは。上げにくくなってますか』
『ああ、それは正直……』
残りのマッサージ師があかねさんの横から、こめかみやうなじや肩、デコルテ辺りに触れていく。マッサージ師の指が髪の生え際辺りをなぞると、またあかねさんの肩が上がりかけ、それからかくんかくんと小刻みに落ちていく。
もう一人のマッサージ師が相変わらずあかねさんの両手に自分の指を絡ませ、指の股や手の甲を軽く押している。
『無理にリラックスとか気にせず、自然体のほうが効きますよ』
あかねさんは最初こそ愛想笑いで会話を続けていたが、手足や首、肩へのマッサージが2回り、3回りするうちに言葉数が減り、目が半分閉じかかっていた。合わせてか、マッサージ師たちが言葉を少なくして、映像で衣擦れの音が聞き取れるほど静かになった。
『はぁ……』
気の緩みがそのまま音になった息、と聞こえた。施術台に腰掛ける体がわずかに前に傾いた。
『肩の辺り、くつろげてもよろしいでしょうか?』
『ぁ、はっはい』
『うつ伏せに寝たほうが楽でしょうか~?』
マッサージ師に勧められるまま、羽織っていたガウンを肘に引っ掛けるよう半脱ぎにして、ベッドへうつ伏せになる。マッサージ師二人があかねさんの左右にそれぞれ移り、あかねさんの左右の肩と腕にオイルを伸ばしていく。あかねさんの首筋が赤みを帯びはじめた。バトントワリングで上気していたときと同じぐらい赤らんでいるが、緊張と弛緩の落差が明らかだった。施術台に上がる前まで残っていたいくらかの緊張が、あかねさんの吐息のたびにどこかへ薄れていく。
『肘を肩の横に出せますか?』
マッサージ師の手が、あかねさんの二の腕から肘へ、肘から前腕へと移っていく。あかねさんが腋を開いたまま揉まれるに任せていて、いっそう無防備さが際立つ。
肩甲骨のあいだ、ちょうど背骨辺りを片方のマッサージ師から指圧され、あかねさんの口から息が漏れた。バトンを持ってついた息と大違いだ。今度は長く、深かった。
『……あ、そこ』
『背中にも疲労が溜まっていますよね~』
あかねさんは戸惑った声を漏らしたが、マッサージ師が同じ場所をもう一度押すと、あかねさんが眉から力を抜いてゆっくり息を吐いた。
マッサージ師の二人がちらりと目配せをした。
俺は画面を一時停止できずにいた。
『少し楽になりましたか?』
『……はい、なんだか』
あかねさんが答えかけて口を止めた。言葉にするのが難しい変化だったのかも知れない。
もう一人のマッサージ師が足元に回り、あかねさんのかかとを両手で包んだ。あかねさんのつま先がぴくりと動いた。バトントワリングの練習でテーピングされ、酷使されて、ずっと動き続けてきた足だ。施術台に横たわって初めて重力を忘れた足裏に指が入ると、あかねさんのふくらはぎや、ガウンに包まれたままのお尻がすうっと盛り上がった。
『あ、その』
『まぁ、まぁ、力は抜けてなくてもけっこうです』
それからはまともそうなマッサージが続く……足裏、ふくらはぎ、背中、ガウン越しの腰……着替えシーンが嘘のようだ。
パンパンに張っていたりぴくりと震えていたりした手や腕や足が、何度も念入りに揉まれるうちに脱力していく。あかねさんの手では指が緩やかに丸まったままになり、マッサージ師がその手首を持ち上げて位置を直しても、人形のように抵抗なく従う。
半脱ぎにしていたガウンをずらされ、背中がウエストぐらいまで丸出しになっても、施術台のフェイスマットにも顔をうずめたまま。緩やかな起伏の細い背中や、深い呼吸で肋骨が見え隠れする脇腹がオイルにてらてら濡らされ、マッサージ師たちのしなやかな指に浮き沈みさせられている。あかねさん当人はすっかり楽にしていて、背中がどう見えているかもう気にしていないようだ。
『足つぼも、ちょっとやっておきますね』
『……足、痛いほうが、効くんでしょうか?』
『そうでもありませんね~』
マッサージ師の手が足裏に触れると、少し足裏やお尻やふくらはぎまでを硬くさせていたあかねさんだったが、それも一時。オイルが足裏にじんわりと染み込み、手で優しくほぐされ、強張りが消える。よく見ると、両足のつま先が外側へ向けて開いていた。座っていたときは両脚をかかとから太ももまでぴっちりくっつけていたあかねさんだが、今や膝の間にマッサージ師の拳が一つ入るほどの隙間が空いていた。
バトンのステップで酷使された痛みや疲れが消えていく快感に、理性がふやけてしまっているのか、まだガウンに包まれている内ももやお尻まで緩んでしまっているのか、と想像してしまう。
『痛かったら、言ってくださいね~』
『んっふっ……歯医者さんみたい、ですね』
『あそこまでじっとしてくださらなくても、大丈夫ですよ』
足のマッサージの合間に、ガウンの足側が少しずつずり上げられる。すらりと長く、すっかり脱力したあかねさんの太ももも半ばが露わになる。もう一人のマッサージ師は上半身側に回って、ガウンに包まれたままの腰やお尻に手を向ける。
マッサージ師の手がガウンごとお尻の膨らみに触れ、ゆっくりと圧をかけた。あかねさんの腰が、ほんのわずかだが沈んだ。
あかねさんの呼吸が一拍乱れた。フェイスマットに顔をうずめているから表情は隠れていて、首の後ろから耳にかけて赤みが増していた。少し大きく息を吸い込み、ゆっくり吐いた。
『……っ』
マッサージ師の手がお尻から腰へ移り、ウエストと骨盤の境目を掌底と手首を使ってじっくり刺激する。ガウンに包まれたままだが、腰の深いところまで伝わったのか、あかねさんの腹部がぴくんと収縮した。
『強いですか?』
『痛くは、ない、です』
あかねさんのたどたどしい返事から一拍置いて、腰への刺激が再開される。足の指やふくらはぎがぎゅうっと強張る。
『そのまま、そのままです、黒川さん、いいですよ~』
もう一人のマッサージ師が太ももの裏側に手を当てた。あかねさんの脚が一瞬きゅっと締まりかけ、また開いた。疲れて反応がままならないのか、恥ずかしがって反応を抑えたのか。
太ももの内側に手が入ると、あかねさんの指がシーツをつかんだ。
『力、入っちゃいますか?』
『あ、いや、その』
声が上ずっていた。フェイスマットで半分隠れた表情が恥ずかしげに震えた。
『ちょっとぐらいなら、皆さん力が入っちゃうものですよ~』
『腰に、大きな神経が通る仙骨があるんです。反応しちゃうかもですが、そのぶん効きますよ』
マッサージ師の指が太ももの裏を揉みつつお尻側へ動いた。あかねさんの足裏がはっきりと震えた。腰もつられて動き、ガウンや施術台のシーツが薄くよれた。ディスポーザブルの紐やクロッチもよれてしまっただろう。
『す、すみません、なんかっ』
『よっぽどがんばってらっしゃったんですね~』
『……ちょっと、恥ずかしくて……』
あかねさんが口ごもった。マッサージ師が無言で同じ動きを繰り返すと、あかねさんの腰が一瞬だけ浮いて震えた。
『は、ぁ、う……』
『いいです、いいですよ~』
あかねさんが顔をすっかりフェイスマットに隠した。腰だけでなく、首の筋がぴくんと反応するのもよく見えるようになった。
きっと、あかねさんは自分に言い訳しようとしている。運動の疲れで筋肉が敏感になっているのだ、圧が強かっただけだ、と。
『ふ、はぅ、ぁ……はぁ、あっ……』
『呼吸は、できれば深くしてくださいね。そのほうが疲れが取れますよ』
あかねさんは息を落ち着けようと必死らしい。でも、シーツを何度もつかむ細い指先は、爪のピンク色が一瞬で真っ白になるほど強く強張っていた。女性マッサージ師たちの指が腰や太ももを圧するたびにそうなる。カメラを意識していたバトントワリングや、誰もいない更衣室で脱力していた手とまったく変わってしまった。あかねさんが手を少しずらすと、つかまれていた部分がいびつな手のひら型にじっとりと色が変わっていた。
明らかに汗のシミだった。あかねさんの肌は、手のみならず首や肩や足も玉の汗が浮いている。声や吐息を押し殺していて喉が渇いてきたのか、口中に唾液をためて何度か飲み込んでいた。コクリ、と小さく喉が震えると、その細さがいっそう際立つ。
『体、熱くなってきましたね』
『それは……そんな……』
『血行がよくなってきた証拠です~』
足側のマッサージ師に加えて、もう片方のマッサージ師がお尻を両手で力強くもんでいる。ガウン越しにもあかねさんのヒップのボリュームと弾力が伝わってくる。あかねさんはベッドのシーツにお腹をずりずりと押し当てていた。さっきまで脱力して開いていた足の指先が、内側へ向けてぎゅっと丸まり、小刻みに痙攣していた。
『ふ、ぁ、は……っ……っうぅー……ぅ……!』
『そろそろあお向けの施術をしちゃいますね~』
『……えっ!? あ、や、やめっ』
唐突に、2人のマッサージ師が意外な力強さと連携であかねさんの体をあお向けにしてしまった。
そこには、俺の期待や恐れを超える痴態が映し出された。
『大丈夫ですよ~、皆さんこのぐらい珍しくありませんって』
痴態、と断言してしまっていいだろう。あかねさんの頬やデコルテは真っ赤だ。ガウンの前がひらりと開けられてしまった。ディスポーザブルの下着は依然としてあるべきところにあるが、すっかり汗を吸ってしまっている。ブラカップが乳首らしき突起を、クロッチがひくひく蠢くあそこの形を、ぼんやり浮き立たせてしまっている。
それを両手で隠そうとするも、ここまで弱った肉体に、しかも2人相手ではお話にならない。
『バストも施術いたしますよ~』
『や、ぁ……直接、なんてっ……だ……ンああぁああ……っ!?』
『これまで圧迫されっぱなしですから、こちらも解放的にしてあげませんと~』
あかねさんの乳首に意識が向いていたせいか、俺は気づいてしまう。〝直接〟……つまり、間接的にはこれまでのうつ伏せで感じさせられていた、と図らずもあかねさんが吐露してしまったのだ。あれだけ刺激され身動きしていれば、マットやガウンとも確かに何度もこすれてしまう……それでああ反応してしまうほど敏感になっているのか。
『まずはバストの周りから、準備を進めます。焦ることなんかありませんよ~』
マッサージ師の手で、あかねさんの二の腕から腋窩を経て、バストの付け根へと滑らかながら力強いストロークが加えられる。あかねさんが抵抗を忘れ、ただ『ひゃんっ……!』と短くかわいらしい悲鳴を上げた。酷使されて過敏になっていた筋肉に、そのマッサージがちゃんとした意味でも利いているようだ。その快感と同時に、呼吸に合わせてはぁはぁと揺らぐ彼女の汗だくのデコルテや胸元が、俺が見ていてどうにも淫らで仕方なかったが。
『バストのケアはアンダーからトップ、が基本です』
『ん、ダメ、んっ、はぅ、んっ……んぅうっ……!』
『これだけサイズがあってたくさん運動をしたら、アンダーがこすれたり蒸れたりしちゃいそうですから、念入りに』
マッサージ師の指は、胸のコリを流すようにふもと側からてっぺんへ、規則正しくお椀の形をなぞるように動いていた。女性の手と手つきであるおかげか、バストを揉まれている割にいやらしさが控えめだ。むしろ、あかねさんの体がそのマッサージに過剰に反応して、揉まれるたびに肩や背中やウエストまでがゆらゆら波打っている。下着に覆われたまま揺れる両胸の突起を、信じられないといった目つきで凝視している。
『もちろん、ここもですよ~』
『ひううっ!? ぁ、ああっ、う、く』
肩を抑えられながら、胸の突起を摘まれた。あかねさんがくちびるを噛み締め必死で声を殺していた。まるでそうしていれば、これがただのマッサージであると言い張れるかのようだった。
『ちょっと我慢して、動かないでくださいね』
『だ、めぇっ……来、るっ……ぅ……』
しかし体が明らかに快楽を吐露する。マッサージの指先がそこをつまむのと連動するように、ずぶ濡れのペーパーショーツに包まれた彼女の腰が、何度もベッドからぴくん、ぴくんと浮き上がって震える。ガウンが完全にずり落ちてベッドでくしゃくしゃになっている。
『っ……っうぅー……ぅ……!』
声は荒い鼻息に紛れてほとんど聞こえなかった。それが、そこだけを必死に抑えた結果だと俺にはわかってしまった。
映像には、あのしなやかな両脚が、あお向けのままピンと一直線に硬直していくところも、足指が空中をもがいたあと足首が限界まで伸びてつま先までがピンと伸びたところも映っていた。上半身を抑え込まれているせいで、逃げ場をなくした絶頂のエネルギーがすべて下半身へ突き抜けたようだ。
それに、あかねさんの引き締まったウエストがキュウッとこわばっていた。中から何度も激しく締め付けるような痙攣が見えた。それと同時に、すでに汗を吸って限界だったペーパーショーツのクロッチ部分が、内側から溢れ出た別の水分によって色を変えた。あかねさん自身、今、自分の下半身で何が起きたかを理解したんだろう。ガチガチに震える太ももをどうにか内側に閉じようと、必死にこすり合わせていた。
『ここからは道具を使っていきます』
今度はあかねさんの下半身側に陣取っていたマッサージ師が、灰色のこけしのような道具を示す。あかねさんがさっき着替えた更衣室には絶対に置かれないような電動マッサージ機。あかねさんはそれをしばらくぼうっと見ていた。
『んひぃっ!? ふひっ、あ゙ぁっ、あ゙っひっ!』
マッサージ師がスイッチを入れると、ヴヴヴヴと低く重い機械音が鳴り響いた。あかねさんはその振動の源が、自分のずぶ濡れのショーツへ向けてまっすぐ下ろされ、ようやくその危険を察したようだった。
『いや、いやこれいやあ゙ッ! あああっ……だめ、だめ……あ、んあぁあああ――ッ!?』
ペーパーショーツの、最も色濃く濡れそぼったクロッチの真上へ、高速振動するヘッドが押し当てられた。一瞬で、あかねさんの喉からこれまでの我慢をすべて吹き飛ばしてしまう、鼓膜を震わせる絶頂の悲鳴が迸る。引き締まったウエストが、逃げ場のない局所への超振動によって一瞬でカチカチに強張った。上半身をもう一人のマッサージ師にがっしりとベッドへ圧着されているため、彼女はただ頭を狂ったように左右に振り、施術台のシーツを涙で濡らすばかりだ。
『は、ぁっ、う、そ、これ、ちがっ……ひぎぃっ!?』
『体の奥深くまで振動を届けますからね、じっとしてください~』
手つきは、あくまで大真面目だ。だが、機械の生み出す圧倒的なエネルギーは、あかねさんの理性を一秒ごとに、容赦なく摩耗させていく。一度目の絶頂の余韻が引くよりも早く、二度、三度と角度を変えて電動マッサージ機を押し当てられるたび、彼女の引き締まった細い太ももがビクビクと激しく跳ね上がり、マッサージ師の腕に何度もぶつかった。機械の圧力と内側から溢れ続ける蜜によって、ペーパーショーツがもはや下手に露出するよりもいやらしくあかねさんのあそこの形と震えを写し取っていた。そこにマッサージ機のヘッドが添えられる責めもしっかり見えてしまう。
『んぉおっ……! も、もう……おかしく、な、るぅうう……!』
汗だくの肌がのたうち、はっきりした嬌声が部屋に響く。目と耳を疑うばかりの有様だが、一時停止も早戻しも不必要なほど明白だった。あかねさんの肉体が、マッサージ師の手と機械によって何度も絶頂へと追いこまれている。
『う、うっ……うううっ、ぐっ……あ、だ、めぇっ、また、来るっ……!』
それのたびに、彼女のつま先はバトンのポーズのときより美しく、しかし残酷なほどピンと硬直して伸びきる。腰が何度もベッドから浮き上がり、機械を自ら迎え入れるように淫らに揺れてしまう。
あかねさんの姿からは、もはやプロの女優としての振る舞いが消し飛んでいる。快楽の濁流にもがき、痙攣するばかりの女体へ仕立て上げられている。
『いい感じですね~。最後に、お腹の奥まで刺激を響かせます~』
『ひ、ぃ……ゃ、め゙……』
明らかに限界なあかねさんに、マッサージ師たちがあくまで事務的に、しかし無情な言葉をかける。
『危ないところはカットしてもらいますし、何も考えずご堪能ください』
下半身側のマッサージ師が真面目そうな声音で話しかける。けれど手にショッキングピンクのバイブを握っている。マッサージ師の女性らしい細い手にやや余る大きさだ。残りの手の指先がペーパーショーツのクロッチへと掛けられる。よくもまだ形を保っているものだ、と感心していたショーツがついに退けられてしまう。その接近を絶頂の合間でも察してか、あかねさんの内ももがくっきり筋を浮かせて拒む……拒もうとしているつもりらしい。痙攣とほとんど区別がつかない。
『や、やめっ……や、あ……あっ!?』
ショーツが無造作にずらされ、汗と蜜でてらてらと光るあかねさんのあそこが、半分だけだが、ついに直に映った。濃い赤紫色に染まった粘膜と、愛液がショーツとこすれ合ってできた白い泡がまだらになっていた。
『よく濡れていらっしゃいます、とてもいいですよ』
『そっち、は……ひゃあぁあうぅっ!?』
あかねさんが必死に腰をよじろうとした瞬間、へそ側から電動マッサージ機が再襲来する。下半身側のマッサージ師が置いたそれを、次は上半身側のマッサージ師が使っている。音割れするほどの叫びのあと、二度、三度と腰がベッドで激しくバウンドするが、手足を抑えられているのか、それだけ。
腰ががくんと落ちたその一瞬、バイブが一気に挿入された。
『うっ、あお゙……ぉお゙ッ、い、いっ……っ……!?』
バイブのほとんどが膣に一気に押し込まれた。ゴツゴツと容赦なく突き上げられる強烈な衝撃に、あかねさんの下腹部がさらに信じられない反応を示した。
よほど張り詰めているのか、下腹部はごく薄っすらだが腹筋の割れ目のような影が見え隠れし、細かった太ももにも前側にぽっこり筋肉が隆起している。逆にふっくらしていたお尻はぺこんと凹んだままになっている。
『い……っく、い、い゙、い……ッ!』
あそこがバイブをねじ込まれたままよほど硬直しているのか、マッサージ師がバイブを両手に持ち替えた。
より深く力強いピストン運動が始まる。膣側からの責めがダイレクトに外まで伝わっているように、あかねさんのあそこがガクガク震える。本人は必死に拒絶しているつもりだろうが、肉体が異物を突き刺されたままであるせいで、マッサージ師がバイブを両手で引き抜こうとすると膣口全体が引きずられるようにズルズルと外側へ引っ張られ、奥へ突かれるとぎゅっと戻っていく。これだけお腹が硬直していたら声どころか呼吸もままならないだろう。
『ううゔ、ふうぅ゙……ゔっ……』
『うん、もう少しですよ、がんばって!』
膣奥を直接掻き回される絶頂の重みに耐えかねて、あかねさんの両方の太ももは、内側へ内側へ閉じかける。しかし足側に陣取っているマッサージ師の体につっかかって脚を閉じきれずにいる。マッサージ師がそんなあかねさんの下腹部に、両手でつかんだバイブを容赦なく割り込ませ、さらにギチギチと肉をこすらせつつ抜き差しを繰り返す。
言葉にならない悲鳴を喉の奥で引き攣らせながら、ただただ下半身のすべての筋肉を硬直させ、されるがままに絶頂の波に揺さぶられ続けるあかねさん。俺はそれが映像であるとも忘れて見入っていた。
『お、つかれさまでした……っ』
その映像には、ご丁寧にも撮影がすべて終わった直後のあかねさんの姿も収まっていた。
白いガウンをどうにか羽織ったあかねさんが、ベッドから重病人のように息をつきながら体を起こし、覚束ない目つきと口元でスタッフに顔を向けて、どうにか笑顔を作ろうとしている。
さらにベッドから下りて、ふらつきながら施術室をあとにする彼女の後ろ姿を最後に、映像がぷつんと終わった。
(おしまい)