TS転生してHな退魔少女になったのでメ〇堕ち……しないよ!? 作:H・I
何はともあれ仕事をきっちり成功させたので、私は報酬と、双和家の跡取りとしての最低限の信用を手に入れた。
もう少し難易度と報酬が高い仕事を受注できるようにもなったが、今回の顛末を思い返すにそれはまだ早いような気がする。もっと経験を積んでからにしよう。
しかし合体霊にやった房中術的技法は思った以上にすごかった。いろんな意味で。
ただあれは簡易的なもので、本格的にやるとなれば貞操を捧げることになるわけだが、普通に戦うのでは勝ち目がない相手から生き延びるためにやるというケースも考えられる。習得しておけば保険にはなるだろう。
「元々の目的からして当然だけど、若さと美を保つ効果もあるしね。
あの後ぱっと見でわかるくらいお肌のつやが良くなったんだよ。化粧品なんて要らないね!」
ところで房中術には片方が一方的に精気を奪う「玉女採戦」と両者に益がある「陰陽双修」の2つがあって、私の女の体に男の心が宿っているというありようと我が家の苗字から考えるに後者こそ私が修めるべき技だと思わないでもない。殴る蹴るの家系だし、それ以前に除霊や退魔には使えない技だが。
それでもって。私は性自認は男性だから貞操についてはそこまで気にしないけれど、女性的感性も多少はあるからハジメテだけは特別だ。
というかはっきり言おう。
「この体の処女は私がもらう!!!」(咆哮)
これはガチだ。少なくとも初対面の退治対象や学校の男子とかにあげたくはない。
しかし私がもらうといっても指では実感がない。そこで考えた末、例の服型式神を使うことにした。
これには自我はない上に、生涯を共にする私の一部ともいえるモノだから。
衣服か防具にしかできないものだが、服の付属品みたいな形にすれば何とかなる。
「……って、何でいきなりここで処女捨てる、じゃないもらう流れになってるの?
本格的房中術やるって決めたわけでもないのに」
危ない危ない、乗せられるところだった(何に)。
とりあえず、霊力操作の訓練時間は増やすことにしよう。他の用途にも使えるし。
「訓練といえば、お父さんとお母さんが亡くなっちゃったから組手の相手がいないんだよね」
街の道場は組手だけお願いなんて無理そうだ。学校の部活は……こう言っちゃ悪いけど素でも相手にならない。
まあ急ぎじゃないことはおいおい考えるとして、実は今日もお仕事があるのだ。
元請けから聞いた話ともらった書類によると、海鮮料理を出している飲食店に大きな
つまり今回は退治対象が本当にいるかどうか分からないし、ましてその強さは不明である。本来ならまず調査や探知の専門家を送るべき状況なのだがたまたま誰も都合がつかず、しかも先方が急ぎなので、私も探知はそれなりにできるから引き受けることにしたわけだ。
ところで除霊・退魔は物的証拠が残らないので現場に同行して自分の目で見届けたいという依頼人がたまにいるが、これはどこの退魔師も基本的に却下している。危険が増すので。
追加料金をもらった上で同行を認める人もいると聞くが、詳しいことは知らない。
「……んー、人間に捕食されてる恨みの念が集まった妖魔、なのかな?
でもこういうのって、捕えられるか殺されるかする現場近くに現れるのが大半……あ、生け簀って書いてあるからそこでいいのか」
しかし生け簀にいるものだけでは数が足りないと思うし、たまたま濃い妖気が来てしまったのだろうか?
「どちらにしてもやることは同じなんだけどね」
捕食された者がした者に恨みを抱くのは分かるが、それでも見逃すことはできないのだ。
私は蛸の生態について調べるのを兼ねて前回と同じく夜になるまで待ってから、元請けから借りたカギでお店の従業員用出入り口から建物の中に入った。そのままホールに行って照明をつける。
ホールには当然ながら人影はなく、妖怪の姿もなかった。
「…………」
霊感を凝らして気配を探る。
室内の空間に妖気は
「…………」
しばらくそのまま待ってみたが、何も起きなかった。
なので慎重に生け簀に近づいて行くと、妖気の主が私の接近に気づいたのか生け簀の水面にざぱーっと噴水のような波が起こり、そこから(こちらは情報通りに)1匹の蛸が飛び出す!
ただしサイズは私が知覚した通り胴体(目や口の上の丸い部分)が拳大だった……と思いきや、風船が膨らむように大きくなって80センチ程にまでなった。腕(足と呼ばれることもある)も含めると4メートルくらいもある。
身体が大きくなった分だけ妖気の量も増えた。前情報の「影も形もない」も含めて考えるに、擬態して隠れていたということか。
「これは素で戦うとなかなか手強そう……でも紋様出すのも逃げるのもまだ早いかな」
というのも、この妖怪からは憎悪が感じられないからだ。つまり喰われた恨みで妖魔になったのではなさそうなのでそこは確認した方がいいし、スペックの方も多少は見ておくべきだろう。
私が腰を落として身構えつつもあえて戦端を開かず様子を見ていると、蛸はなんと口を開いて喋り出した!
「ぬっふふ、いきなり大当たりな女が来るとは何という幸運! いや我を創造した想いの数々が招き寄せたと考えるべきか?
ならばそれに応えねばなるまい! 開祖を始め多くの人々が描いたり見たりしてきた絵や物語を現実のものとするのだ!」
「―――!?」
しかも自分が生まれた経緯と存在理由まで語ってくれた……みたいだが、予想外すぎてすぐには理解できなかった。どうやら彼は「蛸についての絵や物語を描いたり見たりしていた人々の想いが集まってできた怪異」らしいが、ではその「想い」とは何なのだろうか?
あと今「彼」と言ったが、これは蛸の声質が人間の20歳台くらいの男性だったからだ。蛸の口で喋っている割には流暢である。
「えーと、それであなたを創造した人たちの想いとはいったいどんなものなんですか?」
考えても分からなさそうなので素直に訊ねてみると、蛸は胸、というか胴体をそらしながらドヤ顔(っぽい感じ)で答えてくれた。
「それはもちろん。開祖鉄〇ぬら〇ら先生以来の我が国の伝統文化、蛸と美女の異〇姦だあああ!!」
「そっちかあああ!!」
どうやら彼は日本のHENTAI文化の産物だったようだ……。
かくいう私も前世では蛸に限ったわけではないが……げふんげふん。とにかく彼の創造主たちを非難するのはやめておこうと思う。
しかしこれは逃げた方が……いや彼は男性退魔師が来たら隠れるか逃げるかして対決はしなさそうだし、生粋の女性に彼と戦わせるのはしのびない。中身が男性の私が退治するのが順当だろう。
ただ昼間調べた限りでは蛸の体はほとんどが筋肉なので柔軟かつ力も強いそうで、今目の前にいる彼もそんな感じだから打撃で
つまり紋様を出すわけだが、コレを彼に見せるのはさすがに嫌なので服のデザインはよく考えねばなるまい。
先にホルダーを外して手近なテーブルの上に放り投げてから、お召し替えの呪文を唱える。
「
服が破れた瞬間に蛸の視線の熱量が急上昇したがスルーした。
ついで再構成された服のデザインは、一言でいえばホルターネックのワンピース水着というかレオタードという感じか。下腹部を隠すのと、貞操を守るため股間のクロッチ周りを丈夫かつズレないようにした代わりに、そこ以外の露出はとっても激しい。
背中は肩から腰まで丸出しだし、前面も胸元にひし形の大きなくり抜きがあっておっぱいの谷間をまるっと見せつけている。ハイレグの角度もきわどい。
脚はソックスシューズだけで脛から太腿まで出しているし、腕には何もつけていない。
吸収メインだからサキュバスっぽく~~なんて考えたからか服が黒一色なのはいいとして、ヘアバンドにコウモリの羽っぽい飾りがついているのも別にいいが、尾てい骨の辺りからぴこぴこ動く尻尾が生えていてその先端部がハートマークになっているのは狙いすぎではないかと思うのだが。我が潜在意識はいったい何を考えているのだろうか。
……我ながらエッチすぎる意匠だが、ここまで来たら気にしている暇はない。さっさと次に進もう。
「
前回と同じように私の下腹部に紋様が現れ、パワーアップする代わりに全身が性的な意味で気持ち良くなり、性的欲求もこみ上がってくる。
その辺は表情や雰囲気にも出てしまうので、蛸はそりゃもう大喜びだった。
「おお、まさか魔法少女が実在したとは! さしずめH系魔法少女ブラックサキュバスというところか?
しかもあまりにエロすぎる。
「ま、
彼のあまりにストレートな物言いに私はちょっと頬を染めた。
なお交接腕というのは蛸の腕の中に1本だけある、
「あー、ごほん。能書きはもういいですから、さっさとかかってきて下さい!」
私がいろいろ流すためにそう言うと、蛸は望むところとばかりににじり寄ってきた。
実は彼の大きさだと重すぎて陸上ではまともに動けないのではないかと少し期待していたのだが、怪異にそんな甘い観測は通じないようだ。
「くっくく、物欲しげな目をしておるが我が触腕がそんなに立派に見えるか? いや実際に立派だが、望み通り人間の手やアレでは与えられぬ悦楽を存分にくれてやろうではないか!」
「誰が物欲しげなんですか!」
いやその通りなんだけどね。あはは。
でもそれを認めるわけにはいかないのだ。
「くはは、ツンデレ乙!」
「違います!」
それはともかく、距離が縮まったので戦闘開始だ。
私の
それどころか、彼の長い腕の方が間合いが広いので先制攻撃を繰り出してきた。
「速い!?」
4本もの触腕が私の両手両足を絡め取ろうとバネ仕掛けのおもちゃのような勢いで伸びてきたが、
ただ今回は飲食店のホールなので、テーブルやイスがあるから動ける範囲が狭い。仮に応援を呼んだとしても大勢で同時にかかるのは難しいし、この蛸なかなか良い場所を根城に選んだものである。
しかし彼が今私が殴った所を他の腕でさすっているのを見るに、痛覚はありそうだからその点は前回より有利だ。
「……フ。その恰好でステゴロ派とは驚いたが、もしそうならそこで突っ立ったままでは我は倒せぬのではないか?」
「……ム」
あからさまな挑発だったが、実際その通りなので乗ることにした。
「そうですね、ではいきますよ!」
私が突っ込んでいくと当然に触腕が迎え撃ってきたが、殴ったり蹴ったりして払いのけるとやはり痛覚があるようでそいつは動きが鈍くなった。これはいけると見た私がさらに歩を進めると、蛸は胴体を少しひねって目の脇にある筒状の器官をこちらに向けてきた。
「あれは確か『
よく知られているように、蛸はあの器官から墨を吐いて煙幕にするのだ。さらにある種の敵性生物の感覚を麻痺させる効果もあるという。
といっても人間には無害らしいが、怪異にそういう常識は通用しない。現に彼が吐き出したのは普通の蛸が吐くねばつきのない黒い墨ではなく、白く濁った粘液だった。
「!?」
前世でわりと見慣れていた液体に似ているような気がしたが、多分気のせいだろう……。
顔に浴びるのは嫌だったので左腕でかばうのは間に合ったが、そこに触腕が2本も伸びてきて巻きつかれてしまった。
「しまっ……」
思った以上の剛力で左腕が顔の前から引っぺがされ、しかもそちらに気を取られた隙に右腕にも2本巻きつかれた。間髪入れず上の方に引っ張られて、万歳の姿勢にされてしまう。
「く……!」
ついでまた白濁液が飛んできた。とっさに目を閉じたが顔全体にぶっかけられるのは防げず、しかもいくらか口に入ってしまう。
結構な勢いがあったのでそのまま飲み込むハメになり、ごっくんと咽喉が鳴った。
「……んぷ」
ちょっと苦かったのは別にいいが、変な毒性があったらヤバそうだ。
紋様を出している間は霊的な抵抗力も上がるから、よほど強い毒でなければ平気だが。
いやそれより
怪異はこんなのばかりじゃないはずですが、主人公が遭遇するのはこんなのばかりになる気が致します。
あと蛸が吐いたのはあくまで墨ですのでご了承下さい(何を)。
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