人類の英雄がみんなのためにゴブリンのお嫁さんになるけどチンポには負けたくない話 作:pocket_manimu
ダリルとともに準備を済ませ、部屋を出る。
ガチャ———
「おはようございます、ダリル様、アルマ様」
「……え?」
「うむ、朝食の用意はできているか?」
「はい。お部屋にお持ちしましょうか?」
「いや、リビングで食べよう」
「かしこまりました。すぐに準備いたします」
部屋のドアの横にメイド姿の女性が立っていて、どうやら朝食の用意をしてくれるらしい。
「い、いつからそこにいたんですか……?」
「?……1刻ほど前からですが」
「そ、そうですか……」
つまりダリルとのあれやこれやを聞かれていたということになるわけで……顔から火が出そうである。
「なんだ、情事を聞かれるのが恥ずかしいのか?」
「当たり前でしょう!ゴブリンには羞恥心という概念はないのですか……」
「はっはっは!自信のないやつなら聞かれたくないやもしれんが、俺の場合は誰の女か知らしめる意味でも聞かれて構わんぞ。だがお前が聞かれたくないというのなら配慮しよう」
「遮音結界を張らせていただければ……」
「うむ。だが外からの音は万が一に備え聞こえるようにしてくれないと困るな?」
「はい……」
「いつまで恥ずかしがっておる。お前は腹いっぱいかもしれんが、俺は腹が減って仕方がないのだ。早く行くぞ」
「あ、あなたそういうところですよ……!」
はっはっはと笑いながらリビングに移動するダリルの後ろを追いかけると正しくリビングといった部屋に着く。
先ほどのメイドが用意してくれている料理もイモのスープにパン、ベーコンエッグといたって普通の朝食だ。
「ダリル。この建物や料理に食材、いえ、料理はそちらの……「エリカです」エリカさんが作られたにしてもこのような建物と食材はあなたがた魔物にない文化ではないですか?」
「ん?あぁ、もちろん俺たちが人間から学んでいるものだ。捕虜になった人間から知識を得、俺たちが作った。この建物も、イモも、ベーコンもだ。パンはまだあまりうまく焼けるやつがおらんから人間の職人が作ったものだがな。やつら肉のことになると習得に身が入るらしくベーコンはなかなかの出来だ」
「あなたは本気で魔物の国を作るつもりなのですね……」
正直、今まで半信半疑なところがあったがこの建物も食材も作ったのが魔物だと聞けばそれが遊びでないことが伝わってくる。
「当然だ。低位の魔物たちは良くも悪くも本能に従順だ。人間と共存は難しくとも高位の魔物の支配下で平和に暮らすことくらいはできる」
「そうですか……。いただきます。んむ……ちゃんと美味しいです」
「そうだろう。……このあとこの基地にいるものたちを全員集めてある。終戦のことは各部隊長から伝わっているだろうが、俺からも話してやらんとならんからな。その場でアルマのことも説明するつもりだ」
「わかりました。もぐ……終戦していただけるのはありがたいのですが、エリカさん含め、この国に捕らわれた人々はどうするのです?」
「お前の望みとあらば全員国に帰してやる、と言いたいところだが我々にとって戦利品に等しい。労働力、そして先に話したような技術者としてもだ。なんの対価もなしに返還しては配下の不満が大きすぎる」
「わたくしはアルマ様にお仕えする機会を与えられ大変うれしく思っております」
「え、エリカさんは置いておいてですね、皆さんへの待遇はどのようになっているのですか?まさか奴隷のように扱われてはいないですか?」
「役職を持つようなゴブリンに褒賞として女をあてがうことはあるが、それだって対価を提示して受け入れたもののみだ。他の連中だって使い潰すような真似はしていない。後で畑の管理をしている人間の様子でも見に行くか?」
捕虜となった人々を取り戻すことができた例はこの戦争でごくわずかだった。
その少数の例ではたしかに非人道的な扱いを受けてはいなかったようだったがそれが幸運なことだったのかどうかは確認できなかったため、この言葉を聞いて私は心底安心した。
「最初はもちろん魔物の傘下になることを受け入れられないようだが、抵抗さえしなければ平穏無事に毎日を過ごせることが分かれば反抗心も徐々になくなってくる。反乱の可能性がゼロになるわけではなかったが、それもお前がいれば心配いらない」
味が良い、などと言いながらほとんど咀嚼もせずに食事を終えたダリルが私のそばに寄ってきて頬に口づける。
「もぐ。ごく……彼らに対する人質にもなるわけですか、私は」
「逆にお前を粗末に扱うところを見せればすぐにでも反乱を起こすだろうがな」
「……ごちそうさまでした」
「後片付けはわたくしがいたしますので、お二人はどうぞお出かけください」
「うむ、そうさせてもらおう。時間の概念は軍の規律に便利だった故俺手ずからよく浸透させてある。その俺が時間に遅れては示しがつかんからな」
「ではエリカさん、よろしくお願いしますね」
「はい!お二人の部屋も綺麗に掃除しておきますのでご心配なく」
「ぐっ……!はい……お願いします」
涼しい顔で言うエリカさんに何か言いたいと思ったが言葉が出てこず、急ぐぞと急かすダリルに腰を抱かれて家を出た。
家を出るとまた誰かいる。
今度はゴブリンだ。
腕の長い長身痩躯のゴブリン。
ハウラザードで出会ったゴブリンだったはずだ。えーっと、名前は確か……
「ジャマルさん、でしたっけ?」
「アルマ様、昨日はご挨拶を失念してしまい申し訳ございませんでした。あらためまして私、魔王軍参謀のジャマルと申します。以後お見知りおきを」
名前を呼ぶとジャマルさんは爽やかに笑って丁寧にあいさつしてくれた。
「こちらこそよろしくお願いします、わっ」
「早く行くぞ、遅れる」
「くくっ、アルマさんが自分以外の男と会話しただけで嫉妬ですか、我が王よ?」
ダリルにぐいっ、と抱き寄せられ少し驚いて見上げるとジャマルさんの言うことが図星だったのかむすっとしている。
「ふん、皆集まっているな?」
「えぇ集合完了しております。あとはお二人が来ればいつでも始められます」
「ならさっさと始めるぞ」
広場というのは家からすぐ近くにあった。
広場にはゴブリンをはじめとして多種多様な魔物が集まっており、それは二足歩行をする種族に限らない。
ゴブリンにオーガ、人狼、スキュラ、アラクネ、ハーピー、スライム、スケルトン……
その集まりの中には捕らわれの身として労働に従事する人間たちの姿もあった。
私たち3人が広場に姿を見せるとざわざわと騒ぎが起こる。
「皆さん静粛に!……魔王様、どうぞ」
だがそのざわめきもジャマルさんが一声かけるとぴたりと止んだ。
一番前に陣取っていた複数のゴブリンメイジたちが何か魔術を行使している。
……遠見の術や念話など複数の術を組み合わせて映像を伝達する魔術だ。各地の拠点へとつないでいるのだろうか。
数年前に国からの要請で私が開発し実用化にこぎつけた魔術だが、まさか魔物にまで広まっているとは思わなかった。
「皆の者、長々話をするのは性に合わんし、理解できないものも出るだろうから簡潔にしよう。終戦についてだ」
ほとんどのものは聞いているだろうが、とダリルが話し始めるとその場にいる全員の間にぴりりと緊張が走った。
「人類に対する侵略行為は今後一切禁止する。ただし防衛は徹底的にやって構わん」
一瞬場がざわついたがダリルのひと睨みでそれも収まる。やはりここまでは事前に聞いていたのだろう。
「理由は2つ。1つは我々の領土の広さ・資源拠点がすでに十分なものとなったからだ。そしてもう1つはここにいる……知らぬものはいないだろう。四魔ザバーンに勝利し、人間の領域を守り続けた人類の英雄アルマ・グレンフィルが俺の
私を抱き寄せ、なされた通達に今度こそ広場がざわつく。だがそれを無視してダリルが言葉をつづけると、聞き漏らすまいと彼らもすぐに静まった。
「終戦はアルマの願いでもある。故に俺はそれを叶えよう!我々にとって己の番を示すのはこれで十分だが……」
そう言って私の首筋をさするダリルを疑問に思い鏡の魔術で首元を見ると赤い吸い跡が残っている。
衆人環視の中で誰かの女になったことを報告されているだけでも赤くなっていた顔をさらに赤くして首元を隠すとダリルが笑って続きを話す。
「アルマは人間だ。故に人間の慣習に則り皆の前で愛を証明しよう……アルマ」
「は、はい……」
急な展開に目を白黒させているとダリルが顎を掴んで目線を合わせてくる。
昨晩散々目を合わせられたものだから、それだけでもうスイッチが入りかけて眉尻が下がってしまう。
「アルマ、お前を愛している。お前はどうだ?」
「わ、私もあなたを愛しています、ダリル♡……ちゅ♡んちゅ♡あふ♡えう、れる♡んむ、ふ♡こく……ごく♡」
「ジャマル、あれを」
「は!……こちらに」
魔物が、捕虜の人々が見ていることも忘れダリルとのキスをし、唾液を嚥下した私の手をダリルが取る。
「今後一生、お前だけを愛すると誓おう。アルマ、受け取ってくれ」
「え、あ、こ、これ……!」
愛の誓いとともにダリルが私の左手薬指に指輪を通した。魔術の力できゅっ、と指に適した太さに変化した指輪には黒い夜空のような輝きを持つ宝玉が付いていた。
慎ましい大きさだが膨大な魔力を蓄えたその宝玉が何物か、うっすらと気付く。
「結婚指輪というやつだ。人間は番になるときにこれを渡すのだろう?」
「そうですけど、そうじゃなくて!これ、龍玉でしょう!?」
龍玉。古き力を持つ真龍を打倒した証として手に入ると言われている代物だ。私とて現物は国の宝物庫で一度見た切り。
「そうだ。お前に贈る石を考えたときこれ以外考えられなくてな、龍退治に行ってきた」
「し、信じられない……!」
「贈り物で気を引こうとは思っていないが、これは俺からの誠意だ。受け取ってくれ」
「う、うぐ……」
ダリルがつかんでいた私の手に指を絡め、再び視線を合わせる。
「これからお前は人間の国を離れ、慣れない土地で先日まで敵だった者たちに囲まれて暮らすことになる。苦労をかけるな」
「……構いませんよ」
目を細めたダリルは視線を切り、広場に集まった者たちに目を向ける。
「と、いうわけだ!人間との争いはじき終わる。我らの国に暮らす以上これからは人間もまた同胞だ、ゆめ忘れるな!以上、解散せよ!」
ダリルの号令によってお開きとなると広場中からドッ、とざわめきが起きる。
だが彼らにもやらなければならない仕事がある。広場が少しずつ閑散としていくのを眺めているとジャマルさんから声がかかる。
「魔王様、アルマ様、おめでとうございます。しばらくお二人で過ごしたいかと存じますが、申し訳ありません。魔王様は終戦に伴う処理で山のように仕事がございますのでお付き合いください」
「むぅ……仕方あるまい。アルマはどうする?」
「それではこの拠点を見て回ってもよいでしょうか?捕虜になった方々の様子も見たいですし」
「では案内の者をお付けしましょう。ここで少々お待ちください」
そう言い残し、ダリルとジャマルさんはどこかに歩いて行った。
少し待っているとダリルたちが歩いて行った方向から人狼が歩いてくるのが見えた。
「どうもアルマ様!自分はステラっす!ジャマル様に、ここを案内するよう言われて来たっす!」
「私はアルマです。どうぞよろしくお願いします」
ステラさんはどうも女性っぽいが、いまいち自信が持てない。
人狼に勢いよく来られると結構怖いのだが、早く慣れた方がいいのだろうか。
「いや~、さっきの集会は感動したっす!魔王様に相応しい雌なんていないってんで魔王様の番論争は長年膠着状態だったんすけど、まさか魔王様には意中の相手がいて、しかも人間だったなんて!」
「あ、あはは……」
「おっと失礼したっす!しかし生のアルマ様を見るのは自分今日が初めてっすけど、すごい魔力っすね~。甘くて芳醇な、それでいて飽きの来ない……雌の私でも味見したくなるっすよ」
「?……どういうことですか?魔力の味?」
くんくん、と鼻を鳴らすステラさんの様子を疑問に思い尋ねる。
「え?アルマ様の魔力がとっても魅力的だって……あ~、そういえば人間は魔力は感知できないんだったっすね!自分たち魔物は魔力の質や量がその人の魅力に直結するっす。もちろんそれだけじゃ決まらないですし、種族によって独自の判断基準があったりするっすけどアルマ様の魔力ならどんな魔物にもモテモテっすね~」
だから魔王様はその指輪で少しでもアルマ様の魔力を隠したかったんだと思うっすよ。と言うステラさんの説明に少し納得する。
「さ、まずはどこに行きましょうか?どこかもう行った場所はあるっすか?」
「いえ、昨日はここに着いてそのままダリルの家に行きましたので」
「直行して愛し合ったわけっすね~。熱いっすねぇ!」
「な、な、なんで……」
「いやなんでって、そんだけ雌と雄の臭いが染み付いた服着といて隠せるわけないっすよ……。別に人狼じゃなくてもわかるっすよ」
ハッ!と気付いて服を確認すると、汚れてこそいないが強く臭いが染み付いているし、そもそも体が汗やらの体液で汚れている。どうして気が付かなかったのか!
「……水を浴びられる場所と、着替えの手に入る場所、服を洗える場所を教えていただけますか?」
「それはわかったっすけど、魔王様はたぶんマーキングの意味を込めてその服で今日の見回りをさせようとしてるんで着替えさせると自分が怒られるっていうか……」
「で、でも……」
「身綺麗にしたところで魔王様の番ってことで容易に想像できますし、ゴブリンが大多数を占めるこの街じゃあ雌は大体いつでもそんな感じっすからあんまり気にしなくていいと思うっすけどね」
「えっ?いつもそんな感じって……」
「アルマ様はもうご存じだと思うっすけど、ゴブリンの体臭や体液には雌を強く発情させる効果があるっす。この拠点にはその効果が染み付いていて、大体の雌は発情を発散させるためにゴブリンの番になってるんすよ。ゴブリンの数が増えすぎて食糧生産が間に合わなくならないように、ダリル様の命令で避妊具の使用がほぼ義務付けられてるのもあってゴブリンの番がいない雌でも気軽にゴブリンチンポハメられるのはありがたいっすよね~」
あはは、と笑うステラさんの話を聞いて冷や汗が出る。
この魔物の国はもしかしてゴブリンのチンポに支配されているのではないか?
すべての雌はゴブリンのチンポに逆らえず、雄は魔王ダリルに逆らえずゴブリンを力で押さえつけることが叶わない。
ダリルはゴブリン以外の種族の出生率が低下するのをよしとせずゴブリンの数を抑制し、避妊具でゴブリンの精液による影響を最小限に抑えようとしているのかもしれないが、ステラさんの様子を見るにそれでもゴブリンにメロメロなのは明らかだ。
私は仮にダリルが手のひらを返して人類を滅ぼそうとしたときにそれを止めることができるのか?
そんなことはないと信じたいが、この国が安定した時そのあとでどう転ぶかはわからないのだ。
打てる手は早いうちから打っておかなくては……。
「……アルマ様?」
「あ、いえ、少し考え事を。わかりました、では着替えなどは後回しにしましょう。先にここの施設を一通り回って、ついでに働いている人たちがいれば様子を見せていただけますか?」
「了解っす!それと、水浴びや着替えなら魔王様の家には全部揃ってるはずっすよ!」
「そ、そうですか……」
なら、私のこの様子を見たうえでメイドのエリカさんは見送ったわけで……時間がなかったとはいえ少しショックである。
その後ステラさんの案内でぐるりと策に囲まれた敷地を一周したところ、ダリルたちのいる作戦本部に兵士たちの兵舎、病床も備え付けられた診療所、兵士の訓練所などの前線基地としての施設に加え、武器や金物を作ったり修繕する鍛冶施設やパンを作る窯のあるような工房施設、大きな食堂などの生産施設もあった。そのどれにも捕虜の人間たちはいてほどほどの待遇でほどほどに魔物たちと仲良くしたりいがみ合ったりしているようだったが、最も多くの人間が働いていたのは農地だった。
試行錯誤の回数を重ねることが難しく時間と根気がかかり、直接肉が食べられるわけでもない農業は魔物たちの習得が進んでいないようでまだまだ多くの人間の手が必要な部分であると同時に、捕虜となった人間は逃げることの難しかった田舎の農民が多かったのが理由だ。
「皆さんこんにちは」
「アルマ様だぁ!本当にアルマ様だったんですねぇ!」
「魔物どもにひどい目にあわされちゃいないですかい?」
「こんな土臭いところまでわざわざありがとうございますだぁ」
畑に私が姿を見せるとわっ、と人々が集まってくる。
「皆さんお元気そうで何よりです。私はとてもよくしてもらっていますが、皆さんがどのような扱いを受けているのか気になって様子を見に来たんです」
「さぁすがアルマ様だぁ、わしらはなぁんも変わっとらんよ。ただ野菜を作ってお偉さんに納めるだけじゃ」
「んだなぁ。逆らえば殺されることもあるが、十分作れなかったときにひどいことされんのはむしろ良くなったかもなぁ!」
「だはは、最初んころは魔物どもも俺らに慣れてねから時々怪我とかしてたけど、最近はずいぶん落ち着いた。それも獣に会うようなもんだと思えば、ここじゃ獣が寄ってこねぇ分とんとんだべ」
「領主様が変わるんは時々あることじゃて、わしら農民にとっちゃ大して違いはないのぉ」
扱いがそこまで悪くないのは他の場所で働く人たちと同じだが、現状の受け止め方と魔物への嫌悪感がずいぶん違うのに驚いた。
農地以外の人々は魔物への嫌悪や現状打開への期待はかなり大きいようだったが、農民たちはそう悪くは思っていない様子。
「皆さん、魔物に支配されるのは嫌ではないんですか?」
「うーん、支配って言ってもあんまりあーしろこーしろ言われたこともないし、そりゃいつでも俺らを殺せる力があって俺らと違う価値観で動いてるってのはわかるから怖いは怖いけど。まぁ田舎で暮らしてればいつ自分に理不尽な死が襲い掛かってくるかわからないってのは当たり前のことだからさ」
「なるほど、都市に暮らしていた方たちとの差は理不尽な暴力がすぐ隣にあることへの慣れの差ですか……」
「あ、それに街の方じゃずいぶん人も殺されたのかもしれないけど、俺らみたいな村はほとんど抵抗もしてないから身内が殺されて恨んでるとかそういう人も少ないんだ。それもあるかな?」
「ありがとうございます。参考になりました。あっ、そういえば皆さんの作られた野菜、食べさせていただきましたがとても美味しかったです」
「それはよかったです。それにですなアルマ様。彼らのようにともに畑を耕し、種をまき、水を汲み、収穫してくれる者たちもいます。彼らとともに土を触っていると、いくらなんでもそう邪険に扱おうとは思えませぬよ」
大変参考になる話を聞くことができ、最後に朝食で食べた野菜の感謝を述べて立ち去ろうとすると老人が畑を耕すゴブリンや蟲人などの数体の魔物を指さした。
「なるほど……また様子を見に来たいと思いますが、私はダリルの家にいますから、何かあれば訪ねてきてください。今日はお忙しいところお邪魔してすみませんでした……魔物の皆さんもまた今度お話ししましょう!」
魔物たちに手を振ると、彼らは驚いたようにこちらを見て控えめに手を振ってくれた。
農業に従事する魔物たちは少し温厚な個性を持っているのだろうか?