※この作品はR-18です。

追放の破戒僧は女難から逃げられない   作:ミステリードール

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第一部完!(帝都脱出編)

シュウとフローラは数多のトラブルと妨害を乗り越え、ついに帝都市街地を脱した。

郊外まで出ると聖騎士団も完全に包囲網が布けておらず、もうほとんど当面の障害は乗り越えられたと言って良い。

帝都市街地中心地におりながら、聖騎士団・・・のみならず勇者パーティーの妨害すら乗り越えて逃走を成功させた奇跡は、帝都の民の心に深く刻まれ語り継がれることになる。

 

だが、これはただの奇跡ではない。

当事者のシュウの知らぬところで、深く広く、助力の手が差し伸べられていた。

 

 

 

 

 

 

「くそ!聖女達はどこへ行った!?そこの者、象のような白馬に乗った男女を見ていないか?」

 

 

郊外まで出るとホワイトキングは更に速度を上げてしまい、姿を見失ってしまった聖騎士達は行方を追うのに必死になった。

そこで郊外に住まう住人から目撃情報を集めるのだが、これがまた聖騎士達を混乱させることになった。

 

 

「それでしたら私は見ました。聖女様達が乗った巨大な白馬から突然翼が生え、遥か大空へ飛び去って行くのを。あの馬はペガサスだったのです!」

 

 

「は?ペガサス・・・?一体何を。昼間からヤクでラリっているのか?」

 

 

「そんなことはありません。だって聖女様でしょう?ペガサスを飼い慣らしていてもおかしくはないではありませんか」

 

 

「・・・そ、そうかな・・・そうかも・・・?でも飛べるなら何で最初から飛んで逃げなかったんだ(困惑)」

 

 

またある時は・・・

 

 

「白馬なら見たぞ。ここら辺で急に白馬の頭に角が生えたんだ。あれはユニコーンだったんだ!流石聖女様だ!」

 

 

「ゆ、ユニコーン・・・まぁ聖女様だからな。で、それはどこに?」

 

 

「生えた角が高速回転をし始め、その角で地面を掘り始めた!ユニコーンはそのまま聖女様達を乗せたまま地中に潜り、消えて行ってしまったよ」

 

 

「ち、地中ぅぅぅぅ!?そんなとこどうやって捜索するんじゃあ!!」

 

 

などというものものもあり・・・

 

 

「西へ行った」

 

 

「東へ行った」

 

 

「南へ行った」

 

 

「忘れ物をしたといって引き返していきましたよ」

 

 

「まるで空気を足場にしたように、そのまま空へ駆けあがっていったよ」

 

 

「突然爆発四散して跡形もなく消えてしまったわ」

 

 

目撃情報の内容はてんでバラバラで、聖騎士達の捜索は難航・・・どころか混乱を極めに極め、指揮官でさえ「これもうわかんねぇな」と匙を投げた。

 

言うまでもなく、これら聖騎士の捜査の混乱にはトンプソンが絡んでいた。

聖騎士が聞き込みをした一般人、というか聖騎士そのものに至るまでトンプソンの構成員は潜んでいる。

それら全てがセレスティアの命令によって攪乱工作をした結果、聖騎士達は完全にシュウ達の居所を見失った。

 

 

この逃走劇の成功に際し、限られた時間の中で裏工作をしたフローラの功績は確かにあったが、それより遥かに大きかったのはやはりトンプソンの組織力を駆使したセレスティアの功績だ。

シュウは帝都で聖騎士に捕まり、打ち首になるという未来からは逃れることが出来たが、代わりにセレスティア・アドネイドという決して借りを作ってはいけない相手に借りを作ってしまったのである。

この事はシュウの望むスローライフに、大きな影を覗かせることになるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

-----

 

 

 

 

帝都の郊外エリアを疾走し始めて、いくらか時間が経過した頃・・・

 

 

パチンッ

 

 

「はっ!?」

 

 

大きな鼻提灯を割って、フローラが馬上で目を覚ました。

 

 

「フローラ、良かった・・・目が覚めましたか」

 

 

シュウはフローラの目が覚めたことにホッとする。

どこか安全な場所で救護措置を取ろうと思っていたものの、シュウ達は聖騎士のみならず『光の戦士達』という規格外の実力者からも追われている身であるため、いつなら良いかどこなら良いかとタイミングを迷っている最中であった。

 

 

「ここはどこですか?『光の戦士達』の方々は・・・」

 

 

「いろいろ・・・ホントもういろいろあってどうにか抜け出し、今は郊外を走っています。この快速ならもう少しで一息付けそうなところまで行くことが出来るでしょう。もう一息ですよ」

 

 

シュウはフローラの質問に答えると、「はぁ~」と心底疲れたように長いため息をついた。

声色からも疲れを感じ取ったフローラは、一先ずシュウにあれこれ聞くのをやめ、手綱を取るシュウの手をそっと握り、帝都からの脱出に成功した喜びに浸ることにした。

 

 

「勝ったッ!第一部(帝都脱出編)完!アーッハッハッハ」

 

 

虚空をビシッと指差しながら、フローラが笑い叫んだ。まるで頭のおかしい人だ。

 

 

「え?いきなり何?」とシュウは困惑するが、しばしフローラは「爆アゲだな!」とか独り言つったり、シュウの目が気にならぬほどテンションがゲージを振り切っていた。

昨晩の蜜月、そして帝都を騒がせるほどの壮大な駆け落ちを成し遂げたという事実、これもう私シュウ様の嫁確定じゃない?と、自分の夢が叶ったことで脳汁が大量放出。完全にキマってしまっていたのだ。

 

 

(邪魔が絶対入らないようなところで、二人で幸せな日々を過ごそう・・・まずは子供ね。子供を作ればシュウ様を私の元に括り付ける楔になるッッ!野球チームを二つ作って対戦出来るほどの人数にしましょっ)

 

 

涎を垂らしながら、虚空を見つめて悦に浸るフローラ。

しかし、フローラが妄想するような幸せな未来は、その後訪れることはなかった。

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