シュウ達が逃げ出した隣国ディンコックのある冒険者ギルドでのことである。
「お、新しい賞金首が張り出されたか」
職員が賞金首一覧のコルクボードに新たな賞金首の情報を張りだすと、ギルドで屯っていた冒険者達がぞろぞろと集まりだした。
「さて、今日はどんなやつかな」
「どんなBADネームになってっかな。それが楽しみだわ」
賞金首には、実名が分かれば実名も載るのだが、それとは別にギルドが決めた通り名がつけられる慣習になっていた。
それがBADネーム。
BAD(悪い)な奴に俺らが通り名をつけてやろーぜ、とあるギルド職員が言い出したことが、そのまま慣習づけられたものだ。
BADネームはその賞金首の特徴を捉えたものになっており、目を引くBADネームをつけることで冒険者の印象に残り、それが賞金首の発見につながっていたりするので好評だった。
そしてこの日張り出された賞金首は二人。
この手配書はいろいろな意味で冒険者達の目を引いた。
BADネーム 『フルチングラップラー』
一人目の賞金首のBADネームである。
『 閉じているのか開いているのかわからない細目、鍛え抜かれた体、エッチな形をした美しいイチモツを晒しながら格闘術を披露するという年齢30前後の男 』 という特徴を描かれたこの賞金首は、シュウのことを指している。
「おい今回の賞金首は濃いな」
「フルチンで戦う格闘家かよ。色香を利用して戦う女もいるって話だが・・・それの男版?」
「こんな手配書一回見たら忘れられないわ」
「一度見てみてぇぜ・・・(ゴクリ)」
フルチンで戦う格闘家。当たり前だが、あまりに濃いキャラ付けに誰もがしばしその手配書に釘付けになった。
「手配書はもう一つあるな。そっちはどうなんだ」
「流石にフルチン男がいきなり出て来たから、もう驚かねーわ」
冒険者達はそう言いながら、もう張り出されたもう一つの手配書に視線を移す。
BADネーム 『筋肉モリモリ マッチョマンの変態女』
シュウの手配書も目を引いたが、こちらは更に目を引いた。
「こっちの賞金首も濃いな」
「こんな手配書一回見たら忘れられねーわ(二回目)」
「長いな」
「男なのか女なのか、これもうわかんねーな」
濃くて長めのBADネームはシュウのそれよりも目を引いたが、特徴のほうもまた目を引く。
『 普段は小柄の美少女であるが、脱ぐと凄い(筋肉) かなり着やせするタイプで、服の有無で身長と筋肉量が倍以上変化する。 フルチングラップラーと町を破壊するレベルの格闘戦を繰り広げるが、彼らにしてみればセックス。はた迷惑なので賞金首 』
通りかかった冒険者も、思わず三度見するその内容に誰もが固唾を飲んだ。
ちなみにこちらの手配書はフローラを指している。
シュウ達は町で宿屋を破壊したお騒がせ者として憲兵に手配されているが、宿屋のオーナーが実は町の権力者であり、自分の店を荒らされた報いを受けさせると言って賞金をかけて今に至る。
だが、シュウはともかくフローラについては情報が錯綜に錯綜してジードと情報が入り混じっており、もうわけのわからないことになっていた。
ギルドに賞金首として手配されることは間違いなくシュウ達にとって逆境だが、この手配書の内容で見つかることになるかは疑問が残るところだ。
「なにこれ、本当に賞金首?」
「モンスターの手配書と間違えてない?」
「やべえよ、やべえよ」
手配書を前に冒険者達が騒然とする中、とある一団がギルドを訪れる。
セレスティアとその配下、オーバーキル達であった。