※この作品はR-18です。

追放の破戒僧は女難から逃げられない   作:ミステリードール

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勇者、覚醒 その2

これまでサブングルの歌を聞くだけで脱力し、パーティーの誰よりも役立たずになっていたライル。

そんな彼は、今はまるでタガが外れたかのように剛腕を振っていた。

 

キラータイガーは極めて身のこなしが軽く、攻撃をまともに当てることすら簡単ではない。

だが、ライルの剣は的確に敵の体を捉え、スラリとキレイに真っ二つに両断していく。

300以上いた敵が一度にライルを標的と定めたため、一体倒してもまた次の相手が襲ってくるのだが、ライルは弧を描くような動きでその悉くを一刀で切り裂き、難なく対処している。

 

凄まじい速さで築かれる死体の山。降り注ぐ血の雨。

これまでにリムラーに非難されていた、およそ勇者パーティーらしからぬ凄惨な戦場だが、まるで踊るように剣を振い敵を屠っていくその姿は、不思議と見る者の目を奪う美しさがあった。

 

まるで狂気のようなサブングルの歌をBGMにした舞台劇のような光景に、歌によって狂・・・いや、興奮状態になっていたはずのチンキン達は再び動きを止めてライルに見入っていた。

 

 

「ラ、ライル君・・・」

 

 

チンキンは顔を赤らめ、棒立ちになってライルに熱い目線を向けていた。股間の棒も勃っている。

 

 

「ウツクシイ・・・」

 

 

ライルの剣のあまりの美しさに、ジードすらも感嘆の声を漏らしている。

 

全く動じていないのは、チヨメくらいだ。

ライルが戦っている裏で、誰にも気付かれぬことなくキラータイガー討伐に勤しんでいた。

 

 

そんなこんなで、キラータイガー334体は難なく全てが倒されたのだった。

 

 

 

 

 

 

-----

 

その夜、とある町の飲み屋の一席・・・

そこでは憮然とした表情のリムラーが葉巻をくゆらせながら呼び出したライルを睨みつけていた。

 

 

「あのさぁ、私の言ったこと、君本当に理解してるかねぇ?」

 

 

リムラーの顔は真っ赤で、既に空になったコップと瓶がテーブルの上で転がっている。

今回のライルの大暴れは、既に地域のギルドどころか世界中のギルドで話題に上がっていた。

一国が滅びかねない脅威を祓った『光の戦士達』・・・打ち立てたのは間違いなく偉業だが、「あれ本当に勇者?」「魔物が魔物を駆逐してる」と帝国の勇者の品位はとことん落ちている。

それについて本国から猛烈な叱責があるだろう、自分の将来も危ないかもしれない、と監視役のリムラーは荒れに荒れ、酒と煙草に逃避していたのだ。

 

 

「おうこら!聞いてんのか勇者ぁぁ!!」

 

 

酒癖が悪い上に超絶ライルにヘイトを溜めていたリムラーは、もうすっかりライルに対いて敬意など微塵もない態度で接する。ライルはリムラーがやるなと言ったことをやり、自分の将来を脅かしてきたのだから無理もない。

これからリムラーは数時間に渡ってライルを説教してやろうと決めていた。

 

だが

 

 

「うるさい!僕に指図するんじゃないっ!!」

 

 

ライルは舌を出してゲス顔し、中指を立てながらそう叫んだ。

これまでライルはリムラーに対して基本的に平身低頭だったが、そんな彼の豹変にリムラーは目を丸くして硬直した。

 

 

「お前たちが文句を言う隙もないくらい、これから僕達は功績を積み続けてみせる!黙って見ていろこのダボがっ!!」

 

 

ライルはそう言って踵を返し、カーッカッカッカッと悪党のような笑い声を響かせながら店を出ていく。

あとにはそんなライルを茫然と見送るリムラーと、「どこのゴロツキだ?」と怪訝な顔をする客が残った。

 

 

 

 

 

 

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「どうやら吹っ切れたようですね。いや吹っ切れすぎ感もありますが」

 

 

店を出たライルを待っていたのは、微笑を浮かべたサブングルだった。

 

 

「あぁ、つまらない意地を張って、これまで素直に歌の衝動に身に委ねなかった自分が恥ずかしいくらいだ。今の僕はすごく調子が良い。どこまでもいける、そんな気がする」

 

 

心底吹っ切れたように言うライルに、サブングルは満足そうに頷いた。

 

 

「素晴らしい。今日より貴方はより勇者としての高みに上ることでしょう。誰もが追い付けない、絶対的な強者になるのです」

 

 

サブングルの言葉に、ライルはフッと小ばかにしたように笑う。

 

 

「そんなのはどうでも良いんだ。女。まずは女だ。これからはほっといても女が僕を求めてやってくる・・・想像するだけでたまらねぇ!」

 

 

自身にかけられた制約のことを忘れてそんなことを言うライルに、サブングルは「いややっぱりいくらなんでも吹っ切れ過ぎだろう」と冷や汗をかいていた。

 

 

 

そんなライルに待っていたのは・・・

 

 

 

 

「ライル君!今日という今日はもう我慢できないアル!いますぐ私とエッチするある!美しく気高いライル君を汚したい衝動が止まらないアルよろし!」

 

 

「待っていたぞライル君!私とこれからH(HOTな筋肉的交流の略)しよう!」

 

 

すっかり興奮状態に陥り、ぐるぐる目で猛烈に迫ってくるチンキンとジードだった。

 

 

「なんで男が来るんだよ!」

 

 

「男も来るって言ったではありませんか(小声で)」

 

 

ライルはうまくいかない現実に嘆き、迫りくる魔物よりも恐ろしい仲間の対処に苦労するのであった。

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