ライルが勇者として一皮むけた(???)その頃、逃避行の最中にあったシュウ達は、ようやく小さな村の宿屋で落ち着くことが出来た。
禁欲に次ぐ禁欲生活が続いていた男女。何も起こらぬはずはなく、帝都以来のセックスを堪能した。
「シュウ様・・・凄かったです・・・」
ベッドの上で何回かの交わりの後、フローラは紅潮した頬を擦り付けるようにしてシュウにしな垂れかかった。
今回はイメージプレイも何もしなかった。
宿屋にチェックインし、入室するなり「兎にも角にも、まずはスケベしましょう!」と、逸るシュウにフローラも応じ、二人とも今度こそ余計な邪魔が入る前に取り敢えず一発!と、普通にセックスした。
「はぁ~、久々で本当に気持ち良かった」
限界まで来ていた禁欲から解放され、シュウはついそんな下品な発言を漏らしてしまうが、フローラは不愉快になった様子もなく、すりすりと顔をシュウの胸板に擦り付けている。
こうして甘えているとまた高ぶって来る。もう少し抱きたいなとシュウが再プレイについてお伺いをしようか、そう考えているとフローラが「あっ」と思い出したように声を出した。
「そうだシュウ様。私、一つだけずっとモヤモヤしていたことがあったんです」
「えっ」
何やら真剣な目つきでそう言って見つめてくるフローラ。シュウは何だろうと待っていると、予想だにしていなかったとんでもないことを言いだした。
「シュウ様。帝都で初めて結ばれた際、私はシュウ様に純潔を捧げました。けど、シュウ様はそうではありませんでした。素人童貞ですらありませんでした。これは不公平だと思うんです」
「は?」
突然何を言い出すのだろうとシュウは思った。仕方がないではないかと。
フローラの言葉は続く。
「ですから、公平にするために私は考えたんです。これからシュウ様のバックバージンを頂戴すれば、丸く収まるんじゃないかと」
「急展開スギィ!!」
バックバージン・・・すなわち肛門性交の初めてをフローラが奪うというのである。シュウが掘られる側だ。
先ほどまで愛し合っていたのに、何故こんなわけのわからない流れになってしまったのか。シュウは頭を抱えたくなった。
「これがほんとの痛み分け、ですね」
上手いこと言ったとばかりに、フローラはドヤ顔をする。
「いやいやいやいや、おかしいじゃないですか!」
シュウは慌てて後ずさって距離を取ろうとするも、フローラに抱擁されたままなのでそれは叶わない。
「もう決めました!私はシュウ様を貫けるモノを持っていないし、道具を使うのも何か違うと思うので、代理を呼びます!!」
ぐるぐる目になって狂い気味になってまくし立てるフローラの迫力に、シュウはすっかり気圧されてしまい抵抗する気が起きない。
「ホワイトキングーーーッッ!!」
フローラが虚空に向けて声を張り上げると、腕組みをしたホワイトキングが床を突き破るという激しい演出で登場した。
追われる身だというのに、また目立つようなことを!とシュウはツッコミたかったが、それどころではなかった。
「ホワイトキング!人間の立派な薔薇族になるために旅に出たはずでは・・・あれ?」
シュウの目に入ったホワイトキングは、前に見たときと姿が違っていた。
下半身は馬だが、上半身は人間の男だったのだ。ケンタウロスの姿である。
上半身は筋肉質でチョビ髭を生やしたスキンヘッドの男で、頭にねじり鉢巻きを巻いていた。
ちなみに背中には大きな薔薇の入れ墨が入っている。
シュウは驚愕のあまり「お前人間になるとそういうビジュアルなん?」とツッコミを入れる気力も沸かないでいる。
「兄貴。ちっとばかし予定より早くなって不完全な姿だが、フローラちゃんが呼ぶからこうして戻ってきたぜ」
どうやら手紙にあったように人間になろうとしたところ、本当に人間になれそうだったが、人間化の最中にフローラが急に呼び出したことよりハンパな人間化で姿を現すことになってしまったらしい。律儀な馬?人?である。
「ホワイトキング。シュウ様を掘ってください。これによって私とシュウ様は本当の意味で結ばれることになるのです(錯乱)」
フローラの言葉を聞き、ホワイトキング?は腕組みしながら深く頷いた。
「兄貴。まさかこんなに早く結ばれることになろうとは・・・今日のところは、俺のことをフローラちゃんだと思って優しく迎え入れてくれ」
「うん無理ぃぃぃ!?」
ホワイトキング?はペロリと舌なめずりをすると、嫌がって逃げ出そうとするシュウをあっさりと組み伏せる。
下半身は馬、それも象のような大きさの馬なのでイチモツは凄まじい大きさである。シュウはそれを見て顔を青ざめさせた。
「やめてください!死んでしまいます!!」
シュウは必死に足掻いて逃げようとするが、フローラがしがみついていて思うように動けない。
「シュウ様。大人しくしてください」
「貴方はほんとにこれでいいんですか!?」
シュウが何を言ってもフローラは聞き入れない。
「暴れんなよ。暴れんなよ」
そしてついにホワイトキング?はシュウのケツ穴にイチモツをあてがった。
もう終わりだ、シュウは死を覚悟した。
「じゃ、いただきまーす」
そんなホワイトキング?の言葉とともに、シュウの意識は遠ざかっていき・・・
「イヤーーーーーーッ!」
シュウは絶叫して目を覚ました。
「はっ!?ここは・・・」
シュウは急いで辺りを見回す。
そこは宿屋ではなく、朝日に照らされた崩れ落ちて壁もない民家の廃墟であった。
「そうか・・・そうだった・・・」
シュウはこの場で野宿をしていたことを思い出す。
さっきまでのは夢だったのだと。
「夢で良かったぁ~・・・」
全身に汗をびっしょりかきながら、シュウは安堵をため息を漏らす。
「むにゃむにゃ・・・」
フローラはシュウに抱き着きながら、呑気に大きな鼻提灯を膨らませて眠っている。シュウが至近距離で大絶叫したというのに見事なものである。
「逃避行の最中ですからね。疲れているんでしょう」
シュウはフッと優しい顔になり、フローラの頭を撫でる。
「シュウ様・・・ホワイトキング・・・今度は攻守交代・・・を・・・」
が、その手はフローラの寝言を聞いてピタりと止まった。
夢だったんだよな?あれは現実のものじゃなかったんだよな?と、シュウは慌てて自分の尻に手で触れようとすると・・・
「おい!今あっちのほうで女の悲鳴が上がらなかったか?」
「いや、今のはニンジャの声だろ」
遠くの方から、複数の人間の声が聞こえてきた。
瞬間、シュウはフローラにしがみつかれたまま、声がした方の反対側へと走り出す。
「いたぞ!」
「追えっ!逃がすな!!」
「男は生け捕りにして嬲者にしてから突きだす!女は嬲者にしてから売り払う!」
「どっちにしたって嬲者じゃねーか!ぎゃはは」
逃げ出したシュウの姿を見つけた者達が、一斉に駆け出して走るシュウを追いかける。
彼らはシュウを追う者達だった。
莫大な賞金をかけられたシュウは、今や昼夜を問わず数多の賞金稼ぎに追われる身となっているのである。
宿屋でスケベするなんて夢のまた夢。まともな寝床にすらつけないのが現実であった。
「一体どうしてこんなことにぃぃぃぃぃぃぃっっ!?」
シュウはフローラと重い荷物を背負いながら、全力疾走して絶叫した。
ホワイトキングと別れてこれでまともに逃避行出来るかと思いきや、むしろ一気にハードルが高くなったのだ。