※この作品はR-18です。

追放の破戒僧は女難から逃げられない   作:ミステリードール

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逃避行の助け その2

「そ、それは本当ですか・・・?」

 

 

大きな鳥が出てきただけでも腰を抜かしそうだが、現状打破が出来そうだと聞いてシュウは更に驚愕した。

 

聖鳥ライデン・・・この愛らしいなれど、シンプル過ぎる見た目で何だか頭が悪そうな大きな鳥が、今の自分達を救ってくれるというのだろうか?などとシュウの頭の中でチラついたが

 

 

ギロッ

 

 

鳥がまん丸の目玉でシュウを睨みつける(ような気がした)と、シュウはビクッと体を震わせる。

 

 

「こ、この鳥、なんだか怖いですね・・・」

 

 

シュウが怯えていると、フローラはライデンを撫でながら言った。

 

 

「ライデンを始めとした聖獣と呼ばれる種は、人間の心が読めるそうです。変なことを考えていると、すぐにバレてしまいますよ?」

 

 

フローラはシュウに向けて悪戯っぽく笑うと、ライデンの足に何かを括り付けてあるのを発見してそれを解いていく。

 

 

「やっぱり、私宛に手紙が来ています」

 

 

フローラが手紙を読んでいる間、シュウはライデンにじーーーっと見つめられ、何だか気まずい思いをする。

 

子供の落書きのようなシンプルなデザインのこの鳥が、人の心を読むというのか。このあどけない瞳で自分の心を丸裸にする・・・なんて恐ろしい・・・いやいや、変なことを考えると読まれるんだっけ・・・と、あれこれシュウが考えを巡らせていると、やがて手紙を読み終えたフローラが唐突にガシッとシュウに抱き着いてきた。

 

困惑するシュウに、フローラは満面の笑顔で言う。

 

 

「手紙によると、私の聖女仲間が逃避先を用意してくれるそうです!私達、ようやく助かるんですよ!」

 

 

「ほ、本当ですか!」

 

 

地獄から天国。

出口の見えない困難にぶつかっていたのに、急に道が開けたことでシュウは飛びあがりそうになるほど嬉しくなった。

 

 

「このライデンが連れて行ってくれるそうです。空なら流石に追手は来れませんから、ようやく一息つけますよ」

 

 

「お、おぉ・・・そうか、そうですか・・・」

 

 

シュウは嬉しさのあまり涙がこぼれそうになるが、フローラの前で情けない姿を晒したくないので(既に割といろいろと晒している気がするが)そこはなんとか堪える。

 

 

『くるっぽー』

 

 

フローラの言葉に「任せておけ」と言わんばかりにライデンが胸を張る(ように見えた)。

その時であった。

 

 

「いたぞ!うわっ!なんだあの無駄にでかいふざけた姿の鳥!」

 

 

「子供の悪戯書きみたいなデザインのでかい鳥がいるぞ!気を付けろ!」

 

 

「頭悪そうな鳥だ!それはそうと例の男がいたぞ!!」

 

 

「俺が鳥だったらあんなデザインに生まれたくねーな!それはそうと捕まえろ!」

 

 

数十人の冒険者が、群れを成してやってきた。ライデンの姿を見つけると思い思いに驚いたリアクションを見せるが、どれも一言ライデンについて悪口が込められている。

 

 

「くっ!最後にひと踏ん張りしなければなりませんか・・・!」

 

 

シュウはすぐさま迎撃態勢を取ろうとするが、彼よりも早く動く者がいた。

 

 

『くるっぽー』

 

 

ライデンであった。

ライデンはバビュン!と、残像を残すほどの高速移動を開始すると、追手のリーダー格と思われる男を爪で挟んで空へ舞い上がっていた。

 

 

「うおおおおっ!?な、なんだこりゃああああああ!!」

 

 

リーダー格の男は、ふざけたデザインの大鳥に掴まれて空中に上げられるという、普段経験のない慣れない経験にひどく困惑する。

 

 

メキッ

 

 

「がっ!?」

 

 

困惑して叫んでいたのは僅かばかりの時間のこと。

ライデンは怪力でリーダー格の男を締め上げ、男の体から骨の軋む音がし出した。

 

 

メキメキゴキン ボキッ

 

 

グロテスクな音をさせながらリーダー格の男は万力に潰されたかのように体をひしゃげさせ、口から涎を垂らし失禁脱糞させながら意識を手放した。

 

 

ズシャッ

 

 

ひとしきり痛めつけて満足したのか、ライデンはリーダー格の男をパッと離して締め付けから解放する。

上空十数メートルから男の体は落下。ぼろ雑巾のようになったリーダー格の男が他の賞金稼ぎ達の目に入ると、一瞬にして場は悲鳴に包まれた。

ちなみにシュウも悲鳴を上げている一人である。

 

恐怖でパニックになっている者達を前に、フローラは勝ち誇った笑みを浮かべて声を張り上げた。

 

 

「この子は聖鳥ライデン!聖女に仕え、時に神の鳥とも呼ばれる神聖な鳥です!この子は人の心を読み、邪な考えを持つ者がいればすぐに裁きを与えます!愛くるしい姿をしておきながら、戦闘能力は聖鳥の名に相応しく凄まじく高い!この子にかかれば有象無象の戦士など一瞬にして肉塊!命を落としたくなければすぐにこの場から立ち去りなさい!!」

 

 

フローラがそう言い放ち、タァン!と、音を立てて足を踏み鳴らした瞬間、賞金稼ぎ達はビクッと体を震わせてから、先ほどボロ雑巾にされたリーダー格の男を見やった。

 

 

「」

 

 

リーダー格の男は、上から下から汚物を垂れ流し、痙攣して白目を向いている。戦士としてだけでなく、人間としても終わってる可能性すらあった。

 

 

「特にこの子は自分への悪口に敏感です。威厳のいの字もないとか、手抜きデザインとか、ハト〇ブレとか、そんな悪口に心当たりのある人は、人間やめる覚悟でいたほうがいいでしょう」

 

 

フローラの言葉に、悪口に心当たりのある・・・というか賞金稼ぎ達のほぼ全員がライデンに目を向けた。

ちなみにフローラの言った悪口には、この場で誰も言っていない内容もあったが、場の空気に飲まれて誰もツッコミはいれなかった。

 

 

『くるっぽー』

 

 

キュピーン、とライデンの目が光ったように感じた賞金稼ぎ達は、悲鳴を上げながら一斉に逃げ出した。

 

 

こうしてシュウ達は突然にして現れた救世主により、難を逃れることが出来たのだった。

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