※この作品はR-18です。

追放の破戒僧は女難から逃げられない   作:ミステリードール

169 / 215
禁欲

視点はシュウ達に戻る。

 

シュウとフローラは、リリカに連れられてとある小さな小屋へと入った。

どうやらそこがリリカの家であるようだ。

 

 

(なるほど・・・清貧な聖女、か)

 

 

シュウはさり気に室内に視線を巡らせ、そう思った。

部屋には生活のために必要最低限と思われる物しか置いていないからだ。聖女とはいえ、年頃の女性の部屋としてはあまりにも殺風景だった。

 

近くに町もなく、ただただ静かな山の奥。

なるほど、確かに修行するには持ってこいの環境である。

 

 

(こんなところにいたら死んでしまう)

 

 

シュウは失礼なことを考えていたが、基本煩悩に忠実な生臭坊主である彼では仕方のないことだった。

 

 

「申し訳ありません。大したもてなしが出来ないのですが・・・」

 

 

そう言ってリリカはシュウ達をテーブルに着かせ、カップを二人分持ってくる。中に入っていたのは水だった。

 

 

「基本、お客様がいらっしゃることはございませんので、お茶のご用意がありませんの・・・」

 

 

「い、いえ、どうかお構いなく」

 

 

そこまで質素なのか、と思わず突っ込みそうになるのをシュウは抑える。

これは本当にここでの生活は自分には耐えられそうにないな・・・とシュウはどこまでも失礼なことを考えるのだが、この後これ以上の衝撃を受けることになる。

 

 

 

 

-----

 

 

 

「ここで一か月・・・暮らす・・・?」

 

 

シュウ達は、リリカから思いがけない提案を受けた。

それはシュウ達の逃亡プランである。

 

まずこの聖地で一月身をひそめる。

その間にリリカの手によって、シュウ達はとある国の偽りの身分を手に入れる。その後はその国の住民として暮らしていくというものだ。

その国は帝国とは国交は無く、冒険者ギルドも存在しない独自の文化圏なので、見つかるリスクはかなり低くなるという。

 

これは今のシュウ達にとっては、この上なく渡りに船の話であった。

というか、もうそれくらいのことをしなくては、二人に平穏な日はやってこないだろう。

 

 

「本当にそのようなことが可能なのですか・・・?良いのですか?それをお願いしても」

 

 

あまりに自分達にとって都合の良い話に、フローラは信じられないとばかりに半分茫然としながらそう問う。

 

 

「万全を期して一月ほどお時間はいただきますが、私の人脈を駆使すれば可能ですわ。私としても聖女時代、フローラには随分と助けられましたから、せめてこの程度のお返しはしたいのです」

 

 

リリカはおっとりとした口調でそう言った。

この話は、リリカにはリスクはあってリターンはない。それでも彼女はシュウ達のために手助けをしてくれるのだという。まさに聖女。救いの神様。

シュウは、自分がいろいろと邪なことを考えていたことをこれでもかと恥じた。

 

 

「この場所ならば、まず追手が来ることはありませんわ。来るとしても、その気配があればすぐにわかります。ここには何もありませんが、安全ではありますから、お二人には心苦しいのですが、しばらくここで滞在していただくことになりますが・・・」

 

 

「心苦しいだなんて、そんなことはありません!」

 

 

申し訳なさそうにそうリリカに、フローラはかぶせるように言った。

シュウ達にとっては破格の申し出。この話に乗らないはずがなかった。

 

 

「そうですとも」

 

 

シュウもそう言うが、「この何もない場所で一か月か」とほんの少しだけ余計なことを考えていた。

賭け事も酒も無さそうなこの場所で一か月というのは、欲にまみれたシュウにはそこそこの苦行であるからだ。

 

 

「本当に感謝の言葉もありません。お世話になります」

 

 

フローラの満面の笑みを見て、シュウは自分がとんでもなく罰当たりなことを考えていることを自覚してまた恥ずかしい気持ちになる。

シュウも頭を下げ、「どうかお願いします」と言ったのだった。

 

 

が、そのすぐあとで状況が少し変わった。

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

「え、禁欲・・・?」

 

 

リリカの口から出た言葉に、シュウとフローラは表情を硬直させた。

 

 

「ええ。この聖地では、いま修行月に入ってまして、一か月は娯楽の類は全て断ち切り、自己修練に勤しむ決まりになっているのですわ。心苦しいのですけれども、他の人々への影響も鑑みて、お二人にもご協力いただくことに・・・男女が同じ空間で過ごすことも禁じざるを得なくて、本当に申し訳ありませんわ」

 

 

心底申し訳なさそうに言うリリカ。

 

 

「いろいろ燃え上がる時期でしょうけれども、お二人には寝食は別。無論、スケベも控えていただくことになりますわ・・・」

 

 

「「ファッ!?」」

 

 

シュウとフローラは同時に声を上げた。

二人とも溜まるものが溜まりに溜まり、もう爆発寸前なのだ。ここでまたお預けをくらうとは思ってもみなかった。

 

いや、匿ってもらう立場なのでスケベ出来ないのは当然なのだが。

 

 

「くっ・・・」

 

 

シュウは悶々とした気持ちになったが、己の身を置き場を考えて耐えた。どこかでこっそり自分でヌこうと考えて。

それにしても一か月か、耐えられるかな?と不安な気持ちになったが

 

 

「う、うううううううううううぅぅぅぅぅぅ~~~~っっ」

 

 

フローラは唸り血涙を流しながらプルプルと震え、歯を食いしばって衝動に抗っている。リリカも思わず後ずさるほどのリアクションを見たシュウは「いやここまでじゃないわ」と冷静になった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。