※この作品はR-18です。

追放の破戒僧は女難から逃げられない   作:ミステリードール

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聖地

シュウとフローラの禁欲生活が始まった。

ただ居候するわけにもいかないので、昼はシュウは労働を。フローラは元聖女として修行者たちのサポートをし、リリカへの恩に報いることになった。

 

「男と女が寝所を同じくするなど以ての外」と、二人は寝所を分けられることになり、隠れてエッチなことをすることも出来ず本当に禁欲を強いられることに。

 

 

「今は仕方ありません・・・私達に安寧が訪れたら、そのときは、そのときはぁっ・・・!」

 

 

血涙を流すフローラの姿を思い浮かべながら、シュウは高原野菜の収穫を手伝っていた。

一か月の辛抱・・・そう思いながら、シュウは湧き上がる欲望を抑え込むために体を動かして発散しようとする。

 

元は勇者パーティーであるシュウは、追放されたとはいえその肉体は並の冒険者を上回る筋力を持っていた。

そんな彼が我武者羅に働けば、一般人が数日かかるような仕事も数時間で終わってしまう。

 

 

「凄いやシュウさん。本当に助かるよ」

 

 

シュウと一緒に野菜を運ぶ仕事をしていた男は、感嘆した様子で言った。

男の名はヤック。

体に複数の入れ墨と傷跡のある中年で、ワケアリの人物かなとシュウは思った。

 

ヤックのみならず、この聖地にはワケアリ者と思われるのがそこそこの数いる。

懺悔のつもりなのか、それとも逃避先としてこの聖地を選んだのか、それはわからないが、きちんと聖地で決まりを守って暮らすのであればリリカは分け隔てなく人を受け入れるらしい。

 

また、元ならず者らしき者達に混じって、聖女リリカに心酔して俗世と離れたところで修行をしたいとやってきた者もいた。

どう見ても元は高貴な身分なのではないかと思われるのもいたが、この聖地では誰もが平等で元の身分など関係なく過ごしている。

 

元ならず者、元貴族、本気組修行僧、いろいろな人達によって聖地リリカは形成されていた。

 

 

(聖女リリカ・・・一体どういう人なのだろう)

 

 

これだけの人種がいるというのに、混乱もなくそれらをまとめるのは容易ではない。

リリカがどういう人物なのか、シュウは気になった。

 

 

「・・・」

 

 

リリカのことを思い浮かべるシュウ。

が、禁欲中の彼の脳裏に浮かんできたのは、彼女の豊満な胸だった。

 

 

「うっ・・・!お、おおおおおっ!!」

 

 

邪念爆発。

一気に股間が怒張するほどにたぎってきたシュウは、発散するために叫び声を上げながら仕事に邁進する。完全に不審者だが、そんなシュウをヤックにはニヤニヤしながら眺めていた。

 

 

「フフッ、わかるよシュウさん。ここじゃいろいろと持て余してしまうよな?そうやって行き場のない衝動を発散するやつをたくさん見て来たよ」

 

 

「うっ・・・」

 

 

欲情しているのを誤魔化しているのを見透かされるというのが、とてつもなく恥ずかしく感じたシュウ。そんな恥ずかしそうなシュウに、ヤックはスッと本を手渡した。

 

 

「あまりに溜まってどうしようもない時に俺達が使ってるオカズだ。今夜はそいつで発散しちまいな・・・」

 

 

慈愛の目で見つめられながら言われ、シュウは微妙な気持ちになった。フローラと二人きりにさえなれればなんてことなく発散できるものが、男同士でオカズを融通し合って発散するなんて恥ずかしすぎる。

が、背に腹は代えられない。このまま溜まりに溜まった男汁が暴発するかじわっと溢れ出てくるくらいなら、いっそ恥を捨てて発散してやろうと思った。

 

 

 

 

 

その日、シュウが自分の寝床へ向かおうと思ったときだった。

 

 

「あれは・・・」

 

 

シュウの目にあるものが目に入る。

それはこの聖地で一番立場が上であろうリリカが住んでいる家よりも、ずっと豪勢な出来の建物だった。

 

 

「礼拝堂か何かなのだろうか・・・?」

 

 

一体何の建物だろうと見回すと、「ライデンのいえ」という看板がかけられているのを見かけた。

 

 

「ら、ライデン・・・?あの鳥の・・・?」

 

 

聖女つきの聖獣に家?専用の?

シュウは混乱しながら、こそっと家の窓を覗き込んだ。

 

 

「うっ・・・!」

 

 

ガツガツ ムシャムシャ クルッポー ガツガツッ モッチャモッチャ ゲーップ

 

 

シュウの目に入ったのは、ライデンの食事風景だった。

それも音は立てるわ食い散らかすわげっぷはするわで、これ以上ないくらい汚い食い方だ。聖女つきの聖獣の名が泣くレベルである。

 

 

「あれは・・・」

 

 

さらに目に入るのは、ライデンが食べていると思われる餌を梱包していたと思われる箱。

『最高級』『実際美味い!』『栄養満点!』と書かれているそれは、シュウにとって見覚えのあるものだった。

 

かつてシュウが教会務めのときにレウスの使い走りをしていたのだが、彼のペットの鳥の餌を買いに行っていたときがある。だから今ライデンが下品に食い散らかしている餌の値段がわかるのだが、パッケージに書いてある通りの最高級品なのだ。

 

この聖地にいる者は、これまでシュウが見た中では誰もが質素な食事をしている風の見えたが、まさかライデンが質素とはほど遠い食生活をしているとは・・・と、シュウはショックを隠せない。

 

シュウは聖獣であるはずのライデンが、この聖地では誰よりも不浄な生き物に見えてすっかりあきれ返ってしまった。

 

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