ライデンの汚らしい食事を見た後、シュウはそそくさと自分の寝床に戻った。もう鳥の食事などどうでも良かった。今は溜まりに溜まった性欲を発散するときなのだ。
シュウの寝床は一人用のテントだ。誰にも見られることなく、気を遣うことなく自由に使えるスペース。
そうなるとヤることは一つ。一人エッチである。
ちなみに、シュウがゲストだからテント泊なのではない。
この聖地リリカでは、基本リリカ(とライデン)以外は皆が同じように一人用のテントを寝床にしている。
修行の一環なのだろうか、それがリリカの方針であるという。
テント泊で宿屋よりは不快適だが、これまで追われる身だったことを考えれば天国。それにプライバシーも守られる。
故に思う存分、シュウは一人エッチすることが出来るのだ。流石にバレたら気まずいということで、フローラを呼び込むことが出来ないのは難であるが。
「さてさて、それじゃいっちょ抜きますか」
シュウは意気揚々と、貰ったオカズ本に目を通した。
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「あああああああああああああぁぁぁぁっっ!!いや何かオチがあると思ってましたけども!!」
数分後、シュウは手に持っていた本を投げ出し、天を仰いで嘆いていた。
彼がオカズ本として渡された本・・・それはホモの官能小説であった。
不覚にも、男と男のくんずほぐれつの描写のところでチンコを握っていてしまった自己嫌悪でシュウは発狂寸前だ。
「何?あの人ホモだったんですか?なんでホモばっかり!あああああああっっっ!!」
溜まりに溜まった性欲により、ギンギンに勃起していたはずのビッグ棒もすっかり萎えてしまったシュウ。無論、今からじゃ抜く気にもならず、シュウはため息をついてそそくさとズボンを穿き直した。
「それにしても・・・」
シュウは投げだされたホモ小説に怪訝な目を向ける。
「登場人物の総受けの男の名前がライル・・・ううっ・・・何か想像してしまう・・・」
何とシュウが読むはめになったホモ小説は、チヨメが書いたものだった。
気付くはずもないが、シュウは自分のかつての仲間であるライルがモデルになっているホモ小説を読んでしまったのである。
次にライルの顔を見たときは、思わず連想してしまいそうだった。
「ダメだ・・・何か変な気分になってしまった・・・気晴らしに散歩でもしよう」
シュウはホモ小説のことを頭が追い出そうと、テントを出て夜の散歩に繰り出すことにした。
空は晴れ渡り、星空の下で歩いているうちに心も落ち着き、そろそろ寝ようかと思っていた頃・・・
シュウは灯りがついている建物があるのを見つけ、気になって近寄った。
「これは・・・」
それは小さな木造の建物・・・
神に祈りを捧げる礼拝堂であった。
「こんな時間に祈りを・・・?」
不躾だとは思ったが、どうしても気になりシュウは窓から中の様子をこっそりと伺った。
「・・・!」
礼拝堂の中には、リリカと一人の若い男がいた。
若い男にシュウは見覚えがあり、ハッと息を飲む。
男はリリカを信奉してこの聖地まで修行にやってきた、若い神官見習いでバッツという名の少年だ。十代半ばにして俗世と離れ、身も心も神に捧げて僧として研鑽しようとしている教徒ガチ勢である。
(一体何を・・・)
シュウが見ていると、バッツは突然に跪き、目を瞑りながら叫んだ。
「リリカ様!私は罪を犯してしまいました!」
「お話ください。神は全てをお許しになられます」
どうやら懺悔をしているようだ。
無粋だと思いつつも、何か予感がしたシュウはそのまま見てしまう。
慈愛の目で見つめるリリカを前に、バッツは顔を真っ赤にしながら懺悔を続けた。
「リリカ様・・・私は未熟です。私は湧き上がる性欲を持て余し、その・・・つい淫らな妄想にふけってしまったのです」
バッツの懺悔を聞いて、シュウは「おおぅ、なんと真面目な人だ」と思った。エッチな妄想をしてしまったとして、それを女性の前で告白するなど凄まじい勇気だと。
だが、バッツはクソ真面目な性格であり、本気で今の自分が不浄な存在だと自戒していたのだ。
「君なんかより聖鳥ライデンのほうがよっぽど不浄だったよ」と慰めてやりたかったが、そうもいかないのでシュウは黙って見ている。
「お許しいたしましょう」
そんなバッツに対し、リリカは慈愛の表情を崩さずに優しくそう言った。
しかし、バッツは表情を和らげることなく、懺悔を続ける。
「それだけではないのです。その、妄想してしまった相手が・・・よりによってリリカ様なのです。私は不浄な人間です!」
ストレートな告白。「いや真面目スギィ!」とシュウはツッコミを入れたいのを必死で堪えた。
しかし、当のバッツは真剣だった。真剣だが、性的搾取しましたと宣言されれば、普通の女はヒくだろう。
だが、リリカは違った。
「お許しいたしましょう」
変わらぬ慈愛。
なんとリリカはバッツの懺悔を受け入れた。
「健全な男性の性というもの。修行中の身で禁欲中であれば、なおのこと欲望に葛藤するのも無理はありません。しかし、それは別に悪いことではないのです。己が不浄に打ち勝つことも修行なのですから」
「お、おぉ・・・」
リリカの許しの言葉に、バッツは感涙しながら首を垂れる。 そしてブルブルと体を震わせ、バッと顔を起こしてから言った。
「リリカ様!私は決めました!リリカ様を・・・女性を思うことで良からぬ思いを抱いてしまうのなら、いっそ男のほうへ転向しようかと!!」
「いやそうはならんでしょ」
バッツの唐突な方針転換に、シュウは思わず巣で呟いてしまっていた。
幸いにも声が小さかったのもあって、聞かれてはいないようである。
「他の男性陣も、同じように考えてホモになったのがたくさんいます!私もそれに倣おうと思うのです!こんな素晴らしいリリカ様を妄想で汚すくらいなら、その方がマシです!」
嗚呼、ホモが沸いているのはこのせいか、とシュウは嘆く。
崇拝するリリカを妄想で汚すくらいならホモになるという、何か間違えた忠義心を見せるバッツ。
しかし、そんなバッツに対してリリカは・・・
「それはお許しできません」
慈愛に満ちたそれまでの態度と一変し、無表情かつ威圧するようなコントラストのない瞳で、ピシャリとそう言い放った。
「えっっ」
予想外の出来事にバッツは硬直する。
そんなバッツを前に、リリカは続けた。
「ホモが笑えるのはネタまでです。ガチはヒきます。自然の摂理に反しています」
口元に笑みを浮かべながらも、声色も目もまるで笑ってないリリカはずいっとバッツに詰め寄る。
「やはり男女の合体こそ自然でしょう。棒と前穴の融合によって生み出される快楽こそが至高なのです。そうは思いませんか?」
豹変したリリカに早口でまくし立てられ、すっかりドン引きして動けなくなったバッツ。言ってる内容も「何言ってんだこいつ」なので返答のしようもない。
「あっ・・・」
やがてリリカは正気に戻ったのか、ハッとなって咳払いをした。
そして取り繕うように再び慈愛の表情を浮かべると、今度は優しい口調で言う。
「あ、愛の形は人それぞれです。ですが、はやまってはいけませんよ?想像で私を汚すも犯すも好きにして構いませんが、道を踏み外してはいけません」
リリカはそう言って、ふわりと優しくバッツの頭を抱きしめる。
「貴方は修行中の身。欲に溺れそうだったとしても、それは仕方がないこと。神もお許しになられることでしょう」
ふにょん
リリカの巨乳を顔に押し付けられたバッツは「はぁい・・・」と顔を蕩けさせながら返事をする。
バッツの股間がギンギンに勃っているのを見て、シュウは「彼は今夜も悶々とすることだろうな」と思った。
(う、羨ましい・・・)
巨乳好きなシュウは、バッツを見ていて羨ましくなった。
そしてホモ小説のお陰で性欲の発散の機会を失っていた彼に、思いもがけないある現象が起きる。
バリッ
「あっ」
バッツに感情移入してしまったがために、興奮して勃起してしまったのである。
シュウの怒張したイチモツは、張り付いていた礼拝堂の薄い木製の壁を勢いよく押し出すあまり突き破ってしまった。
「ひ、ひいっ!化け物!?」
唐突な出来事にバッツは情けなくもリリカを置いて逃げ出す。
残ったリリカは逃げ出すでもなく、口元を手で覆いながら硬直している。
「だ、だれですかっ!?」
リリカに叫ばれ、シュウは焦ったわたわたと動き出す。
その拍子で薄い壁は壊れ、喜劇のセットのようにバタンと倒れてしまった。
隠れていたシュウは、思いがけず姿を晒すはめになった。
「貴方は・・・シュウ様・・・」
目を丸くしてリリカはシュウの顔を見、そしてアホみたいに主張を続ける勃起したイチモツに目を向ける。
「す、すすすすすすみませぇぇぇぇん!」
フローラの友人、それも恩人にとんでもないところを見せてしまったシュウは、いてもたってもいられずに逃げ出したのだった。
「明日からどうすれば良いんだ・・・!」
気まずくなってこれからのことを心配するシュウ。
それでもリリカとバッツのこと・・・と、勃起したところを見られたところを思い出し、何だか妙に興奮してしまった彼は、ちゃっかり自家発電を済ませたのだった。