「うぅ・・・いろいろ気まずいなぁ・・・」
バッツの懺悔を目撃してしまった翌日、シュウは気が重いまま仕事に従事していた。
一緒に仕事をしていた相手がホモ。
ほとばしるほどの性欲をカミングアウトしているところを目撃してしまったバッツ。
怒張する男根をもろに見られてしまったリリカ。
んで、リリカの抱擁を見ていてそれをオカズにしてしまったシュウ。
誰に会っても気まずい。特に最後のがリリカに見せる顔がないくらい気まずい。
気まずいが、居候でかつ厄介者である以上、何もしないわけにはいかなかったのでシュウは労働に専念した。
そんなときだった。
「シュウ様!」
背後から話しかけられ、シュウは超絶オーバーアクションというくらい激しくビクッッッと体を震わせた。
話しかけて来た声を聞いて、シュウは思い出した。今、もっとも会ったら気まずい相手がいることを。
いつの間にか、恋人であると既成事実化されてしまった相手。
「フローラ・・・」
相手の名を呼びながら、シュウはゆっくりと振り返る。
フローラの親友であるリリカをオカズにして男汁を出してしまった気まずさから、シュウは彼女の顔を真っすぐ見られないと思っていた。
・・・が
「フ、フローラ!?」
あまりの出来事に、シュウは思わずストレートにフローラの顔を見つめてしまう。
目の下に大きな隈が出来て、コントラストの無い目でうつろに笑みを浮かべているという、とても分かりやすく異常をきたしている見た目だからだ。
「シュウ様!」
叫び、ダッと駆けてシュウに飛び込もうとするフローラ。
が、次の瞬間、ビタッと体を急制動させてキャンセルする。何がしたいのかわからない有様だった。
「・・・ダメ、今は男女の接触は禁止・・・それがルール・・・」
フローラは目を血ばらせながら、自分に言い聞かせるようにブツブツと独り言を言っている。
どうやらシュウに触れあいたいという欲求と、男女の接触禁止という今のこの聖地でのルールを破ってはいけないという心とで鬩ぎあいが起こっているようであった。
「ううううううううぅぅぅぅぅ~~~~・・・シュウ様、今はダメですけど、全てが終わったらスケベしましょう・・・約束ですよ・・・」
苦しそうに悶えながら、フローラは弱弱しくいった。
フローラの脳内戦では、かろうじてリリカへの義理が勝ったようだ。
シュウは昨晩、よりによってリリカで自家発電して男汁を抜いてスッキリしてしまっているので、かなり気まずく思った。
「うっっっ!」
突如、発作が起こったようにフローラが体を屈ませる。
「フローラ!?」
何事かと近寄ろうとするシュウを、フローラは手で制した。
「シュウ様・・・離れてください・・・私の中のもう一人の私が出て来てしまう前に・・・私が押さえつけられている間に、早く・・・!」
何やら自分の欲望と激しく戦っている様子のフローラ。
とても悪ふざけをしている様子はないので、シュウは半分ドン引きしながらもそそくさとその場を後にした。
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「・・・フローラだって必死に禁欲しているというのに、私は・・・」
自己嫌悪に苛まれながらシュウが歩いていると、いつの間にかライデンの家の前にやってきていた。
「あの不浄な鳥・・・また自堕落な生活をしているのだろうか」
やり場のない自己嫌悪からの逃避もあって、シュウは矛先をライデンに向けつつチラリと窓から家の中の様子を覗き見た。
「あっ・・・」
そこにはライデンとリリカがいた。
気まずくて顔を合わせるわけにはいかないリリカ。だが、何をしているのかが気になってシュウはその場を離れることが出来なかった。
「あれは・・・」
よく見ると、どうやらリリカはライデンの体をマッサージしているようであった。
『クルッポー・・・ォォォ』
うつぶせになり、目を細めながらライデンは気持ちよさそうな声を上げている。
リリカは両手を大きく広げ、全身をせわしなく動かしながらライデンの巨体をマッサージしていた。
「あの鳥・・・暴食に飽き足らず、マッサージまで・・・どこまで至れり尽くせりなのだ・・・」
シュウは怒りのあまり歯ぎしりする。
神の鳥と呼ばれるほどに神聖な存在なのだから、ライデンが本来人間から至れり尽くせりされるのは当然なのだが、なんとも納得しがたいものがあった。
「それにしても・・・」
一生懸命マッサージするリリカは、その豊満な胸をゆさゆさ揺らしている。
シュウはどうしてもその光景から目を離せないでいた。
「い、いや・・・!ダメだろ!そんな不浄な目で見てはいけない!」
シュウは自分を叱咤し、意識を他に向けることにした。
おぉ、そうか、ライデンはそこをマッサージすると喜ぶのか、そうかそこがええのんかぁ・・・と、リリカのマッサージの内容に集中して目を向けるが、それでもたまにチラリと揺れる胸のほうを見てしまう。
「・・・あら?」
欲に負けてさっさとその場から離れなかったことが災いし、シュウはついにリリカに気付かれてしまった。
「あ・・・あの・・・こ、コンニチワ・・・」
気まずすぎて片言になってしまうシュウに対し、リリカはフッと優しい笑みを向ける。
「あら、こんにちわシュウ様。奇遇ですわね」
シュウに向けて歩いて来るリリカ。
そして、シュウは完全に逃げるタイミングを失ってしまった。
「少しお話しませんか?」
「・・・!」
そう言ってくるリリカの瞳に、何か怪しい光が灯っているのをシュウは感じ取る。
だが、特に理由もなく彼女の申し出を断ることも出来ず、シュウは促されるままにリリカと話をすることになってしまったのである。