※この作品はR-18です。

追放の破戒僧は女難から逃げられない   作:ミステリードール

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迫る大群

サキュバスの乳圧を背中に受けながら、シュウはまさに天にも昇る気持ちで空を飛んでいた。

夜中であるが、雲もなく満月であるために下界の様子がそれとなくわかる。

シュウ達がいるテント村を見渡すと、木陰で男同士で何か裸同士でくっついているというあまり見たくもないようなものが視界に入って気分を害したくらいだ。

 

 

「何を見せたいんですか?まさかさっきのホモセックス?」

 

 

「は?そんなわけないでしょ。なんで高位サキュバスである私がわざわざ貴方を連れてホモセックスなんて見せなきゃいけないの」

 

 

サキュバスは呆れながらも、バサバサと翼を羽ばたかせて移動する。

 

 

(高位サキュバス?どうしてそんな存在が私のところに・・・)

 

 

シュウはサキュバスは幾度も屠ってきたが、高位サキュバスに出合ったことはほとんどない。基本的に自身が構えている根城から出ることはなく、餌となる精を絞り取る男は下位サキュバスが調達して連れてくるからだ。

だからシュウの元に高位サキュバスがわざわざやってくることなど、あり得ないことだった。

 

 

(一体何故・・・)

 

 

シュウはサキュバスの目的について考えていたが、背中に伝わる圧倒的な乳圧のために次第に「いや、今は他(乳圧)に集中することがある」と、思考を放棄した。

どこまでも巨乳に弱い哀れな男がここにいる。

 

 

「ほら、見てごらんなさい」

 

 

サキュバスに言われ、シュウはハッとして彼女が指で指し示す方向に視線を向ける。

そこはリリカの聖地に続く登山道だった。

 

 

 

「あれは・・・」

 

 

シュウの目に映ったのは、聖地から外界までの山道に延々と続く人、人、人であった。その数、数千・・・否、数万に達しそうな勢いだ。

夜なので移動をやめ、野宿をしているようだが、聖地まで一本道なので聖地を彼らが目指しているのは明白だった。

 

 

「なっ・・・まさかあれだけの人間が聖地を目指してやってきているのですか!?一体何が・・・」

 

 

「何が?そりゃ彼らの目的はあなたよ」

 

 

驚愕するシュウを嘲笑うかのように口角を上げながら放たれたサキュバスの言葉は、シュウの度肝を抜いた。そしてすぐに「あっ」と、思い当たる。

 

 

「もしや・・・賞金目当ての冒険者達・・・?」

 

 

寝ても覚めてもやってくる冒険者達。その悪夢の日々がシュウの中でフラッシュバックし、声が震える。

平穏な日々が続いていたから意識しないようにしていたが、シュウ達は追われる身。いつ冒険者が押しかけてきても、全くおかしくない立場だった。

そのことを思い出し、シュウはぶるっと体を震わせる。

 

 

「聖地から逃げ出せないように、周到に人員を配置して包囲網を敷いているわ。あと数日で仕掛けてくるでしょうね」

 

 

「な・・・まさかこんなことになっているとは・・・」

 

 

これまで冒険者達はシュウを追いかけてこなかったわけではない。

聖地リリカに居ることを理解した上で、ゆっくりと時間をかけて包囲網を構築していたのだ。

そしてそれは完成しつつある。シュウは今、絶体絶命な危機に陥っているのだ。

 

 

「フフッ、理解できたかしら?」

 

 

サキュバスの言葉に、シュウは項垂れるしかなかった。

まさかこんなことになっているとは・・・と絶望する中で、一つのことを思い出す。

 

 

「・・・この包囲網を敷くために、リリカさんは・・・時間を稼いでいた?匿うふりをして、聖地に釘付けにするために・・・」

 

 

愕然としながら呟くように言うシュウ。

 

お茶を淹れてくれたり、親切にしてくれたリリカ。

怠惰な聖鳥のために心を砕いてマッサージしてくれていたリリカ。

そんな一生懸命で慈愛に満ちた聖女らしい彼女の姿は、全て偽りのものだった。その事実がシュウの心を打ちのめす。

 

 

「さ、状況はわかったわね?私が手を貸すのはここまでよ」

 

 

放心したシュウを元いたテントに戻したサキュバスは、悪戯っぽく笑みを浮かべながらそう言った。

そしてシュウが何か言うより早く、一瞬にして空へと舞いあがり姿を消してしまう。

 

一体彼女は何だったのか?どうして自分に危機を教えるようなことをしてくれたのか?

頭に過る謎はいくつもあったが、とりあえずは・・・

 

 

「ど、どどどどどどどどうしよう!?」

 

 

シュウは自分がとんでもなくピンチであることを思い出して、頭を抱えながら錯乱する。

サキュバスに見せてもらった上空からの光景が、シュウの脳内で蘇る。そしてシュウの頭に「絶体絶命」の文字が浮かんで離れない。

 

 

「落ち着け、落ち着くんだ・・・」

 

 

シュウは深呼吸をして、頭を落ち着かせる。焦って逃げようとしても、裏目に出る可能性が高い。

まずは眠り、朝になったらフローラとともに打開策を考えるべきだとシュウは思った。

数日のうちに仕掛けてくる可能性が高いが、逆に言えば今すぐに仕掛けてくることはないだろうから、逆にこの瞬間的余裕を利用して休んでおこうと考えてのことだ。

 

 

「さて、そうと決まれば」

 

 

シュウはテントに入り、イチモツを取り出して自家発電に勤しんだ。先ほどまで感じていたサキュバスの乳圧とエッチなレオタード姿がオカズである。

逃走生活に戻れば、再び禁欲の日々が続くことになる・・・そのためにしっかりと抜き溜めである。抜いているのに溜めているとはこれいかに。

 

落ち着かなくてはいけない状況ではあるが、いくらなんでもシュウは落ち着き過ぎだった。

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