シュウが『光の戦士達』と聖神教会を追放された翌朝、眠っていた彼は唇に何かの感触があることに気付き、目を覚ました。
「すみません、起こしてしまいましたか?そんなつもりはなかったのですけれど・・・」
目を覚ましたシュウの視界に入ったのは、唇を人差し指でツンツンしていたと思わしきフローラ。
同じベッドの上にて一糸まとわぬ姿でシュウに寄り添っており、寝起きでぼんやりしていた頭でも昨夜あったことをシュウはすぐに思い出すことが出来た。
(あー、そうか。勢いに乗って結局やってしまったのだった・・・)
結局、特に何の妨害もオチもなく、シュウはフローラを抱いた。
酒の勢いだけとは言い切れない。性欲を持て余し過ぎたというのも少し違う。
だが、どこか冷静になり切れていない自分がいて、
「シュウ様?どうかなさいましたか?」
どこか不安そうな表情で、フローラはシュウの顔を覗き込みながら訊ねる。
「自分とこうなったことを後悔しているのでは?」そういった不安が胸中にあるのかなとシュウは思い、まずはフローラを安心させることにした。
「いえ、別に。まさかフローラとこういったことになるなんて、と改めて感慨深く感じていただけですよ。最初に会ったときは子供だとしか思っていなかったのに」
シュウはそう言いながらフローラの頭を撫でた。フローラは不安そうな表情を和らげ、嬉しそうに目を細める。
そうこうしていると昨夜のフローラとの情事がシュウの脳裏に蘇った。
直前まで理性を総動員してブレーキをかけていた性欲だったが、一度欲求に身を寄せてしまえばもう止まることはなかった。
未熟さを残しながらも、瑞々しい弾力を持った裸体を夢中で弄り、甘美な声がフローラの口から洩れれば、これまた心が高まった。
処女を抱くのは初めてではなかったが、出合った頃はまだ子供だった自分の後輩を女にすると思うと、何とも言えぬ征服欲が沸いたのも相まって冷静でいられなかったのは、深くシュウとて反省しているところである。
先輩として、最初くらいは優しくしなければならない。
始めはそう考えていたのだが、美しい顔を見るたびに、細い腰に手を回すたびに、やや小ぶりながらもキレイな胸を揉むたびに、ゴリゴリと理性が削れ気が付けば思うがままにフローラの体を堪能してしまっていた。
そして極めつけ・・・
「シュウ様は娼館では必ず三回はしていたとお聞きしました。お願いです・・・私のことも最低でも三回は抱いてください。シュウ様への想い・・・娼婦には負けたくないのです」
「えっ、それは一体どこで聞いたんですかね・・・怖い」
フローラの(妙に)熱い気持ちをぶつけられて若干ヒキながらも、結局はお言葉に甘えてシュウは男汁を四回も出した。
娼館でも味わったことがないのではないかと言えるほど熱い熱い夜を過ごしたなぁとシュウは、ふと昨夜のことを思い出して体が熱くなるのを感じる。
(・・・って、呑気に浸ってばかりはいられないのだよな)
今はこうしてゆったりと二人の時間を楽しんでいるが、そう遠からぬうちにそれどころではなくなることはシュウもわかっている。絶対大変なことになる。だから昨晩はギリギリまで決断を迷った。
だが、一度ヤることヤってしまえば、もう後は何をどう心配したって結果は同じである。縛り首になるときはなるし、永遠に終わらぬ逃避行をしなければならないときはすることになるのだ。
もう賽は投げられたのだから、なるようにしかならんとシュウは割り切っていた。
(まぁフローラに考えがあるというし、どうとでもなるだろう)
割り切り過ぎていた。
「シュウ様。私、幸せでどうにかなってしまいそうです」
シュウがぼうっと考え事をしていると、フローラがうっとりした表情でそう言った。
そしてずいっとシュウに顔を寄せてきて、顎、頬に何度もキスの雨を降らせる。
(うぅむ・・・ここまで甘えたがりだったとは)
知らなかったフローラの一面を見てシュウは驚く。しかし悪い気はしなかった。
昔、シュウがフローラに強くあるようにと教えて以来、フローラはシュウ以外の人間の前では、素の感情を表に出すことがなくなった。
笑顔という仮面をかぶり、感情を隠し、決して人に弱みや隙を見せまいとした。聖女になってからは尚更だ。
シュウの前でだけ歳相応の少女らしい表情を見せていたのだが・・・それでもここまで露骨に甘えるようなことはなかった。
(聖女のこんな姿が世間に知られたら、それこそ大惨事になるな・・・)
慈愛の乙女、聖神教会の聖なる力の象徴・・・あらゆる人間の模範となるべき少女が、全裸で中年のおっさんとベタベタしてるなんて、不祥事というかこの世の終わりくらいの騒ぎになるのではないか?などとシュウは思ったが、これはこれで楽しいと感じている。
聖女が自分にだけは心を開き、こうまで隙を見せるという優越感に浸っていた。
しかし、その時間が永遠に続くことはない。終わりが迫って来ていた。
ドカドカドカ・・・
複数の足音が部屋の外から聞こえてきたかと思うと、突然に部屋の扉が蹴破られた。
「聖神教会聖騎士団だ!大人しくしろ!!」