アリエスによってお預けを食らったシュウは、再び娼館に行けるような機会を求めていた。
すっきり出来なかったというのもあるが、何となくだがアリエスがその一件以来、以前よりもシュウとの距離が近いように感じるのも原因の一つだ。
別に性的な接触を(故意には)しているわけではないし、パーティーメンバーと仲が良いのは結構なことなのだが、以前より増してシュウは悶々としがちになっていた。
溜まるものも溜まり、ジレンマに心を追い詰められていく中で、シュウはやがて眼がうつろになり、正気を保てなくなっていく。
ある時シュウは言った。
「ライル・・・帝都に戻ったら、私たち二人は拠点の部屋を同じにしませんか」
「 は ! ? 」
突然の申し出に、ライルは唖然としてシュウを見返した。
「うっ!」と思わずライルは声を漏らしそうになる。
今のシュウは生者と思えない気力のないうつろな目。けど口元は笑っている。
怖い。
言われた言葉の内容も怖すぎるが、今の雰囲気もライルを怯えさせる何かがあった。
しばし絶句していたライルだが、少し間をおいてハッとして正気に戻る。
「ごめんシュウさん、言っていることの意味がわからないんだけど」
気を取り直してライルはシュウに訊ねた。何かの聞き間違えであってほしいと願いながら。
「拠点の部屋を二人同じにしようと言っているのですよ。そろそろ限界なのです」
残念なことに聞き間違えではなかった。そして限界って何?ライルはポカンとしたが、今度はすぐに我に返る。
「いやいや、どうしてわざわざ部屋を同じにするのさ!嫌に決まってるじゃないか!ホモなの?意味ワカンナイ!!」
笑みを浮かべながらの相部屋提案をしてくるシュウに、ライルはただただ恐怖を感じた。シュウは男色だったのか?と多いに戸惑った。
シュウにしてみればライルと同室になれば、狙いすましたかのように発生するサーラ達からのラッキースケベを減らせるのではないかとの狙いがあった。
だが、サーラ達の猛攻で衰弱しているシュウは、もう今の自分を守るには手段を選んでいられないと思ったのだ。
事情を正直に話して理解を得られれば良いのだが、万が一にもライルに話したことでこじれ、問題が起きてはいけない。レウス司教に話がいってしまえば、解釈次第でシュウが悪いということにもなりかねない。
だから事情を伏せた上でライルに相部屋を提案している。だが、正気を失いつつあるシュウの提案は、当然ながらライルに拒否された。
「男同士別に問題はないでしょう・・・そうだ、お風呂も一緒に入りましょう。洗いっこするべきです」
「するべき、って何だよ!こんなの絶対おかしいよ!」
目がイってしまいながら言うシュウに、ライルは本格的に危機を覚えて旅の予定を変更。
少し無理をしてでも旅の道中、町に立ち寄り、宿屋でしっかり休むように予定を組んだ。
旅の疲れがシュウをおかしくしたのだろうと思っての配慮だが、それは半分くらい正解である。
その原因が仲間の女二人であることだとは、このときのライルは夢にも思ってはいなかった。