ライル達は再び大きな町で宿を取ることになった。しかも今回も娼館がある町である。
「抜くもの抜いてスッキリしてまともになってくれ」と、ライルの意図があってのことだった。ちなみに宿はシュウとライルは別室である。シュウがまともになるまでは二人きりで一晩同じ部屋で過ごしたくないのだ。
ライルの気持ちは置いておいて、とにかくシュウは大いに喜んだ。
「今度こそ粉が出るまでヤってやるぞ^^」
アリエスに捕まらないよう気を付けながら、シュウは娼館を目指す。
今回は幸運にもアリエスに遭遇することはなかった。・・・が、やはりというべきか、立ちはだかる者が現れた。
「シュウ。前の借りを返すために飲みを奢ってくれる約束だろ?今夜行こう」
サーラが腕組みしながら仁王立ちし、シュウの行く手を阻んでいた。
(ぎゃああああああああ!どうしてこんなときに!!)
シュウは心の中で大きく悲鳴を上げる。ショックのあまり失禁しそうだった。
しかし、シュウの忍耐は限界も限界。さっさと性欲を発散しないとメンタルの危機なのだ!思考回路は破裂寸前!今すぐヤりたいの!
シュウは言いたいことをぶちまけてすぐにでも解放してもらいたかったが、グッと飲み込み、苦笑いを浮かべながら努めて冷静に答えた。
「すみません、用事がありまして・・・次の機会でお願いできませんか」
アリエスの時はいろいろ気を遣ってダイレクトに断ることはしなかったが、今の限界寸前のシュウにそこまで気を遣うことは出来なかった。
「アリエスとは飲みに行ったのに、アタシとはダメなのか?」
サーラが表情を曇らせながら言うと、シュウはグッと言葉に詰まる。
用事があるって言ってんだろ!?来たばかりの町で何をそんなに隠す用事があるんだって聞かれたらすんなりは答えられないが、用事があるんだよっ!!もうお前を犯したろか!?あ、いや、それはイカンのだったな、と叫びたいのを必死に堪える。
我慢も限界にきて、シュウの思考力もいっぱいいっぱいになっていた。
「とにかく、私には外せない用事があるのです・・・」
シュウはとにかく冷静になろうと、俯き気味になり絞り出すように言った。
「そっか・・・」
残念そうに肩を落とすサーラを見て、シュウの心がズキリと傷む。
「この埋め合わせは必ずします。すみませんが、今日のところは・・・」
「いいって、気にするなよシュウ」
苦笑いしながらサーラが言った言葉に、少しだけホッとするシュウ。
それではと言ってその場を離れようとしたときだった。
「あれ?おい、シュウ。そこを見てみろ。ライルが爬虫類みたいに壁に張り付いてるぞ」
サーラが気付いたように言い、左のほうを指で指示した。
「えっ?ライル何やって・・・」
シュウがサーラに促され、彼女の指が指し示す方向を見る。
・・・そこには、宿屋の主人と思わしき男の裸体の肖像画が壁にかけてあるだけだった。なんでこんなものが・・・と思いつつも、サーラの言うようなライルの姿がないことに疑問を抱いていると・・・
「落ちろっ!」
「ぐふっ!?」
シュウは唐突に頭部にダメージを受け、意識を失った。
「これで寝技のときの借りはチャラな・・・」とサーラが呟いた気がしたが、そのまま意識を手放し・・・次に目が覚めたのは、町の酒場のテーブルだった。
椅子に足が縛られた状態で。
テーブルの対面に座っているのは、申し訳なさそうにしているサーラだった。
「シュウ、すまない。つい転びそうになって手を出したら、うっかりシュウを殴って気絶させちゃったんだ。お詫びに酒を奢らせてほしい」
超絶強引に飲みをする流れになったシュウは「さっき『落ちろ』って言いませんでした?」と抗議するも、なあなあで流され、結局足が縛られていることもあって逃げることも出来ずにサーラに付き合うことになった。
こうしてまたも娼館に行く機会を失ったシュウだが、この日を境にアリエスに続いてサーラまでもが接する距離が近くなった。
そして似たようなことで毎度毎度町という町ではサーラ達のどちらかに飲みに誘われ、娼館に行く機会は潰される。
シュウの悶々も限界の限界に到達し、ついにはサーラ達との淫夢まで見るようになったことでメンタルの崩壊の危機が訪れた。
しまいには「もう男でも良いか・・・」と謎の妥協点を見出しそうになったところで、流石にもうなりふり構っていられないと、シュウはライルに相談しようと思ったのである。