ライルが『魅了の魔眼』を習得してから半年後・・・彼は地道に時間をかけてかけまくって工作を続けた結果、ようやく成果が目に見えるようになっていった。
「流石・・・流石だ『魅了の魔眼』!なんか思ってたよりも滅茶苦茶地道な努力が必要になったけど」
ライルはこれまでにあった苦労を思い出す。
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チンキン『さ、この水着に着替えて横になるネ。オイルマッサージするアルヨ』
ライル『なんでそんなことする必要があるんですか(正論)』
チンキン『こ、これは禁忌の古代魔術ヨ?常識で測れない段取りが必要アルネ』
ライル『ファッ!?水着って・・・なにこれ、布面積なさ過ぎてほとんど紐じゃないか!』
チンキン『必要なことネ。さ、身に着けるヨロシ』
ライル『うぅ・・・身に着けたけど、これ大事なところがまるで隠せてない・・・』
チンキン『・・・なんだかんだいって言いなりだからチョロイね』
ライル『ん?今僕のことチョロインとか言わなかった?』
チンキン『そんなことないアル』
ライル『あるのかないのかどっちなんだ』
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(本当、習得時のことってろくな思い出がないな・・・って、思い出すのはこっちじゃない!)
『魅了の魔眼』の習得に辺り、いろいろと大変で釈然としない出来事がいくつかあり、ちょっとしたトラウマで今でも当時のことを不意に思い出してしまう。
とはいえ、それらは無駄ではなかったとライルは思いにふける。
(そう・・・無駄ではなかった。苦労して身に着けた『魅了の魔眼』も、そしてそれを効かせるための苦労も)
サーラに半殺しにされて以来、ライルははやる気持ちを押さえつけ、『魅了の魔眼』の発動中でも大胆な要求をしないように心がけて慎重にことを進めていった。
『魅了の魔眼』の効果は、術者に対する対象者の感情に左右される。良く説明書を読んだら、隅っこのほうにちょこんと付け足しのようにそう書いてあったのをライルはあとから見つけた。大事なことだからきちんとわかりやすく書いてほしかった。
『魅了の魔眼』を使うに辺り改めてサーラとアリエスについて探ってみたところ、恐らくライルに対する従来の好感度は並みより下・・・むしろ嫌われ手前?といった程度であり、『魅了の魔眼』をもってしてようやく並かそれよりちょっと下かではないかと考えられた。
意識して見ていると、サーラとアリエスはどこか警戒心を持った視線をライルに向けていたのである。ショックだった。
でも大丈夫。
『魅了の魔眼』の効果は確かに一時的なものであるが、その効果は重ね掛けすることで蓄積し、最終的には誰であっても魅了することが出来ると説明書に書かれていた。
「なんか『魅了の魔眼』って思ってたのと違うなぁ」と思いつつも、ライルはサーラとアリエスに『魅了の魔眼』を使い続けた。
するとどうだろう。
最初こそ訝しんでいたサーラ達ですら、ライルに対して態度が軟化し、今では以前と違って愛しむような目で見てくるようになったのだ。
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「僕の目を見て」
キィィィィン
「あ・・・」
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正直、毎度毎度この大げさなやり取りするのは本当に恥ずかしい上に面倒くさかったが、繰り返すたびにサーラ達はライルに対して優しくなった。
ついには全然全く漕ぎつけることが出来なかったサシ飲みも、断られずにOKしてもらえるようになったのである。
ただサーラの半殺しにされた件があるので、まだ恐ろしくて突っ込んだ要求は出来ていないが、サーラ達の様子を見るにあと少しのところでイケるのではないか・・・とライルは睨んでいた。
サーラ達の攻略が進み、ライルの気持ちに余裕が出てくると運が向いてきたのだろうか・・・今度はレーナがライルに対して好意的になった。
ライルはレーナに対して『魅了の魔眼』を使ったことが一度だけあったが、元よりあまり好感度は低くなかったのか、食事だろうがサシ飲みだろうが誘えば案外あっさり乗ってきたのだ。
今ではシュウとアイラを抜いて、レーナ、サーラ、アリエスの四人だけで行動することもある。
美女三人を侍らせ、酒場で盛り上がっている姿は他の男冒険者達の羨望の的であった。
「最近、シュウさんってあまりパーティーに貢献出来ていないと思うんだよね」
「そうね」
「そうだよ(便乗)」
「先輩、確かにあまり出番ありませんよね」
彼女達は誰もがライルに対し恋人を見るような優しい目を向け、発言を肯定した。
シュウを貶める発言をしても同調するようにすらなったのを見て、ライルは『魅了の魔眼』の効果を実感し、そろそろ一線を越えるとこまで行ってもいいかな~ と考え始める。
そんなときだった。
「ねぇ・・・私、ライルのことがどうやら好きみたい」
ある時、ライルはレーナから愛の告白をされた。
これがのちのライルの人生を・・・いや、全てを狂わすことになるのだった。