※この作品はR-18です。

追放の破戒僧は女難から逃げられない   作:ミステリードール

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記念日

ライルの『魅力の魔眼』による洗脳は数ヶ月に及んでいた。

何度も何度も重ねがけすることで、サーラ達はライルに対してすっかり従順になっている。

 

 

(きっと、今ならシュウのパーティー追放を提案したところで反対はされないはず。……されないよね?大丈夫だよね…?)

 

 

勝算はあったが、サーラ達は元々シュウに対してかなり強めの想いを抱いていたと思われるため、ライルはおっかなびっくりシュウの追放を提案した。

またストレートパンチで顔面砕かれないかなとビクビクしていたライルだったが…

 

 

「まぁ…仕方ないんじゃないかな…確かに実力的にこのパーティーにいるのは危なっかしくなってきたし…」

 

 

渋面しながらサーラはライルの提案を受け入れた。

 

 

「素行の不味さもこのパーティーには相応しくないですね…勇者パーティーとしてはあまりにも世間体が良くないですから」

 

 

アリエスもサーラに続いて頷く。

 

 

「帝都にいるときなんて一応隠蔽工作してますけど、かなり飲みに出てるし、それに博打も結構してるみたいです。『勇者パーティーのメンバーにもあんなのいるんだな』って噂までされてますよ」

 

 

アリエスがため息混じりに続ける。

実際シュウは勇者パーティーの中でも異端児扱いで、周囲からそこそこ注目はされていた。

 

 

 

「娼館にも通ってるみたいだしな…」

 

 

ぼそっと、何やら圧のある呟きをするサーラ。

 

 

パンッと音を立てて、サーラが手に持っていた飲み物のカップが弾ける。

 

 

怒りからか、嫌悪感からか、それはわからないが、ライルはとにかくサーラ達がシュウの追放に乗り気であることに喜んだ。

 

そして万が一にメンバーに見つかる可能性があるのを恐れ、娼館の利用を我慢していた自分を褒めてやりたかった。

 

 

「確かにシュウ先輩は娼館に通ってますね…帝都に滞在しているときなんて、隔日で通ってますよ」

 

 

何だかアリエスまでサーラのように恨みがましいような目をして、そう口にする。

ゴスッ、ゴスッ、と拳をテーブルに叩きつけ、何やらブツブツ呟いている。

 

「シュウのこと良く見てるな…」と言いそうになったが、何だか怖かったのでライルはそれだけは言わないでおいた。下手するとストレートパンチ再び来るのでは…と、何となく予感がしたのだ。

 

 

「よし、決まりだ。シュウさんをパーティーから追放しよう」

 

 

何はともあれ、レーナの言うとおり叩けば埃のあるシュウの追放は、こうして実にあっけないくらい簡単に受け入れられた。

 

 

 

「これからだ…いよいよこれから僕のハーレム生活が始まるんだ…!」

 

 

 

喜びに震え、輝かしい未来を夢見るライル・・・

男のプライドとハーレムのために、仲間を平気で追放するド屑の勇者である。

 

 

-----

 

 

 

そして時はシュウ追放後まで進む。

 

 

「ついに、ついにこの時が来たぞ!」

 

 

脳内に描いていた輝かしい未来が、ついに現実のものとなった日。

シュウを追放し、勇者パーティー『光の戦士達』の男がライルだけになり、ようやく彼の夢であったハーレムが始動する。

 

 

シュウを追放したその夜・・・

ライルはレーナが待っているはずの、彼女の個室へと向かっていた。

 

レーナは今日、シュウの追放と同時に婚約破棄をした・・・つまり正式に筋を通して(?)フリーの身になった。

つまり、これで晴れて堂々とライルはレーナと結ばれることが出来るのだ。

 

今日はシュウを追放した記念日・・・

それと同時にレーナと初めて結ばれる記念日・・・

そして、ライルのハーレム本格始動の記念日になる。

 

ライルは興奮が止まらなかった。

これからはエッチなこともし放題だ!手始めのレーナ・・・今日は彼女と心行くまで楽しんでやるぞ~ とルンルンと歩いていると、そこでライルはぱったりとアイラと出くわした。

 

 

「っと・・・」

 

 

賢者アイラ。

いつも無口で何を考えているかわからないが、美少女で自分に従順。

ハーレム加入も特に障害はないだろうとライルは思い、『魅了の魔眼』を唯一使用していない相手だった。

いつもならライルと出くわしても、こちらが話しかけなければ特に何もなくスルーであるが・・・このときばかりは何やら様子が違っていた。

 

 

 

「じーっ・・・」

 

 

「・・・な、なんだよ・・・?」

 

 

アイラは何か言いたげに、じっとライルを見つめて来たのだ。しかも「じーっ」まで口にして。

何か心を見透かしたような、その上であきれ返っているような、そんな印象を受けるまなざしに、ライルは居たたまれなくなって思わず視線を逸らす。

 

 

「悪いけど、用があるからまた・・・!」

 

 

返事も聞かず、ライルはアイラから視線を逸らしたまま先を歩きだす。

先ほどまでウキウキしていたというのに、今は信じられないほどに心に靄がかかっていた。

 

 

(なんだよ・・・これからお楽しみだっていうのに・・・!)

 

 

ライルは嘆息しつつ、何とか気を取り直そうとレーナの部屋へ向かう足を速める。

だが、心にまとわりついた靄は、中々消えることはなかった。

 

それは、これからライルが歩むことになる波乱の予感だったのかもしれない。

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