ライルはレーナの部屋の前までやってきた。
煮え切らない何かが心を纏ってはいたが、ライルの思考も単純なものでもうすぐヤレる!となると、そのことはもうほとんど頭の片隅に寄せられていた。
きっと事が済んで賢者タイムになれば、何となく思い出すかもしれない。
(ついに・・・ついにレーナと・・・!)
ライルは緊張で手のひらに汗が浮かんでいるのを、深呼吸しながらゴシゴシとズボンで拭く。
これまで何度も愛を囁きあったレーナ。
抱こうと思えば抱ける状況にありながら、シュウのことがあってそれが出来ずお預けをくらい続けた。
レーナのぷっくりした唇に吸い付きたい。
豊満な胸を揉みしだきたい。
柔らかそうな尻を撫でまわしたい。
我慢に我慢を続けた欲望を、ようやく解放出来る時が来た!
「コホン・・・」
はやる気持ちを抑え、ライルはレーナの部屋の戸をノックしようと手を伸ばす。
すると・・・
「ん・・・?」
ライルの鼻孔を、何やら甘ったるい匂いがくすぐった。
「これは・・・」
レーナの部屋の扉の隙間から溢れてきている香り。
何やら香を焚いているようだが、ライルにはこの香りに覚えがあった。
(これは・・・『淫魔の魅惑』)
『淫魔の魅惑』とは、思考力を奪い、性的興奮を異常なまでに高めるという効果を持つ香の名である。
あまりに強力なために悪用する者が後を絶たず、摘発されて発売禁止になっている。
なんでライルがそんな香の匂いを知っているかというと、サーラ達に悪用しようかと悩んだ時期があったからだ。
どうしてこの香がレーナの部屋で焚かれているのだ?
ライルは当然の疑問を抱く。
・・・が、一瞬で答えを出した。
(僕を歓迎するためか!気分を盛り上げようってことだね!!!!!!)
気分を盛り上げるだけとは考えられないほどにリスキーな香であるが、元より性欲限界まで来て香で頭が色欲のことでいっぱいになったライルの脳は、恐ろしいほどバカバカしく前向きな結論を導き出す。
バァン!
あまりに我慢できずに、ついノックすることを忘れて扉を乱暴に開くライル。
「!!」
そこで目にしたものは・・・
ベッドの上で横になっている、下着姿のレーナだった。
ただの下着ではない。
『ドエロの下着』と呼ばれる、黒色でレースをあしらったエロティックな下着であり、『世界一痴女が装備しそうな防具』と呼ばれるアイテムだった。
下着なのに魔法障壁が繊維一本一本に織り交ぜており、防御力はそこらの戦士の鎧より遥かに高く、その性能故に法律上もかろうじて『防具』として認識されているために、それだけ着て人前を歩いても捕まることはない。
だが、下着は下着だ。しかもエッチな下着だ。
『ドエロの下着』はライル達が冒険の途中で見つけたものだが、当然ながら誰一人身に着けることはしなかった。ライルはそれを残念に思っていたのだが、まさかシュウを追放し、自分と初めて結ばれる日を選んで着るとは!と、ライルは感動の涙が止まらない。
だが、当のレーナはというと・・・ライルを待ちくたびれたのか、ベッドの上で目をつむって眠ってしまっているようであった。
(フッ、ごめんねレーナ。僕がもたもたしていたから待たせてしまったんだね・・・お香まで焚いたままだし・・・)
ライルは眠っているレーナを見下ろし、きゅっと胸が締め付けられるような気持ちになった。
なんて愛おしい女だ。
ついに僕のモノになるのだ。
・・・そして、やっぱりレーナは黒(の下着)が良く似合う。
香の効果で過大に膨れ上がった愛情とおバカな劣情。
股間はギンギンに高ぶり、心臓も爆発しそうなほどに高鳴っていた。
(我慢は・・・もうよろしいかと思われます!いくぞ!)
ライルはレーナを起こそうとしたが・・・あまりにも我慢できずにそのままレーナに覆いかぶさった。
「レーナぁぁぁぁ!!」
「・・・えっ!?なっ・・・!!」
叫びを上げてレーナに重なるライル。
レーナは突然のことに即座に起き上がったようだが、ライルは「おはよう」の一言すら発する余裕がなかった。
まずはキスをしよう。
あぁ、その次は・・・ などと考えているライルだったが
ゴスッ
「!?!?!?!?」
突如として股間に鈍痛が走り、のたうち回ることになった。