「は・・・?は?は?はぁっ!?」
ライルは衝撃のあまり、レウスの言葉をすぐには受け止めきれなかった。
「そ、それじゃあ…僕の肉棒が破るはずだったフローラの処女膜は・・・もう・・・?」
『気持ち悪い言い方するな。そりゃあ・・・多分もう無いだろう』
「ざっっっ・・・・・・ざっけんなぁ!横から割って入った部外者糞モブが僕のフローラの処女を奪うなんて…こんなことがあってたまるかぁーっ!」
『二人にしてみれば多分君こそが部外者糞モブだと思うが』
「あぁ・・・駄目だ・・・一気に生きる気力が無くなった。これからどうやって生きていけばいいんだ・・・もうやだ・・・リスカしよ・・・」
ライルはガックリと膝を落とし、虚ろな目で天井を仰ぎ見る。
『おい、何を言っている?それでも勇者か!?』
「どうでもいい。全てが・・・」
ライルの声のテンションから、まるで想定していなかったレベルまで脱力しているのを察したレウスは慌てた。
(なんだこいつは・・・本当に勇者なのか?フローラが取られたくらいでそこまで脱力するほどのポンコツだとは・・・!)
レウスにとってライルは、フローラを取り戻すための切り札。
その切り札を使えるようにするために、レウスは僅かに迷いはしたが、それでもとどうにか苦渋の決断を下した。
『今回フローラを取り戻すことが出来たのなら・・・君が希望するなら、彼女を娶っても構わない』
ピクッ
心ここにあらずになっていたライルは、レウスの言葉に反応した。
『取り戻したフローラには聖女としての務めはしてもらうが、それ以外は君の好きにしても良いだろう。妻にするなり愛人にするなり好きにしたまえ』
レウスはライルにフローラをくれてやると提案した。
処女を散らしたフローラは、嫁ぎ先が限定されることで大きく価値が下がってはいるが、それでも歴代最高クラスに優秀な聖女ということでまだ十分に価値はある。
他権力者に嫁ぐことだって無理ではない。だからいかに勇者といえど有力貴族ですらないライルにくれてやるというのは、一見すると金のなる木を手放すようなことに見えるかもしれない。
だが、レウスの手駒の中で今現在逃走をしているシュウ達を止められるのは、ライル以外にはいないと考えていた。
一応教会騎士も動いてはいるが、元勇者パーティーであるシュウと天才聖女フローラの二人が逃げに徹したら、時間稼ぎ程度は出来ても止めることは出来ないだろうと。
有力な相手に嫁がせて富と実績を得るのは諦め、聖女として務めを果たさせることでレウスに名声をいくらかでも還元させる。
シュウ達を捕まえるためにやる気を出させる餌として、フローラをライルにくれてやるということをレウスは決断したのだ。
このままフローラの価値に気を取られ、逃がしてしまえばむしろフローラの価値はゼロ。レウスに何も残らないのだから、そうなるくらいならという苦渋の決断である。
「で、でも・・・既にフローラはシュウさんの手に渡っちゃったしな・・・」
レウスの話に大きく興味はそそられつつも、まだウジウジして面倒くさくなっている。レウスは苛立ったがどうにかその感情を抑えつつ、諭すように言った。
『確かにフローラは今、既にシュウのモノになってしまったかもしれん。だが、そんなフローラを改めて君の色に染めなおしてしまうというのはどうかな?』
「えっ・・・?」
『全身を舐め尽くし、抱き尽くし、心身ともに一片も残らぬほどにフローラを君の色に染め上げてしまえば良い。誰かのモノになった女を、無理やりでも自分色に染めてしまうのもまた一興ではないかね?』
自分で言ってて吐きそうになるほどキモい発言をしている自覚はあったが、それでもレウスの頑張りの甲斐というべきか・・・ライルはいつしか不敵な笑みを浮かべ立ち上がっていた。ついでに股間も。
「レウス司教・・・僕が間違っていました。他の男に穢されてしまったのなら、自分がそれ以上に穢してしまえば良い・・・そうことですね?」
『わ、わかってくれたのなら何より・・・』
鳥肌が立っているが、ライルに合わせるレウス。
実力は申し分ないのに、性格はどうしようもないなとレウスは呆れ返っている。
「シュウの生首の前で抱きつぶしてやって、最初に心をへし折るかな・・・」
勇者らしからぬ発言をしながら、ライルは自分の愛剣を手に取って自室を出る。
「えっ!?シュウが・・・!!?」
「聖女を誘拐・・・!?それはいけません!」
股間を勃たせながら帯刀して外へ出ようとするライルを見つけたサーラ達は、ライルの話を聞いてすぐに彼について行くことを決める。それにいつの間にかレーナ、アイラも交じり、気が付けば勇者パーティー『光の戦士達』総出でフローラ奪還に乗り出していた。
「フフフ・・・これで終わりだぞ、シュウ!フローラの貞操を奪い返してやる!!」
異様なまでの闘志を抱きながら、ライルはシュウの後を追う。
「・・・貞操?」と、サーラ達はライルの発言に怪訝な顔をしていたが。