※この作品はR-18です。

追放の破戒僧は女難から逃げられない   作:ミステリードール

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決着と延長戦

ライルが地を這うような低姿勢のまま、シュウに向けて弾丸のように跳躍する。

シュウとの距離は数十メートルあるが、跳躍から1.5秒で間合いに入り攻撃モーションに入るだけの超スピードである。

 

 

「神殺剣・ゴッドスレイヤーッッッ!!」

 

 

その一瞬の間に、超絶早口でノリと勢いで決めた新たな技名を叫ぶライル。

 

 

『診察券?どこか具合悪いのか?』

 

 

『頭だろ』

 

 

『何にせよ・・・勝負は一瞬でつくぜ』

 

 

同じく一瞬のうちに超速で会話するギャラリー。

 

 

(出たぁ!今までで一番微妙な技名。頭痛が痛いみたいな名前だし、教会をスポンサーにしてるライルがつけていい名前じゃないでしょ。相変わらず後のことを考えないなぁ)

 

 

超速でそんなことを考えるシュウ。

 

ライルの動きは速い。

並みの冒険者なら、仕掛けられていることにすら気付かずに太刀を浴び、真っ二つにされてしまうだろう。

 

だが、シュウもライルと一緒に『光の戦士達』で戦ってきたメンバーである。

ライルと違い武器は使わず、己の肉体のみで戦う格闘家スタイルであるシュウは、素早さだけならライルを超えていた。

 

それに加えてライルの使う無名剣は癖も軌道もわかっているので、迎え撃つことは難しくない。技名も叫んでいるので、タイミングもバッチリ。

 

 

 

 

ギャラリー達の中でライル達の動きが見える者達が「あ、これであの男は真っ二つになって死んだわ」と思ったときだった。

 

 

グシャッ・・・

 

 

何かが潰れる音がした。

 

 

 

「・・・~~~~~~ッッッッ!!」

 

 

タイミングを合わせ、隙をついて迎え撃ったシュウの足刀蹴りが、ライルに見事命中したのだ・・・・・・・・股間に。

 

 

「許してください」

 

 

手応えを感じ、男故にライルの痛みに何となく同調してしまうシュウは、渋面しながら手で十字を切った。

履きなれた靴だが、変な汁とはついてるかもしれないから、落ち着いたら処分しよう・・・そんなことを考えながら。

 

 

「か・・・は・・・・」

 

 

前かがみになり、口から涎をたらしながらライルは「またココか・・・」と口をパクパクさせてから、泡を吹いて白目を向いて倒れた。

 

 

し~~~~~~~~~ん・・・

 

 

男は皆ライルに感情移入して股間に手をやったり前かがみになり、女は唖然として辺りは沈黙に包まれる。

 

その沈黙を破ったのはシュウだった。

 

 

「フローラッッ!!」

 

 

シュウは叫ぶと、フローラがいるホワイトキングに再び跨った。

 

 

「はいっ!」

 

 

フローラは返事をし、すぐさまホワイトキングを転回させ、ライル達がいる方向とは逆に向けて駆けさせる。

 

 

『お、おおっ!?』

 

 

象のように巨大な白馬が迫り、ギャラリー達は慌てて道を開ける。

逃げ出そうとしているシュウ達だが、これに対してレーナ達は驚きこそしたものの、特に慌てることもなく様子を伺っている。

シュウ達とライル達は、アリエスが展開した障壁に囲まれているので、簡単に脱出は出来ないとわかっているからだ。

 

だが、ここでフローラがレーナ達の予想外の行動に出る。

 

 

「セイント・レーザー!」

 

 

聖属性の魔力を極限まで圧縮した光線魔法をフローラが手から放つと、万物を跳ね返すはずのアリエスの魔法障壁がまるで豆腐のように切れてバラバラになった。

 

 

「ウッソでしょぉぉぉ!?」

 

 

強力な障壁を展開し、何があっても脱出は不可能だと自信のあったアリエスは悲鳴を上げる。

 

 

「魔法障壁は確かに壁として優秀ですが、私達周囲を覆うほど展開すれば一つ一つの障壁の強度は落ちます。そして魔法障壁は同じ属性で点当たりの攻撃をされると滅法弱いのです。聖属性の攻撃をしてくる魔物はいないので、これまで教えることはありませんでしたが」

 

 

去り際、シュウはご丁寧に種明かしをする。

 

フローラはシュウが最初にホワイトキングから降りる際、シュウに言われてずっと聖属性の魔力を溜めて練りこんでいた。

アリエスが展開した魔法障壁も聖属性だったため、フローラの聖魔法で打ち破れるとシュウは確信していたのだ。

 

とはいえ強大な魔力を持つアリエスの魔法障壁は頑丈なので、より強力なセイント・レーザーで障壁を切り刻むため、フローラにその発動のための準備をさせた。

そしてその準備を十分に終えさせるために、シュウは下馬してライルと向き合い、時間を稼いだのだ。

 

十分に時間を使い、高度に圧縮された聖属性の光線魔法は、シュウの思惑通り一瞬にしてアリエスの魔法障壁をバラバラに切り刻んでみせた。

 

フローラもアリエスもどちらも膨大な魔力量を持つ聖魔法の使い手でキャラがかぶっているが、聖魔法の使い方の違いで今回はフローラに軍配が上がった。

 

 

「それではさらばっ!!」

 

 

最大の難関であるライルを無力化出来たことで勝利を確信し、ちょっとテンション上がったシュウの捨て台詞とともに、ホワイトキングは駆け出す。

 

ライルは行動不能。レーナも攻撃魔法で動きを止めたいところだが、シュウ達を止めるほどの強力な魔法を使えばギャラリー達を巻き込んでしまうために使うに使えずに途方に暮れた。

誰も止めるものがいない。シュウ達を逃がしてしまう・・・と、レーナが焦燥感を抱いていると・・・

 

 

「復ッ活ッ!」

 

 

突如として、死んでいたと思われたライルが起き上がった。

 

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