※この作品はR-18です。

追放の破戒僧は女難から逃げられない   作:ミステリードール

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五天聖爆神剣と・・・裏切り?

冒険者パーティー『光の戦士達』は、世界で最も魔王討伐に近いと言われている。

そしてその『光の戦士達』を率いる勇者ライルは、人類最強・・・いや、この世で最強の生物と噂されていた。

 

その理由は、もちろん勇者として認定されるだけの基本的な戦闘能力もあるが、最大の理由は「『五天聖』と契約しているから」というのが最も大きい。

 

五天聖とは何か?

火、水、雷、光、闇、の五つぞれぞれの属性の精霊の長である精霊神のことである。

例えば火の精霊神と契約したならば、人の身でありながら精霊と同程度に火を操る能力を得られるようになるため、当然のように精霊神と契約しようとする冒険者は多い。

精霊神も意外と話がわかるもので、少しばかりハードな試験さえクリアすれば、それなりに名を上げたくらいの冒険者は契約が出来るようになっている。

 

だが、契約出来る精霊神は一属性のみ。

精霊神は他属性の精霊を嫌うため、既に一つの属性の精霊神を契約人間とは接触すら拒む。

欲を突っ張らせて異種属性の精霊神と契約しようとして、怒りに触れ死んだ冒険者は数知れず。

『精霊神は一人一属性まで』というのは上級冒険者の中でも常識だった。

 

しかし、ライルは何と五属性全ての精霊神・・・五天聖との契約を結ぶことに成功した。

 

 

「欲の皮突っ張りスギィィィ!」

 

 

とツッコミが盛大に入ったが、それでもこの大偉業に世界が揺れた。

 

適正があったのか、それとも他に何か理由があったのか・・・それはわからない。

だが、五天聖との契約は伝承の中の勇者でしか前例がなく、本来人が、否、生物が持ち得るはずもない強大な力をライルが手に入れたことは間違いなく、この五天聖との契約をもってライルは世界最強・・・人類最大の希望と呼ばれるようになったのだ。

 

『五天聖爆神剣』とは、「五天聖ノ力ニ依リテ神ヲモ爆ゼシ剣」・・・その五天聖全ての力を一度に借り、その膨大な力を剣に集約させて相手を一振りで滅する究極奥義である。

魔王ですらこの剣技を受ければ死ぬどころか魂そのものを滅され、数百年後の復活すら望めない。

 

ライルは今、その究極奥義を容赦なくシュウにぶつけようとしているのである。

あまりにやりすぎではあるが、頭に血が上ったライルはもう躊躇する気配すらない。

 

 

「火よ水よ雷よ光よ闇よ・・・僕に力を与えたまえぇぇぇ!!」

 

 

晴天だった空が曇り、突風が吹き荒れるようになったかと思えば、ライルを中心にしていつの間にやら渦が発生しだしていた。

これはライルに五天聖が力を分け与えているからなのだが、この五天聖爆神剣の恐ろしいところは、発動から技の実行までこのようにたっぷり二分はかかる隙だらけの技だというのに、技を受ける対象者は場の空気に飲まれて逃げることも先制攻撃もしなくなるというところである。

 

 

「シュウ様!」

 

 

「フローラ!私から離れて・・・!!」

 

 

例に洩れず、シュウ達もさっさと逃げればいいのにそれをしない。

何となく「それは野暮」と考えるようになってしまうのだ。このように思考にすら都合良く作用する恐ろしい技だ。

 

 

『くっ、なんて凄い闘気だ・・・見てるこっちまでビリビリしてくる!』

 

 

『でもなんであいつら悠長に待ってるんだ?』

 

 

『義理堅い性格だな・・・』

 

 

『バカじゃねーーの?』

 

 

なお、ギャラリー達の精神には作用してはいない。

そしてそれはライルの仲間達も同様である。

 

 

「バカかライルは」

 

 

そんな言葉とともに、サーラはライルの後ろに立った。

 

 

「その技で殺したら、意味がないだろうがっっっっ!!」

 

 

ザシュッ

 

 

「がっ!?」

 

 

サーラはなんと手に持つ剣でライルを背中から斬った。

真剣で、みねうちではなく、本当に斬った。

 

 

「ぎゃあああああああっ!?」

 

 

大技発動中に完全無防備なところを、ライルは全く意識していなかったところから斬られ、大量に血しぶきを舞わせて地に伏した。

 

 

「「「・・・は?」」」

 

 

唖然とするシュウ達・・・いや、ギャラリー達もだ。

 

 

「勢いで勝手なことするな!まさか本当にここまでバカだったなんてな」

 

 

ザクッ

 

 

サーラはライルの右手の甲を剣で串刺しにする。

あまりの激痛に気を失いそうになりながらも、ライルはひとまず冷静になって回復魔法で回復を試みる。

 

 

「サイレント!」

 

 

が、ライルは唐突に魔法封じの魔法をくらい、回復魔法はおろか喋ることも出来なくなった。

 

ライルは驚愕に目を見開く。

ライルの魔法を封じたのは、アリエスだったからだ。

どうして同じ仲間のサーラが斬ってきた?どうしてアリエスは回復をさせてくれない?

ライルは斬られた痛みすら忘れて困惑するが、それも長くは続かなかった。

 

 

「寝てろ」

 

 

ザシュッ

 

 

背中に更に一振り・・・サーラはまたもライルを斬りつけた。本気で。

 

 

「頭に昇った血が抜けて落ち着いたろ?」

 

 

見下ろしながらそう呟くサーラ。

彼女なりのジョーク?ライルは全然笑えない。

 

 

「お釣りがくるぜ・・・ぐふっ」

 

 

ライルは連続して受けた大ダメージにより、ついにはライルも意識を手放した。

 

 

「・・・」

 

 

死~~~~~~ん

 

 

シュウ達やギャラリーはすっかりドン引き。完全に固まっており、辺りは静寂に包まれる。

やりすぎのライルを止めるにしても苛烈過ぎない?仲間割れ?

誰もが頭に「?」を浮かべている中、サーラとアリエスはシュウに向き直る。

 

 

「では改めて。逃がさないぞ、シュウ」

 

 

静寂を破ったのはサーラ。そして血に濡れた剣を今度はシュウに向ける。

 

 

「もう諦めてください、シュウ先輩」

 

 

何か魔法の詠唱を開始しようとするアリエス。

 

一難去ってまた一難?

ライルを排除・・・いや、排除されたと思ったら、シュウは今度はサーラ達を相手にすることになってしまった。

 

 

「「わけがわからないよ!」」

 

 

シュウ達は二人して叫ぶと、今度こそホワイトキングを駆り、その場から逃げ去ることにした。

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