※この作品はR-18です。

追放の破戒僧は女難から逃げられない   作:ミステリードール

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〇したいほど愛してる

「さて・・・」

 

 

シュウに迫っていたフローラは、ふぅと一息つけると、それまでとは打って変わって落ち着いた調子でアリエス達に向き直った。

 

 

「そんなわけで、私はこれから貴方たちと違って完全合意の上でシュウ様と愛を育みます。長々と貴方がたの犯罪自慢をお聞かせいただき、ありがとうございました」

 

 

シュウの手をスッと取りながら、フッと余裕ある笑みを向けるフローラ。

フローラも今はごり押しでシュウに同意を得たし、アリエス達のも一服盛られたとはいえ完全なる不合意ではなかったわけだが、そんなことはどうでも良かった。

 

 

「なぁ、どうしても行くのか?シュウ」

 

 

抑揚のない声でサーラが問う。

悲しそうに眉尻を下げているサーラを見て、シュウとて何も感じないわけではない。

これまでずっと仲間として苦楽を共にし、酒を飲みかわし、ついでに性的に意識したこともある女性だ。しかも見た目麗しい彼女らが、面と向かって愛を告白してきたのだから、思うところが無いわけがないのだ。

 

だがっ!

 

 

「いやぁ、一度ならず何度も一服盛って来るような人達はちょっと・・・」

 

 

シュウはサーラ達に対して愛おしいと思う気持ちよりも、恐れという気持ちのほうを強く抱いていた。普通に考えておかしいでしょと。

気持ちが重すぎる怖すぎる。受け止められるはずがない。逃げるに決まってる。

 

 

「そう・・・か」

 

 

シュウの拒絶を受けて、サーラが俯く。

泣いているのか?と、シュウは少しだけ心が痛んだが・・・

 

 

スラッ・・・

 

 

サーラが剣を抜き、シュウの目が点になる。

普通に今冒険時に使っている、サーラの愛刀だ。

 

 

「アタシの故郷では、女が純潔を捧げたら相手の男を絶対に夫にするか、無理なら首をはねて自分の手元に置き愛で続けるというイカれた蛮習がある。お前がアタシを拒絶するのなら、アタシはそれに従って実力行使するのみだ、シュウ」

 

 

視るものを射殺すような目で、サーラはシュウを睨みつける。

 

 

「イカれた蛮習って自分でわかっているならやめてくださいよ!ていうかどんな蛮地出身なんですか!!?」

 

 

背筋が凍り付くような思いをしたシュウは、半泣きになりながらそう訴えるが、サーラの表情は変わらない。

 

 

「ちょっと待って!落ち着いてくださいよサーラさん」

 

 

苦笑いしながら宥めるアリエスを見て、シュウはホッと胸を撫でおろす。

きっと止めてくれるのだろうと期待して。

 

 

「そういうのは極力ナシって淑女協定を結んだじゃないですか。とりあえず身柄だけ押えたら、じっくり時間をかけて洗脳すれば良いんですよ。忘れないでくださいよ」

 

 

コントラストの無い瞳で笑いながら言うアリエスを見て、この子もダメかぁとシュウは顔面を蒼白させる。

極力ナシって何?アリも無くはないの?そして君たちのどこが淑女だとアリエスに言いたかったが、それより先にフローラがホワイトキングを走らせた。

 

 

「シュウ様!今度こそ止まらずに行きますよ!!」

 

 

先ほどは自分の意思で止まったくせに、そんなことを言いながら猛然とホワイトキングを駆るフローラ。

しかしアリエス達の長話に付き合って時間をかけてしまったせいか、シュウ達に迫る聖騎士団の数が増えてしまっていた。

しかも、上級騎士もかなりの数が編成されており、一流の冒険者でも力づくでの突破は不可能である包囲網が敷かれつつあった。

 

が・・・

 

 

「どかんかいボケェェェッッ!!踏みつぶすぞタコォォォッッ!!」

 

 

青筋を浮かべ鬼気迫る表情のフローラに凄まれた騎士達は、あまりの迫力にザッッッと整列して道を開けてしまう。

 

アリエス達の話を聞き、怒りの感情をチャージしまくったフローラは、すぐにでもシュウを『浄化』と称してマーキングし直したくて仕方がなかった。

邪魔する者は全て敵。虫けらだとすら思っている。排除することに躊躇いなんてない。

 

フローラから感じる本物の「殺気」に、上級騎士ですら身の危険を感じ、無条件で道を譲ってしまったのだ。

もっとも上級騎士といえど、フローラお手製の障壁に守られている以上は傷一つつけることは出来ないので、あくまで時間稼ぎにしかならないのだが。

 

シュウはフローラの様子を見ながら「こんな子だったとは」と戦慄しつつも、それでもアリエス達よりマシかと思うようにした。

フローラもだいぶパンチが効いているが、それでも一服盛って既成事実作ってこないだけ良いと考える。もういろいろありすぎてそうでもしないと心の均衡が取れない。

 

 

(ま、障壁で守られているし、障害になりそうなライルは行動不能。とりあえずこの分なら帝都脱出は出来そうか)

 

 

そもそもフローラがサーラの言葉に反応せずに無視していたらとっくに帝都を出られていたのでは・・・?とか、いろいろ考えたいことはあるが、とりあえず帝都を脱出してからにしよう・・・シュウがそう考えたときだった。

 

 

「!!」

 

 

それは直感だった。

ゾワリ・・・と、シュウの全身に鳥肌が立ったのだ。

 

来る・・・アレが来る!!と。

 

 

「フローラ!」

 

 

血相を変えたシュウが叫ぶ。

 

次の瞬間、天空から何かがフローラ達のいる場所へ落ちて来た。

そしてその場で起こる大爆発に、シュウ達は巻き込まれたのであった。

 

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