※この作品はR-18です。

追放の破戒僧は女難から逃げられない   作:ミステリードール

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バンカーバスター

フローラが膨大な魔力を頼りに常時身を守るために展開している魔法障壁は、同じ聖属性を持つライルの愛刀アスカロンによる斬撃を除き、時間をかけずこれを打ち破る方法は存在しない。

いや、正確にはその方法以外今は選べない。

 

そうなふうに考えていた時期がシュウにもありました。

 

 

だが、正しくは魔法障壁を打ち破る方法が他に一つだけあった。

それがサーラの超必殺の魔法剣・・・『爆砕型万物貫通突貫剣(バンカーバスター)』である。

 

サーラは魔法を使うだけのオツムがないだけで、魔力そのものは有しているのだが、バンカーバスターはその彼女の特性を利用した必殺技だ。

 

サーラの持つ魔力を剣先に高度に圧縮して集中させ、攻撃対象を突く・・・ざっくり言えばこれだけだ。

だが、魔力を帯びた剣先は突きそのものの威力も相まって凄まじい貫通力を誇る。もしかしたらこの世に貫けぬものなどないのかもしれない・・・そのレベルなのだ。

 

しかしこの技は突いてそこで終わりではない。

目標を突いた後は、剣先で圧縮された魔力が一気に暴発し、大爆発を引き起こすのだ。

どれだけ巨大で皮膚の頑強な魔物でも、最初の突きで剣先を突っ込まれ、体内で大爆発を起こされるとなすすべもなく一瞬にして爆発四散する。

 

何でも貫通する鋭い突きと、大爆発の組み合わされたこのバンカーバスターという技は、受けて耐えた魔物など今まで存在しないほどに強力だった。

人間界において、今のところこの技を超えるものと言えばライルの五天聖爆神剣だけだろうと言われている。

 

このサーラのバンカーバスターにかかれば、フローラの張る強力な魔法障壁といえど紙っぺら同然であり、シュウもそこは理解していた。

 

だが、ここは帝都のど真ん中であり、一般人のギャラリーも大勢いる状態だ。

サーラがこのバンカーバスターを使用すれば、間違いなく一般人に被害が及ぶ。死人も出る。

だから普通なら使わない。選択肢に入らない、入れられない。

何しろ勇者パーティーなのだから、帝都でそんな技を使用すれば身の破滅だって待っている。

 

 

しかし、サーラは普通ではなかった。

 

 

 

 

「くっ・・・まさか、本当に使ってくるとは・・・!」

 

 

大爆発によって巻きあがった土煙の中で、シュウは顔面を蒼白にしていた。

腕の中には咄嗟に抱きかかえたフローラ。顔を真っ赤にして、恋する乙女の目でシュウを見つめている。

で、背中には思わず背負ってきたホワイトキング。恋する馬の目でシュウを見つめている。なおホワイトキングはオス。

 

 

「いや、流石に重ッッ!」

 

 

ドサリとホワイトキングを地面に下したシュウは、つい数秒前に自分がいた場所に目を向ける。

まだ土煙で見えないが、そこにサーラがいる気配がした。

 

 

シュウは遥か上空からサーラがバンカーバスターを使用しつつ降下してくることを直感し、即座にフローラとホワイトキングを掴んで回避行動を取った。

そして同時に自分がそれまでいた場所・・・サーラの着地地点の周囲を囲うように魔法障壁を展開。

シュウは魔力が少ないので長い時間は無理だが、フローラ達と同じように魔法障壁を張ることが出来る。それも高速で。

 

サーラのバンカーバスターがそれまでシュウ達のいた地面に炸裂したのは、障壁を展開した直後だった。

 

凄まじい爆音と振動こそ起きたものの、巻き起こる爆炎は展開された障壁によって、ギャラリーや街並みを巻き込むことなくあえて空けられたスペースである上空へ逃げていった。

 

奇跡的にサーラのバンカーバスターは、シュウの機転によって一人の犠牲者も出すことはなく不発に終わる。

ちなみにシュウが回避しなければ、シュウ達は魔法障壁など意味もなさず爆発四散してこの世からサヨナラしていた。

 

突然大爆発が起きたが、自分達の身に何も起きていないことでギャラリーは困惑気味。だが、身の危険を感じて既に何人かが逃げ始めていた。

 

 

「はぁはぁ・・・はひぃ・・・」

 

 

フローラだけならともかく、巨象のような馬を捕まえて緊急回避をしたせいで、シュウは一気に体力を奪われ滝のような汗を流す。

休憩したいところだが、今はそうも言ってられない。

 

 

「は、ははっ!これを、躱したか・・・流石だよシュウ」

 

 

大技を使い、息切れを起こしているサーラは、笑いながら息を整えていた。

普通バンカーバスターみたいな技を使えば、使用者であるサーラ自身も爆発で木っ端みじんになるはずだが、何故かそれが起こらない。そういう意味でも凄い技だ。

 

だが、技を使ってからしばしの間は酸欠気味になり、すぐには体が満足に動かせないという欠点がある。

シュウはこの機会を逃してはならないと思った。

 

 

「私を殺すだけならまだしも、一般人を巻き込むとは見損ないましたよッッ」

 

 

これまで決して仲間には向けたことのない怒りの表情を浮かべながら、常人にはコマ落としのようにしか見えないほどの瞬足で、シュウは一気にサーラと間合いを詰める。

 

先ほどライルに打ち込んだものと同じ足刀蹴りをサーラのみぞおちに向けて繰り出すと、それを受けたサーラは吹っ飛び、まるでピンボールのように周囲の建物に何度も体を打ち付けながら最後は建物の壁を破壊して突っ込んで見えなくなった。

 

 

(浅い!)

 

 

本当にシュウの攻撃をまともに受ければ、サーラは吹っ飛ぶのではなく前のめりに倒れるはずだった。だが大げさに吹っ飛んだところを見ると、サーラはギリギリのところで反応してわざと後ろに飛ぶことで威力を殺したようであるとシュウは判断し、舌打ちをする。

 

もう悪さできないよう追撃するか、それとも逃げるか、シュウがどうしようか考えたときだった。

 

 

「はい、捕まえました、と」

 

 

アリエスの声とともに、シュウの周りに魔法障壁が展開され、一瞬にして閉じ込められてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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※お出かけの関係で、次回更新は若干遅れるかもしれません。

問題なければ普通に更新することにします。

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