アリエスの魔法障壁に閉じ込められたシュウは、どうしたものかと考えを巡らせる。
しかし、味方であるフローラ(と、馬)は気絶させられ、アリエスとサーラに睨まれているシュウにすぐに打てる有効な手立てな無い。
だが、このままアリエス達に良い様にされるのは、シュウには物凄く不味いことの予感がしてならなかった。
モラルを持たず、頭のネジが緩み、手段を選ばぬほど興奮しているように見える彼女らの成り行きに任せると決してろくなことが無い・・・そんな気がしてならなかった。
「アリエス。それじゃあシュウを連れていくか」
「そうですね」
「抵抗しないように・・・手足落としてダルマで持ってくか」
「そう・・・ですね」
そらきた!
「『そう・・・ですね』じゃ、ありませんよ!どうしてそんなことする必要があるんですか!!」
さっそく来た過激な発言に、シュウは身を縮こませて抗議した。
「それはシュウ先輩を確実に連れて行くためです。だってこうしている間にも、シュウ先輩・・・私の魔法障壁の分析をしているでしょ?」
「ぎくうっ!?」
悪戯っぽく笑うアリエスに図星を突かれて、シュウはこれ以上なくわかりやすく狼狽した。
そう、シュウは無力に捕らわれているフリをしつつも、アリエスの魔法障壁の構造を分析し、中和しようと試みていたからだ。
「本当かよ?ったく、油断も隙もない。けど、流石はシュウだな」
サーラは呆れつつも、フッと笑みを浮かべる。
「こりゃあ意識まで刈り取っておかないと、何をするか不安だな」
「やめてーっ!」
サーラが剣を手に不気味に笑うのを見て、シュウは悲鳴を上げた。
そんなシュウを見て、優しい笑みを浮かべるアリエス。
「心配しなくても大丈夫ですよシュウ先輩。実はここだけの話なんですけど、私、蘇生魔法も使えるようになったんですよ?」
ここだけの話と言いつつ、ギャラリーがいる状態で話しているので全然内緒話になっていないのだが、あまりに衝撃的な内容にシュウはそこにツッコミを入れるのを忘れてしまった。
「そっ・・・蘇生・・・魔法・・・?」
蘇生魔法とは、一度死んだ者を蘇らせる魔法。
究極の回復術であるが、『自然の流れに反する行い』として数百年も前から禁忌とされ、今では誰一人として使い手がいなくなったと言われる魔法である。
それを習得したというのは、本当にここだけの話にしないといけないことであった。
「ですから万が一シュウ先輩が爆発四散して死んでも、塵になっても、私なら生き返らせることが出来るんです。サーラさんがバンカーバスター使ったのだって、生き返らせることが前提にあったんですから、そこのところは怒らないでくださいね?」
ね?て、お前・・・
生き返らせるから殺しますけど、許してねと言われて許せる人はそうそういない。
シュウは顔面を蒼白にしながら、口をパクパクさせた。
「ほんと、ライルさんが五天聖爆神剣使おうとしたときはびっくりしましたよ。あれ使われたらシュウ先輩を蘇生させることが出来なくなりますから・・・でも」
ザッ、と・・・アリエスとサーラが二人前に立ち、にっこりと笑うのを見て、シュウはゾワリと背筋が凍るのを感じた。
「今ここで先輩を無力化するためにやりすぎてしまっても、後で元通りだから安心してくださいね」
「嫌ーーーッ!」
シュウは半泣きで半狂乱になり、手刀を魔法障壁にベシベシ打ち込みだした。早くこの危ない女達から離れたかったからだ。
かつて女として意識していたこともある仲間だとか、もうそういう気持ちはなかった。もはや魔物と大差ない存在でしかない。
『お、おいやべえぞあいつら・・・』
『巻き込まれるぞ!』
『本当に勇者パーティーだったのか?あいつら』
アリエス達の話を聞き、先ほどのバンカーバスターみたいな恐ろしい攻撃が発される可能性があるとみて、これまで残っていたギャラリー達もついにざわめき、シュウ達から距離を取り始めた。
平気で人を巻き込む、禁忌には手を出す、愛していると言いながら痛めつける、「勇者パーティー」って言われても「どこが?」と返したくなる、ギャラリー達からしてもそんな恐怖の対象にアリエス達はなっていた。
しかし、アリエス達はそんなギャラリー達の様子などどこ吹く風。
「それじゃあアリエス。障壁の解除と同時にアタシが斬りこむ」
「ええ。タイミングを合わせてくださいね?」
アリエスの障壁がある状態では、シュウをダルマにすることは叶わないので、障壁解除からの斬撃とタイミングを合わせようとするアリエス達。
彼女達には躊躇する素振りすら見えなかった。
もう解除と同時に来るサーラの剣より先に動いて反撃するか、そんなことを考えていたときだった。
「えっ」
それは一瞬のことであった。
ゴオオオオォォォォ
突風が吹き、辺りが一気に眩しくなったと思うと、一瞬でシュウの周りが灼熱の炎で包まれたのだ。
魔法障壁に囲まれていたシュウは無傷であったが、アリエス達はもろに炎に巻き込まれ、その姿を消していた。
「なっ・・・!?」
シュウは驚愕で目を見張る。
彼の視線の先には、今まで言葉を発しなかったから存在すら忘れそうになっていた・・・元仲間にして元婚約者である、レーナの姿があった。
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今週末もお出かけにつき、次回更新多分一日ほど遅れます。
許してくださいなんでもしますから!(大嘘)