※この作品はR-18です。

追放の破戒僧は女難から逃げられない   作:ミステリードール

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理解不能の女

さて、ここでシュウとレーナの関係についておさらいしておこう。

 

レーナは聖神教会の司教であり、シュウの上司であるレウスの娘。

父の命により冒険者だったレーナは『光の戦士達』に属し、シュウとはチームメイト同士だった。

 

その後、パーティークラッシャーと呼ばれるまで浮名を流すレーナに首輪をつけようと考えたレウスの命令で、シュウとレーナは婚約まで結ばされる。だが、それはあくまで仮のようなもので、結婚するまでエッチはおろかスキンシップすら禁じられていた。

 

それにはレーナには、もし可能であればライルと恋仲になってほしいというレウスの思惑があったわけだが、シュウとの結婚を確定的なものにせず、より上の男を落とせるならそっちの方が・・・というこの聖職者にあるまじき不誠実でどっちつかずな方針が、シュウとレーナの関係を複雑なものにする。

 

二人の関係は良好な方であったが、あるときレーナの提案で、シュウはシュウで、レーナはレーナで結婚するまで好きにしよう・・・と、いう流れが出来上がった。

 

シュウはそもそも女性問題を起こしてはいけないというレウスの言いつけがあったので何もできなかったが、レーナはライルと浮気をした。それこそ見せつけるように。

 

シュウはレウスの思惑については察していたので、「あぁ、ライルのほうを捕まえたのだな」と思い、半分ほど婚約は解消されたと考えていたのだが・・・

 

 

 

 

 

 

 

超絶今更になり、浮気をしていた側のレーナがシュウを浮気したと詰り、挙句の果てにわけのわからないことを言いだしたことに、シュウは混乱していた。

 

 

「襲う・・・?私が?レーナを・・・?」

 

 

何言ってんだお前?と言いたげに、シュウは怪訝な目をレーナに向ける。ギャラリー達も「頭やべぇよやべぇよ」とあきれ返っていた。

 

 

「そうよ。せっかく手を出してこない奥手なシュウのために、私があえて挑発したのに、何もしてこなかったわ」

 

 

「はぁ!?」

 

 

ヤバい、言ってることが理解できない!とシュウは唖然とする。

元からレーナはマイペースでミステリアスな雰囲気があったが、今、彼女は明らかにシュウの理解を越していた。

 

 

「すみません、私は破戒僧で教養が足りないために、レーナの今言っていることが(まるで)理解できないのです。わかりやすくお願いできますか?」

 

 

理解できないのに破戒僧であることは別に関係ないが、シュウはどうにか整理をつけるためにレーナに説明を求めた。

 

 

するとレーナは爪を噛み、頬を赤らめてもじもじと恥ずかしそうにしだした。マイペースでわりと豪胆な性格をしていたレーナのこれまで見せたことのない姿に、シュウは思わず当惑する。

 

 

「そんな恥ずかしいこと私の口から言わせるつもり・・・?案外Sッ気があるのね」

 

 

もう既に恥ずかしいこと言ったじゃない!と返したかったが、話が進まないのでグッとシュウはそれを飲み込む。

 

 

「だから・・・私は、その・・・シュウが婚約者である私にちっとも手を出してこないから・・・その・・・」

 

 

説明を始めたレーナだったが、恥ずかしがっていてキレが悪い。

確かに少し恥ずかしい内容だ。だが、アリエス達もそうだが、多くのギャラリー達がいる中で恥ずかしいことを話せるのだから中々の胆力である。

 

 

「浮気している姿をみせつけてシュウを挑発して怒らせれば・・・そのうち私のところに襲いに来ると思ったの」

 

「いやそうはならんでしょ!」

 

 

黙って聞いていようと思ったシュウだが、流石に突っ込まずにはいられなかった。ていうかライルを当て馬にしてまですることなの?と、完全にレーナの思考はシュウの思案の外だった。

 

 

「私がそんなことで乱暴をしに来る人間に見えたのですか!」

 

 

「だって、シュウはいつも『私、破戒僧なもので』って言うじゃない。それが免罪符のように。そんな調子で襲いに来ると思ったのよ・・・」

 

 

「しませんよ!って、えっ・・・そ、そんなに言ってますかねそれ・・・」

 

 

自分の口癖を指摘され、ショックを受けるシュウ。

が、いつまでもショックを受けてばかりではいられない。

 

 

「とにかく、私はそんなことしませんよ!そんなことしていたら私はとっくに檻の中ですし、アリエス達のことだって薬盛られなくてもヤってたと思います!」

 

 

なんでこんなことを公衆の面前で言わなければならないのか、情けない気持ちになるが、しかし既に恥という恥はかき倒した状況である。もうどうにでもなれという気持ちにシュウはなっていた。

 

 

「でも、お父様は婚約する前に言ってたわ。『シュウは刺激するとお前のような美人ならすぐに手籠めにするような危ないやつだ。だから刺激しないように不用意に近づいたりしないように』って」

 

 

「は・・・あ・・・・?」

 

 

思い出すようなしぐさをしながら言うレーナに、シュウは絶句するしかない。

レーナに言った言葉は、レウスがシュウとレーナが結婚前に変なことにならないようにと吹き込んだものだ。

その内容もとんでもないが、それを聞いて婚約を継続するレーナもとんでもない。というか「そんな男を婚約者にするレウス(父)を疑問に思えよ」と言いたかった。

 

茫然とするシュウを、レーナはキッと睨んで言った。

 

 

「だからシュウなら刺激していればいつか逆上して私を手籠めにしてくるだろうと思っていたのに・・・全然手を出してこないから最後はパーティー追放までさせて思いっきり刺激して報復レイ〇しやすい状況にしてやったのに・・・昨夜も待ってたのに来なかったじゃない!意気地なし!不能者!細目!ホモ!シュウの馬鹿!もう知らない!」

 

 

話していてヒートアップしてきたのか、最後のほうはまるで子供のように怒り出したレーナを前に、「こっちのほうこそ知らんがな・・・」とシュウは小声で返すのがやっとだった。

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