レーナという女について少し説明をしよう。
勇者パーティー『光の戦士達』に属する大魔法使いレーナは、生まれつき魔力が高い天才型の魔法使いだった。
その素質故に大魔法使いとしての覚醒と、これまでの『光の戦士達』での活躍があると言える。
どれだけ勉強して魔法のことを学び、術式を組めるようになったところで、魔力がすぐに枯渇するのでは大成することは出来ない。そう、シュウがその壁にぶち当たったように。
レーナにとって魔法使いという職種は、天職中の天職と言えた。しかし、ただ適正があった、というレベルではない。
『本物の天才』と呼べるレベルで適正があった。
魔法使い数千人、いや、時代を超えてカウントして数万に一人いるかいないかというレベルで魔力が高かった。単純な魔力量ならば、非凡なる法術師アリエスや、賢者アイラも超える。もしかしたら、天才と呼ばれるフローラすら超えるかもしれない・・・
だが、レーナにそれだけの魔力が先天的に備わっていたのには、一つの理由があった。
レーナの遥か前の先祖に高位のサキュバスがおり、奇跡的な確率でたまたま彼女は先祖返りしたのである。それ故に、並の人間では到底考えられないほどの魔力をレーナは生まれつき持つことになった。
意図的に隠ぺいされてのか、サキュバスが先祖にいたということは、レーナはおろかレウスとて知らなかったので、彼女は『たまたま魔力を多く持った天才』くらいに思われていたのだが、生まれつき備わったのは魔力だけではなかった。
サキュバスが持つ『魅了』スキルも、持って生まれてきてしまっていた。
『ウホッ!良い女・・・』
『あの胸うまそ~ 勃っちゃうよ』
『あの女、色香がやべぇな・・・我慢できねぇぜ』
整った顔、暴食しても崩れないプロポーション・・・サキュバスの血の影響で、レーナは子供の頃から、とにかく異性の目を惹いた。
そしてそれに上乗せして、レーナ自身が無自覚のうちに放出してしまっている『魅了』効果のあるフェロモン。
これらを併せ持ったレーナは、ただ立っているだけで男を誘引するまさに『魔性の女』であった。
自制心の強くない男は、じわじわとレーナの魅力に浸透されていき、最後は心を奪われた。
数多の男が彼女に恋をし、欲情し、翻弄されていく。
レーナ本人も、いつしか男が自分を見る目が、他の女に向けるそれと違うことを自覚していた。
実際に愛を囁かれたことも何度かあった。それも既に決まった相手がいる男からもだ。
「男は誰もが自分に夢中になる」
レーナはやがてそう考えるようになったが、男を見下すようにもなる。
「男って本当にくだらない」
レウス司教の娘であるレーナは、当初は父の出世のための政略結婚を当初は予定されていたが、候補者として立てられていた男達は軒並みレーナの眼鏡にかなうことはなかった。
清貧な聖人の皮をかぶっていても、結局レーナの『魅了』に捉われた。
「なによ、聖人だって一皮むけば男じゃない」
でも、屈強な冒険者であれば多少は違う男もいるかもしれない。
レーナはそう思い、元々興味のあった冒険者の世界に足を踏み入れた。
が、ここでもレーナは男達の熾烈な争奪戦の対象となった。
既知の通り、冒険者として様々なパーティーに属するも、その悉くがレーナの取り合いでパーティークラッシュさせてしまう。
「冒険者もなの?ほんと、男って・・・」
A級ランクのパーティーに属したこともあったが、そこの男達も結局はレーナの色香に惑わされてしまい、レーナはついには男というものに失望しつつあった。
いずれ自分も誰か認められるだけの男を見つけ、結婚することになるのだろう・・・
昔はそんなことを考えていたが、未来永劫そんな男は見つけられないのではないか。そんな思いがありながらも、レーナは運命の男を探すために次々とパーティーを移り、そして都度クラッシュさせていくクソ迷惑っぷりを発揮していた。
だが、あるときレーナの奔放っぷりにしびれを切らしたレウスが、強引に彼女の婚約者を取り決めた。
(どうせろくでもない男でしょ・・・)
いい様にあしらってやろう、そんなことを考えていたレーナだったが・・・
「初めまして。よろしくお願いします」
それはレーナにとって初めての感覚。
初顔合わせの日、レーナは相手を一目見た瞬間にドカンと雷に打たれたかのような衝撃を受けた。
その相手こそ、レーナにとって運命の男となるシュウであった。
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申し訳ありません。遠征していたのと、食べ過ぎによる急性胃腸炎(自己診断)でくたばって更新が遅れました。
遅れた分、どこかで少しでも巻き返しを図ろうかと思います。