貞操逆転世界の「感度上限突破」持ち探索者 〜ダンジョン探索して美少女たちとセックス漬けの日々を過ごしていたら、ぶっ壊れハーレムができていた〜 作:わんた
「では予定を変える。ユナとビオラは負傷者の手当をしてくれ。ボスは俺とリサだけで戦う」
「それは危険です! 私と役割を変えてください!」
俺のことを思って言ってくれたことはわかるが、接近戦主体のビオラではハンマーに叩き潰されてしまうかもしれない。精霊の力が使える俺の方が相性は良いだろう。
「グズグズしてたら手遅れになるかもしれないんだ。議論はしない!」
この世界には便利な回復魔法やポーションといった類いはない。ケガは地球にいたときと同じ方法で治療するしかないのだ。せめて止血だけでもしなければ、助かるはずだった命がこぼれ落ちてしまう。
会話を強制的に打ち切って視線を部屋の中心に向ける。
ボスは動いておらず、ハンマーを肩に乗せて俺たちを見ているだけ。笑っているように見えて油断しているようだ。その姿を見て怯えるどころか戦意が高まっていく。俺ってこんなに好戦的だったかと自分で驚くほどだ。
「リサ、頼んだ!」
「お任せください!」
最初の計画通り、リサは盾を構えながら走り出すと、ボスのアンガーゴートは肩に乗せたハンマーを振り下ろす。斜めから叩き潰す軌道だ。横に避けるのは難しい。かといって、走っているので後ろに避けるのも不可能だ。活路があるとしたら前に飛び込むか、盾で受け流すしかないと思っていたのだが、違う行動を取る。
リサの持つ刀身が魔力に覆われて光り出した。
あれは俺が覚えた魔力纏!
続いて俺が知らない剣術を繰り出す。
――魔力剣術初級、武器返し。
ハンマーと刀身が衝突した。中位精霊級の魔力で強化されているため折れることなく、力の流れを変えてしまう。ハンマーのヘッドはアンガーゴートのスネに当たると、勢いを受け止められず、足が滑って転倒する。
これが訓練場で教わったカウンター前提の回避、というやつか! 敵の力まで利用した攻防一体の動きに感動すら覚えた。
追撃をするべくリサが刀身を後ろに回してから、大きく一歩跳躍して横に薙ぐ。頭を真っ二つにすると思ったのだが、硬い山羊の角に当たって弾かれてしまった。あれは金属より強度がありそうだ。
「っっ」
手が痺れて次の攻撃ができないリサは後ろに下がる。立ち上がりながらアンガーゴートは口を開いた。ブレスを吐くつもりかッ!?
『闇矢《ダークアロー》』
俺の周囲に数十の黒い矢を出現させながら放つ。一秒で数発当たる速度だ。それがすべてアンガーゴートの頭部に当たっているが、浅い傷を作るだけで致命傷には至っていない。ただ数本ほど口内に突き刺さって大量出血させられたので、ブレスは中断できたので良かったとする。リサ一人では心配なので『闇矢《ダークアロー》』を放ちつつ歩いてアンガーゴートの背後にまで移動した。
一瞬だけ横を見ると、ユナとビオラは生存者の手当をしていた。俺たちが入ったことで扉は閉まっているため、ボスを倒すまで脱出はできない。しばらくはここで耐えてもらおう。
「メェェェェエエエエエエエ!!!!」
俺の攻撃が鬱陶しくなったのか、アンガーゴートが叫んだ。衝撃波が襲ってきて肩に乗っているトリベリアが落ちそうになる被害が出そうになったが、それ以外は特に変化ない。『闇矢《ダークアロー》』を継続して放ち続けていると、体を回転させてハンマーを横に振り回してきた。リサは一歩下がって前髪がかするぐらいの距離で回避し、トリベリアが『
――魔力剣術中級、無限の刃。
後ろに下がったときには剣を振り上げていたリサは、扇状に魔力で作った刃を放つ。攻撃が終わった直後の硬直を狙われているため、アンガーゴートは防御できずまともに受けてしまい全身に深い切り傷ができ、大量の血が噴き出て床を赤く染める。人間だったら致命傷といえるぐらいの深手だ。
モンスターであっても耐えられるはずが…………。
「え?」
思わず間抜けな声を出してしまうほど驚くべきことが起こった。なんと傷口から泡が出て出血は止まってしまったのだ。
「回復能力持ちは魔力切れを狙うか、一撃で殺すしかありませんっ!」
そう言った能力があることも予想していたのか、落ち着いた声で教えてくれたリサに、アンガーゴートの蹴りが近づいている。気づくのに遅れたため盾で受けるしかなく、激しい音を立てて地面を転がる。すぐに立ち上がろうとして動き出したので、たいしたダメージは入ってなさそうで安心した。
俺にはハンマーが振り下ろされてきたので後ろに飛んで避け、反撃しようと前に出ようとして足を止める。アンガーゴートの角が光っているのだ。高い魔力を感じる。契約のパスから「任せろ」という感情が伝わってくる。
「全員に防御魔法を使ってくれ!」
トリベリアに命令を出すと『闇結界《ダークバリア》』が発動して、黒い膜に覆われた。他のメンバーも同じ状況で魔法は間に合う。
直後、轟音が耳を貫いた。
視界は真っ白になって何も見えないが、頭上から黒い膜を激しく叩く音が聞こえる。
しばらくして周囲が見えるようになると床が焦げていると気づく。雷撃系の魔法を使ったようだ。防御魔法が遅れていたら、リサ以外は倒されていたかもしれない。
「特殊だといっても強すぎないか? これが普通なのか?」
「明らかにおかしい。ミチオは、とんでもない当たりを引き当てたようだな」
危険な状況だというのにトリベリアは軽い口調で言った。まるで危険を感じてない。きっとリサも同じだろう。
「あのレベルのモンスターが出現するって、どのぐらいの低確率なんだ?」
「100年に一回ぐらいだろう」
「おぉ……マジか……」
特大の不運を引いてしまったようだ。トリベリアと契約したことで今世の幸運を使い切ってしまったのだろうか。
「私が殺そうか?」
「いや、俺とリサだけでヤる。トリベリアは防御面を頼みたい」
「わかった。できるところまでやってみるんだ。私は応援しているからな」
上位の精霊という保護者までいるのだから、最悪の場合でも死なないという安心感もある。都市国家と戦い自由を獲得するためには、この程度の困難は軽々と乗り越えていこう。
話している間にも二度目の落雷は発生したが、『闇結界《ダークバリア》』は揺らがない。
「解除してくれ」
「わかった。守りは任せろ」
黒い幕が消えたのと同時に走り出す。俺が覚えている魔法だと致命傷は与えられないので接近戦を選んだのだ。
手を前に出したアンガーゴートは俺に向けて雷の魔法を放つ。今のレベルでは目で追うなんて不可能だ。湧き上がってきた恐怖心をねじ伏せてスピードを落とさずに進む。俺と衝突する直前で小さな黒い幕が前方に浮かび、雷を弾いてくれた。
肩にいる精霊が頼もしい。
攻撃に集中出来る。
アンガーゴートがハンマーを横に振ってきた。上段の構えをとりながら縄跳びの要領で跳躍して回避すると、ステップをするように一歩前に出る。狙いは武器を持っている腕だ。
――魔力剣術初級、魔力纏。
俺が唯一覚えている技を使い、契約のパスから精霊の魔力を刀身に流し込む。強い光を放つ剣を振り下ろすと、筋肉を斬り裂いて骨を断った。切断までには至らなかったが、ブラブラと揺れていて皮一枚つながっている状態だ。
リサに教えてもらった剣術はイレギュラーなボスにも通用する!
「メェェエエエエッ!!」
ハンマーを落としてしまったアンガーゴートは、拾うことはせずに切れかけた腕を掴んでくっつけようとしている。
判断ミスだ。
背後から忍び寄ったリサが背中を切りつけ、注意を惹きつけたところで、俺が剣を二度振るう。ボトッと両腕が落ちた。
大量の血が流れ出て床を真っ赤に染めるが、すぐに止まった。自己回復によって傷口が塞がったのだ。
「こっちは回復手段ないのにズルいぞ!」
叫びながらアンガーゴートの膝を蹴って上昇する。目の前に顔があった。口を開いている。喉の奥が明るくなっていて、ちらりと炎が見えた。
ブレスをするつもりのようだが、俺が魔法を発動させる方が早い。『闇矢《ダークアロー》』を連発して口の中にぶち込むと、血を出しながらのけぞって倒れ込んでしまった。怒りによって魔法の存在を忘れていたのが敗因だ。
着地と同時にステップを踏むようにして前に出ると、全体重を乗せて魔力をまとわせた剣を振り下ろして首を両断した。
ごろりと頭部が転がる。
血は流れ出る前に死体は消えていく。
残ったのは真っ赤で大きな魔石が一つだけ。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
緊張から一気に解放されて膝をつく。全身から汗が流れていて筋肉が極度の疲労を訴えかけている。しばらくして体中が熱くなるのと同時に激しい痛みが襲ってきた。体内が作り替えられているような感覚で、二度目の存在力強化作業に入ったとわかる。
これでまた肉体の器が広がり、新しい魔法が受け入れられるようになるぞ。
トリベリアは肩から飛び降りると俺を見上げた。
「よくやったな」
子供の成長を喜ぶ親のような声だった。
契約者が強くなって嬉しいのだろう。
「とうぜん……だ」
持て余していた性欲とデカいペニスを受け入れてくれる女性たちが見つかったんだ。すぐに死ぬなんてもったいないことできない。
勝手に召喚されて、さらに奴隷化までされそうになっているんだし、世界の隅々まで楽しんでから大往生しなきゃ割に合わん。
存在力強化による痛みに耐えながら汗を拭って立ち上がり、倒れていた獣人のユナたちに近づいた。
「容体はどうだ?」
視線を倒れている二人の女性に向ける。ハンマーで叩かれたようで腕や足が完全に潰れていた。
「応急処置はしましたが、動かしたら痛みに耐えられず死んでしまいそうです」
悲痛な面持ちでビオラが報告してくれた。
ショック死するほど酷い状況なのか。地上に戻れても探索者は引退しなければいけないだろう。
「死にたくない……たすけて…………」
倒れている女性の一人が痛みにうなされながらつぶやいた。
死を望んでないなら、できる限り助けてあげたい。
『痛覚コントロール』
魔法を使うと表情は柔らかくなったが、意識は戻っていない。気絶したままである。
「ユナとビオラは彼女たちを運んでくれ」
「はーい!」
「かしこまりました」
命令を出すと部屋の奥にいるリサの方を見る。
床に魔方陣が出現していた。
何だあれは。気になって近づいて様子を見ると、僅かに光っている。
「ボスを倒すと地上に戻る転移魔方陣が出現するんです」
使えば帰れるのか。地下に向かう階段は……あれか。壁の一部が消失して二層目に進む道があった。
「地上に戻りますか?」
「ケガ人もいる。そうしよう」
皆が集合するのを待ってから転移魔方陣に入る。視界が真っ白になったがすぐに視界が戻る。
見慣れつつある広場に戻っていた。
ボス討伐はちょっとしたイレギュラーが発生してしまったものの、無事に倒して帰って来れたのだ。