もしもファイナルファンタジー4のパロムがオーバーロードに登場したら 作:メチルレッド
「クリエイトヘルはタキオンの効果により発動できます」
タキオンとは、ワールドアイテムすらも超えるゴッドアイテムである。
「タキオンの素粒子には、虚数の質量の二乗のものと、虚数の質量の四乗のものとがあります。前者は転生機構を作り、後者はエネルギー生産機構を作ります」
デミウルゴスが地獄について説明している。
そこで、アウラが質問する。
「その二つが地獄ってこと?」
「後者が地獄です。前者に行く魂は転生するので地獄ではありません」
「後者にはどんな魂が行くの?」
「極悪人の魂のみを地獄に送る予定です」
「それだと、人間はそんなに地獄を怖がる必要はないね」
「そうですね。普通に生きていれば地獄には送られませんから」
「まだ気になることがあるよ。地獄には感覚があるの?」
「私にもそれは分かりません。少なくとも分かるのは、地獄に送られた魂は永遠に転生ができないということです」
「転生したい人にとっては地獄だね」
「それを言うと、転生しないで不老不死になりたい人にとっては、転生も地獄ですね」
「色々な解釈ができるわけだ」
「宗教では死の世界に地獄があると説かれていますし、転生は輪廻転生と説かれています。宗教的には輪廻転生は地獄ではないんですね」
そこで、アインズが質問する。
「クリエイトヘルで転生機構とエネルギー生産機構が作られるという話だが、生の世界に地獄は作られないのか?」
「外の世界の人間にとって、生の世界の地獄は刺激が強すぎると判断致しました」
「人間を怖がらせ過ぎてしまうということだな」
「そうなんですね。人間は魔法が使えない者が多いですから、魔法を怖がる者が多いです。そんな世界で目に見える地獄を作ってしまったら、人間が絶望してしまい、人間との交渉が難しくなってしまいます」
「人間との交渉を円滑にする魔法はあるのか?」
「パロムに動画配信をさせていますが、なかなか人間が集まりません。多くの人間が集まった時点で、人間との交渉を円滑にする魔法を使わせようと考えています」
アインズは頷く。
「動画の視聴者は一定数いるようだし、多くの人間が集まるのは時間の問題だろう」
アウラがまた質問する。
「交渉って何? 体を売るとかだったら断るよ」
デミウルゴスが答える。
「いきなりそんなことはさせませんのでご安心ください。言葉による交渉から始めるので、大丈夫です」
マーレが心配そうな表情をしている。
「動画配信も簡単じゃないと思うんです。パロムさんの若返り、時間かかってますから」
「もうしばらくすると、パロムの急激な若返りが始まるので、大丈夫です」
デミウルゴスは心配していない。
「では、クリエイトヘルを発動せよ」
アインズがパロムに命じた。
「クリエイトヘル」
パロムは地獄を作る魔法を発動した。
三日後。
玉座の間。
地獄が作られたのか分からないのだが、アインズはデミウルゴスに聞くことができない。それはデミウルゴスの言葉を疑うことになると思ったからである。
アインズは昔に思いを馳せる。
クリエイトヘルは使うと使用者のカルマ値が下がるだけで、他には何の変化ももたらさない魔法だ。
だが、リアルでは、変化をもたらす可能性がある。
地獄以外の質問をしようか。
「デミウルゴス、質問がある」
「全てを知り尽くしているアインズ様が私に質問をする意図が分かりかねますが、何でも質問なさってください」
「パロムの種族に関してだが、化楽天は本当は人間種じゃないよな? 若返り能力を持つ人間種がいるはずがない」
デミウルゴスは笑みを浮かべる。
「化楽天は人間種でもあり、異種族でもあります」
アルベドはデミウルゴスの解答に反応する。
「姿形は人間種なのに異種族というのは矛盾するように思えるわ」
「そうですね。より正確に言うと、パロムは異種族に変身することができるのですよ」
アインズはユグドラシルでの化楽天の能力を思い出す。
「化楽天が異種族に変身するクエストは非常に困難であると聞いたことがある。デミウルゴス、まさかその方法を見つけたのか?」
「最近になって見つけることができました」
ユグドラシルでも化楽天が異種族になる例をアインズは知らない。
化楽天に限らず、一部の職業や種族には誰もクリアしたことがないクエストがある。
レトロゲームでは考えられないことだが、ユグドラシルは大変に複雑なゲームで、途中で心が折れてやめる者が多く、完全な攻略サイトは存在しないのだ。
戦士職を育てるのは簡単だが、アインズやパロムのように魔術師職を育てるのは知性が高くないと難しい。
アインズでも中の上程度のIQはある。
特に、上級者向きの職業や種族のクエストは発想力や専門知識が求められることがある。
アインズも上級者向きの職業や種族は選択しなかった。
パロムはクリエイターという上級者向きの職業と化楽天という上級者向きの種族を選択している。
パロムの知性はアインズ以上であるとアインズは考えている。
デミウルゴスの知性はスーパーコンピューターを接続したAIなので、困難なクエストでも解くことができている。
「そうか。見つけることができたか。異種族になると、どのようなビジュアルになるんだ」
「それはなってからのお楽しみですね」
「どのように解くことができたんだ」
「相対性理論の完全な理解が必要でした」
そこで、アルベドが思い出したようにデミウルゴスに質問する。
「地獄に関してデミウルゴスに聞きたいんだけど、地獄に堕ちる極悪人の基準は何?」
デミウルゴスは言葉を選んでから答える。
「我々を敵に回した者が極悪人です」
「私たちと友好的に接する者は極悪人ではないということ?」
「そうなります」
アルベドはデミウルゴスの解答に感心する。
「これで外の世界の人間も心理的に私たちと関わりやすくなったと思うわ」
「接し方が分かったからですね」
デミウルゴスはまとめた。
外の世界を観察したデミウルゴスが報告する。
「外の世界には極悪人が一人もいないので、誰も地獄に堕ちることはないでしょう」
アウラがそれに対して笑う。
「だったら地獄の説明は無意味だったよね」