クラスメイトの性癖叶えるまで、部屋から出られま10 作:松木ユキ
……長い、夢を見ていた。どこか遠い部屋に飛ばされて、クラスメイトたちとセックスする夢だ。とても大変な思いをしたが、なんだか幸せだったような気もする。
「……ちょっと、レンくん!」
「……えっ?」
「寝たら目立つよ!」
隣から声を掛けてきてくれたのは、クラスメイトの久保田ほのかだ。相変わらずの黒髪ポニーテールを揺らし、こちらを心配そうに見つめている。
「ああ、ごめんごめん」
「もー、授業終わっちゃうよ?」
「すまんすまん」
俺は前を向き、教師の話に耳を傾けた。ほのかはいつも通り、朝練終わりのジャージ姿で授業を受けている。もちろん、精液なんかに塗れてはいない。そして間もなく、教師が授業を終えた。
「では、今日はここまで」
「きりーつ、礼!」
日直が号令をかけて、休み時間になった。クラスの皆が会話を交わして教室中がざわざわとしている。俺はほのかと話をしながら、周りを見渡した。
アンナは金髪縦ロールをたなびかせ、気高い振る舞いを見せていた。乳房の形に膨らんだブラウスに思いを馳せつつ、相変わらずだなと苦笑いした。
みどりは教室の隅で文庫本を読んでいた。何の本かは分からないが、眼鏡をかけて熱心に文字を追っている。
まなみは後ろの方の席で、不機嫌そうにしていた。トレードマークの茶髪を揺らし、華美に装飾された自分の爪を眺めている。俺が視線を送ると、フンと言ってそっぽを向いてしまった。
ももかは……オタク仲間とアニメ談議に花を咲かせているようだ。コスプレ衣装ではなく、きちんと制服を着ている。ちらりと脚の方を見たが、お漏らしなんてしていなかった。
しのんは自分の席に座り、カリカリと問題集を解いている。その横顔はとても美しく、見る者全てを魅了してしまいそうだ。あんなに潮を吹いていたのが嘘のように思えてくる。
みちるは机に顔を突っ伏していた。昼寝をしているのかもしれないし、またなにか変なことを企んでいるのかもしれない。今後は机でオナニーするのだけはやめてもらいたいが。
ひよりは男子に混ざって大笑いしていた。ガキっぽい仕草と喋り方で、周囲に溶け込んでしまっている。日焼け痕だけは、あの部屋で見たものと全く同じだった。
なぎさは委員長の仕事をこなしているようだ。真面目な顔で書類か何かにペンを走らせている。あんな部屋に飛ばされたってのに、よく平然としていられるなあ。
「どうしたのレンくん?」
「えっ?」
「さっきからキョロキョロしてるからさ」
「それは、その……」
ほのかが不思議な顔をして俺に尋ねてきた。……もしかして、本当に夢だったのか? 皆は完全に元通りだし、目の前のほのかにも特に変なところはない。
「いや、変な夢を見たんだ」
「どんな夢?」
「どんなって…… ちょっと言えないな」
「えー、なにそれ~?」
ニヤニヤと笑いながら、ほのかは俺に問い詰めようとしてきた。仮に夢だったとしたら、お前が杭打ち騎乗位で精液絞り取ってきたんだ――とはとても言えないだろう。
「まあ、要は変な夢だってことだよ」
「……そっか」
ほのかは少し寂しそうに呟いた。俺が夢の中身を説明しないことが悲しいのか、それとも…… いや、やめよう。俺にはユイが――って、アイツはどこいったんだ?
「すまんほのか、ちょっと出てくる」
「えっ……」
ほのかは俺の袖を掴み、引き止めようとしてきた。俺が今から何をしに行くのか分かったのだろう。けど、行かないと。俺は優しくほのかの手を引き剥がし、歩き出す。悲しそうなほのかの表情に申し訳なさを覚えたが、後悔はなかった。
「ユイー、どこだー?」
俺は廊下に出て、ユイを探した。トイレかと思ったが、姿が見当たらない。ふと思い立ち、校舎と校舎を繋ぐ渡り廊下に向かってみた。そこには屋根がなく、階下の校庭を見下ろすことが出来る。歩を進めていくと、やっぱりユイがそこにいた。
「よく分かったね、レン」
「こんだけ長く一緒にいたらな」
俺はユイの隣に立った。特に言葉を発することなく、二人で校庭を眺める。夏の風が吹き抜けてきて、ユイの髪がさわさわと揺れていた。
「……なあ、ユイ」
「なあに?」
「……いや、なんでもない」
「えー、なによう」
ユイは笑いながら返事をしてくれた。こんな可愛い幼馴染が「寝取られ」を――なんて、やっぱり夢だったんだろうな。
「ユイ」
「もー、今度はなに?」
「俺のこと、好きか?」
なんとなく聞いてみると、ユイがどんどん顔を赤くしていった。耳まで真っ赤になり、もじもじとしている。
「な、なんで急に」
「いいから答えろって、どうなんだよ?」
「……好きに、決まってるじゃん」
「そうか、俺もだ」
「! ……あっそ」
「なんで怒ってんだよ」
「べっつにー」
ユイは頬を膨らませていた。その不機嫌そうな表情も、子どもっぽくてとても愛おしい。きっと「こんな適当に告ってくるな」というユイなりの不満なんだろうな。
あの部屋のことは――自分の心にしまっておこう。変な部屋に飛ばされ、クラスメイトの性癖を知り、それを叶えてあげる。……そんな馬鹿馬鹿しいこと、起こるわけがないのだから。考えを巡らせていると、ユイが俺の顔を覗き込んできた。
「なーに考えてるの?」
「別に、何も」
「そっか、ふふふ」
いつの間にか機嫌が直ったらしく、ユイはルンルンと脚を揺らしていた。今日も可愛いな、ユイ。いつまでも一緒にいられたら、それでいいや。そんなことを考えていると、ユイが恥ずかしそうに小声で話しかけてきた。
「……ねえ、レン」
「ん、どうした?」
ユイはもじもじとして俺の袖をつかんだ。そして昔から変わらぬ笑顔で、俺に耳打ちしてきたのだ。
「その……、『また』えっちしようね」
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