※この作品はR-18です。

クラスメイトの性癖叶えるまで、部屋から出られま10   作:松木ユキ

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エピローグ

 ……長い、夢を見ていた。どこか遠い部屋に飛ばされて、クラスメイトたちとセックスする夢だ。とても大変な思いをしたが、なんだか幸せだったような気もする。

 

「……ちょっと、レンくん!」

「……えっ?」

「寝たら目立つよ!」

 

 隣から声を掛けてきてくれたのは、クラスメイトの久保田ほのかだ。相変わらずの黒髪ポニーテールを揺らし、こちらを心配そうに見つめている。

 

「ああ、ごめんごめん」

「もー、授業終わっちゃうよ?」

「すまんすまん」

 

 俺は前を向き、教師の話に耳を傾けた。ほのかはいつも通り、朝練終わりのジャージ姿で授業を受けている。もちろん、精液なんかに塗れてはいない。そして間もなく、教師が授業を終えた。

 

「では、今日はここまで」

「きりーつ、礼!」

 

 日直が号令をかけて、休み時間になった。クラスの皆が会話を交わして教室中がざわざわとしている。俺はほのかと話をしながら、周りを見渡した。

 

 アンナは金髪縦ロールをたなびかせ、気高い振る舞いを見せていた。乳房の形に膨らんだブラウスに思いを馳せつつ、相変わらずだなと苦笑いした。

 

 みどりは教室の隅で文庫本を読んでいた。何の本かは分からないが、眼鏡をかけて熱心に文字を追っている。

 

 まなみは後ろの方の席で、不機嫌そうにしていた。トレードマークの茶髪を揺らし、華美に装飾された自分の爪を眺めている。俺が視線を送ると、フンと言ってそっぽを向いてしまった。

 

 ももかは……オタク仲間とアニメ談議に花を咲かせているようだ。コスプレ衣装ではなく、きちんと制服を着ている。ちらりと脚の方を見たが、お漏らしなんてしていなかった。

 

 しのんは自分の席に座り、カリカリと問題集を解いている。その横顔はとても美しく、見る者全てを魅了してしまいそうだ。あんなに潮を吹いていたのが嘘のように思えてくる。

 

 みちるは机に顔を突っ伏していた。昼寝をしているのかもしれないし、またなにか変なことを企んでいるのかもしれない。今後は机でオナニーするのだけはやめてもらいたいが。

 

 ひよりは男子に混ざって大笑いしていた。ガキっぽい仕草と喋り方で、周囲に溶け込んでしまっている。日焼け痕だけは、あの部屋で見たものと全く同じだった。

 

 なぎさは委員長の仕事をこなしているようだ。真面目な顔で書類か何かにペンを走らせている。あんな部屋に飛ばされたってのに、よく平然としていられるなあ。

 

「どうしたのレンくん?」

「えっ?」

「さっきからキョロキョロしてるからさ」

「それは、その……」

 

 ほのかが不思議な顔をして俺に尋ねてきた。……もしかして、本当に夢だったのか? 皆は完全に元通りだし、目の前のほのかにも特に変なところはない。

 

「いや、変な夢を見たんだ」

「どんな夢?」

「どんなって…… ちょっと言えないな」

「えー、なにそれ~?」

 

 ニヤニヤと笑いながら、ほのかは俺に問い詰めようとしてきた。仮に夢だったとしたら、お前が杭打ち騎乗位で精液絞り取ってきたんだ――とはとても言えないだろう。

 

「まあ、要は変な夢だってことだよ」

「……そっか」

 

 ほのかは少し寂しそうに呟いた。俺が夢の中身を説明しないことが悲しいのか、それとも…… いや、やめよう。俺にはユイが――って、アイツはどこいったんだ?

 

「すまんほのか、ちょっと出てくる」

「えっ……」

 

 ほのかは俺の袖を掴み、引き止めようとしてきた。俺が今から何をしに行くのか分かったのだろう。けど、行かないと。俺は優しくほのかの手を引き剥がし、歩き出す。悲しそうなほのかの表情に申し訳なさを覚えたが、後悔はなかった。

 

「ユイー、どこだー?」

 

 俺は廊下に出て、ユイを探した。トイレかと思ったが、姿が見当たらない。ふと思い立ち、校舎と校舎を繋ぐ渡り廊下に向かってみた。そこには屋根がなく、階下の校庭を見下ろすことが出来る。歩を進めていくと、やっぱりユイがそこにいた。

 

「よく分かったね、レン」

「こんだけ長く一緒にいたらな」

 

 俺はユイの隣に立った。特に言葉を発することなく、二人で校庭を眺める。夏の風が吹き抜けてきて、ユイの髪がさわさわと揺れていた。

 

「……なあ、ユイ」

「なあに?」

「……いや、なんでもない」

「えー、なによう」

 

 ユイは笑いながら返事をしてくれた。こんな可愛い幼馴染が「寝取られ」を――なんて、やっぱり夢だったんだろうな。

 

「ユイ」

「もー、今度はなに?」

「俺のこと、好きか?」

 

 なんとなく聞いてみると、ユイがどんどん顔を赤くしていった。耳まで真っ赤になり、もじもじとしている。

 

「な、なんで急に」

「いいから答えろって、どうなんだよ?」

「……好きに、決まってるじゃん」

「そうか、俺もだ」

「! ……あっそ」

「なんで怒ってんだよ」

「べっつにー」

 

 ユイは頬を膨らませていた。その不機嫌そうな表情も、子どもっぽくてとても愛おしい。きっと「こんな適当に告ってくるな」というユイなりの不満なんだろうな。

 

 あの部屋のことは――自分の心にしまっておこう。変な部屋に飛ばされ、クラスメイトの性癖を知り、それを叶えてあげる。……そんな馬鹿馬鹿しいこと、起こるわけがないのだから。考えを巡らせていると、ユイが俺の顔を覗き込んできた。

 

「なーに考えてるの?」

「別に、何も」

「そっか、ふふふ」

 

 いつの間にか機嫌が直ったらしく、ユイはルンルンと脚を揺らしていた。今日も可愛いな、ユイ。いつまでも一緒にいられたら、それでいいや。そんなことを考えていると、ユイが恥ずかしそうに小声で話しかけてきた。

 

「……ねえ、レン」

「ん、どうした?」

 

 ユイはもじもじとして俺の袖をつかんだ。そして昔から変わらぬ笑顔で、俺に耳打ちしてきたのだ。

 

「その……、『また』えっちしようね」




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