狩人はバッチをつけていた BAD END 作:muzineki
「氷室課長、聞きたいことがあります!」
声の主は特命課の課室に入るなり、氷室へと詰め寄った。
そんな険しい表情の浅谷刑事を、氷室は涼しい顔で出迎える。
「どうした浅谷君、キャッツ逮捕に失敗した男の、惨めな顔でも見に来たのかね?」
(えっ……)
隣室で聞き耳を立てていた瞳が、氷室の言葉にピクリと反応する。
女刑事たちは瞳の腕を強く掴み、僅かでも物音を立てさせぬよう警戒した。
「嘘をつかないでください。私は昨日の朝、本庁のヘリポートに金庫が輸送されていたことを知っているんです。どうしてそれを隠しているのか、答えてください」
「それは作戦で使った道具を回収しただけだ。別に隠してはおらんよ」
声を張り上げて詰め寄る浅谷刑事に、氷室は面倒くさそうに答える。
メガネをかけた女刑事の詰問は、さらに続いた。
「だったらどうして、屋上に警備が敷かれていたのですか? それにあんな大掛かりな作戦が失敗して、貴方が責任を追及されないのは変じゃないですか。納得いく説明をしてください!」
ヒステリックな声で詰め寄る浅谷刑事。
その目には、絶対に引き下がらないという意思があった。
「さすが本庁でも知られた女エリート刑事、他の犬鳴署のボンクラとは大違いだ。しかし君はもう少し、組織というものを学ぶべきだな」
口先で追い払うのは無理と判断した氷室は、課長席の電話を手にした。
そして出てきた相手に状況を説明する。
「君に代わりたいそうだ、出たまえ」
突然のことに、浅谷刑事は訝しげに電話を受け取る。
しかし電話の声を聴いた瞬間、その表情が一変した。
「そ、総監!? は、はい!」
浅谷刑事はビシッと背筋を伸ばすと、電話の相手へ敬礼する。
それは警察組織にいる者が叩き込まれた本能であった。
「はっ……わ、わかりました……はい……申し訳ありません……」
先ほどとは打って変わり、消沈した表情で浅谷は電話を置いた。
そして氷室に向かい、深々と頭を下げる。
「業務の邪魔をして申し訳ありませんでした、氷室課長……」
謝罪する浅谷刑事の身体は、小刻みに震えていた。
眼鏡の下に見える表情には、悔しさが滲み出ている。
「頭の良い君には、もう説明の必要は無いだろう。この件について探るのはやめて、内示のとおりインターポールへ出向する準備を始めなさい」
「……はい、わかりました」
声を震わせて浅谷刑事が返事をする。
眉を寄せて皺を作り、眼鏡の下の美貌を乱すその姿は、自分の中の何かと葛藤しているように見えた。
それを察した氷室は、更に釘を刺す言葉を吐く。
「君もキャリア組なら、『穴蔵』の噂くらいは、聞いたことがあるだろう?」
その言葉を聞いた瞬間、浅谷刑事の背中をつららで撫でられたような悪寒が走った。
先ほどまで無念に満ちていた表情が、今度は悪魔に追われたように蒼ざめる。
「ま、まさか……キャッツを穴蔵へ」
「フフフ、さあな? そもそも穴蔵なんて物は、一部の警察官に広まっているただの噂だ。少なくとも公式上は、そのようになっている」
云い知れぬ戦慄が、浅谷刑事の全身を這い回る。
スーツのスカートから伸びた長い脚は、僅かに震えていた。
「だがこれ以上嗅ぎまわるなら、君をその場所へ案内することになる。もちろん彼女と同じ鉄格子の中の住民としてだ。私も有能な刑事を失いたくはないのだよ、わかってくれるね」
「は、はい……」
返事をした浅谷刑事は、再び頭を下げて氷室に謝罪する。
そして肩を落としながら、特命課の課室を出て行った。
脅しに屈した彼女は、歯の一枚一枚がカチカチと打ち合うのを、止める事ができなかった。
(ど、どういうこと……)
隣の部屋では、全身を枷と鎖で拘束された瞳が、頭を混乱させていた。
刑事たち話が終わり、しばらくすると氷室が中へと戻って来る。
「むっ……むぅん! うぅん!」
氷室に向かって必死に訴える瞳。
だが防声具のせいで、声を出すことができない。
「フン、何を言っているかわからんな。まあ言いたいことは想像つくがね」
「むぅん!」
防声具の中から瞳が呻き声を上げる。
氷室に乳房を掴まれたからだ。
程よい柔らかさで弾力もあるふくらみが、氷室の手の中で形を変える。
「そろそろ周りが煩くなってきたようだ。今晩、人気が無くなったころを見計らって、君の送致を開始する」
説明しながら、氷室は瞳の乳房を揉みしだく。
始めはゆっくりと、そして少しずつ指に力を入れていった。
「君には移送までこの格好でいてもらう。定期的な水分補給時のみ防声具を解除するが、声は絶対に出さないように。少しでも騒いだら、失神するまで痛めつけるからな」
すると氷室は、瞳の乳房を思い切り握った。
愛撫には程遠い、乱暴な扱いに瞳の顔が歪む。
「うぐぅ! んぐぅ! むぅぅん!」
「ふふふ、痛いかね? だが『穴蔵』に着いてからの扱いは、こんなものではないぞ」
氷室は両手で乳房を掴むと、更に力を込めた。
急所への苦痛に、瞳は苦しそうに呻く。
その表情を愉しみつつ、氷室はレオタード姿の女怪盗を嬲り続けた。