狩人はバッチをつけていた BAD END 作:muzineki
「待った?」
「いや、全然さ」
新宿駅のそばにある、高級ホテルのレストラン。
ネイビーカラーのドレスを纏った瞳が、先に着席していた内海刑事に笑顔を向ける。
瞳を案内したウェイターは、身体にピタッと張り付く瞳のドレス姿に、ごくりと生唾を呑んだ。
店内にいる男性客も例外なく、その抜群のプロポーションに視線を向けていて、同伴する女性客の顰蹙を買っていた。
「コースを予約していた内海様ですね、お飲み物はいかがしますか?」
「シャトーベレール・ラグラーヴの1985年を」
「かしこまりました」
淀みのない口調で注文する内海刑事。
ウェイターが去っていくと、瞳はやや心配そうに彼へと声をかける。
「大丈夫、ここ高いのよ。持ち合わせならあるし、自分の分は出すわよ」
「はは、心配するな。何しろ向こうでは忙しくてな、稼いだ残業代を使う暇が無くて貯まる一方なんだ。この程度なら、大したことないよ」
笑みで返す内海刑事の言葉には、自信が満ちている。
出向先の花見署では、仕事がうまくいっているのだろう。
(今の俊夫は、とてもいい顔をしている。キャッツアイと関わりさえしなければ、優秀な刑事なのね)
瞳はその姿に安堵すると同時に、今の自分の惨めさを感じていた。
かつては警察を翻弄した女怪盗キャッツアイも、今や保釈中の罪人に過ぎない。
生活は全て管理され、特命課の犬としては奴隷のように働かされている。
穴蔵にいる泪と愛はもちろん、三姉妹の後見人である永石ですら塀の中だ。
相談するできる仲間すら失った瞳は、常に孤独感に苛まされていた。
(今の私には、俊しかいない、もし俊まで失ったら、私……)
そう思いつつ、内海刑事へ向けて笑顔を作る瞳。
孤独で辛い日々は、瞳の心を弱らせ、内海刑事への依存心を強くさせている。
(俊ともっと長くいたい、彼さえ良ければこのままホテルで深い関係に……)
談笑しながらそう考える瞳だが、それは叶わぬ願いであった。
瞳の股間には、鍵付きの貞操帯がきつく巻かれている。
ご丁寧にキャッツアイのマークが入れられたその戒具は、彼女の罪の証だ。
外すことが許されるのは、氷室の許可がある時のみ。
保釈中の罪人である瞳には、恋愛の自由すら許されなかった。
それからしばらくは、楽しい食事の時間が過ぎた。
ワインで乾杯し、食事に舌鼓を打ち、たわいもない恋人の会話を楽しむ。
それは仕事に疲れた内海刑事と、罪人として過酷な日々を送る瞳へ与えられた、安らぎと至福の時であった。
しかし幸福の時間は、内海刑事の持つ携帯電話に突如として遮られる。
ブゥゥゥン、ブゥゥゥン
突然、内海刑事の背広の内ポケットから振動音が聞こえて来る。
内海刑事はため息をつくと、電話に出た。
内容は案の定、緊急の仕事を伝える連絡であった。
「はい、内海です……ええ……はい……」
電話に相槌を打ちながら、内海刑事は気まずそうな視線を瞳の方へと向ける。
彼が犬鳴署にいたころの瞳は、刑事の仕事をあまり快く思っていなかった。
そのため仕事の電話がある度に不機嫌になり、内海刑事がコペコと頭を下げつつ署に駆けつけるのが、いつものやり取りだった
だが今日の瞳は嫌な顔一つ見せず、微笑みを返す。
「いいわよ、私の事は気にしないで。お仕事だもの、仕方ないわ」
「い、いいのかい……瞳、君はその……俺の仕事については、あまり……」
「そりゃまあ、以前は刑事と結婚するのはまっぴらとか言ってたけどさ。もういい加減、好きな人の仕事は理解しなきゃいけないと思ってね、考えを改めたの」
そう言うと瞳は立ち上がり、内海刑事の肩を掴んでキスをした。
ぬめった舌先が口内に潜るのを感じ、内海刑事が体を硬直させる。
「今の私は、刑事のあなたが大好きよ、正義と治安を守るため、今日も頑張ってね」
伏し目で恥ずかし気にしながら、髪の毛を指でくるくる回して瞳は言った。
キスをしたばかりの唇は、ぬらりと光っている。
愛しい女性からの受ける最高の激励に、内海刑事の気持ちが一気に高揚する。。
「あ、ありがとう、瞳! じゃあ、行ってくる!」
高級レストランの中をバタバタと走り、意気揚々と仕事へ向かう内海刑事。
恋人が喜んでくれたことに安堵しつつ、瞳はその後ろ姿を複雑な表情で見送る。
「さて……と」
テーブルに残された瞳は、一人寂しく残った料理を食べ始めた。
だがその瞬間、瞳の前の淫穴を貫くバイブレーターが動き始めた。
ブゥゥゥン、ブゥゥゥン、ブゥゥゥン
「ひっ!」
ピンと背中を反らした瞳は、手に持っていたフォークを落としてしまった。
そして口を塞ぎ、必死に声をかみ殺す
(前の穴に短く3回……まさか私にも……呼び出し!?)
戒具から与えられるサインに気が付いた瞳は、テーブルに食事を残したまま急いでレストランを出た。
そして外に出ると、今度はアナルを貫くバイブが2度動いた。
ブゥゥゥン、ブゥゥゥン
(ひっ……ひぃっ!)
ビクッと瞳のヒップが震える。
それは氷室から与えられる呼び出しの合図であった。
すぐに瞳はバックからワイヤレス型のイヤホンを取り出し、左耳に装着する。
イヤホンからは、この世で最も不愉快な声が聞こえてきた。
「外部協力者16号、こちら氷室だ、聞こえているなら左手で髪を触れ」
言われた通り、左手で髪をかき上げる瞳。
長くサラサラの黒髪がフワリと動くと、すぐに確認の言葉が返ってきた。
「よろしい、これから任務を与える。まずは通りを駅へ向かって歩け」
指示のとおり、駅へと向かって歩く瞳。
瞳の体内には、体温を動力としたGPSチップと盗聴器が埋め込まれいる。
行動は常に把握され、命令に逆らったり、誤魔化すことは絶対に出来ない。
少しでも逆らえば逮捕され、すぐに『穴蔵』へ連れ戻すと脅されている瞳は、指示に逆らうことができなかった。
「次の角を右に曲がれ」
イヤホンからの指示どおり、通りからアーケード街へと入る瞳。
歩くたびに股間に食い込む貞操帯が前後の淫穴を刺激し、人ごみの中を異常な格好で歩いていることを意識させられる。
羞恥心は高まり、少しでも早くこの人ごみを抜けようと、歩みは自然と早くなる。
それを制すように、前後のバイブレーターが動き始めた。
ブゥゥゥゥン、ブゥゥゥゥン、ブゥゥゥゥン
「あうっ!」
刺激により瞳の身体がよろめく。
今度は動きが止まらず、バイブレーターは振動したままだ。
バランスを崩した瞳は、ドレスに合わせて高めのヒールを履いてきたことが仇となり、アスファルトの上に転んでしまった。
ただでさえ男が振り返る美女の失態に、通りを歩く者の視線が集まる。
「ホラ、気を付けて歩け!」
イヤホンから氷室の叱責が飛んでくる。
しかしバイブレーターの動きは止まらない。
瞳は刺激を耐えながら立ち上がると、かろうじて澄ました顔を作った。
「それでいい、任務中はできるだけ平静を装うんだぞ、ククク……」
指示と同時に、氷室の薄ら笑いがイヤホンから聞こえて来る。
瞳の無様な姿を見て、楽しんでいるらしい。
(私の表情までわかるの? ひょっとすると、特命課の刑事が尾行しているのかしら……)
歩きながら辺りを見回す瞳だが、尾行者らしき者を見つけることはできない。
続いて街頭の防犯カメラが目に入る。
(もしかすると、あれを使って見張られているのでは……)
疑えば疑うほど、全てが怪しく見えてきた。
自分のボディラインに卑猥な目を向ける男たちが、今は全て私服刑事に見えてしまう。
防犯カメラはもちろん、待ちゆく人の携帯電話までもが、自分を監視しているように見えて不安でたまらない。
そんな時に突然、バイブレーターの刺激が強まった
ブゥゥゥン、ブゥゥゥン、ブゥゥゥゥン
(くうっ!)
かろうじて声をかみ殺す瞳。
だが身体は刺激に耐えられず、真っすぐ背筋を伸ばして立てなくなる。
「キョロキョロするな、余計なことはするなと言ったはずだ」
氷室の叱責が終わると、バイブレーターの刺激は更に激しくなる。
澄ました表情は維持できず、瞳は声を抑えるだけで精いっぱいになった。
「そのまま大通りまで行って、タクシーを拾え。桜田交通の22番だ、間違えるなよ」
イヤホンから冷たく命令を言い放つ氷室。
瞳は何とか姿勢を立て直し、大通りへと向かって歩き始める。
だがバイブレーターの刺激に抗しきれず、何度も立ち止まらなければならなかった。
「はぁ……はぁ……ひっ……あっ……ひいっ……」
股間から受ける甘美な刺激に、こらえていた声が遂に洩れ始める。
周りの人間からジロジロ見られるのを察するが、もはや止めることができない。
ドレスの下ではむき出しの乳首が突き出し、布の下から自己主張を始めている。
それは瞳が目当てのタクシーを見つけて、後部座席に乗り込むまで続けられた。